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- 最新統計で見た老後の生活に必要なお金
- 年金だけで老後の生活費を賄えるかどうか
- お金がない老後を回避するためにできる対処法
長寿化、物価上昇、年金額の減少など、老後を取り巻く経済環境は年々厳しさを増しています。年金だけで生活をまかなうのが難しいという声も多く、老後破産に陥る高齢者が増えているのが現実です。
そのような報道を見聞きする中で、「あまり貯金はないけど、自分の老後の生活は大丈夫なのだろうか」「年金を頼りにしているが、他にも準備すべきなのか」と不安な方も多いのではないでしょうか。
本記事では、最新統計で見た老後の生活に必要なお金を紹介した後、年金だけで老後の生活費を賄えるかどうかを解説します。お金がない老後を回避するための対処法も解説しているので、老後の生活が不安な方はぜひ最後までご覧ください。
目次 ▼
1章 最新統計で見ると老後の生活に必要なお金はどれぐらい?
総務省統計局の2024年家計調査によると、世帯主が65歳以上の世帯における平均的な消費支出は月22万2,134円となっています。内訳を見てみると、最も支出が大きいのは食費で月6万5,875円です。次いで交通・通信が2万5,790円、教養娯楽が2万1,560円と続きます。
医療費も1万4,175円と、現役世代よりやや高い水準です。また住居費は月1万5,781円と比較的低めに見えますが、これは持ち家率が高いことが要因であり、賃貸暮らしであれば住居費の負担は重くなるでしょう。
このように、平均的な生活を送るだけでも毎月20万円以上の支出がかかるのが実情です。急な医療費や介護費などを考慮すれば、これ以上の出費が発生することも想定しておく必要があるでしょう。
2章 年金だけで老後の生活費を賄うのは難しい
老後の主な収入源となる公的年金ですが、現実には年金だけで生活費をまかなうのは難しい状況にあります。厚生労働省が発表している令和7年度の年金額の例によると、男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準は、月額232,784円です。
世帯主が65歳以上の世帯における平均的な消費支出は月22万2,134円であるため、年金収入と支出はほぼ同じ水準になっています。しかもこの支出は家賃が低めに算出されていたり、突発的な住宅の修繕費などは含まれていなかったりするため、賃貸に住んでいる場合や臨時出費がある場合はすぐに赤字になるかもしれません。
また、年金受給額は現役時代の収入や納付期間によって差があり、平均より少ない人も存在します。年金だけで生活費を賄うのは難しいため、お金がない状態で老後を迎えると、生活が成立しない可能性が高いと言えるでしょう。
3章 お金がない老後を回避するためにできる6つの対処法
先述の通り、年金だけでは老後の生活が苦しくなることが予想されています。貯金が少ない場合、毎月の生活がどんどん苦しくなり、将来的に資金不足に陥るリスクもあるでしょう。
とはいえ、お金がない老後は避けられないものではありません。収支状況を見直したり、公的制度を活用したりすることで、経済的に無理のない老後を実現できる可能性があります。ここでは、お金がない老後を回避するためにできる対処法を解説します。
3-1 支出を管理する
お金がない老後を回避したいなら、まずは支出管理を行いましょう。なぜなら、どこにどれだけお金を使っているかを把握することで、無駄な出費に気付いて支出を削減できる可能性が高いためです。
日々の出費をなんとなくでやりくりしていると、なくても困らない支出が増えていきます。まずは家計簿アプリやノートなどを使って、1ヶ月分の支出を見える化してみましょう。それだけでも、自分の消費傾向やムダの多い項目が見えてくるはずです。
例えば、コンビニの買い物、なんとなく続けている習慣的な出費、割引セールにつられて買っている不必要な物などの支出を洗い出すだけで、毎月の出費を数千円単位で見直せることもあります。
年金での暮らしが始まると、収入は一定でも支出は思いのほか変動しがちです。生活費の全体像を掴み、必要に応じて見直す習慣を付けておくことが、老後を安定して過ごすための土台になるでしょう。
3-2 通信費やサブスクリプションサービスなどの固定費を見直す
支出管理と一緒に行いたいのが、スマートフォンの通信プラン、保険料、ガス・電気の料金プランなどの固定費の見直しです。固定費は一度見直せば、その後は継続的に支出を抑えられるため、節約効果が長く続きます。
例えば、スマートフォンの通信プランは使い方に合っていない大容量プランや、通話定額オプションなどが契約されたままになっているケースがあります。格安SIMやシニア向け割引プランに乗り換えることで、月々数千円の節約が可能です。
また、ライフスタイルの変化に伴い、これまで加入していた保険が不要になっている可能性もあります。すでに医療保険やがん保険に加入している場合でも、高額療養費制度など公的保障と重複していないかを確認することで、過剰な保険料を抑えられるかもしれません。
さらに、ガスや電気などの光熱費も、料金プランの見直しや、複数の業者を比較するだけで節約に直結します。その他にも使っていないのに基本料金を払い続けているサービスがあれば、すぐにでも解約を検討しましょう。
3-3 再雇用制度やシルバー人材センターを活用し収入を得る
老後の生活費が足りないと感じる時は、再雇用制度やシルバー人材センターを活用し、無理のない範囲で収入を確保することも大切です。体力や健康状態に応じて働き方を工夫すれば、家計の足しになるだけでなく、生活に張り合いも生まれます。
再雇用制度とは、正社員が定年に達した後、正社員とは異なる雇用形態で再び雇用される制度です。多くの企業では60歳で定年を迎えた後、嘱託社員やシニア社員として65歳頃まで引き続き働ける制度を導入しています。給与水準は現役時代より下がることが一般的ですが、老後に向けて一定の収入を確保することが可能です。
また、シルバー人材センターも、60歳以上で健康な方の働き口を確保する有効な手段です。短時間・軽作業中心の仕事を紹介しており、内容は施設の清掃や草刈り、子どもの見守り、マンション管理、家庭教師など多岐にわたります。
これらの制度を活用し、元気な間は労働収入を得ることで、老後にお金がなくて困る事態を避けられるでしょう。
3-4 年金の繰下げ受給を行う
年金の繰下げ受給とは、本来受給できる年齢(原則65歳)よりも年金の受給を遅らせることで、将来の年金額を増やすことができる仕組みです。65歳に達した月から1ヶ月過ぎるごとに年金額が0.7%ずつ増え、70歳まで繰下げた場合は42%、75歳まで繰下げた場合には最大で84%の増額が可能になります。
例えば、65歳から月14万円の年金を受け取れる予定の方が70歳まで繰下げた場合、月額19万8,000円を受け取れます。毎月およそ5万8,000円の増額となり、老後の生活にゆとりが生まれるでしょう。
ただし、繰下げ受給中は当然ながら年金が受け取れないため、その期間の生活費を賄う手段が必要です。健康状態や収支のバランス、家族構成などを踏まえながら、無理のない範囲で受給開始時期を選択しましょう。
3-5 個人年金などで事前に準備をする
老後の生活費が足りなくなる不安を解消するには、公的年金だけに頼らず、現役の間から自分で準備することも重要です。その代表的な方法が、個人年金保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの私的年金制度の活用です。
個人年金保険は、契約時に設定した年齢(60歳以降で選択できる場合が多い)から、毎月一定額の年金を受け取れる仕組みです。長く積み立てるほど受給額は安定し、老後の収入を補完する第二の年金として役立ちます。
また、保険料を支払っている間は生命保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減できるメリットもあります。老後に備えながら節税もしたいという方には、非常に相性の良い制度です。
さらに、より柔軟に資産形成したい人には、iDeCoのような制度もおすすめです。掛金を自分で運用し、60歳以降に一時金や年金として受け取れる仕組みで、運用益がすべて非課税になるという特徴があります。節税効果も高く、将来の備えとして注目が集まっています。
ただし、こうした制度は一度始めると中途解約しづらいなどの制約があるため、生活に余裕のある範囲で無理なく始めることが大切です。
3-6 リバースモーゲージを活用する
持ち家があるにも拘らず老後資金が不足している場合、リバースモーゲージを使うことで資金を確保できます。リバースモーゲージとは、不動産を担保に生活資金を借り入れ、契約者の死亡後に売却して精算する仕組みです。
契約中は利息のみの返済であるケースが多く、経済的な負担を抑えつつ老後資金を用意できます。また、生活費、医療費、介護費用などに充てることができるうえに、お金を借りている間も自宅に住み続けられるのがメリットです。
ただし、担保となる物件の価値が下がれば、自宅を売却しても返済しきれないリスクもあります。契約内容によっては相続人が残りの債務を返済しなければならないため、リバースモーゲージの内容を理解したうえで利用しましょう。
4章 借金が原因で老後資金を用意できていないなら債務整理も検討しよう
老後の生活費に不安を抱えている方の中には、借金の返済が家計を圧迫しているケースもあります。生活費の補填や医療費、子どもの援助などを理由に借りた借金を、老後まで抱えてしまっているのです。
借金の返済が大きな負担になっているケースでは、節約や一時的な収入増では根本的な解決にならない可能性があります。このような場合には、以下のような債務整理によって借金を法的に整理し、老後の生活を立て直す選択肢も検討すべきです。
- 任意整理:利息や遅延損害金をカットし、元本のみを分割返済する手続き。裁判所を介さず、交渉によって条件を見直します。
- 個人再生:借金を大幅に減額し、原則3年で分割返済する制度。住宅ローン特則を使えばマイホームを残すことも可能です。
- 自己破産:返済能力がない場合に借金を全て免除してもらう制度。99万円を超える部分の預貯金や不動産は処分されますが、必要最低限の財産は保護されます。
債務整理の手続きは複雑なので、自力で行うのは非常に難しいです。そのため、借金が原因で老後への準備が十分にできない場合は、弁護士・司法書士に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、債務整理の手続きのサポートの他、適切な解決方法の提案も行っております。無料相談にも対応しておりますので、借金が原因で老後資金を用意できていない方はお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
老後の生活に必要な支出は月20万円以上とされており、年金だけでは賄えない可能性が高くなっています。そのため、お金がない老後を回避するためには、以下のような事前の備えが必要です。
- 支出を管理する
- 通信費やサブスクリプションサービスなどの固定費を見直す
- 再雇用制度やシルバー人材センターを活用し収入を得る
- 年金の繰下げ受給を行う
- 個人年金などで事前に準備をする
- リバースモーゲージを活用する
また、借金が原因で老後資金が確保できないのであれば、債務整理によって返済負担を軽減し、家計を立て直す必要があります。そのためにも、借金問題で悩んでいるなら一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが重要です。
グリーン司法書士法人では、借金問題の解決に向けたサポートを行っております。お金がない状態で老後を迎えたくないという方は、ぜひお早めにご相談ください。
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