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行政書士には、任意整理を依頼することはできません。
任意整理の依頼を受けた専門家は、依頼者に代わって債権者へ取引履歴を照会しますが、行政書士が関与することは許されていないからです。
法律系の専門家であり、行政書士法に基づく国家資格者である行政書士は、主に官公署へ提出する許認可などの申請書類を作成することなどを業務としています。
そこで行政書士になぜ任意整理は依頼できないのか、業務内容など詳しく解説していきます。
- 行政書士に任意整理を依頼できない理由は何か
- 行政書士の業務内容とは何か
- 任意整理を司法書士・弁護士に依頼するメリットとは何か
目次 ▼
1章 行政書士に任意整理を依頼できない
行政書士には、任意整理の手続を依頼することはできません。
司法書士や弁護士と同じように、「法律系」の国家資格者であることは行政書士も共通しています。
ただ、行政書士は主に「官公署(各省庁・都道府県庁・市区役所・町村役場・警察署など)」へ提出する書類の相談・作成・提出などを行うことを業とする専門家です。
行政などの取り扱う書類を作成するため法律の知識はある専門家といえるものの、司法書士や弁護士とは職域に差があるため、任意整理の手続については対応できません。
行政書士に任意整理の手続を依頼できない理由について、さらに詳しく以下の2つを説明します。
- 行政書士は債権者に受任通知を送付できない
- 行政書士は債権者との交渉ができない
1-1 行政書士は債権者に受任通知を送付できない
行政書士は債権者に「受任通知」を送ることができないため、任意整理の手続を依頼できません。
受任通知とは、司法書士や弁護士などの専門家が、債務者の代理人になったことを債権者へ知らせる通知です。
債権者が受任通知を受け取ると、債務者へ直接、取り立てを行うことはできなくなります。
一時的に「督促」が停止するため、債務者も気持ちに余裕を持って任意整理の手続を始めることができる大きな効力を持つ書類といえます。
しかし行政書士は依頼者の代理人になれないため、債権者に受任通知を送ることもできません。
1-2 行政書士は債権者との交渉ができない
行政書士は債権者との「交渉」ができないため、任意整理の手続を依頼できません。
行政書士の業務範囲には法律相談は含まれておらず、書類作成に必要な範囲内での相談に留まり、依頼者の代理人になることや交渉することは業務に含まれていません。
なお、司法書士と弁護士は依頼者の代理人になれるため、債権者との交渉ができます。
司法書士の場合は金額に「制限」があるものの、1社ごとの元金で判断するため、制限されることはそれほど多くないといえます。
2章 行政書士が行える業務内容
行政書士は、行政書士法により例外的に一部の法律事務を扱うことは認められています。
しかしきわめて「限定」された範囲内でのみの法律事務の取り扱いです。
官公署に提出する書類の作成は業務範囲とされていますが、「紛争性」のある案件の業務はできないため、裁判所に提出する書類の作成はできません。
たとえば任意整理は裁判所を介さない手続ですが、取引履歴の取り寄せや債権者との交渉が必須となります。
行政書士の業務範囲に法律相談は含まれておらず、依頼者の代理人にもなれないため、任意整理や調停の申立て、訴訟の提起は業務対応外です。
また、依頼者名での調停申立書や訴状などの裁判書類作成もできないため、それらを業務範囲とする司法書士や弁護士に依頼することが必要といえます。
借金問題に関しては債権者との間で紛争性が認められるため、行政書士では関与が難しいことと、弁護士のような活動はできないことを理解しておいてください。
3章 任意整理を司法書士・弁護士に依頼するメリット
任意整理を司法書士や弁護士などの専門家に相談し、手続を依頼するメリットとして以下の5つが挙げられます。
- 借金の取り立てや督促が止まる
- 無理なく返済できる条件で和解を目指せる
- 過払い金請求にも対応してもらえる
- 時効の援用を行ってもらえる
- 家族・勤務先に借金がバレるリスクを減らせる
それぞれどのようなメリットがあるのか説明します。
3-1 借金の取り立てや督促が止まる
任意整理を司法書士・弁護士に依頼すれば、債権者に「受任通知」が送付されるため、借金の取り立てや督促が止まることはメリットです。
受任通知は、任意整理を依頼された専門家が債務者の代理人になったことを知らせる通知であり、債権者が受け取った時点で債務者に直接取り立てはできなくなります。
行政書士は受任通知書を送付できないため、貸金業者からの請求は止まらないといえますが、司法書士や弁護士なら一時的に督促から解放されます。
3-2 無理なく返済できる条件で和解を目指せる
任意整理を司法書士・弁護士に依頼すれば、無理のない返済条件で債権者と「和解」することを目指せることがメリットです。
交渉能力の高い専門家に依頼すれば、将来利息のカットによる分割返済などで、毎月の返済額を抑えることができます。
行政書士は、依頼者の代理人になれないため債権者と交渉してもらうことはできません。
債権者によって、司法書士や弁護士などの専門家でなければ交渉に応じない場合もあるため、任意整理の実績や経験が豊富な司法書士や弁護士などの専門家に依頼したほうが安心です。
3-3 過払い金請求にも対応してもらえる
任意整理を司法書士・弁護士に依頼すれば、「過払い請求」にも対応してもらえることはメリットです。
過払い金とは、利息上限法の上限を超えた金利で払い過ぎた利息です。
任意整理の手続において過払い金が発生していた場合、還付請求することで借金を大幅に減額できたり完済できたり、手元にお金が戻ってくる場合もあります。
行政書士は業務範囲外となる過払い金請求ですが、司法書士や弁護士であれば還付請求を含めた借金返済の交渉を行ってもらえます。
3-4 時効の援用を行ってもらえる
任意整理を司法書士・弁護士に依頼すれば、消滅時効を過ぎた借金の「時効の援用」を行ってもらえます。
借金の返済義務は、単に消滅時効を迎えただけで消滅するわけではないため、消滅時効の利用を債権者に主張する「時効援用通知書」を送ります。
トラブルを防ぐためにも口頭ではなく書面での通知が必要ですが、司法書士や弁護士などの専門家であれば手続してもらえます。
行政書士でも時効援用通知書の作成はできますが、別途依頼することが必要となるため、司法書士や弁護士などの専門家にまとめて依頼したほうがスムーズです。
3-5 家族・勤務先に借金がバレるリスクを減らせる
任意整理を司法書士・弁護士に依頼すれば、家族や勤務先に借金がバレるリスクを減らせることはメリットです。
手続中の債権者からの「郵便物」は、代理人となった司法書士や弁護士の「事務所宛」に届くため、依頼者宛に直接送られることはありません。
そのため債権者からの郵便物を家族に見られてしまい、借金があることを知られることは少ないでしょう。
行政書士は代理人となれないため、債権者から依頼者へ宛てられた郵便物を代わりに受け取ることはできません。
なお、専門家に手続を依頼した直後は、受任通知が届いていなかったり自宅宛てに発送した直後だったりなどの理由で届く可能性はあります。
しかし通常であれば、1~2週間経過すれば止まると考えられるため、一時的に督促から開放されます。
まとめ
行政書士に任意整理の手続を依頼することはできません。
主に行政書士の業務とされていることは、官公署へ提出する書類に関する相談・作成・提出などです。
法律の知識はある専門家といえるものの、司法書士や弁護士とは職域に差があります。
そのため任意整理の手続は司法書士や弁護士に依頼しましょう。
グリーン司法書士法人であれば、任意整理を含めた借金問題解決に向けた相談にも応じています。
過払い金請求や時効の援用などにも対応できるため、もしも任意整理やその他債務整理を検討しているときには、お気軽に無料相談を利用してください。
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