債務超過とはどんな状態?赤字との違いや対処法をわかりやすく解説!

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
債務超過とはどんな状態?赤字との違いや対処法をわかりやすく解説!

この記事は約 12 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 債務超過とは資産よりも負債が多い状態のこと
  • 債務超過が続くと資金ショートになる倒産リスクが上がる
  • 債務超過が続くと融資が受けられない可能性がある
  • 会社を存続させたいなら早めに民事再生を決断する方法もある

会社経営において「債務超過」という言葉を耳にしたことがある方も多いかと思います。債務超過とは、わかりやすくいうと、資産よりも負債が多い状態のことです。

債務超過は、経営状態があまりよくない状態といえます。このまま債務超過が続くと、倒産の危険性も考えられるため、早めに原因を特定して会社を立て直さなくてはいけません。

この記事では、債務超過とはどれくらい危険なのかを解説します。債務超過になったときの対処法を参考に、冷静に対処しましょう。

1章 債務超過とは資産よりも負債が多い状態のこと

債務超過とは、資産よりも負債が多い状態のことです。文字通り「債務が超過している状態」のため、資産がマイナスの状態となります。

現状、会社にある総資産を全て売却しても負債を返済しきれない状態のため、このまま会社を存続させるのは難しい状況といえるでしょう。

1-1 債務超過と赤字の違い

資産よりも負債が多い状態と聞くと、赤字を連想する方も多いと思いますが、債務超過と赤字は異なります。

赤字は、年間単位や月間単位で利益が出ていない状態のことです。つまり、直近の業績は赤字で表現されるケースが多いでしょう。一方で、債務超過は財務の状態であり、業績が蓄積された結果です。

そのため、赤字を繰り返すことによって債務超過に陥るおそれがあります。赤字が増えれば、会社の資産が減っていくため赤字を放置するのは避けましょう。

1-2 債務超過と資金ショートの違い

債務超過のほかに、資金ショートという言葉を聞いたことがあるかと思います。資金ショートとは、手元の資金が不足している状態のことです。会社の資金自体が手元にない状態なので、何か今後支出があった場合に、支払いができなくなってしまいます。

債務超過は、資産よりも負債が多い状態ではありますが、資産自体はまだ残っているでしょう。しかし、資金ショートは資産自体がないため倒産に直結します。

2章 債務超過とはどれくらい危険?

赤字が続くと債務超過に陥り、手元の資産が枯渇していくと資金ショートとなります。そのため、すぐには倒産しないものの危険な状態といえるでしょう。

赤字や債務超過が続くと、資産を削らなくてはいけなくなるため、徐々に会社の資産と負債の比率が傾きだします。利益が出ない状態に慣れてしまうと、やがて資産が底をつくため甘く考えるのはやめましょう。

2-1 最も危険な状態なのは資金ショート

最も危険な状態は、資金ショートです。資金ショートは、手元の資金がない状態のため、目先の支払いが滞ってしまいます。会社の家賃や税金、従業員の給料の支払いなどがままならない状態になるため、倒産リスクが高い状態といえるでしょう。

ただし、まだ資金ショートになっていないからと油断してはいけません。赤字や債務超過の状態が続くと、金融機関から融資を断られたり従業員の離職が増えたりなどのデメリットが想定されます。

そのため、できるだけ早い段階で対策をして、資金ショートに陥らない状態をキープすることが大切です。

2-2 資本がプラスでも債務超過になるケースも

資本がプラスの状態でも、債務超過に陥るため注意しましょう。「黒字倒産」のように、赤字ではなくとも事業の継続が難しいケースもあります。

具体的には、売掛金や受取手形はあるが現金がない状態や、すぐにキャッシュ化ができない資産が多く、支払いができない状態が挙げられるでしょう。

今後入ってくる利益を考えるとプラスですが、現状の資産がないため債務超過になるケースもあるので注意が必要です。

3章 債務超過の原因とは?

債務超過の状態に慣れてしまうと、そもそもの原因が分からなくなるケースは珍しくありません。債務超過を解決するには、原因を把握して適切な対処をする必要があります。

では、債務超過の原因で考えられるものを見ていきましょう。

3-1 常に赤字経営をしている

常に赤字経営が続いている状態が続くと、やがて債務超過に陥るケースは多いです。

新規事業の立ち上げなどで一時的な赤字経営の場合は、他の事業でカバーできる場合がありますが、赤字経営が当たり前の状態になっている場合は、負債が資産を上回ってしまい債務超過になるでしょう。

上手くいっていない事業の見直しや過剰な経費など、赤字の原因を特定して経営の見直しをする必要があります。

3-2 ビジネスに投資をしている

新規事業やスポンサー事業など大きな投資をして、債務超過になったケースもあります。収益化できる目処が立っている状態であれば問題ありませんが、当初よりも収益がない場合や、想定よりも回収できない場合は注意が必要です。

このまま投資を続けると資金ショートに陥る可能性はないか、慎重に見極めましょう。

3-3 資本金が少ない状態である

新会社法により、資本金が1円でも会社を設立できるようになりました。そのため、個人事業主やベンチャー企業などの場合、少ない資本金で経営しているケースも多いです。

1円はあくまで極端な例ですが、資本金が少ないと少額の赤字でも債務超過に陥るため、危険な状態といえるでしょう。

会社の立ち上げからいきなり収益化するのは難しいので、年単位で赤字が続いても債務超過にならない程度の資本金は用意しておくのがおすすめです。

3-4 起業・開業後で赤字が続いている

企業・開業後は赤字経営が続くケースがほとんどです。ビジネスが軌道に乗るまでは時間がかかるため、赤字が続いて債務超過に陥りやすい状況といえるでしょう。

このまま数年間赤字が続くと、会社の評価が厳しくなり融資を断られる可能性もあります。融資ができない状態で資産が減り続けると倒産も考えなくてはいけなくなるため注意しましょう。

3-5 有価証券の時価が下落している

有価証券の時価が下落することによって、債務超過に陥るケースもあります。会社が所有している有価証券が取得時より値下がりすることで資産が減るため、資産よりも負債が多くなってしまうでしょう。

とくに、所有する有価証券が多い場合は時価が大幅に下がることで、一気に債務超過に陥る場合も珍しくありません。

4章 債務超過が続くとどうなる?

債務超過の状態をそのままにしてしまうと、さまざまなデメリットがあります。

会社の存続が難しくなる可能性も高いため、債務超過によって考えられるリスクを把握しておきましょう。

4-1 取引先の信用を失う

債務超過が続くと、取引先の信用を失う可能性があります。取引先が会社の財務状態を確認したときに、債務超過に陥っていることが発覚したら不信感を抱くケースは多いです。

債務超過に陥っているということは、資金繰りが困難になるおそれもあると判断されるでしょう。取引を続けることで支払いが滞るリスクを考えて、契約の見直しや取引の停止を考える場合も少なくありません。

取引先の信用を失うことで、会社の資金がさらに厳しくなり、より経営難に陥る泥沼状態になるでしょう。

4-2 銀行から融資を断られる

債務超過が続くと、銀行から融資を断られる場合があります。債務超過状態の会社は、返済が滞る可能性が高く、倒産リスクもあるため審査落ちするケースが多くなるでしょう。

銀行は、融資先の信用力を厳しく評価するため、債務超過の企業は信用できないと判断されます。そのため、運転資金や成長資金を確保することが難しくなり、新規ビジネスへの投資も難しくなるでしょう。

4-3 倒産のリスクが高まる

債務超過が続くなかで、取引先の契約が切れたり銀行から融資を断られたりと、資金調達が上手くいかない場合、事業の継続自体が難しくなります。

債務超過の企業は利益を生み出す取り組みができなくなるため、経営改善のための施策を実施する余裕もなくなるでしょう。新規事業の立ち上げや設備の更新、労働環境の改善など、長期的な成長戦略のための投資ができないため、負債だけが膨らんでいく状態に陥ります。

結果として、倒産のリスクが高まり、会社を存続させるか決断する必要が出てくるでしょう。

5章 債務超過になったときの対処法

債務超過にならない経営をするのが理想ですが、新規事業の立ち上げや経営状況によっては、どうしても債務超過に陥ってしまうケースもあるでしょう。

債務超過を解決するには、これ以上負債を増やさないためにも、できるだけ早い段階で対処する必要があります。では、債務超過になったときの対処法を見ていきましょう。

5-1 利益を上げる

債務超過を解消するには、資産を増やす必要があります。事業で利益を上げることで、負債との差を縮められるので債務超過を解消できる可能性があるでしょう。

とはいえ、利益を上げられたら解決するのは百も承知かと思います。利益を上げるのが難しい場合は、事業計画通りに売上が立っているかをチェックしましょう。徐々に利益が増えている状態であれば、債務超過を解消できるでしょう。

まずは、地道に利益を増やしていくことが大切です。

5-2 無駄な経費を削減する

人件費や原価など、経費の見直しも大切です。業務に直接関係しない支出や効率が悪い経費を削減することで、会社の負債を減らして債務超過の解消につなげることができるでしょう。

また、オフィスの光熱費や通信費、備品の購入など必要以上に使われている経費や、代替手段がある経費の見直しも大切です。

無駄な会議や出張の頻度を減らし、リモート会議やオンラインツールの活用を推進するなど、従業員に対しても経費削減の意識を持たせて持続的な経費削減をしましょう。

5-3 補助金や助成金を申請する

起業直後や新規事業の立ち上げなどで資金が必要な場合は、補助金や助成金を申請するのも一つの方法です。

とくに「事業再構築補助金」は中小企業等の事業再構築を支援する取り組みで、実績がない会社でも受給しやすい補助金として挙げられます。

ただし、認定経営革新等支援機関から、事業計画書の確認を受けることが必須要件のため、詳しくは中小企業庁の公式ホームページを確認しましょう。

5-5 債務免除を依頼する

債務免除とは、債権者(融資先)が無償で債権を消滅させる行為です。わかりやすくいうと、今ある借金の返済をしなくてもよいということです。今後、利益を上げられる見込みがない場合は、有効な手段といえるでしょう。

代表的な債務免除は、債務者(会社)が破産手続きをして成立するケースと、債権者と債務者で交渉をして成立するケースがあります。

どちらも専門的な知識が必要なため、弁護士などの専門家に相談したうえで進めましょう。

6章 債務超過が続くなら民事再生・特別清算・破産を検討しよう

債務超過が続くなら、法的手続きを検討するのも一つの手です。具体的には、会社を存続させる民事再生と会社を消滅させる特別清算や破産が挙げられます。

会社を消滅させて、また一からやり直したい場合は特別清算や破産を選択するとよいでしょう。

特別清算は、破産手続きよりも簡易的に会社の清算ができるのがメリットです。ただし、株式会社に限られるため注意しましょう。

破産は、現状で保有している会社の資産を換価処分して債権者に配当して返済します。破産の手続きが終了した時点で、会社が消滅し手続き完了です。

会社を存続させて再建を考えている場合は、民事再生を選択しましょう。

6-1 民事再生は会社を存続させられる

民事再生とは、民事再生法に基づく裁判手続きです。「再生」と名が付いており、経営難に陥った会社が裁判所の監督下で再生計画に基づき会社の事業の再建をしていきます。

また、民事再生は負債総額に応じて、裁判所に予納金を支払う必要があるため注意しましょう。予納金は数百万円規模で必要になります。さらに、民事再生の手続きのための弁護士費用も高額です。

民事再生を考えている場合は、手続きの費用を考えたうえで考えましょう。

6-2 ただし債務を返済する必要があるので早めに判断しよう

民事再生は、抱えてしまった借金を返済しながら会社を立て直します。そのため、売上の見込みがある会社や余力が残っている会社でないと手続きが取れないので注意しましょう。

借金が大幅に減額されるので、返済負担は軽減できますが、返済計画通りに進めないと債権者からの申立により、再生計画が取り消される可能性があるので必ず完済しなくてはいけません。

また、税金や社会保険は、民事再生手続きでも免除されないため、全額納める必要があります。もし、免除されない支払いの滞納金額が多い場合は、民事再生が難しい場合もあるでしょう。

7章 債務超過は放置すると倒産につながる!早めに解決しよう

債務超過は、会社の資産よりも負債が多い状態です。そのため、今後も負債が増え続けると経営が困難になり、倒産リスクも高まるでしょう。

負債が増えると、取引先の信用を失ったり融資を受けられなくなったりと、より負債が増える原因につながります。そのため、できるだけ早い段階で解決することが大切です。

原因を特定し、健全な会社経営ができるように対策しましょう。

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