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- 時効援用の費用が分割払いできるかどうか
- 時効援用に伴う専門家への依頼費用の分割回数
- 時効援用の専門家費用を抑えるためのポイント
時効援用とは、最後の返済や督促から一定期間が経過した借金に対して、すでに時効が成立していると主張することで、返済義務を法的に消滅させる手続きです。消費者金融やクレジットカードの滞納、保証債務などで時効が成立すれば、長年の借金問題から解放される可能性があります。
ただし、時効は放っておくだけで自動的に成立するものではありません。債務者自らが援用の意思を示し、内容証明郵便などを通じて債権者に通知する必要があります。また、手続きにはいくつかの費用がかかり、専門家に依頼する場合はさらに報酬が発生します。
そうした中でよくあるのが、「費用が払えないけれど、時効援用はしたい」「分割払いはできるのか?」という不安や疑問です。経済的に余裕のない方ほど、その費用が大きなハードルに感じられるかもしれません。
本記事では、時効援用にかかる具体的な費用の内訳や、分割払いの可否を解説します。専門家への依頼費用を抑えるコツも説明しているので、費用面で時効援用をためらっている方は、ぜひ参考にしてください。
目次 ▼
1章 分割払いできるのかは時効援用の費用ごとに異なる
時効援用にはさまざまな費用がかかりますが、それぞれ性質が異なるため、分割払いが可能かどうかも費用の種類によって変わってきます。例えば、郵送や情報開示にかかる実費は原則として一括で支払う必要がありますが、専門家への依頼費用については事務所によって分割で支払うことが可能です。ここでは、時効援用に関連する主な費用を3つに分けて、それぞれ分割が可能かどうかを確認していきましょう。
1-1 内容証明郵便の発送費用
時効援用では、債権者に対して援用する意思を正式に伝える必要があります。その際に多く利用されるのが内容証明郵便です。
内容証明郵便の発送費用は、郵便局に支払う実費であり、1通当たり1,500円程度が目安となります。差出時に支払いが必要なため、分割払いには対応していません。また、複数の債権者がいる場合は、その数に応じて内容証明郵便の発送費用が加算されます。
1-2 専門家への依頼費用
時効援用を専門家に依頼する場合、その費用は依頼先によって大きく異なります。行政書士であれば1万円〜3万円程度と比較的安価ですが、法律上、時効の成立を左右する借金の調査や、債権者との交渉は行えません。あくまで内容証明郵便の作成や発送代行に限定される点には注意が必要です。
司法書士に依頼する場合は、5万円〜8万円程度が相場です。債務額が140万円以内であれば、司法書士でも代理人として債権者とのやりとりが可能です。より複雑な対応が必要なケースでは、弁護士に依頼することになりますが、その場合の費用は5万円以上が一般的で、成功報酬が別途発生するケースも多くなります。
どの専門家に依頼する場合でも、依頼費用については分割払いに対応しているケースが少なくありません。ただし、対応の可否や分割回数、条件は事務所によって異なるため、事前に確認することが重要です。自分の状況や依頼内容に応じて、費用と対応範囲のバランスを見極めながら、適切な専門家を選択しましょう。
1-3 信用情報機関の開示手数料
時効援用を行う際には、借金が本当に時効の条件を満たしているかを確認する必要があります。借金の残高や最終返済日、債権者情報などを把握する際には、信用情報機関に開示請求を行うのが一般的です。
代表的な信用情報機関には、JICC(日本信用情報機関)やCIC(シー・アイ・シー)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)などがあり、それぞれ開示請求に必要な手数料は異なります。信用情報機関ごとの開示手数料は以下の通りです。
| 信用情報機関 | 開示手数料 |
|---|---|
| JICC(日本信用情報機関) | スマホ請求:700円 郵送請求:1,969円 |
| CIC(シー・アイ・シー) | インターネット請求:500円 郵送請求:1,500円 |
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | インターネット請求:1,000円 郵送請求:1,500円 |
※本情報は2025年12月1日現在のものです。最新の情報は各信用情報機関のサイトをご確認ください。
※支払い方法によって別途手数料がかかります。詳しくは各信用情報機関のサイトをご確認ください。
いずれも分割払いに対応しておらず、一括での支払いが求められます。また、複数の信用情報機関に開示請求する場合は、その分だけ費用もかかるため、2,000円〜3,000円程度は事前に準備しておくと安心です。
2章 専門家への依頼費用は何回分割にできる?
時効援用を専門家に依頼する際、多くの事務所で分割払いに対応しています。分割の可否や回数は事務所によって異なりますが、費用面の不安を理由に手続きを諦める必要はありません。
一般的には、2〜6回程度の分割に応じてくれるケースが多いですが、事務所によっては10回程度の分割に対応してくれるケースもあります。時効援用は、訴訟や差し押さえのリスクが比較的低く、手続きの性質上、急ぎの対応を要する場面が多くありません。他の債務整理よりも長期の分割に応じてもらいやすい傾向があるため、経済的にすぐに一括で支払うことが難しい方でも実行しやすくなっています。
ただし注意したいのは、時効援用が成功しても、信用情報に登録された記録がすぐに消えるわけではないという点です。信用情報機関の多くでは、時効援用通知がなされたという情報を受け取ってから5年間は記録が残ります。そのため、費用の分割払いによって手続きが遅くなればなるほど、事故情報が記録されている状態が長引いてしまいます。
できる限り早く信用回復を図りたい場合は、なるべく早く専門家費用を支払い、手続きを完了させるのが良いでしょう。
3章 時効援用の専門家費用を抑える5つのポイント
時効援用の専門家費用を抑えるためのポイントは以下の通りです。
- 自力で交渉・手続きを進める
- 専門家の無料相談を活用する
- 過払い金がないかを確認する
- 司法書士・行政書士に依頼する
- 法テラスを利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 自力で交渉・手続きを進める
借金の時効援用は、弁護士や司法書士に依頼せず、自分で交渉・手続きを進めることが可能です。内容証明郵便の作成・発送や、信用情報の開示請求など、基本的な流れはインターネットでも情報が得られるため、法的な知識がある程度あれば専門家に依頼しなくても手続きができます。
自力で交渉・手続きをする場合の費用は、内容証明郵便の送料や信用情報の開示手数料などの実費のみとなり、1件あたり数千円程度で済むケースもあります。専門家報酬が不要になるため、最も費用を節約できる手段と言えるでしょう。
ただし、自力での時効援用には大きなリスクが伴います。特に注意すべきなのが、債務の承認に該当してしまう行為です。例えば、時効が成立しているか不明なまま債権者に問い合わせをしたり、支払う意思があると伝えてしまったりすると、それが債務の承認と見なされ、本来成立していたはずの時効がリセットされてしまう恐れがあります。
また、内容証明郵便の文面に不備があると、援用の効力が認められない可能性もあるでしょう。債権者とのやりとりも含め、法律的な判断を自分で正確に行うのは簡単ではありません。
費用を抑えられる反面、法律上の失敗がそのまま不利益に直結するのが、自力で進める場合の最大のデメリットです。少しでも不安がある場合は、無料相談や部分的な専門家のサポートを活用しながら、慎重に進めることをおすすめします。
3-2 専門家の無料相談を活用する
時効援用に関する判断で迷った時は、まず専門家が提供している無料相談を活用するのがおすすめです。多くの法律事務所や司法書士事務所、行政書士事務所では、初回の電話相談やオンライン相談を無料で行っています。そのため、費用をかけずに現状を整理し、適切な対応方針を聞くことができます。
例えば、「時効が成立している可能性があるかどうか」「援用する前に確認すべきことはあるか」など、自分では判断しづらいポイントについて、的確なアドバイスが受けられるのが大きなメリットです。
また、無料相談の段階で分割払いの可否や、かかる費用の見積もりを提示してくれる事務所もあります。初期費用をかけずに、複数の事務所を比較検討できるため、結果的に最もコストパフォーマンスの高い選択がしやすくなります。
ただし、無料相談には時間や回数に制限がある場合もあります。限られた時間で相談の質を高めるためにも、時効援用に関する質問を事前に整理しておくのが良いでしょう。
3-3 過払い金がないかを確認する
2007年以前に消費者金融やクレジットカード会社と取引があった方は、過払い金が発生している可能性があります。過払い金とは、本来支払う必要のなかった貸金業者に払いすぎていた利息のことです
かつてはグレーゾーン金利と呼ばれる、利息制限法の上限(15〜20%)を超える金利で貸付が行われており、知らないうちに法定金利を超える利息を支払っていたケースがあります。
過払い金が発生していた場合、過払い金請求を行うことで、払い過ぎたお金を回収できます。過払い金を回収できれば、時効援用に伴う専門家への依頼費用に充当することが可能です。古い借金がある場合は、時効援用だけでなく、過払い金の可能性も含めて確認しておくことで、費用の負担を軽減できるかもしれません。
3-4 司法書士・行政書士に依頼する
時効援用を専門家に依頼する場合、弁護士よりも費用を抑えられる傾向にある司法書士や行政書士に相談するのも有効な方法です。
司法書士は、1社当たりの借金元金が140万円以下であれば、債権者への通知や内容証明郵便の作成、さらには時効の判断や交渉も含めて対応可能です。費用相場は5万〜8万円程度で、弁護士よりも安価に依頼できるケースが多くなっています。
なお、1社当たりの借金が140万円を超えると対応できないとされていますが、個人の時効援用で1社に対してそれほど高額な借金が残っているケースはまれであり、実務上は司法書士で問題ないことがほとんどです。そのため、費用を抑えたい方にとっては、司法書士への依頼は現実的な選択肢と言えるでしょう。
一方、行政書士は、代理人として時効の成立を判断したり、債権者と交渉したりすることは法律上できません。本人の意思に基づいて、時効援用通知書の作成や発送を代行する立場に留まります。その分、費用は1万〜3万円程度と安価ですが、時効が成立しているかどうかの判断や戦略的な助言を受けることはできない点に注意が必要です。
借金の状況や難易度に応じて、判断や交渉が必要なら司法書士へ、単純な通知だけなら行政書士へと使い分けることで、費用を抑えつつ自分に合ったサポートを受けられるでしょう。
3-5 法テラスを利用する
経済的にどうしても専門家費用を用意できない場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用するという選択肢もあります。法テラスは、収入や資産が一定以下の人を対象に、弁護士や司法書士の費用を立て替えてくれる機関です。
時効援用についても、条件を満たせばこの制度を使って手続きを進めることが可能です。実際に利用が認められた場合、専門家の報酬や書類作成費用などを法テラスが一時的に負担し、依頼者は月々5,000円程度からの分割払いで返済する形となります。
さらに、返済は手続き終了後から開始となるため、当面の資金負担を抑えながら時効援用を進められるという点でも心強い支援策です。ただし、利用には以下のような条件がある点には注意が必要です。
- 一定以下の収入・資産であること
- 時効援用の成立の見込みがあると判断されること
- 法テラスと契約している専門家に依頼すること
時効援用の手続きに踏み出したいけれど、費用がネックになっている方は、まずは法テラスに相談し、自分が制度の対象となるかどうかを確認してみてください。
4章 時効期間のリセットを防ぐために弁護士・司法書士に相談しよう
時効援用は、正しく行えば借金の返済義務を消滅させることができる強力な制度ですが、進め方を間違えると時効期間がリセットされる可能性があります。例えば、債務を認める書面に署名捺印をしたり、電話などによる督促に対して支払い猶予を求めたりすると、債務の承認をしたとみなされ、時効期間がリセットされてしまうのです。
その結果、本来であればすでに時効が成立していたはずの借金が、再び請求可能な状態に戻ってしまう恐れがあります。特に時効が成立するかどうかのギリギリのタイミングでは、このような一言や対応ミスが致命的になります。
時効がリセットされるリスクを防ぐためには、時効援用に詳しい弁護士・司法書士に早めに相談することが重要です。専門家であれば、時効が成立しているかどうかを法律的に精査したうえで、債権者への通知のタイミングや文面も含めて適切に対応してくれます。
また、専門家に依頼することで、債権者との直接のやりとりを避けられるという点も大きなメリットです。債務の承認とみなされるようなやりとりを自ら行ってしまうリスクを減らし、確実に時効援用を成立させるためにも、最初の段階から専門家のサポートを受けることをおすすめします。
グリーン司法書士法人では、時効援用の実績豊富な司法書士が債権者との交渉や、手続きのサポートを行っております。無料相談にも対応しておりますので、長期間にわたって返済していない借金がある方はお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
時効援用は、一定期間が経過した借金の返済義務を法的に消滅させることができる制度です。手続きをする際には、内容証明郵便の発送費用や専門家への依頼費用、信用情報機関への開示手数料などがかかります。
発送費用や開示手数料は一括での支払いが求められますが、多くの弁護士・司法書士・行政書士は報酬の分割払いに対応しています。特に時効援用は他の債務整理手続きに比べて急を要さないケースが多いため、長期分割にも柔軟に対応してもらえることが少なくありません。
また、無料相談を活用すれば、初期費用なしで見積もりや支払いプランの提案を受けることもできます。自力での時効援用は時効がリセットされるリスクがあるため、少しでも不安がある場合は、まずは弁護士・司法書士に相談し、分割の相談も含めて進め方を一緒に考えることが大切です。
グリーン司法書士法人では、時効援用に関するご相談を初回無料で承っております。状況に応じて費用の分割払いにも柔軟に対応しており、手続きの進め方や費用の見通しについても丁寧に説明いたします。「費用が不安で踏み出せない」「時効が成立しているか分からない」と感じている方も、まずはお気軽にご相談ください。
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