自己破産をすると社会的信用を失う?影響を受けないことも紹介

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
自己破産をすると社会的信用を失う?影響を受けないことも紹介

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 この記事を読んでわかること
  • 自己破産をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト)
  • ブラックリストに載ることで制限されることがある
  • 自己破産しても影響を受けないこともある
  • 自己破産したくない場合の選択肢がある

「自己破産=社会的信用を失う」と、多くの人がイメージするようです。実際、自己破産には一定の制限やデメリットが存在し、社会生活に影響を及ぼす場面もあります。

しかし一方で、影響を受けないことも数多くあります。給与所得の会社員の破産であれば、ほとんど生活に影響がなく、むしろ破産をきっかけに生活を再建し、新たな人生のスタートを切る人も少なくありません。

今回は、自己破産によって本当に社会的信用を失うのか、どんな影響を受けるのか、また影響を受けない部分はどこなのかを具体的に解説し、今後の選択肢を考えるうえで参考になる情報をお伝えします。

1章 自己破産をすると社会的信用を失う?

自己破産手続きを行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。事故情報が登録されることで、これ以降さまざまな影響を受けることになります。そのため「社会的信用を失った」と感じる方も少なくないでしょう。実際に、日常生活に関する契約や取引などで不利益を被る可能性があります。

この章では、自己破産に伴い「社会的な信用を失う」とされる具体的な影響を解説します。

1-1 信用情報機関に事故情報が登録される

◆信用情報機関とは
信用情報機関とは、クレジットカードやローンの取引内容、支払状況などの信用情報を登録・管理している情報機関で、主なものは次の3社です。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

自己破産をすると、信用情報機関に「事故情報」が登録されます。個人の信用情報に事故情報が登録された状態を、一般的にブラックリストに載ると表現されています。この影響は、7年程度続きます。

この期間は、クレジットカードの新規発行やローン契約ができず、携帯電話の端末を分割払いで購入することも難しくなります。もちろん、車や住宅の購入もできない可能性が高いでしょう。

さらに、子供が奨学金を借りるための保証人審査に通らなかったり、賃貸住宅の入居審査にも落ちてしまう可能性があります。このように、日常生活を送るための契約や取引に、影響が及ぶというデメリットがあります。

ただし、信用情報への登録は、自己破産だけではなく任意整理や個人再生など債務整理全般に共通する影響です。そのため、手続きを行うとしばらくはクレジットカードやローンの利用に制限がかかる点は覚悟しておく必要があるでしょう。また、債務整理を行わなくても、3か月以上借金の返済を延滞すると、ブラックリストに載ってしまいます。

1-2 自己破産手続き中は一部の資格・職業の制限を受ける

自己破産の手続きが始まると、一部の資格や職業に制限を受けることがあります。

具体的には、自己破産の開始決定から免責許可決定までの間において、下記のような一部の職業や資格が制限されてしまいます。

自己破産手続き中に制限される職業や資格の例

  • 警備員
  • 宅地建物取引士
  • 生命保険外交員
  • 保険の募集人
  • 貸金業
  • 不動産鑑定士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 社会保険労務士
  • 旅行業 など

期間中は、制限の対象となる職業に就いたり、資格に基づく業務を行ったりすることができません。

ただし、免責が確定すれば制限は解除されます。そのため、資格を持つ専門職に従事している人は注意が必要ですが、それ以外の一般的な職業の人については、特に制限を受けることはありません。

下記の記事に、「自己破産によって制限される職種・職業」の一覧を掲載しています。ご興味のある方は、参考にしてください。

1-3 自己破産手続き時には官報に氏名・住所が掲載される

自己破産手続きの中で、官報(かんぽう)に氏名や住所が掲載されます。

◆官報とは
官報は国が発行する機関紙です。
政府や各府省が国民に広く知らせるために発表する公文や公告、裁判所からのお知らせなど、国民の権利や義務に関する記事が掲載されています。

官報は、官報販売所での販売や、インターネットでも配信されており、誰でも購入・閲覧ができます。そのため、「周囲に知られてしまうのでは」と不安に思う人が多いのは事実です。

しかし、官報を確認しているのは、主に金融機関や信用情報機関などの限られた職種の人で、一般の人が目にする機会はほぼないといってよいでしょう。そのため、官報掲載によって、知人や勤務先の同僚などに知られる可能性はかなり低いと考えられます。

1-4 財産が処分されてしまう

自己破産手続きには、同時廃止事件・管財事件の2種類があります。

◆同時廃止事件・管財事件とは
  • 同時廃止事件…処分するような財産がない場合は同時廃止事件となり、破産手続は開始と同時に終了する。
  • 管財事件…財産がある場合は管財事件となり、破産管財人が財産を清算するため、費用と時間がかかってしまう。

同時廃止事件の場合、20万円以上の資産がある場合は処分されますが、生活に必要な最低限の財産(一定の現金、家具、衣服など)は、自由財産として手元に残すことができます。

一方、管財事件となった場合には、原則として価値のある財産は処分されるため、不動産や価値のある自動車、一定額を超える預貯金など多くの財産が処分の対象になります。ただし、管財事件においても、全ての財産を失うわけではありません。同時廃止と同様に、法律で定められた自由財産などは手元に残すことができます。

管財事件では、確かに債権者への配当のため財産を処分しますが、「すべての財産を失う」というイメージは誤解であり、日常生活に必要な範囲の財産は守られます。

1-5 保証人・連帯保証人に請求がいく

保証人や連帯保証人が付いている借金がある場合、自己破産をすると破産者本人の返済義務はなくなりますが、保証人や連帯保証人に対し、残りの借金について一括請求がなされます。

保証人には家族や親戚などがなっているケースが多く、予期せぬ借金を背負わせるという多大な迷惑をかける点には注意が必要です。事前に保証人に自己破産のことを伝え、事情を説明しておくなど適切な対応を検討する必要があります。

1-6 家族・知人に自己破産がバレる恐れがある

基本的に、裁判所や債権者が自己破産について、自宅などに通知を送ることはありません。しかし、次のような場合にはバレてしまう恐れがあります。

  • 家族や知人が保証人になっている場合 ⇒ 保証人になっている家族や知人は債権者のため、裁判所から通知が届きます。
  • 資格や職業の制限により勤務先に影響が出る場合 ⇒ 資格や職業の制限によって仕事に影響が及ぶ場合は、事前に勤務先に相談する必要があるでしょう。
  • 勤務先から借入をしている場合 ⇒ 勤務先の社内融資を利用しているなどのケースでは、勤務先は債権者となり裁判所から通知が届きます。

もっとも、自己破産の手続きでは、同居家族の収入証明などの提出が求められるほか、家計の見直しという観点からも家族の協力は欠かせません。そのため、同居している家族には隠さず事情を話し、あらかじめ理解を得ておくほうが賢明でしょう。

2章 自己破産をしても影響を受けないこと

自己破産をすると「一生、社会的信用がなくなるのではないか」「もう普通の生活に戻れないのでは」と不安を感じる人は少なくありません。

しかし、何をもって「信用を失った」と感じるかは、人それぞれです。たしかに、手放さなければならないものもありますが、すべてを失うわけではなく、働くことや住むこと、日々の暮らしを送ることもこれまでどおり可能です。

この章では、自己破産手続き後に再出発をするため、変わらず保護される権利や自由などについてお伝えします。

2-1 選挙権を失うことはない

自己破産をしても、選挙権が制限されることはありません。憲法第15条は国民の参政権を保障しており、破産によって選挙権を失うことはありません。

自己破産後も選挙で投票し、政治に自分の意見を反映する権利は保持されます。

2-2 戸籍謄本・住民票に自己破産について記載されることはない

戸籍や住民票に「破産者」などと記録されるのでは?と心配する人がいますが、そのようなことはありません。したがって、日常生活で戸籍や住民票が必要な場面において、破産の事実が外部に知られてしまうようなことは決してありません。

2-3 自己破産後に得た収入や財産は没収されない

自己破産手続きの中で、処分され債権者に分配される対象の財産は、自己破産開始決定時点で確定します。

そのため、自己破産手続き後に得た収入や財産は、「新得財産」と呼ばれ基本的に処分の対象になりません。

◆新得財産とは
新得財産とは、破産手続開始決定後に破産者が新たに得た財産のことです。

ただし、状況によっては収入が処分の対象になる場合もあります。詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。

2-4 自己破産後は起業の制限を受けない

自己破産をしても、手続き後に会社を設立したり事業を始めたりすることは可能です。

ただし、信用情報に事故情報が登録されているため、金融機関から融資をうけることは登録が削除されるまでは難しいと覚悟する必要があります。

2-5 自己破産後は引っ越し・旅行も自由にできる

破産法に「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」とあるため、自己破産手続き中の転居や海外旅行・出張などは制限があります。

しかし、自己破産の手続き後であれば、引っ越しや海外渡航も自由に行えます。ただし、海外旅行や現地の生活で、クレジットカードが使えないことを考慮する必要があります。現金やデビットカードを準備するなど、事前に対策を行いましょう。

2-6 自己破産後も銀行口座を開設できる

自己破産をすると新たな銀行口座の開設はできないと誤解している人がいますが、そんなことはありません。自己破産手続き後には、新規に銀行口座を開設することが可能です。

ただし、債権者であった銀行で新たに口座を作ることは難しい可能性があります。また、自己破産後、ブラックリストに載っている間はカードローンの利用はできません。

2-7 自己破産をしても年金を受け取れる

公的年金(老齢年金・遺族年金・障害年金など)や生活保護、社会保障の給付などは、自由財産の「差押禁止財産」に該当するため、自己破産を理由に差し押さえられることはありません。公的な支援を受ける権利は、法律で保護されているためです。

3章 社会的信用を失うことを理由に自己破産をためらわないで

毎月の返済が苦しいのに「社会的信用を失いたくない」という気持ちから、破産手続きや専門家への相談を迷っていませんか。そのまま放置しても、状況はどんどん悪化してしまうだけで良いことはありません。

返済不能の状態が続けば、やがて延滞利息が膨らみ、給与や財産の差押えに至る可能性があります。このような状況になれば、会社に借金の滞納を知られてしまい、また、信用情報機関にも事故情報が登録されてしまうため、自己破産をするよりも社会的信用を失う可能性があります。

結果的に自己破産を選択することになったとしても、早い段階で専門家に相談し決断した方が生活再建への道は開けます。生活していくうえで社会的信用は大切ですが、「生活を立て直すこと」はさらに重要です。

4章 自己破産したくない場合の選択肢

自己破産は、債務整理の中でも最終手段です。「どうしても自己破産したくない」という方は、他の解決方法がないか検討しましょう。

選択肢として考えられるのが、「任意整理」と「個人再生」です。任意整理は、利息をカットし、無理のない分割返済を債権者と交渉する方法。個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額でき、自宅を残せる可能性もあります。

いずれの方法も自己破産とは異なり、手続き後には返済を続けることになります。本当に完済できるのか、借金総額と現在の収入を照らし合わせて検討してみましょう。専門家に相談すれば、自己破産以外の選択肢が現実的かどうかを判断し、最適な解決方法を提案してもらえます。

4-1 任意整理

「任意整理」は裁判所を介さず、債権者と直接交渉する手続きです。将来利息をカットし、残った元金を3〜5年で返済する形が一般的です。自己破産に比べ社会的影響が少なく、官報公告もされません。

借金総額が比較的小さく、利息のカットや返済計画の調整で返済が継続できそうな場合は、任意整理で問題が解決する場合もあります。

【任意整理の特徴】
項目内容
対象安定した収入がある個人
メリット将来利息のカット、毎月の返済額軽減
デメリット信用情報への登録(ブラックリスト)

4-2 個人再生

「個人再生」は、借金を大幅に減額し、3〜5年で分割返済する手続きです。裁判所を通して行う手続きですが、資格制限はなく、住宅ローン特則を利用すれば自宅を残せるケースもあります。破産を避けたい方には有効な選択肢です。

任意整理同様、個人再生も借金の返済は続きますが、借金額を大幅に減額することができ、自己破産に比べて社会的影響も少ない手続きといえます。

ただし、安定した収入などの前提条件や考慮すべき点がいくつもあり、債務整理の中では手間も費用もかかるため、専門家に相談して方針を決めることが大切です。

【個人再生の特徴】
項目内容
対象安定した収入がある個人
メリット大幅な債務の減額が可能、住宅の維持が可能
デメリット官報公告掲載、信用情報への登録(ブラックリスト)、手続きが複雑

まとめ

自己破産は「社会的信用を失う」「人生が終わってしまう」といったイメージを持たれがちですが、実際には影響を受ける部分と、影響のない部分があります。

たしかに、新たな借り入れやクレジットカードの利用・新規作成が難しくなり、社会的信用を失ったと感じる場面があるかもしれません。一方で、破産手続き後の収入や生活には大きな制約はなく、生活を立て直して新たな人生を始めることができます。

社会的信用を失いたくないからと借金問題を放置しても、なにもよいことはありません。大切なのは、適切な手続きを踏み、生活再建の第一歩を踏み出すことです。

グリーン司法書士法人では、これまで10,000件以上の債務整理相談を受任・解決してきた実績があり、皆様の借金問題の解決に尽力しています。

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