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賃貸住宅や住宅ローン、カーローンの契約時に必要になる連帯保証人。安定した収入が条件になっているため、「連帯保証人が生活保護になり、契約解除されないか心配」と不安に感じている方がいるかもしれません。
結論から言うと、連帯保証人が生活保護になった場合でも、契約は継続できる可能性が高いです。しかし、誤った対応をすると、契約を解除されるかもしれません。
そこで、適切な対応を取れるように、連帯保証人が生活保護になった場合の手順を3ステップに分けて解説します。賃貸契約のみに絞った内容も説明しているので、ぜひ確認してみてください。
目次 ▼
1章 連帯保証とは
連帯保証人とは、借主の支払いが滞った場合に、代わりに支払う責任を背負った人のことです。借主に返済能力がないケースはもちろん、お金があっても支払いを拒否した場合は連帯保証人に返済請求が届きます。
保証人には「先に債務者に請求するよう主張できる」催告の抗弁権が認められていますが、連帯保証人にはありません。そのため、連帯保証人は借主に返済能力があっても、支払いを求められるケースがあります。
連帯保証人の支払い義務についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
1-1 連帯保証人が必要なケース
支払う金額が大きくなる契約では、連帯保証人の設定を求められるケースがあります。一般的に連帯保証人が必要なケースは、以下の通りです。
- 賃貸住宅
- 住宅ローン
- カーローン
賃貸住宅の契約では、家賃の滞納を防ぐために連帯保証人を設定します。連帯保証人は家賃だけではなく、設備を壊した際の修復費用も支払う責任を負います。
また、一定の条件下でのみ連帯保証人が求められるのが、住宅ローンやカーローンです。同居の夫婦や親子の世帯収入で審査を行う収入合算、同居の夫婦や親子で1つの物件に対して2つのローンを組むペアローンなどの住宅ローンでは、連帯保証人が必要になります。
収入合算は2人の内、債務者1人と連帯保証人1人に分かれます。一方で、ペアローンは2人とも債務者であり、お互いがお互いの連帯保証人です。共働きの夫婦が2人で住宅ローンを組む際の事例を表にまとめているので、イメージを把握するのに役立ててみてください。
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住宅ローン | 債務者 | 連帯保証人 |
---|---|---|
収入合算(夫名義) | 夫 | 妻 |
ペアローン | 夫・妻 | 夫・妻 |
かつてはローンで連帯保証人を用意するのが一般的でした。ただ、延滞が続いた場合に代わりに返済する保証会社の普及によって、現在は不要なケースも増えています。
1-2 連帯保証人の条件
連帯保証人は借主と同等の義務を背負うため、返済能力が求められます。連帯保証人の条件は法律で明確に定義されていませんが、債権者によって一定の範囲に制限されていることが大半です。
- 3親等以内の親族である(両親・兄弟姉妹・叔父叔母など)
- 安定した収入がある
- 日本国内に住んでいる
- 高齢でない(65歳・70歳など上限あり)
- 連帯保証人になることを承諾している
2親等以内の親族に限定している債権者もいるので、契約直前に焦らなくて済むよう事前に確認しておきましょう。年齢も同様に、債権者ごとに条件が異なります。
また、連帯保証人になることを承諾しているかどうかも大事です。勝手に保証人にされた場合の責任と対処法はこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください
2章 生活保護受給中の人は連帯保証人になれない
生活保護を受けている人は、連帯保証人になることができません。
また、連帯保証人が生活保護を受けるようになった場合、その保証契約が無効になる可能性があるため、速やかに対応が必要です。
次の章では、連帯保証人が生活保護を受給することになった場合の対処法を解説します。
3章 連帯保証人が生活保護になった場合の対応を3ステップで対応
「連帯保証人が生活保護になったのだが、賃貸を追い出されないか不安」「住宅ローンの連帯保証人が生活保護になった場合、どのように対応すべきかわからない」こんな方もいるでしょう。
適切に対応すれば、今の生活に大きな影響を及ぼすことはありません。ただ、正しい対処法がわからない方も多いはず。冷静に対応できるように3ステップに分けて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
3-1 大家や借入先に報告する
まずは、賃貸契約であれば大家、ローンであれば借入先に、連帯保証人が生活保護になったことを報告しましょう。一般的な賃貸借契約や金銭消費貸借契約には、連帯保証人の信用が著しく悪化した場合は報告するように明記されています
生活保護を受けることは返済能力がないことを意味するため、この状況に当てはまります。連帯保証人が生活保護になったことを知ったら、なるべく早めに大家や借入先に伝えましょう。
3-2 連帯保証人の変更を検討する
生活保護を受けている人への請求は法的に認められているため、家賃の支払いやローンの返済を滞納すると、連帯保証人に請求が届きます。しかし、生活保護を受けている人は自らの生活で手一杯なはずなので、連帯保証人の変更を検討しましょう。
契約次第にはなりますが、連帯保証人の信用が悪化すると、大家や借主から変更を依頼されるケースが多くなっています。
4章 連帯保証人が生活保護になった場合でも賃貸契約を継続できるケースがある
住宅ローンやカーローンで連帯保証人が不要なケースが増えた現在では、連帯保証人を用意するのは賃貸契約が多くなっています。そこで、ここでは賃貸契約に絞って、連帯保証人が生活保護になった場合の対応を解説します。
4-1 家賃を滞納すると契約解除の恐れがある
連帯保証人が生活保護になった場合でも、家賃を支払えていれば、基本的に賃貸契約は継続できます。入居者の入れ替わりには時間もお金もかかるため、大家としても契約を解除するデメリットの方が大きいからです。
追い出すことによって、次の入居者が来るまで家賃収入も減少してしまいます。そのため、生活保護を受けている人が連帯保証人のままでも、賃貸借契約の内容が厳しくなければ、住み続けられる可能性が高いです。
しかし、家賃を滞納しているとなると、話は変わってきます。連帯保証人が生活保護を受けている以上、代理返済は期待できません。そのため、そのまま3ヶ月以上にわたって滞納すると、大家から契約解除通知書が届く恐れがあります。
4-2 強制退去なら立ち退き料を払ってもらえるケースがある
家賃を3ヶ月以上滞納した場合、大家は明け渡し請求訴訟を行って、強制退去を命じられることがあります。その際に請求されるのは、家賃だけではなく、強制退去にかかった費用(弁護士費用を除く)もです。
ただ、家賃を滞納するほど経済的に苦しい入居者に請求しても、支払ってもらえない可能性が高く、あまり意味がありません。それどころか引越しに必要なお金も用意できないため、スムーズに退去してもらうために、引越し料金をもらえるケースもあります。
また、家賃を延滞していないものの連帯保証人を用意できないことで契約解除となった際は、大家都合の退去扱いになります。そのため、入居者は相場である家賃半年~1年分の立ち退き料を受け取ることが可能です。
5章 連帯保証人を用意できない場合の対処法
生活保護になった連帯保証人の変更を大家から請求されたが、代わりの人を用意できないというケースもあるでしょう。そのような場合でも、対処法を知っていれば、賃貸契約を継続できます。
- 連帯保証人を用意できない場合の対処法
-
- 賃貸保証会社(家賃保証会社)
- UR賃貸住宅
賃貸保証会社(家賃保証会社)とは、入居者が家賃を支払えなくなった際、代わりに支払う責務を背負ってくれる会社のことです。初年度は家賃の0.5~1カ月分を支払うことで、賃貸保証会社が連帯保証人と同等の役割を果たしてくれます。なお、家賃を問題なく支払えていると保証会社からの信用度が高くなるため、2年目以降の保証料は安くなるのが一般的です。
また、UR賃貸住宅では、連帯保証人の用意、賃貸保証会社への加入ともに必要ありません。礼金や仲介手数料、更新料も不要なので、経済的な負担を抑えながら住まいを契約できます。
まとめ
連帯保証人が生活保護になった場合の対応について解説しました。一般的に、連帯保証人の信用が著しく悪化した場合は、大家や借入先に報告するように契約で定められています。
黙ったまま契約し続けているとトラブルに発展する可能性もあるので、把握した時点で債権者に報告するようにしましょう。
報告後に求められる対応は、債権者によって異なります。ただ、適切に返済していれば、急に契約を解除される心配はほとんどありません。
もし、連帯保証人がいなくなったことで強制退去を命じられると大家都合になるので、家賃の半年~1年分の金額を立ち退き料として受け取れることを知っておいてください。
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よくあるご質問
- 生活保護者は連帯保証人になれる?
- 連帯保証人は安定した収入があることが求められるため、原則として生活保護の人は連帯保証人になることはできません。
- 連帯保証人になるデメリットとは?
- 連帯保証人になるデメリットは、下記の通りです。
・主債務者と同じ責任を負う
・主債務者が債務整理をすると一括請求を受ける
・主債務者からお金が返ってくる可能性は低い
・一度連帯保証人になったら外れるのが難しい
▶連帯保証人になるデメリットについて詳しくはコチラ