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債権が債権回収会社に譲渡または委託された場合には、取引先の金融機関などから連絡が来ることはなく、代わりに債権回収会社から唐突に文書などの形で連絡がきます。
この債権回収会社が持つ債権は、必ずしも支払わなければならないのでしょうか?
実は債権回収会社の債権には時効があり、時効の期間を過ぎたタイミングで時効の援用を行えば、債権を支払う必要はなくなります。
ここでは債権回収会社がもつ債権の時効と、その援用方法などについて解説していきます。
- 債権回収会社の債権には時効がある
- 時効の援用ができるタイミングと消滅時効を確定させる方法
- 時効の中断(更新)または完済猶予する方法
目次 ▼
1章 債権回収会社の債権にも時効がある
債権回収会社とは、一般的に金融機関などから債権回収の委託を受けたり債権を譲渡されたりして、その債権を回収する会社のことを言います。
なんとなく債権回収会社に怖いイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、一定の条件を満たし法務大臣の許可を受けないと設立できないので、怖い会社ではありません。
一般的に、債権には一定期間経過すると支払い義務を消滅させられる「消滅時効」という制度があります。
債権回収会社に譲渡または委託された債権にも、時効があります。
債権回収会社の債権は最後の返済期限から5年以上経過していれば、返済を行わなくてもよくなるケースがあります。
ただし、不法行為に基づく損害賠償請求権など特殊な債権については、別途規定が設けられているため、一般的な債権とは異なる時効が適用されます。
2章 債権が債権回収会社に譲渡または委託された場合に時効援用ができるタイミング
債権が金融機関などから債権回収会社に移った場合でも、最終取引(返済)から5年以上経過していれば、時効の援用ができるケースがあることは前述しました。
その理由は、債権譲渡は時効の更新や中断の理由にあたらないからです。
債権が譲渡されるタイミングはさまざまで、最後の返済期限から5年以内に譲渡される場合もあれば5年経過後に譲渡されることもあります。
この譲渡された債権が、最後の返済期限から5年経過した後のものであれば、時効になっている可能性が高いです。
このように最後の返済期限から5年経過した場合には、早い段階で時効の援用を行うために消滅時効の援用通知を債権回収会社に送付するようにしましょう。
ただし債権回収会社は債権回収のプロであるため、この時効についても熟知していると考えられるので、この2つの時効期間が過ぎてしまうことはまずないと考えてよいでしょう。
3章 民法改正によって変更された消滅時効のルール
ここでは、民法が2017年に改正され2020年4月より施行されたことによって、消滅時効のルールが大きく変更されました。
ここでは、その変更点について解説していきます。
3-1 客観的起算点による時効・主観的起算点による時効
民法改正によって、時効のカウント法が客観的起算点による時効と主観的起算点による時効の2つに設定されました。
この2つの概要は、「権利を行使することのできる時から10年間」と「権利を行使することができると知った時から5年間」というものです。
しかし、権利を行使することのできる時から10年という客観的起算点が適用されることはまれです。
基本的には債権回収会社の持つような債権、いわゆる借金については5年と考えておけば大丈夫です。
なぜなら、債権回収会社や消費者金融業者が、いつから権利を行使できるか知らないわけがないからです。
3-2 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効
不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年」「不法行為の時から20年」とされており、消滅までの期間は旧民法と変わりはありません。
ただし、不法行為のと時から以上経過しても、時効の援用を行わないと時効を主張できないと定められました。
3-3 生命・身体の侵害による損害賠償権の消滅時効
改正民法では、生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効が延長されました。
具体的には、損害及び加害者を知った時から5年となっています。
また、債務不履行により生命・身体を侵害した場合についても、損害賠償請求権の時効期間は権利が行使できる時から20年間と規定されました。
3-4 民法改正の時効が適用される時期
改正民法の時効が適用される時期は、令和2年4月1日以降です。
この日以降に発生した債権には、この改正民法が適用されます。
4章 消滅時効を確定させるためにすべきこと
債権会社の債権の時効が成立する期限を過ぎても、自動的に消滅時効が確定するわけではありません。
消滅時効は、債務者が消滅時効の制度を利用することを主張(援用)して初めて確定します。
その方法のひとつとして、消滅時効を主張(援用)するための内容証明郵便を債権回収会社に送付するというものがあります。
口頭で消滅時効を主張(援用)しても法律的には有効であると判断されますが、後で「言った・言わない」という水掛け論になることも多いため、トラブルを防ぐためにも必ず内容証明郵便により消滅時効の主張(援用)を行うようにしましょう。
内容証明を用いて消滅時効の主張(援用)を主張する場合には、専門家に相談することをおすすめします。
5章 時効の中断(更新)または完済猶予するために債権回収会社がとる方法
債権回収会社の債権には時効がありますが、以下に解説する方法で時効を中断したり更新したりすることができます。
債権回収会社も時効を迎える前に債権を回収したいと思っているので、以下のような手段をとることは珍しくありません。
ここでは、債権回収会社が時効を止めるまたは伸ばすために行う方法について解説していきます。
5-1 裁判や督促をしてくる
債権回収会社が、民事訴訟を起こしてくることがあります。
これには時効期間が成立していても、時効の援用がなされない限りは債権回収会社が民事裁判を起こしてくるケースもあります。
このような場合でも時効の期間が経過していた場合には、督促意義や答弁書での時効援用を行うことで取り下げられるケースがほとんどです。
民事訴訟を起こされた場合には、放置しないことが大切です。
放置すると、債権回収会社の請求をそのまま認める判決が出ます。
5-2 内容証明などで催告する
債権回収会社が内容証明郵便を使って債務者に督促状を送るなどの方法で催告を行うことで、時効の完成が最大6か月間猶予されます。
5-3 債務の支払いについて協議を行う
債権回収会社が債務者に「支払い(もしくは返済)について協議しよう」という話を持ち掛け、債務者がそれを受け入れる意思を示せば、協議を行う旨の合意を取り付けたとみなされます。
この合意を取り付けた時から1年間、あるいは1年以上の合意をした場合には、時効の完成が猶予されます。
この合意は書面もしくはメールで行われますが、署名・押印は不要となります。
6章 債権回収会社に時効の援用を行う場合には専門家に相談するのがベスト
債権回収会社の債権の時効の援用を行う際には、その旨を内容証明郵便を用いて債権回収会社に送付する必要があります。
消滅時効が確定するまでの期間は5年とされていますが、何らかの理由でその期間が延長されていることもあります。
このような理由から、債権回収会社の債権が消滅時効を迎えているかよいうことを一般の人が判断するのは難しいこともあります。
そのため、債権回収会社から債権譲渡などの文書が届いた時点で専門家に相談することをおすすめします。
グリーン司法書士法人では、初回の相談は無料で行っているのでまずは相談してみてはいかがでしょうか。
また電話やメールでの相談も可能なので、実際に訪れることが難しかったり時間を捻出できない方もお気軽に相談していただくことが可能です。
債権回収会社から書類が届いたら、まずはグリーン司法書士法人へご相談ください。
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