【法改正対応】法定金利は何パーセント?約定金利との違いとは?

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
【法改正対応】法定金利は何パーセント?約定金利との違いとは?

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悩む男性
悩む男性
ネットで調べごとをしていたら、法定金利が3%という内容を見つけました。でも、私の借金には15%程度の金利が課されています。これはどういうことなのでしょうか?
司法書士
司法書士
法定金利とは、法律で定められている金利で、おっしゃるとおり3%とされています。しかし、借り入れをする際の金利は契約の上で決定します。これを約定利率といいます。法定金利よりも約定利率が優先されるため、借金には15%程度の金利を課すことができるということです。

法定金利(法定利率)とは、法律で定められている利率のことで、2023年現在では3%とされています。

通常、銀行や消費者金融などから借り入れをする場合には契約で利率(約定利率)が定められているため、法定利率が適用されることはほとんどありません。

「法定利率がは3%なのに、借り入れに15%の利率が課されるのはおかしいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、貸金業者から借り入れをする場合には契約で定められている約定利率が優先されますので、おかしいことはなにもありません。

なお、法定利率は3年に一度見直されます。この記事では、法定金利(法定利率)の概要や、法改正で変更されることなどについて解説します。

1章 法定金利は3パーセント!そもそも法定利率とは?

法定金利とは、民法で定められている利率のことで、民法上では法定金利ではなく「法定利率」とされています。(以降は、「法定利率」とします)

法定利率は3年毎に見直されますが、2023年現在は年3%です。

1−1 貸金業者からの借入れには法定利率ではなく約定利率が適用される

通常、貸金業者などからの借り入れの課される利率は、契約の上で決定します。これを「約定利率」といいます。貸金業者は、貸付に対して利息制限法の範囲内で金利を決定することが可能です。

利息制限法における金利の上限は以下のとおりです。

借金額法律上の上限金利
10万円未満年20.0%
10万円以上100万円未満年18.0%
100万円以上年15.0%

1−2 法定利率が適用されるケース

では、どのようなときに法定利率が適用されるのでしょうか? 考えられるケースは以下のとおりです。

  • 個人間の貸し借り
  • 企業間の取引
  • 損害賠償や慰謝料、養育費の遅延損害金

とはいえ、上記のケースでも利息を支払う契約をしているのであれば約定利率を取り決めていることがほとんどかと思います。

しかし、貸金業者のように専門的な知識なく金銭のやり取りをする場合には利息の利率について取り決めをしていないこともあるでしょう。

そのようなケースでは、利息は法定利率に則って請求することになります。

法定利率は、「契約で利率を定めていないときでも課すことができる利息」と考えておくと良いでしょう。

2章 法改正で変更された法定利率に関すること

前述した通り、法定利率は3年ごとに見直されます。2023年にも見直しはされたものの、大きな変更はありませんでした。一方、2020年4月には利率だけでなく制度自体も改正されています。

具体的には以下のとおりです。

  • 法定利率が3%に変更
  • 商法の法定利率が廃止され3%に統一された
  • 法定利率が3年に一度見直されることになった
  • 法定利率の適用時期が明文化された
  • 中間利息控除への法定利率の適用

それぞれ詳しく解説します。

2−1 法定利率が3%に変更

2020年の法改正により、法定利率が年5%から年3%に変更されました。

ただし、新しい利息が適用されるのは、2020年4月1日以降に契約をしたものに限ります。2020年3月31日以前の契約については従来どおり年5%のままですのでその点は理解しておきましょう。

2−2 商法の法定利率が廃止され3%に統一された

以前までは、民法と商法では定められている法定利率が異なりました。

民法では年5%であったのに対し、商法では年6%とされていたのです。(商法の利率が適用されるのは、企業間の取引などの商行為による債務)

2020年の法改正では、商法の法定利率が撤廃され、民法と統一の年3%と定められました。

2−3 法定利率が3年に一度見直されることになった

2020年の法改正以降、法定利率は3年に一度見直されることになりました。これは、市場金利と大きくかけ離れたことが理由です。

過去5年分の国内の銀行が短期で貸し付けたときの利率の平均値を出し、前回の利率と比較してその平均値から1%の差が開いた場合には1%刻みで増減し、1%未満の場合には変動しません。

このように変動のルールも明文化されているため、予測しやすくなりました。

2−4 法定利率の適用時期が明文化された

法定利率が3年に一度変動されるようになったことから、変動した利率がどのタイミングから適用されるかどうか争いが発生してしまうリスクが生じます。

そこで、法定利率の適用時期が、「利息が生じた最初の時点の法定利率が適用される」と明文化されました。

つまり、2020年3月31日以前の借り入れの契約をした場合には、現在の3%の利率は適用されるのではなく、契約が成立した時点での利率が適用されるということです。

2−5 中間利息控除への法定利率の適用

将来受け取るべきお金を前払いしてもらうようなケースでは、前払いをしてもらう人は本来受け取るはずの時点まで発生する利息を差し引くことが可能です。

お金の受け取り時期が早まることで、当事者間に不公平が生じてしまいます。そのため、金額を下げることで不公平をなくす対処をするのが通例です。これを「中間利息控除」と言います。

法改正前は、この中間利息控除に関する規定はありませんでしたが、改正後は法定利率が適用されると明文化されました。

3章 まとめ

法定利率とは、民法で定められた利率で、2023年時点では年3%とされています。

しかし、貸金業者からの借り入れの場合、契約にて定めた約定利率が適用されますので、法定利率が適用されることはありません。

法定利率が適用されるのは以下のような場面で、約定利率を定めていないケースです。

  • 個人間の貸し借り
  • 企業間の取引
  • 損害賠償や慰謝料、養育費の遅延損害金

また、法定利息は3年ごとに見直される事になりました。今後3年ごとに変動する可能性があるということを知っておくと良いでしょう。

とはいえ、法定利率の見直しを気にするだけでなく、借入時の約定利率を確認し無理のない借入をすることを心がけましょう。

約定金利は年15~20%と高く設定されてることが多く、法定利率よりも利息負担が多くなる可能性も十分にあるからです。

貸金業者などからの借入には約定利率が適用されるため、消費者金融や銀行から借入をした時には約定利率を意識するようにしましょう。

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法定利率とは何パーセントですか?
法定金利とは、民法で定められている利率のことで、民法上では法定金利ではなく「法定利率」とされています。(以降は、「法定利率」とします)
法定利率は3年毎に見直されますが、2023年現在は年3%です。
法定利率について詳しくはコチラ
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