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- 自己破産の後に残る家財
- 自己破産によって処分対象になる可能性がある家財
- 自己破産の申立て前にやってはいけない家財の扱い
自己破産を検討している方の中には、「自己破産をしたら、家の中の物は全て処分されてしまうのではないか」「生活に必要な家具や家電まで失ってしまったらどうしよう」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、自己破産をしたからといって、家財道具が一律に処分されるわけではありません。自己破産では、換金価値のある財産は処分の対象となる一方で、日常生活を送るために必要な家財については、法律上、原則として手元に残すことが認められています。
とはいえ、「どこまでが生活必需品なのか」「高価な物やローン中の家財はどう扱われるのか」など、判断に迷うケースも少なくありません。誤った自己判断によって、手続きを終えた後の生活に困る恐れもあるでしょう。
本記事では、自己破産後に残る家財と処分される可能性がある家財の具体例、申立て前に注意すべき家財の扱いについて解説します。
目次 ▼
1章 自己破産の後に残る家財とは?
自己破産では、債権者への配当を目的として財産の換価が行われますが、その対象となるのは「一定以上の価値がある財産」に限られます。そのため、自己破産をしても、全ての家財が処分されるわけではありません。ここでは、自己破産によって処分される家財、処分されない家財を紹介します。
1-1 一定以上の価値がある家財は処分される
自己破産では、家財が処分対象となるのかを判断する際に、中古で売却した場合の価値が基準になります。中古市場で売却した価値が20万円を超えるかが、一つの目安として用いられています。
そのため、購入時に高額だった家財であっても、使用年数が長く、中古としての価値が20万円未満であれば、処分されないケースが一般的です。反対に、使用頻度が少なく状態が良い物や、市場で需要が高い物については、生活に使用している場合であっても、処分対象となる可能性があります。
ここで重要なのは、「いくらで買ったか」ではなく、申立て時点において、第三者からみて中古品としていくらの買取価値があるかという客観的な評価が重視される点です。査定額は、年式や使用状況、市場での流通状況などを踏まえて判断されます。
1-2 生活必需品は原則として処分されない
自己破産後の最低限の生活を保障するため、生活必需品については、原則として処分されません。これは、破産者が生活基盤を失わず、再出発できるようにするための制度的な配慮です。
具体的には、日常生活に欠かせない家電や家具、衣類などが該当します。これらの多くは中古市場での価値が低く、仮に売却したとしても配当原資としての意味が小さいことから、処分の対象とならないのが一般的です。
ただし、生活必需品であっても、例外的に高額な物や、同種の物を多数所有している場合には、処分対象となる可能性があります。そのため、「生活に使っているから必ず残る」と自己判断せず、具体的な扱いについては専門家に確認することが重要です。
2章 自己破産しても残る家財
自己破産をしても、日常生活を維持するために必要な家財の多くは、原則として手元に残すことができます。また、これらは中古市場での価値が低く、換価しても債権者への配当に大きく影響しないことから、処分の対象とならないのが一般的です。ここでは、自己破産後も残るケースが多い代表的な家財について解説します。
2-1 冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなどの家電
冷蔵庫や洗濯機、電子レンジといった家電は、日常生活に欠かせないため、原則として処分されません。一般的な家庭用家電であれば、中古市場での価値も低く、換価対象とならないケースがほとんどです。ただし、購入から間もない高性能モデルや業務用機器など、中古でも高額査定が見込まれる場合は、例外的に処分対象となる可能性があります。
2-2 ベッド・タンス・テーブルなどの家具
ベッド、タンス、テーブル、ソファなどの家具も、生活必需品として扱われ、自己破産後も引き続き使用できるのが一般的です。一方で、アンティーク家具や高級ブランド家具など、資産価値が高いものについては、処分対象となる可能性があります。
2-3 スマートフォン・パソコン
スマートフォンやパソコンは、現代の生活において重要な連絡手段であり、仕事や求職活動にも使用されることから、原則として処分されません。生活や仕事に使用している通常の範囲であれば、自己破産後も引き続き使用できる可能性が高いでしょう。
2-4 1ヶ月の生活に必要な食糧や燃料・台所用品・衣服・実印・仏像など
1ヶ月分程度の食糧や燃料、鍋や食器などの日常的な台所用品、普段着として使用している衣服、実印、位牌や仏像などの祭祀財産は、いずれも原則として処分されません。これらは、生活や信仰に密接に関わることから、自己破産後も手元に残すことが認められています。
2-5 仕事で使用している道具や備品
仕事を続けるために必要な道具や備品についても、一定の範囲で手元に残すことができます。例えば、工具や業務に使用しているパソコン、専門書などが該当します。仕事に関する道具や備品は、破産後の生活再建や収入確保の観点からも重要であり、原則として処分の対象にはなりません。
2-6 査定額が低い自動車
自動車は原則として財産に該当しますが、年式が古い、走行距離が多いなどの理由で中古としての価値が低い場合には、処分対象とならないケースがあります。中古査定額が低く、換価しても配当に大きく影響しないと判断される場合には、そのまま乗り続けられる可能性が高いでしょう。
3章 自己破産によって処分対象になる可能性がある家財
自己破産では、生活に必要な家財は原則として処分されませんが、中古で売却した場合に一定以上の価値がある家財については、処分対象となる可能性があります。特に、換金性が高く、売却しやすい物は、債権者への配当に充てる目的から、処分の対象になりやすい傾向があります。ここでは、自己破産において処分対象となる可能性がある代表的な家財を見ていきましょう。
3-1 高額なブランド品・貴金属・骨董品
高額なブランドバッグや腕時計、貴金属、骨董品などは、中古市場での需要が高く、換金性に優れているため、処分対象となる可能性が高くあります。購入時に高額だった物だけでなく、希少性が高い物や、状態が良く中古市場で高値がつく物についても注意が必要です。
3-2 複数台所有している家電・家具
自己破産では、家電や家具について「生活に必要な最低限の数量」を超えて所有している場合、余剰分が処分対象となる可能性があります。同一用途の家財は1点のみを生活必需品として扱い、2点以上ある場合には1点を残して、それ以外が処分対象となるのが一般的です。
例えば、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、テレビ、ビデオデッキ、エアコンなどは、通常は1点あれば日常生活に支障がないと判断されやすい家財です。そのため、テレビや冷蔵庫を複数台所有している場合、生活に必要な1台を除いた分については、処分対象となる可能性があります。
3-3 ローンが残っている家財
ローンや分割払いが残っている家財は、自己破産をすると、原則として手元に残すのが難しいでしょう。なぜなら、所有権が破産者本人にないケースが多いためです。
特に、自動車の購入時に利用されるディーラーローンでは、完済するまでディーラーや信販会社が所有権を留保しているのが一般的です。ディーラーローンの返済途中に自己破産をすると、債権者から車両の引き揚げを求められます。たとえ中古価値が低い車であっても、所有権留保がある限り、手元に残せない可能性が高くあります。
同様の考え方は、家電や家具をクレジットカードで購入した場合にも当てはまります。クレジットカード取引では、カード会社が販売店に商品代金を立替払いし、購入者がカード会社に支払いを終えるまで、商品の所有権がカード会社に留保されるのが通常です。そのため、支払い途中の家電・家具については、購入者は使用できるものの、法的には所有権を取得していない状態にあります。
もっとも、家電や家具は新品価格に比べて中古価値が大きく下落しやすく、エアコンなどの据付型家電については、取り外しや運搬に高額な費用がかかります。そのため、カード会社が所有権を留保していたとしても、引き揚げを行わず、所有権を放棄するケースもあります。
4章 自己破産の申立て前にやってはいけない家財の扱い
自己破産を検討している段階で、「どうせ処分されるなら先に片付けてしまおう」「家族に渡しておけば問題ないだろう」と考えてしまう方も少なくありません。しかし、申立て前の家財の扱いによっては、手続きが不利に進んだり、免責が認められなくなったりする恐れがあります。ここでは、自己破産の申立て前に避けるべき家財の扱いについて解説します。
4-1 勝手に処分・売却する
自己破産の申立て前に、家財を自己判断で処分したり、売却したりする行為は、原則として避けるべきです。なぜなら、債権者の権利を害する行為として、破産法によって規制されているためです。
自己破産では、破産者が有していた財産を適切に把握し、債権者に公平に配当することが前提となります。そのため、申立て前に家財を処分したり、売却によって財産を減少させたりすると、債権者の配当機会を不当に奪う行為と評価される可能性があります。
また、「価値がないと思った」「生活に使っていなかった」といった主観的な判断は通用しません。処分行為そのものが問題視されることにより、免責が認められないリスクもあります。
家財の処分や売却を検討する場合には、債権者の権利を害する行為に該当しないかという視点が不可欠です。自己判断で動くのではなく、事前に弁護士や司法書士へ相談し、適切な対応を確認するようにしましょう。
4-2 財産隠しを目的とした家族や知人への名義変更
自己破産の申立て前に、家財を家族や知人名義に変更したり、無償または不相当に低い価格で譲渡したりする行為は、財産隠しと評価される可能性が高い行為です。これらは、債権者の権利を害する行為として、破産法によって規制されています。
破産手続きでは、破産者が本来有していた財産を正確に把握し、公平に処理することが前提となります。そのため、申立て前に意図的に財産の名義を移したり、第三者に移転させたりすると、債権者から見れば、配当を免れるための行為と判断されかねません。
財産隠しを行えば、財産の取戻しや免責不許可事由に該当する恐れもあります。また、家族間のやり取りであっても、破産手続きでは厳しく確認されるため、「身内だから大丈夫」と考えるのは危険です。名義変更や譲渡を検討する前に、弁護士や司法書士に相談し、破産法上問題のない対応かを確認することが重要です。
5章 自己破産を検討しているなら弁護士・司法書士に相談しよう
自己破産では、家財が処分されるかの判断が、価値や数量、所有権など複数の基準によって行われます。そのため、見た目や感覚だけで「これは残る」「これは処分される」と判断することは危険です。
実際には、同じ家電や家具であっても、中古での評価額や所有状況、購入方法によって扱いが異なります。また、申立て前の家財の扱い次第では、手続きが不利に進んだり、免責が認められなくなったりする恐れもあります。
弁護士・司法書士に相談すれば、処分対象となる可能性がある家財の整理や、申立て前に避けるべき行為についてのアドバイスを受けられます。さらに、自己破産以外の手続きが適している場合には、任意整理や個人再生といった別の選択肢についても検討することが可能です。
グリーン司法書士法人では、家財の扱いや申立て前の注意点を丁寧に確認し、状況に応じた最適な解決方法を提案しています。自己破産を検討している方や、家財の処分について不安がある方は、早めにご相談ください。
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まとめ
自己破産をしても、家の中にある家財が全て処分されるわけではありません。生活に必要な家電や家具などは、原則として手元に残すことができます。一方で、中古で売却した場合に一定以上の価値がある物や、同一用途の家財を複数所有している場合、ローンやクレジットカードで購入し所有権が本人にない物などは、処分対象となる可能性があります。
また、自己破産の申立て前に家財を勝手に処分したり、家族や知人へ名義変更したりする行為は、債権者の権利を害する行為として問題視される恐れがあります。こうした行為は、手続きが不利に進む原因となるため注意が必要です。
自己破産を検討している場合や、家財の扱いに不安がある場合には、早めに弁護士・司法書士へ相談し、適切なアドバイスを受けながら手続きを進めることが重要です。
グリーン司法書士法人では、自己破産を検討している段階での相談にも対応しています。相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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自己破産による財産処分に関してよくある質問
ここでは、自己破産による財産処分に関してよくある質問への回答を見ていきましょう。
- 現金や預貯金はどのくらい守れますか?
- 自己破産では、一定額までの財産は自由財産として手元に残すことが認められています。現金については99万円以下であれば自由財産として扱われるのが一般的です。
一方、預貯金については、原則として20万円以下であれば処分対象とならないとされています。20万円を超える預貯金がある場合には、超過分が処分対象となる可能性があります。
ただし、生活状況や家族構成、収入状況などによっては、自由財産の拡張が認められるかもしれません。自由財産の拡張が認められれば、一定額を超える現金や預貯金についても、手元に残せる可能性があります。
- 財産を手元に残したい場合はどうするべきですか?
- 自宅や車、生活に必要な家財などの財産を手元に残したい場合には、自己破産以外の債務整理手続きが適しているケースがあります。
個人再生は、借金を大幅に減額したうえで、原則として自宅などの財産を残したまま返済を続ける手続きです。住宅ローンがある場合でも、一定の条件を満たせば、住宅資金特別条項を利用して自宅を手放さずに済む可能性があります。
また、任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、将来利息のカットや返済条件の見直しを行う手続きです。整理対象の借金を選択できるため、住宅ローンや自動車ローンなどを対象から外せば、財産を手元に残したまま返済を続けられる可能性があります。
- 配偶者や子供の財産も処分されますか?
- 原則として、自己破産の対象となるのは破産者本人の財産のみです。そのため、配偶者や子供の名義で保有している財産は、基本的に処分されません。ただし、名義が配偶者や子供になっていても、実質的に破産者の財産と判断される場合には、処分対象になります。















