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一方、過払い金に対する利息を得ている場合、利息はあなたが得た利益ですので、所得税の課税対象になり、確定申告が必要なケースがあります。
「過払い金を請求し返還を受けたら確定申告しなければいけませんか?」というご質問をいただくことがあります。
結論から言いますと、過払い金の返還を受けただけでは確定申告をする必要はありません。確定申告が必要なのは、過払い金に対する利息が20万円を超える場合です。
(過払い金に対する利息の他に、副業や個人事業主としての収入がある場合にはそれらの合計が20万円を超える場合)
なお、返還された過払い金はお金を返してもらっただけとして扱われますが、過払い金の利息に関しては「所得」として扱われます。
ここでは、過払い金の返還を受けたときに確定申告が必要なケースや、確定申告の方法について解説します。
目次 ▼
1章 返還された過払い金は確定申告する必要がある?
過払い金が返還されたとき、必ずしも確定申告が必要なわけではありません。
確定申告が必要なの以下のケースです。
- 過払い金に対する利息が20万円を超え、それを受け取ったとき
- 過払い金に対する利息とその他雑所得の合計が20万円を超えるとき
返還された過払い金は、あくまで「自分が払いすぎた利息を返してもらっている」だけですので、所得には該当しません。
一方、過払い金に対する利息は所得に該当するため、利息を受け取った場合は確定申告が必要です。
「過払い金も利息なのに、さらに利息って・・・?」と思われるかもしれません。過払い金は、本来支払う必要のなかったお金(利息)あり、貸金業者はそれを受け取っていたことになります。つまり、債権者は「過払い金」という債務を持っていたわけです。
そのため、過払い金を支払っていた人は、債権者に対して「払いすぎた利息を返してもらう時に、債権者に対して利息を上乗せして請求できる」ことになります。
◎確定申告の申告時期:所得を得た翌年の2月16日から3月15日まで(イレギュラーなケースで変更される可能性があります。詳しい時期は国税庁のHPや各自治体の税務署で確認しましょう。)
◎確定申告の申告場所:お住まいの自治体の税務署(インターネットや郵送での申告も可能です)
利息は、税務上「雑所得」とされ、雑所得には利息以外にも、アフィリエイトや原稿料なども含まれます。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
(引用:国税庁 雑所得 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm)
利息が20万円を超えない場合でも、その他の雑所得との合計が20万円を超える場合には確定申告が必要ですので注意してください。
- 個人事業主・フリーランスとして20万円以上の収入を得ている
- 会社員としての収入以外に副業で20万円以上の収入を得ている
- 年間収入が2,000万円を超える
- 医療費控除や住宅ローン控除を受けたい
- 会社役員やその家族から収入を得ている
- 年末調整をしていない
- ふるさと納税をしている
など
2章 過払い金の利息を確定申告する方法
前述した通り、過払い金の利息を含めた雑所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。
ここでは、ケース別に確定申告をする方法について解説します。
2−1 専門家への依頼費用は経費として計上できる
前提として、過払い金・過払い金に対する利息を請求する際に、専門家に依頼した場合、その費用の一部は経費として計上することができます。
ただし、かかった費用全額を経費として計上できわけではなく、利息の請求にかかる部分のみですので注意してください。
例えば、過払い金の元金90万円・利息10万円(100万円のうちの1割が利息)の返還を受け、専門家に25万円を支払ったとします。
その場合、「利息の請求」にかかった費用は25万円の1割とみなされます。つまり、25,000円が費用として計上することが可能です。
ただし、税務署によっては依頼費用が計上できないこともありますので、詳しい申請方法については管轄の税務署に問い合わせるようにしましょう。
2−2 会社員・アルバイトの場合
会社員やアルバイトの場合、会社が従業員の代わりに所得の申告・納税をしているため、通常、確定申告は必要ありません。(年収が2,000万円を超える場合を除く)
しかし、当然会社が申告・納税してくれるのは給与分のみです。
そのため、過払い金の利息を含む雑所得が20万円を超えた場合には、個人的に確定申告をする必要があります。
なお、雑所得を得たことによって、給与から差し引かれる社会保険料や住民税が増える可能性があるの注意が必要です。
扶養の範囲内でアルバイトをしているという方は多いのではないでしょうか。
扶養ボーダーのギリギリで働いている場合、過払金に対する利息が加わったことで所得が増え、扶養から外れてしまう可能性があります。
そのため、扶養に入っている方は、その分も考慮することが大切です。
2−3 個人事業主・フリーランス
個人事業主やフリーランスで仕事をしていて、所得が20万円を超える場合、毎年確定申告をしているかと思います。
その場合には、普段の申告内容に、過払金に対する利息も加えて申告するようにしましょう。
2−4 無職の方
無職の方も過払金に対する利息が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
稀なケースではありますが、専業主婦の方などでご家族の扶養に入っている方が過払い金に対する利息が103万円を超える利息を受け取った場合には、扶養から外れることになるため注意が必要です。
また、生活保護を受けている方の場合、確定申告とは別に、福祉事務所に「過払い金請求で得た全額(元金+利息)」を申告する必要があります。
この場合、過払い金の返還で一時的にお金を得たことにより、生活保護が停止・廃止になる可能性があるため注意してください。
なお、生活保護が停止・廃止になるのが嫌だからといって、過払金の返還を受けたことを隠していると不正受給として今後生活保護を受けられなくなったり、生活保護費の返還を求められたりするリスクがあります。決して隠すようなことは辞めましょう。
3章 過払い金の利息の計算方法
過払い金につけられる利息は年5%と定められています。もし、過払い金の元金が100万円だった場合の利息は5万円です。
なお、利息をつけて請求するためには「悪意の受益者」であることを証明しなければいけません。
「悪意の受益者」とは、正当に受け取れないと知りながら利益を得た人を指します。過払い金は、利息制限法の上限を超えて課されていた利息ですので、この場合「債権者側がそれを知りつつ貸し付けていたこと」を証明する必要があります。
とはいえ、貸金業者が利息制限法について知らないことは考えられないため、正当に受け取れないと知りながら利益を得た人となり、過払い金が発生しているほとんどのケースで悪意の受益者に該当します。
そのため、悪意の受益者であることを証明することはそれほど難しいことではありません。
確実に利息を上乗せして請求したい場合には、司法書士などの専門家に依頼し、債権者と交渉してもらうようにしましょう。
4章 過払い金請求はグリーン司法書士法人にお任せください!
過払い金自体は所得に該当しませんが、過払い金に対する利息を上乗せして得た場合、それは所得に該当しますので、金額によっては確定申告が必要です。
とはいえ、そもそも過払い金請求は債務者が自分で行うのは難しいでしょう。
過払い金の請求を検討されている方は、ぜひグリーン司法書士法人にご相談ください。
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よくあるご質問
- 過払い金を受け取ると確定申告が必要?
- 過払い金の返還を受けただけでは確定申告をする必要はありません。確定申告が必要なのは、過払い金に対する利息が20万円を超える場合です。
過払い金の確定申告について詳しくはコチラ
- 過払い金請求の時効はいつ?
- 過払い金の請求には「消滅時効」と呼ばれるものがあり、完済してから原則10年を経過すると、過払い金は消滅時効を迎えてしまいます。
過払い金請求の時効について詳しくはコチラ