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近年の不況やコロナウイルスの影響から、今まで順調に利益を上げていた会社でも経営不振に陥ってしまうケースは珍しくありません。
経営不振とは、売上や利益が減って経営状態が悪くなることを指します。経営不振が続いてしまうと、やがて廃業や倒産の可能性が出てきます。
そのため、経営不振に陥った場合は早めに原因を突き止めて適切に対処することが大切です。
この記事では、経営不振になる原因と対処法について解説いたします。経営不振でお困りの方は、ぜひご参考にしてください。
目次 ▼
1章 経営不振とは利益が減っている状態のこと
「経営不振」という言葉は、ビジネス上でもよく耳にするシーンが多いことだと思います。
経営不振とは、会社の売上や利益が減っている状態のことです。程度の差があれど、会社を経営しているのであれば経営不振に陥る期間は避けて通れないと言って良いでしょう。
しかし、経営不振をそのまま放っておくのは危険です。
そのまま経営不振が続くと、会社の存続にも影響をしてしまうため、早い段階で経営不振の状況を改善する必要があります。
経営不振からの脱却は、事業の中で優先すべき課題と言えるでしょう。
1-1 経営難との違い
経営不振に似た言葉で、経営難という言葉もあります。
大まかな意味合いは同じですが、経営難は赤字が続いており存続が危ぶまれているケースもあるため、どちらかというと経営難のほうが緊急性が高い傾向があります。
経営難までいくと、その分倒産リスクも高くなるため、経営そのものが難しい状態に陥っている場合は一刻も早く状況を回復しなければいけません。
2章 経営不振になる原因
経営不振になる原因は、一概にこれと言い切れるケースは少ないです。
経営不振は、様々な積み重ねで起こる場合が多いです。
例えば、以下のような原因は経営不振になるきっかけとなるので注意が必要です。
- 売上や利益の減少
- 資金繰りの悪化
- 需要の減少
- 過剰な投資
- 取引先の倒産
- 評判の低下
- 経営計画の不在
この章では、経営不振になる原因について詳しく見ていきましょう。
2-1 売上や利益の減少
経営不信に直結するのが、会社の売上の減少です。
今まで上手くいっていた事業が上手くいかなくなり、売上が減少してしまうと、当然利益も少なくなってしまいます。
売上減少の原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 商品・サービスの質の低下
- 既存顧客のリピート率の低下
- 既存顧客の他社への流出
- 新規顧客が獲得できていない
- 客単価が低い
- 価格競争による値下げ
- 仕入れの高騰
特に、最近では仕入れや材料の高騰により利益が減っています。
そのため、利益を従来に戻そうと商品の値上げをした結果、顧客が離れてしまい更に売上が減ってしまう悪循環になっている会社も少なくありません。
売上が今までより減っていくと徐々に赤字化していき、一気に経営不振に陥ってしまいます。
とくに、事業を一本化している場合は売上の減少は致命的となるため、早めの対策が必要です。
2-2 資金繰りの悪化
資金繰りの悪化によって経営不振に陥る場合もあります。
会社を運営するには投資やランニングコストなど、お金がかかるからです。
資金繰りとは、会社の収入と支出を管理してお金を工面することです。コスト削減や資金調達のために融資を依頼したりと収支の過不足を調整していきます。
この資金繰りが上手くいかなくなり、悪化すると経営難につながります。
経営状況によっては、資産の売却や融資などその場のお金をつくるだけでは改善ができないケースも多いです。
そのため、経営不振に陥ったらまずは原因を探って、長期的に改善する方法を取ることが必要です。
2-3 需要の減少
近年のコロナ禍をきっかけに、現在の日本では生活スタイルや娯楽が変化しつつあります。
このことによって、今まで経営していたビジネスの需要が減少し、経営不振に陥るケースも考えられます。
例えば、近年爆発的にサブスクリプションが流行したことから、CDショップやレンタルDVD店、書店などの需要の減少による閉店が相次いでいます。
地域の商店街も大型ショッピングモールの台頭によって、シャッター街になっているケースも珍しくないでしょう。
時代の流れによって徐々に需要が減少することで、経営不振へ陥ってしまう原因となります。
2-4 過剰な投資
逆に、これからのビジネスに向けて過剰な投資をして経営不振になるケースもあります。
今後回収できる目処が立っているのであれば、一時的に経営不振になったとしても問題はないでしょう。
しかし、過剰な投資をしすぎることにより、経営が回復することなく、経営不振から抜け出せない恐れもあります。
大きなビジネスをして会社を成長させるのであれば、人材や教育の強化や宣伝などは大切です。
しかし、投資が負荷になるほどの過剰な投資は危険と言えるでしょう。
2-5 取引先の倒産
自分の会社の事業が順調だったとしても、取引先次第で経営不振になるケースもあるので注意が必要です。
取引先が少ない場合は、取引先が倒産してしまい売掛金回収の目処が立たなくなると、資金繰りが悪くなり一気に自社の経営不振につながってしまいます。
今まで取引先が少ない状態でも売上を立てられていたとしても、その取引先次第で経営状況が左右されるのであれば、安泰とは言い難いでしょう。
経営不振にならないためにも、取引先の情勢は小まめにチェックしておくことをおすすめします。
2-6 評判の低下
近年、影響力が高いのが自社やビジネス内容の評判の低下です。
ネットニュースやSNSなどで悪い評判が広まり、そのまま経営不振に陥ってしまう場合があります。
大手飲食チェーン店で客が備品や商品にイタズラをした動画をSNSに投稿した事件や、大手中古車販売店の不正請求の事件は記憶に新しいのではないでしょうか。
SNSや動画サイトなど、年々ネットの影響力は強まっており「たかがネットの評判」とたかを括っていると、一気に倒産まで追い込まれる危険性があるほどです。
もし、評判の低下になりそうな原因があれば、すぐに見直してみましょう。
2-7 経営計画の不在
経営の計画がない場合には、経営不振に陥りやすいといえます。
なぜなら、計画がなければうまくいかなかった際に、その原因を特定しにくいからです。
経営計画があれば、計画とのギャップを計測することで何が悪かったのかの特定が容易になるでしょう。経営が順調なときは計画などなくても経営者の勘と経験で乗り切れるかもしれませんが、それが通用しなくなったときに訪れるのが経営不振です。
一度、経営不振に陥ってしまった後では計画を立てる余裕もなくなります。
順調なときにこそ計画を立てて、経営者の資質に頼らない経営を心がけましょう。
3章 経営不振に陥った場合の対処法とは?
一度経営不振になってしまったら、そのまま放っておくのはおすすめしません。
対策をしなければどんどん経営不振が悪化してしまい、より状況が厳しくなってしまいます。
経営不振に陥った場合、経営不振の原因が改善できないか見直してみましょう。
この章では、経営不振に陥った場合の対処法について解説していきます。
3-1 利益減少への対策をする
まずは、利益減少してしまった分を対策できないか見直してみましょう。
赤字が続いている事業を見直して不要だと感じた場合は思い切ってカットしたり、無駄な作業や残業が多い場合は人件費を見直してアルバイトや外注へ依頼するなど、利益を下げる項目がないかを見直すことが大切です。
例えば、飲食店の場合、利益が減ってしまったとなると、メニューの値上げをしたり量を減らしたり具材を変更したりなど利益を出すためにこのようなことが思い付くことでしょう。
しかし、商品やサービスの質を落として安易に利益を確保するのは長期的な対策にはなりません。
今後、物価の高騰や来客数の減少などで、ますます商品やサービスの質を落とさなくてはいけなくなるため、より経営不振を悪化させる原因につながります。
まずは、自社内でカットできる部分がないかチェックしましょう。
3-2 売上を上げる
経営不振から脱却するには、結局のところ売上を上げることが大切です。
経営不振で資金がなかったとしても、経営不振の原因を把握しているのであれば売上を上げるために思い切って投資するのも一つの方法です。
例えば、人手が足りなければAIロボットを導入したり、席が少なければデリバリーサービスの導入なども有効的でしょう。
一時的に資金がますます減ってしまったとしても、売上アップの目処が立っているのであればネガティブな投資ではないと言えます。
3-3 取引先を見直す
取引先が少ない状況であれば、新規開拓など取引先を見直してみるのも方法です。
今の状況で取引先に何かあった場合に一気に傾くのであれば、経営不振の状況ではハイリスクです。
取引先を見直して、いざというときのリスクヘッジができるように、今の取引先の件数で問題ないかチェックしてみましょう。もし懇意にしている取引先の情勢が危ない場合は特に注意が必要です。
倒産した場合、売掛金が回収できずに共倒れになる可能性もあります。ぜひ早い段階で、対策を打つことをおすすめします。
3-4 経営資金を見直す
自社の売上やサービスだけでなく、経費の見直しも大切です。
交通費や出張費などの経費や家賃など必要以上にかかっているものがないかをチェックしてみましょう。
特に、オフィスの家賃や光熱費は、コロナ禍をきっかけにリモートワークが推進されてから余剰に払っているケースも少なくありません。
オフィス通勤が減ったものの経費がそのままになっている場合は、一度見直してみてはいかがでしょうか。
また、コストカットは経営陣からのトップダウンの指示だけでなく、従業員からのボトムアップの改革を図るのも良いでしょう。
現場を知る従業員の方が現実的なコストカットを提案できることも多いからです。
従業員にコストカットのインセンティブを出すなどの対策を取り、現場主導で経費削減をしていくことも検討しましょう。
3-5 事業を売却する
自社の事業を思い切って売却するのも有効的です。事業の全部もしくは一部を、他の会社や個人に対して売却することで経営不振から脱却できる可能性があります。
飲食店や美容院などで特に活用されている方法であり、売上が良くない店舗を居抜きで売却することで赤字事業を切り離すことができます。
他にも、インターネット上のメディアサイトを売却するケースもあります。店舗を持たない事業でも売却が可能なのはメリットと言えるでしょう。
また、会社の所有物件があったら売却をして返済の資金にするの有効的です。物件は売却時のインパクトも大きいため立て直しのきっかけになる可能性があります。
ただし、事業や土地の売却は手間と時間がかかるため、専門家に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。
4章 経営不振が続くとどうなる?
当然ですが、有効的な対処法を取れないまま経営不振の状況が続いてしまうと、経営はどんどん傾いてしまいます。
経営不振が続くと、最悪の場合は倒産してしまうでしょう。
経営不振で売上が減ってしまうと、ただ単に会社の資金が減っていくだけではなく、さらに経営不振の原因を発生させ倒産の危機に陥ってしまいます。
この章では、経営不振が続いて倒産に至るまで、どのようなことが起こるのかを見ていきましょう。
4-1 金融機関からの信用がなくなる
経営不振が続くと、徐々にキャッシュが減っていくため資金繰りが難しくなります。
資金繰りが難しい状態で金融機関に融資を受けようとしても、返済できる目処が立っていないと見なされて融資の許可が降りにくくなります。
経営不振が続けば続くほど、金融機関から会社の信用が失われていくので最後には融資を断られてしまうでしょう。融資が降りないということは、資金が減り続ける一方ということになります。
経営不振からの脱却が徐々に厳しくなり、人員カットや休業など従業員に目に見えて影響が及んできます。
4-2 人材の流出に繋がる
明らかに経営不振だということが従業員にも伝わると、従業員が倒産になる前に転職して離れていくケースも多いです。
倒産した場合、今までの給料や残っている有給分を貰うことは難しく、更に倒産した時点で解雇となるのでこの先が大変なことになるのは間違いありません。
生活を考えると早めに転職をしようと人材の流出が始まります。優秀な人材であれば、すぐに次の就職先が見つかるのでますます経営回復が厳しくなってしまいます。
4-3 企業価値が下がる
経営不振ということは、企業価値が下がっているということになります。企業価値は、お金を生む力や持っている資産を合わせたものになります。
企業価値が下がると、融資を受けられなかったり、事業の売却の価値に直結します。経営不振で回復の見込みがない状態の事業を売却は非常に難しいでしょう。
企業価値が下がることで、他での資金繰りも難航してしまいます。
4-4 会社が倒産に追い込まれる
融資も売却も断られ、赤字経営が続いてしまうと、これ以上会社を経営していくことが難しいと判断されて倒産に追い込まれてしまいます。
会社が倒産するということは、事業だけでなく会社そのものが消滅するということになります。
ただし、倒産するにも弁護士への依頼料や裁判所の費用などお金がかかります。
全く資金がなくなる前に相談をするのが得策です。
5章 経営不振が続いた場合は早めの対策が必要!
経営不振という言葉はよく聞くかと思いますが、決して放置してはいけない状況です。
経営不振が続くと経営不振に慣れてしまって危機感が薄れてしまいがちですが、放っておくと対処できる選択肢が狭くなって一気に経営が傾いてしまいます。
経営不振が続いた場合は、一刻も早く状況を回復させるために早めの対策が必要です。
まずは原因を突き止めて、解決できる方法がないか見直していきましょう。
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- 経営不振とは?
- 経営不振とは、会社の売上や利益が減っている状態のことです。
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