生活保護の不正受給の時効は5年!踏み倒しが難しい理由とは?

司法書士市川有美

監修者:グリーン司法書士法人   市川有美
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4555号 【保有資格】司法書士

借金返済の知識
生活保護の不正受給の時効は5年!踏み倒しが難しい理由とは?

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 この記事を読んでわかること

  • 生活保護の不正受給の時効は5年であるが成立し難い背景
  • 生活保護の不正受給の返還を求められる際の流れ
  • 生活保護の不正受給を返還できない場合の対処方法
  • 生活保護の不正受給の返還金・徴収金は非免責債権であること

生活保護の不正受給は、5年の時効期間が設定されています。生活保護の不正受給は社会的な問題として広く認識されおり、不正受給が発覚すると、受給者は返還義務を負いますが、その時効が5年であるのを知らない人も多いでしょう。

この返還金・徴収金の請求時効は、受給者にとって一定の救済措置ともいえかもしれません。しかし、実際には不正受給の返還金・徴収金の請求を踏み倒すのは極めて難しいものです。

今回の記事では、生活保護の不正受給に関する時効の詳細と、返還を求められるプロセス、そして返還が困難な場合の対処法について詳しく解説します。また、不正受給のリスクと、返還できない際の対処法も理解しておきましょう。

1章 生活保護の不正受給の時効は5年

生活保護の不正受給に対する時効は5年です。これは、生活保護法にもとづき、不正受給が発覚してから5年以内に返還請求がなされなければならないという、法律上の規定です。

時効が成立すると、不正受給者は返還義務を免れられます。とはいえ、実際には時効の成立が非常に難しい状況です。時効が成立し不正受給を踏み倒すのが難しい背景を、詳しく見ていきましょう。

なお、生活保護受給者の自己破産について、以下の記事で事例を挙げて解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。

なお、生活保護までいかなくとも、家計が困窮して税金が払えない場合の差押えについて、以下の記事で解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。

1-1 時効が成立し不正受給を踏み倒すことは難しい

不正受給の時効が成立して、踏み倒すのは極めて難しいです。行政機関は、不正受給の兆候を早期に発見し、迅速に対応する体制を整えています。

たとえば、福祉事務所やケースワーカーが常に受給者の状況を監視し、不正の可能性がある場合には即座に調査を開始します。調査が始まると、不正受給が確認され次第、速やかに返還請求が行われるでしょう。

また、返還請求が行われると、福祉事務所は時効にならないように努めるでしょう。そのため、時効を成立させて不正受給を踏み倒すのは非常に困難です。

法的手続により、強制的に回収されるケースもあります。このように、不正受給の時効が成立する前に、対策が取られる場合がほとんどです。

なお、現民法での消滅時効の詳細や、請求を免れるために必要な年数ついて、以下の記事で解説しています。そちらもぜひ、参考にご覧ください。

2章 生活保護の不正受給の返還を求められる流れ

生活保護の不正受給が発覚した場合、返還を求められる流れはおおむね以下のように進みます。

  • STEP① 督促状が届く
  • STEP② 担当ケースワーカーが自宅に訪問してくる
  • STEP③ 強制執行になり財産を差し押さえられる

それぞれを補足しておきましょう。

STEP① 督促状が届く

生活保護の不正受給が疑われる場合、まず督促状が送付されます。この督促状は、福祉事務所から送られるもので、受給者に対して不正受給の疑いがある旨を通知し、事情聴取のための呼び出しを行うものです。

督促状には、不正受給の具体的な内容や返還すべき金額が記載されています。受給者は督促状が届いた時点で、直ちに対応しなければなりません。この段階で適切な対応を怠ると、後の手続が厳しくなるため、迅速に対応するのが賢明です。

連絡を取れずに、返還金の支払いもない状態が続くと、おおむね半月から〜1か月半後に2回目の督促状が届きます。

STEP② 担当ケースワーカーが自宅に訪問してくる

2回目の督促状も放置すると、福祉事務所によって異なりますが、担当ケースワーカーが受給者の自宅を訪問する場合があります。この訪問は、受給者の生活状況を確認し、不正受給の証拠を集めるためのものです。

ケースワーカーは、受給者との面談を通じて詳細な情報を収集し、必要に応じて家計簿の確認や預貯金の調査を行います。この訪問調査によって、不正受給の事実が確定されると、返還手続が本格的に進行するのです。

この段階で、受給者は返還方法について福祉事務所と協議し、返還金額や返済期間について合意を形成するのが賢明です。返還計画に従わない場合や、不正が悪質な場合は、次の段階である強制執行につながります。

STEP③ 強制執行になり財産を差し押さえられる

返還計画に従わず、返還金の支払いが滞る場合、最終的には強制執行が行われ、財産が差し押さえられる事態になりかねませんの。強制執行は、裁判所の命令にもとづいて行われる、受給者の預貯金や給与、不動産などの財産が差し押さえられる手続です。

この手続により、不正受給額が強制的に回収されます。財産の差し押さえは、受給者の生活に大きな影響を及ぼすため、避けたい事態です。そのため、強制執行が行われる前に、受給者は返済を進めるのがよいでしょう。

なお、生活保護に賃貸契約の連帯保証人がなった場合、どうすべきかについては以下の記事で詳しく解説しています。参考にご覧ください。

3章 生活保護の不正受給を返還できないときの対処法

生活保護の不正受給が発覚し、返還を求められた場合、経済的に厳しい状況にある受給者は返還が困難でしょう。加えて、生活保護の支給が停止され、さらに生活が困難になるおそれがあります。

このような場合、行政機関に対して返還の分割払いを相談するのが賢明です。行政機関は受給者の経済状況を考慮し、月々の返還額を少額に設定してくれる場合があります。

返還計画を立てる際には、ケースワーカーと相談し、無理のないプランを構築するのが大切です。

なお、次章で述べるように生活保護の不正受給における返還金や徴収金は、自己破産の対象外となる「免責不許可債権」に該当します。それを理解した上で、自己破産を含む債務整理という対応方法に関して、次章で取り上げましょう。

なお、生活保護を受けていても自己破産できるかどうかや、自己破産の生活保護への影響について、以下の記事で解説しています。そちらもぜひ、参考にご覧ください。

4章 【注意】生活保護の不正受給の返還金・徴収金は非免責債権である

生活保護の不正受給による返還金や徴収金は、非免責債権に該当します。これは、自己破産をしても、生活保護の不正受給による返還金や徴収金の返済義務が、免除されないのを意味します。

生活保護法第78条にもとづき、不正受給による返還金・徴収金は支払い義務が厳格に適用されます。悪意の有無にかかわらず、非免責債権となるのです。

生活保護法第78条第1項

不実の申請その他不正な手段により保護を受け、 又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、 その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

また、返還金と徴収金の違いも理解しておきましょう。返還金は、不正受給した金額をそのまま返還する義務を指し、徴収金は不正受給に対するペナルティとして、追加の返済義務が課されるものです。

不本意ながら生活保護の不正受給をしてしまい、現在は生活保護を脱していて、なおかつ借金がある場合は、債務整理の3つのうちもっとも適した手続によって、借金の総額をひとまず減らしましょう。

債務整理によって生まれた経済的な余裕を使って、債務整理でも免除が不可能な返還金・徴収の支払いに充てられるうえ、生活再建のよい機会となります。

現在は生活保護を脱しているが借金問題を抱え、そのうえで過去の生活保護を不正受給に関して返還金・徴収金を請求されているみなさんは、ぜひグリーン司法書士法人にお気軽にご相談ください。借金問題のプロフェッショナルであるグリーン司法書士法人では、個々のケースに応じた解決方法をご提案し、その実行をサポートできます。

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また、本意ではなく生活保護の不正受給をしてしまい、現在も生活保護を受ける借金問題を抱えるみなさんは、法律事務所に支払う費用を援助してくれる法テラスの活用がおすすめです。法テラスで債務整理を依頼したときの弁護士費用について、以下の記事で解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。

まとめ

生活保護の不正受給においては、5年という時効期間が定められています。だだし、多くの場合に時効が成立する前に不正受給が発覚し、督促状が複数回届き、担当ケースワーカーが訪問し、最終的には強制執行により財産が差し押さえられるでしょう。

万が一、本意ではなく不正受給をしてしまっていると気づいた場合は、速やかに申し出るのが第一です。全額返還が困難な場合には、分割払いの申し出によって、負担が軽減される可能性があります。

なお、債務整理の方法である自己破産に関しては、返還金や徴収金は非免責債権であるため適用されません。ほかに借金がある場合は、自己破産を含む債務整理によってまず借金の総額を減らし、できた余裕を返還金に充てるのが賢明です。

現在は生活保護を脱しているなら、司法書士や弁護士に直接相談し、今なお生活保護を受給中であれば、法的な費用を軽減できる法テラスを活用するのが賢明です。

生活保護を脱していても借金問題を抱え、生活保護の不正受給の返還金や徴収金の請求を受けてしまっている場合は、すみやかにグリーン司法書士法人にご相談ください。借金問題のプロフェッショナルであるグリーン司法書士法人では、個々のケースに応じた解決方法をご提案し、その実行をサポートできます。

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