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大学などの学費や入学金などを支払うのに奨学金を利用している方もいらっしゃるでしょう。奨学金の返済を負担に感じる方も少なくありません。
奨学金の返済は、一定の事情があるケースや優れた業績を残した場合に免除されることがあります。
とはいえ、免除されるのはかなり稀なケースです。もし、奨学金の支払いが難しい場合には、免除してもらうのではなく、救済制度を利用するのが良いでしょう。
この記事では、奨学金の返済が免除されるケースや、支払いが難しい場合の対処法などについて解説します。
目次 ▼
1章 奨学金の返済が免除される2つのケース
奨学金の返済が免除されるのは、以下の2つのケースです。
- 死亡または精神・身体の障害を負って返済ができなくなった
- 優れた業績を残した
それぞれ詳しく解説します。
1−1 死亡または精神・身体の障害を負って返済ができなくなった
奨学金を利用した本人が死亡した場合や、精神・身体の障害によって返済ができなくなった場合には、奨学金の返済が免除されます。
ただし、死亡後に自動で免除されるわけではなく、家族や親族が所定の手続きをすませるまで請求が続くのでご注意ください。
なお、精神・身体の障害については、医師から症状が固定または回復の見込みがなく、労働能力が喪失または高度な制限を受ける場合に奨学金の返還免除を申し込むことができます。
ただし、貸与中や在学中の場合には申し込むことはできません。
1−2 優れた業績を残した
大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生が、貸与期間中に優れた業績を挙げ、それが日本学生支援機構が認定した場合、奨学金の全額または半額を返還免除してもらうことができます。
成果の対象は、学問分野での成果や発明・発見の他、専門分野に関する文化・芸術・スポーツにおける目覚ましい活躍、ボランティアなどでの社会貢献など多岐にわたります。
申請ができるのは貸与終了時で、大学に申請し、大学長から推薦された人が対象です。免除の可否や免除額は、推薦内容をみて日本学生支援機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。
2章 奨学金が支払えない時の対処法
1章で紹介したとおり、奨学金を免除してもらえるのはとても稀なケースです。
ただ、「奨学金の返済が難しい」という理由だけでは免除してもらうことはできません。
その代わり、日本学生支援機構は返済が難しい人のために救済制度を用意しています。
もし、救済制度を利用しても事態の解決が難しい場合には債務整理を検討する必要があります。
ここでは、奨学金が支払えないときの対処法について解説します。
2−1 救済制度を使う
前述した通り、日本学生支援機構は返済が難しい人に向けて以下のような救済制度を設けています。
制度 | 概要 |
---|---|
減額返還制度 | 返還期間を延長し、月々の返還額を減額する |
返還期限猶予制度 | 返還期間の猶予期間を設ける |
返還免除 | 死亡または精神・身体障害によって返還できない場合に、返還額の一部または全部が免除される |
2−1−1 減額返還制度
- 利用できる人:年収325万円以下
- 利用できない人:返還を延滞している、年収325万円超である
減額返還制度とは、返還期間を延長し、月々の返還額を減らす制度です。例えば以下のとおりです。
- 月々の返還額を2分の1に減額
→6ヶ月分の返還額を12ヶ月で返還 - 月々の返還額を3分の1に減額
→4ヶ月分の返還額を12ヶ月で返還
1回の申請で1年間の減額が可能であり、最長15年間分利用することができます。
また、返還期間を延長しても利息などが上乗せされることはなく、返還総額は増えませんのでご安心ください。
2−1−2 返還期限猶予制度
- 利用できる人:年収300万円以下
- 利用できない人:年収300万円超
返還期限猶予制度とは、返還期限に猶予期間を設ける制度です。1回の申請で1年間猶予することができ、通算10年まで延長できます。
すでに返済を延滞しても病気や生活保護を受給しているなどの事情で返還ができない場合には、適用されるケースもあります。
なお、返還期限猶予制度で返還期限が延びたからといって、利息などが上乗せされることはなく、返還総額は増えませんのでご安心ください。
2−1−3 返還免除
- 奨学金受給者本人が死亡した場合
- 奨学金受給者本人が精神・身体障害によって返還できない場合
こちらは、1章で解説した制度です。こちらも救済制度の一つですが、適用されるケースは稀でしょう。
2−2 債務整理をする
前述した救済措置を活用しても返済ができない、もしくはそもそも条件に当てはまらないとう場合には債務整理を検討する必要があります。
債務整理には主に「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つの種類がありますが、このうち任意整理は難しいのが現実です。
任意整理は利息をカットして3年程度で返済する手続きであり、そもそも利息が少なく、分割回数の多い奨学金はほとんど意味がありませんし、奨学金を提供している機関も応じてくれない可能性が高いからです。
そのため、奨学金について債務整理をするには、自己破産か個人再生を選択することになります。
2−2−1 自己破産
自己破産とは、裁判所へ申し立てることで借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。
奨学金でも借金ですので、自己破産の手続きをすることで奨学金の返済も免除されます。
ただし、自己破産では持ち家や99万円以下の現金などの財産は処分されてしまいますので、その点を理解しておく必要があります。
2−2−2 個人再生
個人再生とは、裁判所へ申し立てることで借金額を5分の1〜10分の1程度に減額し、原則3年で完済する再生計画を立てる手続きです。
借金は残りますが、大幅に減額しますので、無理なく返済を続けることが可能になります。
また、自己破産とは異なり、財産が処分されることはありません。
ただし、減額後の借金を返済することが条件ですので、安定した収入があることが条件です。
3章 奨学金を債務整理したり滞納したりすると保証人に請求される
奨学金には保証人・連帯保証人がついていることがほとんどです。多くの場合、それは親族など親しい方でしょう。
奨学金を債務整理したり、滞納を続けたりすると、保証人・連帯保証人に一括で請求がいきます。
保証人・連帯保証人の方も返済ができない場合には債務整理をせざるを得なくなってしまいます。
奨学金が支払えないときや、債務整理をするときには、必ず保証人・連帯保証人にきちんと事情を説明するようにしましょう。
4章 奨学金が払えない時はグリーン司法書士法人にご相談ください
奨学金が払えないときはまず、奨学金を提供している機関の救済制度を検討しましょう。
救済制度の利用ができないときや、救済制度では解決が難しい場合には債務整理をする必要があります。
債務整理が必要なときは、ぜひグリーン司法書士法人にご相談ください。
当事務所では、これまで多くの債務整理のご相談を承って参りました。依頼者様のご状況やご希望に応じて、最適な手段を提案させていただきます。
初回相談は無料です。オンラインでのご相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
- 奨学金が返済免除になるケースとは?
- 奨学金が返済免除になるケースは、下記の通りです。
・死亡または精神・身体の障害を負って返済ができなくなった
・優れた業績を残した
奨学金が返済免除になるケースについて詳しくはコチラ
- 奨学金を踏み倒すとどうなる?
- 奨学金の返済を滞納し踏み倒すと、保証人に請求が行きます。
また、財産の差押えが行われる恐れもあるので踏み倒して時効を迎えることは難しいでしょう。
奨学金の踏み倒しについて詳しくはコチラ