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自身が連帯保証人になっていると、住宅ローンの審査に影響があるのではないかと不安に思いますよね。
結論からいうと、連帯保証人になっているからといって必ずしも住宅ローンの審査に落ちるわけではありません。
連帯保証人は主債務者と同じ責任を負う立場であり、万が一主債務者が返済を怠るなどした場合には、借金を返済する義務が生じます。
銀行などはローンの審査をする際に連帯保証人になっていることを確認しますので、審査に影響するでしょう。場合によっては審査に落ちる原因になることもあります。
とはいえ、連帯保証人である事実以上に、返済能力が高いというプラス要素が高ければ審査に通る可能性はあるので、諦める必要はありません。
一方、住宅ローンを組むときに連帯保証人を立てなければいけないのか気になっている方もいるでしょう。
住宅ローンを組む際には原則連帯保証人は不要ですが、必要になるケースもあります。
この記事では、
- 自身が連帯保証人になっているときの住宅ローンへの影響
- 住宅ローンを組む際に連帯保証人は必要か?
- 住宅ローンで連帯保証人が必要なケース
について解説します。
目次 ▼
1章 連帯保証人とは?
まず、前提として「連帯保証人とはなにか」について解説します。
連帯保証人とは、主債務者(借金をしている人)が返済できなくなった場合に、主債務者と同様に返済義務を負う人です。
そのため、債権者(お金を貸している人)が連帯保証人に支払いを求めた場合、連帯保証人にはそれを拒否する権利がありません。
似たもので「保証人」がありますが、連帯保証人とは背負う責任が違います。「保証人」はあくまで「主債務者の代わりに借金を返済する」役割を持つ人です。
具体的にいうと、保証人には連帯保証人と違って以下の権利があります。
- 催告の抗弁権・・・支払いを求められた際に「まずは主債務者に請求してください」と反論する権利
- 分別の利益・・・保証人が複数人いる場合には、その人数で割った分だけ支払えばよい
- 検索の抗弁権・・・支払いを求められた場合に、主債務者に差押えできる財産があることを証明することで、支払いを拒否できる権利
連帯保証人には上記の権利がないため、原則として支払いを拒否できませんし、連帯保証人が何人いたとしても、全員がすべての返済義務を負わなければいけません。
2章 連帯保証人であることは住宅ローンの審査に影響する可能性がある
自身が誰かの連帯保証人になっている場合、住宅ローンの審査に影響する可能性があります。
ただし、影響するからといって必ずしも審査に落ちるわけではありません。
連帯保証人になっている借金の金額や本人の収入、勤続年数、返済能力など様々なことが加味されて審査が行われるからです。
連帯保証人になっているネガティブな要素を補填できるだけの信用があれば審査に通ることは往々にしてあります。
以下では、連帯保証人であることが審査に影響する理由について解説します。
2−1 連帯保証人になると信用情報に登録される
連帯保証人になると、その情報が信用情報機関に登録されます。 信用情報機関とは、クレジットカード会社や銀行などから提供された信用情報を管理している機関で、これには、借入れや返済、滞納などの履歴が登録されます。
したがって、住宅ローンやその他の借入審査を申し込む際には、金融機関に連帯保証人になっている事実がほぼ確実にばれてしまうことを理解しておきましょう。 ただし、連帯保証人になっていることが常に悪影響として働くわけではなく、ローンの審査への影響は金融機関によって異なります。
2−2 連帯保証人は原則外れることができない
一度、連帯保証人になってしまうと、原則として外れることはできません。
稀に、債権者の同意が得られたり、代理で連帯保証人を立てられたりすれば外れる可能性はあります。しかし、通常は外れられないと考えておくべきでしょう。
そのため「住宅ローンの審査をするから、連帯保証人をやめよう」と簡単にやめられるものではありません。
3章 住宅ローンは連帯保証人がいなくても組める?
一方で、住宅ローンを組む際に「連帯保証人は必要?」「連帯保証人を用意できそうにないけど大丈夫だろうか」と心配されている方もいらっしゃるでしょう。
結論から言いますと、住宅ローンを組むときには、原則として連帯保証人は必要ありません。
ここでは、その理由や連帯保証人が必要となるケースについて解説します。
3−1 保証会社の利用で問題ないことがほとんど
住宅ローンの契約をする際、連帯保証人を用意するよう言われることはほとんどありません。
連帯保証人のみに頼ってしまうと、万が一連帯保証人に請求した後、自己破産されてしまったときに債権者は回収することができなくなってしまいます。
その点、保証会社であれば、ほぼ確実に支払われなかったお金を補填してくれるため、債権者側としても都合がよいのです。
そのため、住宅ローンの契約時には、保証会社を利用するように言われることがほとんどで、連帯保証人を用意するように言われることはほとんどありません。
3−2 連帯保証人が必要なケース
例外的に、連帯保証人を求められるケースもあります。住宅ローンで連帯保証人が求められるケースとしてよくあるのが以下のケースです。
- ペアローンや収入合算でローンを申し込む
- 親名義の土地に家を建てる
- 借入れの審査内容に問題がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3−2−1 ペアローンや収入合算でローンを申し込む
親や配偶者とペアローンを利用するケースや、収入合算でローンを申し込むようなケースでは、お互いが連帯保証人になるのが一般的です。
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ローンの形式 | 概要 | |
---|---|---|
収入合算 | 一人では住宅ローンの審査の条件に満たしていないような場合に利用する方法。 配偶者や親など、同じ世帯の人と収入を合算してローンを申し込みます。 収入合算には「連帯債務型」と「連帯保証型」の2種類があります。 | |
連帯債務型 | 収入合算する人全員が連帯して債務者になる方法 | |
連帯保証型 | 収入を合算する者の一方が債務者となり、もう一方は連帯保証人となる方法 | |
ペアローン | 同居している配偶者や親などと一緒にローンを組む方法。通常のローンとは違い、一つの住宅に対してローン契約が2つ存在する形になります。 ペアローンでは、お互いが連帯保証人になるのが一般的です。 |
この場合、トラブルとなりやすいのが、夫婦で収入合算またはペアローンで組んだものの、後々離婚してしまうケースです。
離婚したからといって連帯保証人から外れられるわけではありませんので注意してください。
3−2−2 親名義の土地に家を建てる
親名義の土地に住宅ローンを利用として家を建てる場合、土地の所有者である親を連帯保証人にするのが一般的です。
さらに、親名義の土地に建てる場合、建築する建物だけではなく、親名義の土地も担保に組み込まれるので注意しましょう。
3−2−3 借入の審査内容に問題がある
保証会社などの利用のみでOKとされている住宅ローンでも、申し込む人の審査内容に問題がある場合には連帯保証人をつけるよう求められる可能性があります。
「収入が少し足りない」「他に借金がある」など、審査に引っかかる可能性がある項目がある場合には注意しましょう。
連帯保証人を付ける場合、連帯保証人の信用情報も審査に影響します。
ペアローンや収入合算、親の土地に家を建てるといった場合には連帯保証人を他の人にするわけにはいきません。
連帯保証人になるであろう人に、滞納歴などがある場合には審査に落ちてしまう可能性がありますので注意してください。
3−3 住宅ローンで連帯保証人を求められたら
上記で解説した、ペアローンや親名義の土地に家を建てるケースではお互いが連帯保証人になるのが原則ですので、受け入れてもよいでしょう。
一方、通常の住宅ローンで連帯保証人を求められた場合には、慎重に検討する必要があります。自身の収入が原因で連帯保証人を求められているのであれば、物件を再考したほうがいいかもしれません。
もし、どうしても連帯保証人をつけるのであれば、連帯保証人とトラブルになるリスクについても考えておきましょう。
連帯保証人には自分と一蓮托生になることを覚悟してもらう必要があります。しっかりと説明をした上で頼むようにしましょう。
4章 住宅ローンの審査に落ちたときの対処法
住宅ローンの審査に落ちる理由は様々です。また、その原因について明確に知らせてもらうことはできません。
連帯保証人になっている方はそれが原因かもしれませんし、連帯保証人を指定した場合にはその連帯保証人が原因かもしれません。
とはいえ、自身の場合でも第三者の場合でも、連帯保証人の問題を即座に解決することはできません。
もし、連帯保証人以外にも原因に心当たりがある場合にはそれらを一つずつ解決していくことが大切です。
4−1 他の借入れを完済する
借金やカーローン、リボ払いなど、借入れがある場合には審査に落ちる可能性があります。
そのため、現在何かしらの借入れがある場合にはそれをすべて完済してから改めて申し込みましょう。
なお、残高がゼロになってもカードを解約していないとずっと事故情報が載る可能性があるため、事故情報が載っているのであれば完済後に解約しておきましょう。
なお、事故情報がないクレジットカードであれば解約する必要はありません。
4−2 勤続年数を延ばす
就職してから間もなかったり、転職したばかりだったりすると審査に落ちる可能性があります。
勤続年数の目安としては1年以上とされています。また、転職回数が多いのも審査落ちの原因になりますので、転職を何度もしている方は今の会社になるべく長く務めるようにすることが大切です。
即座に解決できる問題ではありませんが、勤続年数が短い方は、しばらく勤めてから改めて申し込むのがよいでしょう。
4−3 収入を増やす/頭金を増やす
ローンの金額に対して収入が少ないと審査には通りません。年収に対する借入額の目安は、年収の5倍程度です。例えば、年収500万円の人であればローンの目安は2,500万円程度。
購入する住宅の金額を下げるのが難しいのであれば年収を増やすか、頭金を増やすしかありません。
とはいえ、自身の年収を一朝一夕で増やすのは難しいでしょう。その場合は、夫婦で共働きにしてペアローンなどを利用すれば世帯年収を目安としてローンを申し込むことが可能です。
ただし、出産や育児のための退職、子供の教育費、親の介護費など、どちらかが働けなくなったり収入が減ったりする想定しておかないと将来的に厳しくなる可能性がありますので、しっかりライフプランを考えるようにしましょう。
4−4 借入額を減らす
ローンの審査に落ちた場合、ローンの金額が収入に見合わない可能性があります。
住宅ローンは今後何年もかけて返済していくものですので、身の丈に合った契約をするべきです。
予算をすこし低くして、改めて物件を探してみましょう。
4−5 債務整理をする
前述したように、借金があると審査に通らない可能性が高いです。
完済できるのであればよいですが、それが難しい場合には債務整理も検討しましょう。
ただし、債務整理をすると信用情報機関に事故情報として登録され、最低でも5年間は住宅ローンの審査に通ることはありません。
とはいえ、借金を滞納していたり、返済がぎりぎりの状況を続けたりするよりは、一度借金をきれいにしてから住宅ローンを組むべきでしょう。
債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3種類があります。
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4−5−1 自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てることで借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
借金がすべてなくなる分、一定以上の所有する財産は裁判所によって処分されるリスクがあります。
借金が高額の方や、収入がない(少ない)方には自己破産が適しています。
4−5−2 個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てることで借金を5分の1〜10分の1程度に減額し、それを原則3年で完済する手続きです。
個人再生の場合、手続き後も返済が続きますので、安定した収入が必要となります。
なお、事故情報が消えるのは「完済してから5年程度」ですので、8年程度は住宅ローンが組めないことは理解しておきましょう。
4−5−3 任意整理
任意整理とは、債権者と交渉することで将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。
個人再生や自己破産とは違い、裁判所を通すことはありませんので手続自体は比較的手軽で、労力もかかる時間も少ない傾向があります。
ただし、あくまで利息がなくなるだけで借金は残るため、個人再生と同じように、手続き後に完済してから5年程度は住宅ローンが組めませんのでその点は留意しておきましょう。
5章 まとめ
住宅ローンの審査では年収や借入額、これまでの返済実績など様々な点が判断基準となり、連帯保証人であることもその一つです。
また、住宅ローンは原則として連帯保証人は不要ですが、ペアローンを組む場合などにペアの相手とお互いが、親の土地に家に家を建てる場合には親が連帯保証人になるのが一般的。
連帯保証人の信用情報も審査に考慮されますので、連帯保証人になる人の状況も考慮しておかなければいけません。
連帯保証人に関することで審査に落ちてしまったのであればすぐに対処するのは難しいかもしれませんが、他にも原因があればそれを解決することで審査に通る可能性はあります。
例えば、自身に少しでも借金があるのであればそれを完済したり、頭金を増やしたり、できることから始めるとよいでしょう。
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よくあるご質問
- 住宅ローンに連帯保証人は必要?
- 住宅ローンを組む際には保証会社を利用するため、連帯保証人が必要ないことがほとんどです。
ただし、下記の内容では連帯保証人が必要な場合が多いです。
・ペアローンや収入合算でローンを申し込む
・親名義の土地に家を建てる
・借入れの審査内容に問題がある
住宅ローンの連帯保証人について詳しくはコチラ
- 住宅ローンの連帯保証人になるデメリットは?
- 連帯保証人になるリスクは、主に下記の通りです。
・主債務者と同じ責任を負う
・主債務者が債務整理をすると一括請求を受ける
・主債務者からお金が返ってくる可能性は低い
・一度連帯保証人になったら外れるのが難しい
連帯保証人になるリスクについて詳しくはコチラ
- 連帯保証人になると住宅ローンの審査に通りにくくなりますか?
- 連帯保証人になると信用情報機関に情報が登録されるため、金融機関によって住宅ローンの審査に通りにくくなる恐れがあります。