ローンが組めないときに考えられる4つの理由と6つの対処法を徹底解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
ローンが組めないときに考えられる4つの理由と6つの対処法を徹底解説

この記事は約 12 分で読めます。

まとまったお金が必要になったとき、金融機関から借りようとしてもローンが組めないため、資金調達に悩んでしまうこともあるでしょう。

ローンが組めない理由は、金融機関や保証会社の審査に通らないからですが、考えられる理由は4つあります。

そこで、次の3つをそれぞれ章ごとに徹底解説していきます。

  1. ローンの種類によって変わる審査のハードル
  2. ローンが組めない4つの理由
  3. ローンが組めないときの6つの対処法

なぜローンが組めないのか悩んでいる方や、その場合どのような対処法があるのか知りたいときの参考にしてください。

1章 ローンの種類によって変わる審査のハードル

ひとくちに「ローン」といっても、たとえば「住宅ローン」や「教育ローン」、「カーローン」などいろいろな種類があります。

使い道が自由な「多目的ローン」や、事業資金に使える「事業者ローン」もあり、利用目的によってローンを申し込む金融機関審査のハードルも違ってきます。

どのローンを組む場合でも、必ず金融機関の「審査」をクリアすることが必要ですが、審査のハードルは次の2つの理由で変わると考えられます。

  1. 低金利の場合はハードルが高め
  2. 借入金額が大きいほど難易度は上がる

それぞれ説明していきます。

1-1 低金利の場合はハードルが高め

申し込むローンの「金利」が低いほど、審査のハードルは上がります。

お金を貸すことになる銀行や消費者金融などがローンの金利を設定するとき、要素の1つとなるのが貸した資金を「回収」することができるかという部分です。

銀行なら預金金利、消費者金融なら銀行から借りたお金の借入金利など、融資に充てる資金の「調達コスト」が発生しています。

他にも事務所の賃料や人件費など、様々な「経費」を支払うことになるため、ローンによる貸付利息で「利益」が出るように金利を設定することとなります。

しかしローンによる借入れを希望するすべての方が、確実に返済できるとは限らないため、その「リスク」に応じた金利を設定しなければなりません。

そのため低金利のローンの場合、金利の回収が長期間になることから回収できる可能性が高い方でなければ貸し付けできないとされ、審査のハードルが高くなります。

1-2 借入金額が大きいほど難易度は上がる

ローンを組んで借りる「金額」が大きいほど、審査の難易度は上がると考えておきましょう。

一般的には、金額が大きければ、その分返済する「期間」も長くなります。

長年同じ勤務先で働いており、安定した収入がある方などであれば、たとえ返済期間が長くてもコツコツと返してくれる見込みが高いと判断されるでしょう。

しかし、

  • 借入金額よりも低い年収の方
  • 勤続年数が1年未満の方
  • 正社員などではなく非正規雇用の方

などは、安定した収入があると判断されにくいため審査に落ちてしまう可能性があります。

2章 ローンが組めない4つの理由

住宅ローンの審査に通らない場合、本人の返済能力に問題があるケースもしくは購入する物件の担保としての価値に問題があるなどが考えられます。
また、過去にローンが組めなかった方の傾向から、審査に落ちてしまう理由として次の4つが考えられます。

  1. 安定した収入など審査基準を満たしていない
  2. 信用情報に問題がある
  3. 申込み内容に虚偽があった
  4. すでに他社から多く借入れしている

それぞれどのような理由でローンが組めないのか具体的に説明していきます。

2-1 安定した収入など審査基準を満たしていない

先に述べた通り、安定した収入があるなど、「審査基準」を満たしていない場合にはローンを組めない可能性が高くなります。

ローンの審査基準には、たとえば以下のような項目が挙げられます。

  • 勤務先(大企業や公務員など勤務先の会社規模が大きいほうが有利)
  • 勤務形態(正社員が有利であるものの、契約社員や派遣社員でも継続した収入があるとみなされれば通過できる場合あり)
  • 勤続年数(長いほど有利)
  • 年収(収入と返済額のバランスが重要)
  • 年齢(若い方が稼働年数が長い)

審査では貸したお金を毎月確実に返済できるか判断するため、年収や勤続年数の長さなど、一定基準を満たすことが必要です。

単純に年収が高ければよいわけではなく、勤続年数や雇用形態など収入が途切れてしまうリスクを重視した審査が行われます。

そのため年収は高くても、勤続年数が短いときや非正規雇用で就労環境が不安定なときには、審査に通らずローンが組めないといったことも考えられます。

また、年齢も重要な考慮項目です。たとえば60歳の人が高額の住宅ローンを申し込んだとしても、すぐに退職を迎えて支払えなくなるのではと思われるでしょう。

2-2 信用情報に問題がある

キャッシングやクレジットカードの支払いが遅れている場合や、過去に債務整理をした場合など、「信用情報機関」に登録されている「信用情報」に問題があるときには、ローンが組めない可能性が高くなります。

信用情報・信用情報機関とは
信用情報とは、
1. ローンやクレジットなど信用取引の契約内容
2. 返済・支払状況
3. 利用残高
など、客観的な取引事実を登録した個人情報のことです。

そして信用情報機関は、加盟する金融会社から登録される信用情報を管理・提供し、過剰貸付を未然に防ぐなど信用取引を支えています。

金融会社や保証会社ではローンの申込みがあったとき、信用情報機関に登録されている他社での利用状況などを照会し、総合的な審査を行っています。

過去に延滞などが発生していないか、「事故情報」の有無を確認することで、各人の返済能力に応じた貸付けの判断ができるからです。

信用情報機関では5~7年間の記録が保管されるため、事故情報が登録されているときにはローンは組めないと理解しておきましょう。

信用情報を確認したいときの3つの問い合わせ先

もしもローンが組めない理由が自身の信用情報にあると考えられるときなど、次の3つの問い合わせ先に確認してみましょう。

信用情報機関名確認できる取引履歴の内容
CIC(株式会社シー・アイ・シー)主にクレジットカードなど信販会社での取引履歴の照会先
JICC(株式会社日本信用情報機関)主に消費者金融など貸金業者との取引履歴の照会先
KSC(一般社団法人全国銀行個人信用情報センター)主に銀行や信用金庫などの金融機関の取引履歴などの照会先
信用情報機関名と確認できる内容

3つの信用情報機関に情報開示を請求するときには、

  • 窓口
  • インターネット

という2種類の方法から選ぶことができます。

2-3 申込み内容に虚偽があった

金融会社に伝えるローンの申込み内容に不安がある場合でも、「虚偽」の申告をすれば審査に通らなくなります。

ローンの審査では、勤務先に「在籍確認」することもあるため、たとえば勤務先など偽っていてもバレてしまいます。

在籍確認とは

在籍確認とは、ローンの申し込みで申告のあった勤務先で本当に働いているか確認することです。

たとえばカードローンの場合、カードローン会社がプライバシー配慮のため個人名で申込者の勤務先に電話をかけ、在籍しているか確認することもあります。

仮に申込者が不在だったとしても、本当に在籍していることが確認できれば完了します。

2-4 すでに他社から多く借入れしている

すでに他社から多く借入れがあると、審査に通らずローンを組めなくなる可能性が高くなります。

貸金業者が貸し付けることのできる総額は、「総量規制」により年収などを基準に3分の1を超えてはならないという「上限」が決められています。

たとえば年収300万円の方なら、貸金業者から借入れできる金額は最大100万円までです。

消費者金融などのローンでなく、銀行のローンを申し込んだ場合でも、すでに借入れが多いと返済する余裕はなくなっていると判断されてしまい、審査に通らない可能性が高くなります。

3章 ローンが組めないときの6つの対処法

金融機関にローンを申し込み、審査に一度落ちてしまえば、二度とローンを組めないわけではありません。

ローンが組めないことで悩んでいるのなら、次の6つの対処法で審査に通りやすくなる状況をつくりましょう。

  1. すでに借りている借金を減少させる
  2. 一定期間同じところで働いてから申し込む
  3. 信用情報の事故情報が消えてから申し込む
  4. 保証人になってくれる人を探す
  5. 頭金を準備して借入金額を抑える
  6. 他のローン会社に申し込む

それぞれの対処法について説明していきます。

3-1 すでに借りている借金を減少させる

すでに借金が多いことが理由でローンが組めないと考えられる場合には、借金を減少させることが必要です。

複数の消費者金融から借金をしている場合など、たとえば金利を下げることのできる「おまとめローン」などを利用し、利息負担を低減させながら返済するといった方法が考えられます。

手元の資金に余裕があるときは、毎月の返済だけでなく「繰り上げ返済」なども活用し、早めに借金を減少させていきましょう。

3-2 一定期間同じところで働いてから申し込む

勤続年数が1年未満の場合など、同じ勤続先で働いた「年数」が浅いときにもローンが組めない可能性が高くなるため、目安としては「3年以上」同じ勤務先で働いてから申し込むようにしましょう。

就職や転職したばかりでは、勤続年数が浅いだけでなく収入も安定しているといえませんが、勤続年数は長ければ長くなるほど審査では有利になります。

3-3 信用情報の事故情報が消えてから申し込む

過去に別のローンやキャッシングなどの返済が遅れたことがあり、信用情報に自信がないときには、事故情報が消えてからローンを申し込むのも方法の1つです。

信用情報機関に登録される延滞などの事故情報は「5年」経てば消えますが、債務整理などの事故情報は最大で「7年」登録されます。

事故情報の種類や信用情報機関によって登録される期間は異なるため、開示請求して確認すると安心です。

3-4 保証人になってくれる人を探す

勤続年数や勤続期間など、自身の属性に不安があるためローンを組めないと考えられるときには、「保証人」になってくれる安定した収入のある方を探す方法もあります。

「保証人」とは、ローンを組んだ本人が返済しないとき、本人に代わって返済する責任を負う人です。

ローンを組むときに安定した収入のある保証人がいれば、申込者の信用力は上がり審査に通りやすくなります。

3-5 頭金を準備して借入金額を抑える

カーローンなどの場合、「頭金」を準備して借入金額を抑えることができれば、審査に通りやすくなる場合もあるため、自動車の購入先に相談してみるとよいでしょう。

3-6 他のローン会社に申し込む

金融会社によって審査のハードルは異なるため、ローンを組めなかった金融会社とは別のローン会社に申し込みを行うと審査に通る場合もあります。

ただしローンの申込みをした履歴は3つの信用情報機関のいずれかに記録されるため、短期間に複数の金融会社に申し込みを行うことは避けましょう。

1か月に3社以上の金融会社へローンを申し込むと、金銭的に余裕がなくお金に困っていると判断されてしまい、返済能力を疑われ審査に通りにくくなります。

この状態のことを「申込みブラック」と呼ぶこともあります。

なお、信用情報機関ごとの「申込み情報」の記録期間は次のとおりです。

信用情報機関名 申し込み情報の記録期間
CIC(株式会社シー・アイ・シー)6か月
JICC(株式会社日本信用情報機関)6か月
KSC(一般社団法人全国銀行個人信用情報センター)1年

6か月内に申し込むローンの件数は2~3件までとし、審査に通らず組めないときには申し込み情報が削除されてから再度申し込むようにしましょう。

まとめ

金融機関からお金を借りようとローンを申し込んでも、審査に通らず組めないことに悩んでしまうこともあります。

ただ、ローンの申し込み先やローンの種類によって審査のハードルは変わりますし、ローンが組めなくても対処法で審査に通りやすくなれば、必要なお金を借りることができるでしょう。

また、信用情報に傷がついているためローンが組めないときや、他社からの借入れが多く審査が通らないなど、借金問題で悩んでいるのならグリーン司法書士法人までお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

ローン審査に落ちる理由とは?
ローン審査に落ちる理由としては、下記の4つが考えられます。
1.安定した収入など審査基準を満たしていない
2.信用情報に問題がある
3.申込み内容に虚偽があった
4.すでに他社から多く借入れしている
ローンに落ちる理由について詳しくはコチラ
債務整理後の信用情報は何年で消える?
時効援用や自己破産や個人再生などの債務整理をすると、信用情報機関に情報が渡り、信用情報機関同士で共有されます。
各信用情報機関で登録期間は異なりますが、5~7年ほど経過すると削除されるのでご安心ください。
債務整理の履歴は一生残るわけではありません。
債務整理後の信用情報について詳しくはコチラ
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