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弁護士費用は決して安いものではありません。そのため、「弁護士に依頼したいけど費用を払えない・・・」と依頼できずにいる方もいらっしゃるでしょう。
とはいえ、弁護士費用が払えない場合でも、費用を立て替えてもらえる制度などもあります。
また、弁護士事務所によっては分割払いに対応してくれるところもあるので、相談してみましょう。
ただし、弁護士に依頼した後に費用が支払えない場合、督促を受け、最終的には財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
この記事では、弁護士費用が支払えないときの対処法などについて解説します。
目次 ▼
1章 弁護士費用が払えない時の対処法
弁護士費用が払えず、債務整理を依頼できないとお悩みの人は「日本司法支援センター(法テラス)」の弁護士費用の立替制度を利用するのが良いでしょう。
立替制度を利用すれば、依頼者のかわりに法テラスが弁護士費用を支払い、依頼者は分割で法テラスに費用を支払えます。 他にも、弁護士費用が払えない場合は、下記の方法をご検討ください。
- 法テラスを利用する
- 日弁連委託援助業務を利用する
- 分割払いにしてもらう
それぞれ詳しく解説します。
1−1 法テラスを利用する
法テラスとは、国が設立した機関で、法的トラブルを解決するための総合案内所としての役割を持ちます。
法テラスでは、主に経済的に余裕のない方に向けて法律相談や専門家への依頼費用の立て替えなどを行っています。
ただし、あくまで経済的に余裕のない方の援助を目的としていますので、利用には一定の条件があります。
1−1−1 法テラスの利用条件
①収入等が一定額以下であること(※)
②勝訴の見込みがないとは言えないこと
③民事法律扶助の趣旨に適すること
※①の一定額以下とは、以下の「収入基準」と「資産基準」を満たすことを指します。
上記の「収入基準」「資産基準」は以下のとおり法テラスで定められていますので、それを引用します。
【収入基準】
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人数 | 手取月収額の基準 (※1) | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に 加算できる限度額 (※2) |
---|---|---|
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) | 4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) | 5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) | 6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) | 7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
(※1)東京、大阪など生活保護一級地の場合、()内の基準を適用します。以下、同居家族が1名増加する毎に基準額に30,000円(33,000円)を加算します。
(※2)申込者等が、家賃又は住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に、負担額を基準に加算できます。居住地が東京都特別区の場合、()内の基準を適用します。
【資産要件】
申込み者とその配偶者が、資産を有している場合には、その合計額が以下の基準を満たしている必要があります。(無料相談は、現金・預貯金の合計額のみで判断される)
人数 | 資産合計額の基準 (※1) |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
(※1):将来負担すべき医療費、教育費などの出費がある場合は相当額が控除されます。(無料法律相談の場合は、3ヵ月以内に出費予定があることが条件です。)
1−2 日弁連委託援助業務を利用する
日弁連(日本弁護士連合会)は、法テラスではカバーできない方を対象に、人権救済の観点から弁護士費用の援助等を行っています。これを「日弁連委託援助業務」と言います。
具体的には、以下の9つの援助があります。
- 刑事被疑者の弁護援助
- 少年保護事件付添援助
- 犯罪被害者法律援助
- 難民認定に関する法律援助
- 外国人に対する法律援助
- 子どもに対する法律援助
- 精神障害者に対する法律援助
- 心神喪失者医療観察法法律援助
- 高齢者・障害者・ホームレス等に対する法律援助
上記に該当するケースでは、日弁連に問い合わせをしてみるのが良いでしょう。
1−3 分割払いにしてもらう
法律事務所によっては、分割払いに対応しているところもあります。
何回払いまで可能かは事務所によりますが、概ね12回払まで対応しているところが多いようです。
初回の相談を無料で行っているところも多いですので、無料相談時に分割払いに対応しているかどうか相談してみるのが良いでしょう。
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2章 弁護士費用を滞納すると差し押さえられるリスクがある
「これから弁護士に依頼しようと思っているが、費用が払えない」というケースであれば、1章で解説した方法で対処できるかもしれません。
しかし、すでに依頼をした後に支払うことができなくなってしまったというケースもあるでしょう。
弁護士費用を滞納してしまうと、借金などと同じように督促を受けることになります。滞納を続ければ、給与や預貯金の差押えといった法的手段を取られることもあるでしょう。
もっとも、法律事務所も「依頼者を救済したい」という思いから依頼を受けていることがほとんどですので、やむを得ない事情があるのであれば、分割払いに変更したり、支払回数を増やしたりと、対応をしてくれる可能性があります。
万が一、督促が来てしまい、支払いの目処が立たない場合には、債務整理を検討しましょう。
3章 費用を払ってでも弁護士に依頼すべきケース
法律トラブルの内容によっては、弁護士に依頼せずとも自身で対応できるものもあります。例えば、離婚や相続など身内のトラブルであれば、当人同士の話し合いでなんとか解決できるかもしれません。
しかし、法律トラブルの中には弁護士によるサポートが不可欠な場面もあります。
具体的には以下のケースです。
- 刑事事件
- 債務整理
- DV被害を伴う離婚
- 交通事故
上記のようなケースでは、費用がかかってでも弁護士に依頼するべきと言えます。
それぞれ詳しく解説します。
3−1 刑事事件
刑事事件では、弁護士による弁護活動が不可欠です。
身柄を拘束されている場合、経済的に困窮している人は国選弁護人(国が選任する弁護士)をつけることが可能です。しかし、逮捕直後から勾留までの最大72時間も国選弁護人をつけることができません。この期間は、私選弁護人をつけない限り、被疑者一人で警察からの取り調べを受けることになります。
また、在宅事件(身柄拘束を受けないまま、捜査が進む事件)の場合には国選弁護人をつけることができません。
早期の弁護活動が鍵となる刑事事件では、逮捕直後や事件発覚直後から弁護士に依頼することが重要です。
加えて、刑事事件は法律分野の中でも専門性の高いものであるため、弁護活動をする弁護士の経験と知識が最終的な結果を左右すると言っても過言ではありません。国選弁護人は国がランダムで選任するため、新人や刑事事件の経験が乏しい弁護士がつくことも多くあります。
このような理由から、刑事事件では、早期の釈放や不起訴処分の獲得のためには費用を払ってでも早い段階で弁護士に依頼するべきと言えます。
3−2 債務整理
自己破産や個人再生、任意整理などの債務整理の手続きを検討している場合は弁護士に依頼するべきでしょう。
債務整理の手続きは、自身でできないことはありませんが、複雑であるため、あまり現実的ではありません。
また、債務整理を依頼すれば、その時点で債権者に対して受任通知が送付され、借金等の取り立てがストップし、その後は返済に充てていた分を依頼費用や手続き費用のために積み立てるようサポートしてくれます。
そのため、債務整理手続きをするのであれば、弁護士に依頼するべきでしょう。
債務整理の手続きであれば、司法書士も対応することが可能です。
事務所にもよりますが、弁護士に比べ司法書士のほうが費用が安価な傾向があります。
また、司法書士事務所は債務整理に注力していることが多いため、依頼後はスムーズに対応してくれるでしょう。
ただし、司法書士の場合、対応できるのは140万円/1社以下の債権額(利息を除く)のみですので、その点は注意が必要です。
3−3 DV被害を伴う離婚
特段問題が生じていない離婚であれば、当事者同士の話し合いで解決が見込めるかも知れません。
しかし、DV被害を受けているなど身体に危険を伴う事情がある場合には、離婚を切り出したことでより危険な状態に陥る可能性が高いでしょう。
その場合には、安全に離婚を進めるためにも弁護士に協力を仰ぐことが大切です。弁護士に依頼すれば、相手方との交渉を弁護士に任せることができますし、状況によっては保護命令が出るよう申し立ててくれることもあります。
また、人権派の弁護士であれば、手元にお金がない場合でも、後払いや分割払いに対応してくれることもあるでしょう。
まずは、無料相談を活用して弁護士に相談してみるようにしましょう。
3−4 交通事故
交通事故被害に遭った場合は弁護士への相談をおすすめします。
交通事故被害に遭うと、その後保険会社と賠償金等について交渉することになるかと思います。
自身で交渉を進めることもできますが、弁護士に任せることによって最終的に獲得できる賠償金が増額する可能性が高くなります。
それは、弁護士が過去の裁判例を基準に賠償金を算出しているためです。
また、交通事故の依頼を受けている弁護士は、完全成功報酬制として、最終的に増額できた部分の数%を報酬金する料金体系を採用していることが多いため、依頼者が損をするケースが少ないのも理由の一つです。
さらに、ご自身が加入している保険に弁護士特約が付帯していれば、自己負担なく依頼することができます。
このように、交通事故の依頼については、依頼者側へのデメリットがほとんどなく、むしろメリットが大きいため、依頼することをおすすめします。
4章 まとめ
弁護士費用が支払えず、依頼が出来なという方は、法テラスや日弁連委託援助業務の利用を検討してみましょう。
また、法律事務所によっては分割払いに対応してくれることもありますので、初回の相談時に問い合わせてみましょう。
万が一、すでに発生している依頼費用が支払えない場合には、滞納を続けると督促を受ける可能性があります。
最悪の場合、強制執行として給料や預貯金を差し押さえられることもあるので注意してください。どうしても支払えない場合には債務整理も検討しましょう。
なお、以下のような法律トラブルでは費用がかかったとしても弁護士に依頼することをおすすめします。
- 刑事事件
- 債務整理
- DV被害を伴う離婚
- 交通事故
また、債務整理については司法書士でも対応が可能です。(140万円/1社以下の債権額(利息を除く))
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よくあるご質問
- 弁護士費用が払えないときはどうすればいい?
- 弁護士費用が払えないときには、下記の対処法をお試しください。
・法テラスを利用する
・日弁連委託援助業務を利用する
・分割払いにしてもらう
弁護士費用が払えないときの対処法について詳しくはコチラ
- 弁護士費用は分割払いできる?
- 法律事務所によっては、分割払いに対応しているところもあります。
何回払いまで可能かは事務所によりますが、概ね12回払まで対応しているところが多いようです。
弁護士費用の分割払いについて詳しくはコチラ