過払い金とは、法改正がなされる前のグレーゾーン金利が課されていた際に支払っていた「払いすぎた利息」です。
近年「過払い金が返ってくる」というCMも多いため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
実は、この過払い金には「5%の利息を付けて返還を求める」ことができます。
利息まで付いて戻ってくる可能性があるなんて、驚きですよね!
「過払金」という言葉は知っているものの、実際にどのようなものなのか、どうやって利息まで請求すればいいのかまでは知らない方も多いかと思いますので、この記事で詳しく解説いたします。
1章 過払い金とは払いすぎた利息!発生する条件とは
過払い金とは、冒頭でもお話したように、「払いすぎた利息」であり、債権者に対して返還を請求することが可能です。
過払金が発生する条件には以下の2つがあります。
- ・2010年6月以前に借り入れをしたこと
- ・完済してから10年以内であること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1−1 2010年6月以前に借り入れをしたこと
過払い金は、2010年6月まで存在した「グレーゾーン金利」が原因で発生します。
過払い金の正体は、この2010年6月以降にも課されているグレーゾーン金利によって支払いすぎた利息ということです。

逆に、2010年6月以降に借りたお金は、ほとんどが利息制限法の範囲内でしか貸し付けられていないため、過払い金は発生しません。
そのため、過払い金が発生するのは「2010年6月以前に借り入れをしていた場合」となるのです。
法改正がなされる以前は、一定の要件を満たすことで、利息制限法における金利の上限(※)を超えていても、出資法の上限(年利29.2%)の範囲であれば合法的に設定ができました。これを「グレーゾーン金利」と呼びます。
しかし、2010年6月18日の改正賃金業法が施行され、グレーゾーン金利は違法となり、完全に撤廃。以降、利息制限法の範囲内での貸付しか認められなくなりました。
とはいえ、法改正がなされても、過去に貸し付けた分の金利が利息制限法の範囲内に変更されるわけではありません。
法改正前に借りたお金は、現在に至っても、グレーゾーン金利が課されたまま返済をしている可能性があります。
このように、グレーゾーン金利として、本来であれば支払わなくて良いはずの金利が「過払い金」となり、返還を求めることができるのです。
(※)「利息制限法における金利の上限」とは以下のとおりです
横スクロールできます
借金額 | 法律上の上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
1−2 完済してから10年以内であること
過払い金は、完済をしてから10年で時効を迎えます。
そのため、完済をした日から10年以上経過している場合、過払い金を請求することはできません。
例えば、2005年1月に借り入れをして2012年4月に完済している場合には、2022年4月で10年が経過し、時効を迎えているため、請求することはできません。
一方、2005年1月に借り入れをして2015年4月に完済している場合には、2022年4月時点でまだ7年しか経過していないので、過払い金が発生している場合には、2025年4月まで請求が可能です。
2章 過払い金には5%の利息を付けて請求する方法ことができる
2-1 過払い金の利息は年5%
過払い金が発生している場合、過払い金にも利息を付けて返還請求することができ、過払い金に付けられる利息は5%と定められています。
ただし、利息を付けて請求するには「悪意の受益者」であることを証明する必要があります。
「悪意の受益者」とは、悪意を持って利益を得た人で、過払い金においては「利息制限法の上限を超えていること」を知りつつも、グレーゾーン金利を課して貸し付けていた人を指します。
通常、貸金業者が利息制限法の上限金利を知らないことは考えられないため、ほとんどのケースが悪意の受益者とされますので、証明することはそれほど難しいものではありません。
2-2 しっかりと利息まで請求するには専門家に依頼しよう
過払い金に付けられる5%の利息は、算出した過払い金に上乗せして請求すればよいのですが、ほとんどの債権者は利息を上乗せせずに金額を提示してきます。
それに応じてしまうと、5%の利息を受け取ることができなくなってしまいます。
専門的な知識がないと、利息が付されているかどうか判断できないおそれがあります。
正確な金額を算出するには、司法書士などの専門家に相談してみましょう。
なお、多くの司法書士事務所が過払い金の計算を無料で行ってくれています。依頼するかどうかは別として、まずは専門家に過払い金と利息の計算をお願いしてみることをおすすめします。
3章 過払い金の計算方法
まず、過払い金を正確に把握するには、専門家に依頼することが確実です。
しかし、過払い金を請求するかの検討材料として、自身で計算するのもよいでしょう。
過払い金を計算するには、以下のものが必要です。
- EXCELが使えるパソコン
- 貸金業者との取引履歴
- 過払い金専用の計算ツール
過払い金を1から自身で計算するのは非常に難しいため、計算ツールを使うのが一般的です。
過払い金計算用ツールとして代表的なものは「名古屋式」「外山式」の2種類があります。
それぞれのツールは、以下からダウンロードすることができます。