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民事再生法は、経済的困難に直面した企業や個人が再起を図るための、法的枠組みです。1999年に成立し、2000年から施行されている比較的新しい法律で、事業の継続を目指しながら債務を再編することを可能にします。
特に、経営権の維持や債務の圧縮、弁済期間の延長などが可能であり、事業の再建を図る上で大きなメリットをもたらします。しかし、信用低下や担保権実行のリスク、債務免除益課税などのデメリットも存在します。
今回の記事では、民事再生法の概要からメリット・デメリット、流れまでをわかりやすく解説します。
目次 ▼
1章 民事再生法とは
民事再生法は、債務超過や資金繰りの悪化に陥った企業や個人が利用できる、法的な債務整理の手続です。この法律の目的は、債権者と債務者の間の権利関係を調整し、事業の継続や経済生活の再建を可能にすることにあります。
会社更生法や自己破産といった他の倒産法と区別され、経営権の維持や債務の減額が特徴です。ここでは、民事再生法の基本的な概念と、破産や会社更生との違いについてくわしく見ていきましょう。
1-1 民事再生と破産の違い
民事再生と破産の最大の違いは、事業の継続性にあります。民事再生では事業を存続させながら債務を再編できるのに対し、破産は会社の解散と財産の清算を伴います。
具体的には、破産手続では債権者に平等に弁済されるため、事業の停止と資産の処分が行われます。民事再生では、業務を継続しながら再生計画案にもとづく債務の再編が可能で、より柔軟な債務の処理が見込めます。
破産手続の期間は比較的短く、申立てから3~6ヶ月程度であるのに対して、民事再生手続は申立てから認可までおよそ半年が一般的です。これは、民事再生の方が破産よりも詳細な計画策定と債権者との調整が必要とされるためです。
なお、民事再生法では、法人だけが対象ではありません。
これは、個人の生活再建により重点を置いている点で、破産手続とは大きく異なるものです。また、破産では資格制限が発生することがあるのに対し、民事再生手続ではそのような制限は一般的にありません。
「個人再生」とはどういうものかや、個人再生が持つメリットとデメリット、事例などに関しては以下の記事でくわしく解説しています。ぜひ、そちらも参考にしてください。
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1-2 民事再生と会社更生の違い
事再生法は、財政的に困難な個人及び企業が債務を再編して事業の継続を図ることを目的としています。一方、会社更生法は、経済的に苦境にある株式会社などの法人を対象とし、その事業の再建を目指すものです。
民事再生では、債務者が自ら再生計画を立案し、経営権を維持しながら債務を減額または返済期間を延長できます。対照的に、会社更生では更生計画の策定と実行にあたり、経営権が更生管財人に移り、株主の権利が一時的に停止されることがあります。
民事再生手続は、相対的に迅速に行われ、手続の開始から計画認可まで数ヶ月から1年程度を要することが多いです。しかし、会社更生手続はより複雑で時間がかかり、数年を要することも珍しくありません。
民事再生法は、債権者全体の同意を必要とせず、一定の要件を満たせば債権者の反対を乗り越えて再生計画を実行できる場合があります。しかし、会社更生法では、債権者のより広範な合意が必要であり、計画の承認には債権者集会での決議が求められます。
これらの違いから、民事再生は個人や中小企業にとってより活用しやすい手続であるといえるでしょう。会社更生は大規模な企業の再建に特化しており、その手続の厳密さと構造的な違いが明確です。
1-3 民事再生の再建計画は3種類
民事再生法による再建計画は、経営が困難になった企業が再び立ち直るための手続です。この法律は、企業や個人が経済的な再生を目指すことを支援するために設けられています。
具体的には、以下の3種類の再建計画が存在します。
- 自力で再建する
- スポンサーを得て再建する
- 清算によって再建する
それぞれの再建計画は、事業の実態や再生に必要な条件に応じて選ばれ、企業の未来を左右する重要な選択となります。この法律は企業だけでなく、個人にも適用され、手続の進め方や必要な条件などが異なるものです。
個別に見ていきましょう。
1-3-1 自力で再建する
自力で再建するタイプの民事再生は、企業が自らの資源や能力を活用して経済的な困難を乗り越え、事業を継続する方法です。この再建計画では、企業は債権者との交渉や事業構造の改善などを自ら行い、財務状況の健全化を目指します。
この方法のメリットは、経営者が経営権を保持しながら、事業の再生に取り組むことができる点が挙げられます。しかし、この方法は企業が自力で必要な資金を調達し、事業改革を実行する能力が求められるため、一定のリスクが伴います。
1-3-2 スポンサーを得て再建する
スポンサーを得て再建するタイプの民事再生は、外部の投資家や他企業からの支援を受けて経済的困難を克服し、事業を継続する方法です。スポンサーからの資金援助や経営資源の提供を通じて、企業は再建のための必要なリソースを確保できます。
この方法のメリットは、外部からの資金や知見が得られることにより、再生プロセスを加速できる点です。しかし、スポンサーを見つける過程や条件交渉には時間と労力が必要となり、経営権の一部を譲渡しなければならない可能性もあります。
1-3-3 清算によって再建する
清算による再建は、不採算部門の売却や事業の一部を譲渡し、得た資金で債務を返済しながら経営を再建する方法です。このアプローチでは、企業は利益を生み出すコア事業に注力し、財務状況の改善を図ります。
この方法のメリットは、非効率な事業部門を整理することで、企業の全体的な効率性と収益性を高めることができる点です。ただし、事業の規模を縮小する必要があり、関連する従業員や取引先との関係に影響を及ぼす可能性があります。
2章 民事再生を行うメリット
民事再生の手続を行う主なメリットとしては、以下の5つが挙げられます。
- 会社の存続を目指せる
- 経営権を維持できる
- 手元に資金を確保できる
- 借金の減額や分割弁済を行える
- 最大10年間にわたり弁済期間を延長できる
それぞれの内容を見ていきましょう。
2-1 会社の存続を目指せる
一般的な倒産の手続は、会社がその後も存続することはありません。しかし民事再生は、会社を残すことを目的としています。破産や廃業のように会社が消滅することなく、業務を継続しながら再生計画案を実行していくことが可能です。
2-2 経営権を維持できる
民事再生では、現在の経営陣のままで再建手続を進めることができます。それによって、経営権を譲りたくない会社にとって大きなメリットとなります。
経営陣が継続して経営ができることも民事再生のメリットです。夢やビジョンを持った経営者がそのまま事業再建を目指せることは、再建において重要なポイントとなります。
2-3 手元に資金を確保できる
民事再生の手続によって、債務の減額、リスケジュールされた状態で事業を継続するため、資金流動性が高まります。それによって、手元に必要な運転資金を確保しやすくなり、事業運営における柔軟性が増すわけです。
これは、経営の安定化と持続可能な事業運営の基盤を築く上で、欠かせない大切な要素です。
2-4 借金の減額や分割弁済を行える
民事再生手続では、債務の減額や分割弁済が可能となります。それによって、企業の負担を大幅に減額可能です。
特に、総合的な債務減額が可能になることで、企業の財務状況が改善され、新たな事業戦略を立てやすくなるでしょう。減額された債務は分割して弁済できるため、財政的な負担が軽減されます。
2-5 最大10年間にわたり弁済期間を延長できる
民事再生手続を通じて、債務の弁済期間を最大10年まで延長できます。これは、経営の立て直しに必要な時間を確保できる大きなメリットです。
長期にわたる弁済期間の延長は、企業が財務的に健全な状態を回復し、安定した事業運営を行うための猶予期間を提供します。それによって、企業は再生計画に沿った着実な経営改善を目指すことができます。
上記の5つのメリットを通じて、民事再生は経済的困難に直面している企業に、再建と再出発のチャンスを提供します。適切な手続と計画により、企業は再び成長軌道に乗る可能性を得るのです。
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3章 民事再生を行うデメリット
民事再生を行うメリットがある一方、主に以下のような4つのデメリットがあります。
- 信用やブランド力が低下する
- 債務免除益課税が発生する恐れがある
- 失敗すると破産手続に移行してしまう
- 担保を回収されてしまう場合がある
それぞれを補足しておきましょう。
3-1 信用やブランド力が低下する
民事再生手続を行うと、その情報が官報などを通じて公開され、企業の信用やブランド力が低下することが避けられません。この影響で、顧客や取引先からの信頼が損なわれ、取引が難しくなることもあります。
また、民事再生の事実が公になると、消費者の購買行動にも影響を及ぼす可能性があり、商品やサービスの売り上げが下がるリスクもあります。
3-2 債務免除益課税が発生する恐れがある
民事再生により債務が減免された場合、その減免された債務の一部が債務免除益として課税対象になることがあります。そのため、税務上の複雑な取り扱いが必要になり、専門的な知識を持つ税理士などのサポートが必要になる場合があります。
一定の要件を満たす場合は、過去の欠損金で相殺できる可能性がありますが、それには適切な税務処理が求められます。結果として、民事再生を進める際には、予期せぬ税負担が発生することもあるため注意が必要です。
3-3 失敗すると破産手続に移行してしまう
民事再生手続中に再生計画がうまく進まない場合、企業は破産手続に移行するリスクがあります。これは、民事再生が成功するとはかぎらず、状況によってはより厳しい措置を受けることになる可能性があるのです。
民事再生手続の失敗は、経営者にとってさらなる負担となり、企業の存続自体が危ぶまれる事態に直面することもあります。したがって、民事再生を選択する際には、計画の実現可能性を慎重に評価することが必要です。
3-4 担保を回収されてしまう場合がある
民事再生手続では、担保付きの債権に対して担保権者がその権利を行使することが禁止されていません。そのため、企業にとって重要な資産を失ってしまう可能性があります。
特に、事業の継続に不可欠な財産に担保権が設定されている場合、事業を継続できなくなる恐れがあり、それによって事業の存続自体が脅かされることになります。
このような場合、担保権者との事前の交渉や協議が極めて重要となり、担保権実行を回避するための努力が必要になります。
上の4つのデメリットも十分に考慮し、くれぐれも慎重に進める姿勢が、民事再生には欠かせません。再建を目指す企業は、これらのリスクを理解し、常に状況に応じて適切な対策を講じることが求められます。
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4章 民事再生の流れ
民事再生手続の流れは、以下の9つのステップで進みます。
- STEP① 債務者による申立てを行う
- STEP② 監督委員を選任する
- STEP③ 再生手続き開始が決定される
- STEP④ 債権者が届出を行う
- STEP⑤ 債務者が財産評定・財産状況の報告を行う
- STEP⑥ 債務者が債権届出の認否を行う
- STEP⑦ 再生計画案の立案を行う
- STEP⑧ 債権者の決議が行われる
- STEP⑨ 再生計画を実行する
順を追って見ていきましょう。
STEP① 債務者による申立てを行う
民事再生手続は、債務者が裁判所に再生手続開始の申立てをすることから始まります。この申立てに際して、予納金の納付が必要です。
申立てと同時に、債務者は保全処分の申立ても行い、裁判所から弁済禁止の保全処分決定を得ます。この保全処分により債務の弁済を停止できるため、資金繰りの危機を一時的に脱することが可能です。
STEP② 監督委員を選任する
保全処分決定と同時に、裁判所によって監督委員が選任されます。監督委員の役割は、再生手続を公正に監督し、債務者の行動に一定の制限を加えることです。
監督委員は、債務者が行う特定の行為に対して同意を必要とし、これを得ないで行われた行為は無効となります。また、監督委員は再生計画案の内容調査や実行監督など、重要な任務を担うものです。
STEP③ 再生手続開始が決定される
再生手続開始の申立てがなされた後、裁判所は申立ての要件を審査し、再生手続開始の決定を下します。この決定により、正式に民事再生手続が開始されるものです。
申立てから再生手続開始決定までの期間は通常、2週間程度です。再生計画案の作成や可決の見込みがない場合には、申立てが棄却される可能性もあります。
STEP④ 債権者が届出を行う
再生手続開始決定後、債権者は裁判所が定める期間内に債権届出を行わなければなりません。それによって、債権者が手続に参加する資格を得ます。
STEP⑤ 債務者が財産評定・財産状況の報告を行う
債務者は、裁判所に対して財産の価値評定や財産状況の報告を行います。それによって、再生手続における財産の処理の対象となる資産の全体像が把握されるのです。
会社は、保有する全財産について再生手続開始時の価格を評定し、裁判所に提出する必要があります。この評定は、再生計画策定の基礎となるため、正確な財産価値の把握が不可欠です。
STEP⑥ 債務者が債権届出の認否を行う
債務者は、債権届出があった債権について認否を行います。この認否は、債務者と債権者間の負債額を確定させる重要な手続です。
認否結果は裁判所に提出され、債権者との間で意見が異なる場合は、再生債権査定手続を通じて最終的な債権額が確定されます。それによって、後続の再生計画策定に必要な、正確なデータが得られるわけです。
STEP⑦ 再生計画案の立案を行う
債務者は、確定した債務額を基に再生計画案を作成し、裁判所に提出します。この計画案は、債務の減額や返済期間の延長など、再生方法を具体的に定めたものです。
再生計画案の作成には債権者の同意は不要です。作成された案を、債権者が同意するかどうかはかぎりません。弁済期間は原則として10年を超えない範囲で定められます。債権者の同意を得られるよう、適切な計画策定が必要です。
STEP⑧ 債権者の決議が行われる
提出された再生計画案について、債権者集会において債権者の決議が行われます。計画案は、過半数の債権者の同意及び総債権額の2分の1以上の賛成が必要です。
債権者の承認を得た再生計画案は、裁判所の認可を受けることで正式に確定します。この段階を経ることで、再生計画は実行フェーズに移行します。
STEP⑨ 再生計画を実行する
裁判所の認可を受けた再生計画案が確定した後、債務者は計画にもとづいた再生活動を実行に移します。この実行には、監督委員の監督下で行われることが一般的です。
再生計画の実行過程では、計画に沿った債務の返済に必要な再建活動が行われ、定期的に進捗状況が裁判所や債権者に報告されます。ここで重要なのは、再生計画にもとづいた活動が、企業の経営健全化と、債権者への適切な返済を実現することです。
民事再生手続の目的は、債務者が経済的な再生を達成し、長期的に持続可能な事業活動を再開することにあります。このプロセスを通じて、債務者は債務負担を軽減し、新たな出発を切る機会を得ることができます。
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5章 民事再生にかかる費用の内訳・相場
ここでは企業が行う民事再生のケースにおける費用の内訳、相場を見ていきましょう。個人再生の場合は、ここでご紹介するほどの費用はかかりませんので、誤解なきようお願いします。
民事再生を行う際には、さまざまな費用が必要になります。これらの費用は、民事再生のプロセスを円滑に進めるため、また、債権者への適切な対応を行うために欠かせないものです。
費用項目 | 内訳 | 相場 | 備考 |
---|---|---|---|
予納金 | 申立手数料 | 1万円 | – |
予納金 | 数百万円~数千万円 | 負債額によって変動 | |
官報公告費用 | 数万円 | – | |
監督委員報酬 | 数十万円 | – | |
専門家に支払う報酬 | 弁護士の着手金 | 100万円~200万円 | – |
報酬金 | 1,000万円~数千万円 | 成功報酬も含む | |
調査費用 | 数十万円 | 必要に応じて | |
通信費 | 数万円 | – | |
交通費 | 数万円 | – | |
顧問税理士の報酬 | 数十万円 | – | |
財務デューデリジェンス費用 | 数百万円 | – | |
事業の運転資金や退職金 | 事業規模や従業員数によって変動 | – |
なお、前述のとおり、費用ではありませんが債務の減額がなされた場合に債務免除益が発生し、企業の場合は利益に対する課税があるのでご注意ください。
これらの費用を正確に理解し、適切に準備することが、民事再生手続を成功に導く鍵となります。ここでは、それぞれの費用項目を見ていきましょう。
5-1 予納金
民事再生を申し立てる際には、裁判所に対して予納金を支払う必要があります。この予納金は、監督委員などの費用や公告費用に充てられます。
たとえば、東京地方裁判所では負債総額に応じて予納金の目安が設定されており、負債額が5千万円未満の場合は200万円、1億円以上1000億円未満で1200万円、1000億円以上では1300万円となっています。予納金が不足する場合は、分割払いも検討されます。
5-2 専門家に支払う報酬
民事再生手続では、法律の専門家である弁護士に相談し、代理人として依頼することが一般的です。弁護士への報酬は、着手金と成功報酬に分けられ、着手金は予納金と同程度かそれ以上が一般的です。
さらに、事案の成功時には成功報酬も発生します。時間制での報酬の場合、弁護士によっては1時間あたり5,000円から30,000円の範囲で設定されていることもあります。
また、顧問税理士への報酬や、財務デューデリジェンス費用がそれぞれ数十万、数百万かかる場合があります。
5-3 事業の運転資金や退職金
民事再生手続中でも、事業は継続して運営される必要があります。そのためには、運転資金の確保が不可欠です。
また、組織の再編に伴う退職金の支払いが発生する場合もあります。これらの費用は、事業の規模や状況によって大きく異なり、具体的な計画のもとで準備する必要があります。
民事再生手続を行う際には、これらの費用について正確な理解と適切な準備が必要です。専門家と十分な相談を行い、計画的に進めることで、再生計画の成功につながります。
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6章 民事再生を行うときの注意点
民事再生を検討する際には、さまざまな注意点があります。この手続は企業や個人が経済的な再生を目指すものですが、適用できないケースや厳しい条件が伴う場合もあります。
事業再生ADR制度(民間主体の事業再生環境を整備するべく創設された制度)など、民事再生に類似した他の手続を検討する場合も、それぞれの特徴と利点、欠点を理解することが重要です。
ここでは、民事再生を成功させるための注意点を見ていきましょう。
6-1 民事再生を行えない可能性がある
民事再生を申し立てるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
要件1:破産の原因たる事実の生ずるおそれがあること
- 支払不能
- 手形の不渡り
- 債務超過
- その他、破産に至る可能性が高い状況
要件2:弁済期にある債務を弁済できないこと
- 一部の債権者に対してのみ弁済を行えないこと
- 将来的に弁済の見込みがないこと
上記に加え、以下の条件も満たす必要があります。
- 過去に民事再生手続開始決定を受けていないこと
- 過去に免責許可を受けていないこと
- 虚偽の表示や不正な行為を行っていないこと
これらを満たしていない場合は、民事再生が行えないことになります。
6-2 社長の退任が必要な場合がある
民事再生の手続中には、経営陣の交代が求められる場合があります。これは、再生プロセスにおいて新たな経営体制の下での再スタートが必要とされるためです。
会社更生法にもとづく再生を行う場合は、管財人が主導することになり、既存の経営陣は退任することが一般的です。民事再生の場合も、経営陣の責任を問う動きが伴うことがあります。
したがって、民事再生を申請する際には、経営陣、特に社長の地位に影響を与える可能性があるという点を理解しておく必要があります。このことは、民事再生手続における心理的なハードルともいえるでしょう。
6-3 債権者に一律弁済を行えない
民事再生手続においては、債務者は一律弁済を禁止され、債権者は再生計画に基づく弁済しか受けることができなくなるため注意が必要です。
債務者が仕入れを行っていた仕入れ先への買掛金も同様に支払いが禁止されますので、債務者を主要な取引先としていた債権者には重大な影響がでます。
6-4 従業員の解雇が必要な場合がある
民事再生の過程で事業の再構築が行われる際、不採算部門の削減や組織のスリム化が必要となることがあります。これに伴い、従業員の解雇が避けられない場合があるのです。
人員整理は、民事再生を成功させるために避けられない選択であることが多いですが、従業員やその家族にとっては大きな犠牲を伴います。そのため、再生計画においては人員削減の必要性とその影響を慎重に評価しなければなりません。
また、従業員の解雇は、企業の社会的評価やブランドイメージにも影響を与えかねないため、この点も考慮に入れながら再生計画を策定することが重要です。解雇の実施にあたっては、法的要件や適切な手続の遵守も求められます。
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まとめ
民事再生手続は、経済的に困難な状況にある企業や個人が再生を目指すための有効な手段です。しかし、その過程は複雑で、多くの注意点が存在します。
特に、民事再生を行う際には、債権者との交渉、経営陣の変更、従業員の解雇など、さまざまな難しい決断を迫られることになります。これらの点を事前に理解し、適切に対応することが重要です。
民事再生は再起を目指すためのひとつのステップであり、適切に計画され、実行された再生手続が成功すれば、企業や個人は経済的な再起を遂げることができます。それには、すべての関係者との協力と、適切な再生計画の策定が不可欠です。
民事再生は、単なる債務の再編ではなく、将来に向けた新たなスタートであり、成功には多くの挑戦が伴います。適切な準備と理解、そして関係者との連携が成功の鍵を握っています。
ここで見てきたように、民事再生とは複雑かつ専門性が高い、難しい作業です。これを成功させるためには、専門家の助言を求めること、透明性のあるコミュニケーションを心がけること、そして柔軟な姿勢で対応することが重要です。
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よくあるご質問
- 民事再生法をするとどうなる?
- 民事再生をすれば、債権者と債務者の権利関係を調整し、借金の返済負担を軽減しながら事業を続けられます。
- 民事再生になると借金はどうなる?
- 民事再生手続では、債務の減額や分割弁済が可能となります。
借金の返済負担が軽減されることにより、事業を立て直しやすくなります。