自己破産は収入があるとできない?条件と判断基準を詳しく解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
自己破産は収入があるとできない?条件と判断基準を詳しく解説

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 この記事を読んでわかること
  • 収入がある場合に自己破産ができるか
  • 自己破産を検討すべき借金額の目安や判断基準
  • 自己破産の条件を満たさない場合の対処法

「収入があったら自己破破産はできない?」
「年収いくらまでなら自己破産できるの?」

支払不能が条件の自己破産に対して、上記のような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、収入があっても自己破産は可能です。自己破産の判断基準は収入の有無ではなく、収入に対して返済が継続できるかどうかにあります。

本記事では、収入がある場合に自己破産できる具体的な条件や判断基準を分かりやすく解説します。自己破産の条件を満たさない場合の対処法にも触れているので、自己破産を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

1章 収入があっても自己破産はできる

自己破産は「収入がない人しかできない手続き」と誤解されがちですが、実際には一定の収入があっても条件を満たせば自己破産は可能です。自己破産の申立てで最も重視されるのは支払不能かどうか、つまり今後も継続的に借金を返済していくことが現実的に難しい状態かという点です。

ここでは、収入があっても自己破産が可能なケースについて見ていきましょう。

1-1 毎月の返済額が収入を上回っている

自己破産の判断で最も重視されるのは、「収入と返済のバランスが取れているか」です。毎月の返済額が収入を上回っている状態であれば、たとえ一定の収入があっても支払不能と判断される可能性が高いでしょう。

例えば、給料のほとんどが返済に消え、翌月の生活費や公共料金の支払いがままならない状況は、すでに返済能力を超えています。また、返済のために新たな借入を繰り返す自転車操業の状態も、明確な支払不能のサインです。

一般的には、毎年の返済額(住宅ローン・自動車ローンを除く)が年収の3分の1を超えると支払いが難しい水準とされます。このラインを超えると、元本がほとんど減らなくなるため、無理に返済を続けるよりも、専門家に相談して法的な解決手段を検討することが大切です。

1-2 生活費を削っても支払いが難しい

自己破産の判断では、単に返済が苦しいかどうかだけでなく、生活費を切り詰めても返済が続けられないかという点が重視されます。収入があっても、家計を徹底的に見直し、節約を重ねても返済が難しい場合には、支払不能の状態と判断される可能性が高いでしょう。

例えば、食費や光熱費を削り、娯楽費を一切使わないようにしても借金の返済が終わらない、あるいは利息だけで精一杯といった状況です。このように、生活費を削ってもなお返済が追いつかない場合、現実的には返済を継続することが不可能とみなされます。

1-3 病気や離職などで今後の収入見込みが安定していない

病気やケガ、勤務先の倒産、離職などによって今後の収入見込みが不安定な場合、支払不能と判断されるケースがあります。例えば、休職や減給が続いている、再就職の目途が立たない、自営業で売上が激減しているといったケースです。

このような場合、収入が一時的にあるとしても、将来的に返済を継続できる見込みがないと判断され、自己破産が認められる可能性があります。

また、病気や離職が原因で医療費や生活費の支出が増えている場合は、返済能力がさらに低下しているとみなされます。無理に借入を続けたり、貯金を切り崩して返済を続けるよりも、専門家に相談して生活再建を優先する方が現実的でしょう。

1-4 家族の収入は影響しない

自己破産の判断は、申立人本人の返済能力を基準に行われます。そのため、配偶者や同居家族に収入があっても、原則としてそれを本人の返済能力として扱うことはありません。

例えば、夫婦のうち一方が自己破産を申し立てる場合でも、配偶者が働いているからといって申立人が返済可能だと判断されない仕組みになっています。

2章 収入以外の自己破産の条件

自己破産は、収入と返済のバランスだけで免責が認められる訳ではありません。ここでは、自己破産を申し立てる際に知っておくべき、収入以外の2つの条件について詳しく解説します。

2-1 税金や養育費などの非免責債権以外の借金がある

自己破産をしても、全ての借金が帳消しになる訳ではありません。免責が認められても、非免責債権とされる一部の支払い義務は残ります。代表的な非免責債権は以下の通りです。

  • 所得税や住民税などの税金
  • 社会保険料
  • 悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
  • 故意または重過失により加えた、人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償権
  • 雇用関係に基づいた使用人への給料と預り金
  • 養育費や婚姻中の生活費

これらは、自己破産が認められても支払義務がなくなりません。そのため、自己破産を検討する際は、これらの支払いを除いた免責の対象になる借金がどれくらいあるかを確認する必要があります。

2-2 ギャンブルや偏頗弁済などの免責不許可事由に該当しない

自己破産の申立てを行っても、借金の理由や返済の経緯によっては免責が認められません。これを免責不許可事由と言い、以下のようなケースが該当します。

  • 預貯金を家族や親族の口座に移す
  • 高価な財産を知人に贈与する
  • 連帯保証人を立てている借金を優先的に返済する
  • 浪費やギャンブルによって借金を抱えている
  • 虚偽の債権者名簿を提出する
  • 裁判所書記官や破産管財人との面談で虚偽の申告をする
  • 過去7年以内に免責を受けている
  • 自己破産の手続きへの協力を怠っている

これらの行為があると、裁判所が「誠実な破産者ではない」と判断し、免責が認められない恐れがあります。ただし、免責不許可事由がある場合でも、反省や改善の姿勢が見られると裁量免責として免責が認められるケースもあります。

例えば、ギャンブルが一時的なストレスや生活苦によるものであり、その後に再発防止の努力をしている場合などです。ただし、意図的な財産隠しや偏頗弁済は厳しく見られるため、申立て前に必ず司法書士や弁護士へ相談し、正しく対応することが大切です。

3章 自己破産を検討すべき借金額の目安や判断基準

自己破産を検討するかどうかは、収入だけでなく借金の総額や返済状況も大きな判断材料になります。「いくら借金があれば自己破産できる」という明確な金額基準はありませんが、返済を続けても生活が成り立たない状態であれば、自己破産を検討すべき段階と言えます。

ここでは、自己破産を検討すべき借金額の目安や判断基準について見ていきましょう。

3-1 年収の2倍以上の債務を抱えている

自己破産を検討すべき一つの目安として、借金の総額が年収の2倍を超えている場合が挙げられます。この水準を超えると、利息や生活費の負担によって返済が追いつかず、支払不能に陥る可能性が高いと考えられるためです。

例えば、年収300万円の人が600万円以上の債務を抱えている場合、毎月の返済を続けても元本がほとんど減らない状況に陥りやすくなります。特に、複数の消費者金融やカードローンから借り入れている場合は、利息や手数料の負担が重く、返済を続けても借金がなかなか減りません。

もちろん、自己破産は金額だけで自動的に決まるものではありませんが、年収の2倍を超える債務がある場合は、解決が難しいケースが多くなっています。そのため、早めに専門家へ相談し、自己破産も含めた解決策を検討するのが賢明です。

3-2 返済しても元本がほとんど減らない

借金を返済しているのに、いつまで経っても残高が減らない状態に陥ってしまったら、自己破産の申立てに向けた準備を進めましょう。返済を続けても元本が減らないのは、支払いの多くが利息に充てられているためです。

例えば、毎月3万円を返済しても、そのうち2万円以上が利息分となり、元本はほとんど変わらないといった場合もあります。このような状態が長く続くと、完済の見通しが立たず支払不能と判断されるケースが多くなっています。

また、返済のために別の借入を繰り返す自転車操業の状態も危険です。元本が減らないまま借金だけが膨らみ、生活の余裕が失われていきます。

3-3 残したい財産がない

自己破産を選択する際に重要となるのが、残したい財産があるかどうかです。自己破産では、一定の価値を持つ財産(不動産・高額な車・貯金・保険など)は原則として換価(現金化)され、債権者への返済に充てられます。

そのため、守りたい財産がある場合は、個人再生や任意整理などの自己破産以外の手続きを検討する場合もあります。

一方で、持ち家や車などの大きな財産がなく、生活に必要な最低限の家財道具や現金しか持っていない場合は、自己破産を選ぶことが現実的な解決策となるケースが多いでしょう。

日常生活に必要な家電や家具、99万円以下の現金などは自由財産として残せるため、自己破産をしても生活がゼロからになるわけではありません。つまり、「返済が困難で、処分を避けたい高額な財産がない」という状況であれば、自己破産が最適である可能性が高いでしょう。

3-4 保証人との関係

自己破産を検討する際には、保証人を立てている借入の扱いに注意が必要です。自己破産をすると本人の返済義務は免除されますが、その分の請求が保証人に対して行われることになります。

家族や知人が保証人になっている場合、債権者から直接請求を受けるため、関係が悪化してしまう恐れもあります。そのため、保証人への影響を避けたい場合は、保証人付きの借入を整理の対象から外す方法を検討するのが現実的です。

任意整理であれば、どの債務を整理するかを選択できるため、保証人付きの借入を残し、それ以外の借金だけを減額や分割の交渉対象にすることが可能です。

ただし、借金の総額が多く、他の手段では返済の見通しが立たない場合は、自己破産を選ぶ方が現実的なケースもあります。保証人がいる借入がある場合は、手続きを始める前に専門家へ相談し、保証人への影響を最小限に抑えられる方法を検討しましょう。

4章 自己破産の条件を満たさない場合は任意整理・個人再生を検討しよう

自己破産は、返済がどうしても不可能な場合に最後の手段として行う手続きです。そのため、支払不能とまでは言えない場合や、財産を残したい、保証人に迷惑をかけたくないといった事情がある場合には、自己破産以外の債務整理方法を検討することが有効です。

代表的な方法として、任意整理と個人再生の2つがあります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。

4-1 任意整理

任意整理は、債権者と直接交渉を行い、将来利息や遅延損害金のカットを目指す手続きです。裁判所を通さずに進められるため、自己破産や個人再生と比べて手続きがシンプルで、交渉対象を選べば財産を処分せずに借金を整理できます。

また、任意整理では整理する債務を自分で選べるため、家族や知人が保証人になっている借入を対象から外し、それ以外の借金のみを交渉することも可能です。

ただし、元本そのものは減額されない点には注意が必要です。あくまで利息や遅延損害金のカットによって返済総額を抑え、3〜5年の分割で無理なく返済していく仕組みです。安定した収入があり、借金総額が比較的少ない方にとっては、生活を維持しながら借金を整理できる現実的な選択肢と言えるでしょう。

4-2 個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金の元本そのものを大幅に減額し、原則3年で分割返済していく手続きです。自己破産のように全ての借金が免除される訳ではありませんが、住宅を残したまま返済計画を立て直せられる点が大きな特徴です。

例えば、住宅ローンを組んで持ち家を所有している場合でも、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すれば、ローンを支払い続けながら家を手放さずに手続きを進められます。

ただし、個人再生を利用するには、安定した収入があり、継続的に返済できる見込みがあることが条件です。そのため、収入が途絶えている場合や返済の見通しが立たない場合は、自己破産を検討する必要があります。

5章 選択肢を残すためにも早めに弁護士・司法書士に相談しよう

自己破産を含む債務整理の手続きは、どの段階で相談するかによって取れる選択肢が変わります。借金の返済が苦しいと感じた時点で早めに専門家へ相談すれば、任意整理や個人再生など、自己破産以外の方法で生活を立て直せる可能性があります。

一方で、延滞や滞納を放置してしまうと、差押えや督促などに発展する他、自己破産しか選べなくなるケースも少なくありません。また、返済のために新たな借入を重ねてしまうと、状況がさらに悪化するリスクもあるでしょう。

そのため、借金の返済に困ったら、少しでも早く弁護士・司法書士に相談することが大切です。専門家に相談すれば、現在の借金額や収入、家計の状況をもとに、最適な解決方法を具体的に提案してもらえます。自己破産が本当に必要なのか、あるいは任意整理や個人再生で解決できるのかといった判断も、専門家のサポートを受けることで的確に見極められるのです。

また、専門家が債権者とのやり取りや書類作成を代行してくれるため、督促や返済のプレッシャーから解放され、精神的な負担を減らせるのもメリットです。

グリーン司法書士法人では、借金の総額や収入、家計の状況を丁寧にヒアリングし、あなたにとって最も負担の少ない解決方法を一緒に検討します。無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

自己破産は収入があるとできないというものではなく、返済が現実的に不可能な状態(支払不能)であるかどうかが判断の基準になります。収入があっても、返済額が家計を圧迫している場合や、生活費を削っても支払いが続けられない場合は、自己破産が認められる可能性があります。

また、自己破産には収入以外の条件も存在し、ギャンブルや浪費による借金など免責不許可事由に該当するケースでは注意が必要です。一方で、手続きのタイミングや状況によっては、任意整理や個人再生といった他の方法で生活を立て直す選択肢もあります。

借金の返済に行き詰まっているなら、放置せず、早めに弁護士・司法書士に相談することが大切です。専門家のサポートを受けることで、今の状況に合った最適な方法を見つけ、安心して再スタートを切れるでしょう。

グリーン司法書士法人では、自己破産や個人再生、任意整理の手続きをサポートしています。借金問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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