家賃の遅延損害金はいくら?滞納時の計算方法と利率の上限を解説

司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】札幌司法書士会 登録番号札幌第1092号 / 北海道行政書士会所属 登録番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
家賃の遅延損害金はいくら?滞納時の計算方法と利率の上限を解説

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家賃の支払いが期日に遅れると、遅延損害金が発生します。
この金額は、滞納した家賃に対して一定の利率をかけて計算され、滞納日数が長くなるほど増えていきます。

この記事では、家賃を滞納した場合に遅延損害金がいくらになるのか、具体的な計算方法や法律で定められた利率の上限について解説します。

遅延損害金については以下の記事で解説しています。

目次

1章 家賃の遅延損害金とは?家賃滞納で発生するペナルティ

家賃の遅延損害金とは、定められた期日までに家賃を支払わなかった場合に発生する、一種のペナルティです。
これは、支払いが遅れたことによって貸主が被る損害を賠償するためのお金で、法律上の債務不履行による損害賠償金にあたります。

借入金の返済が遅れた際に発生する遅延利息と似た性質を持ち、支払期日を過ぎてから支払いが完了する日までの期間に応じて金額が加算されます。

1-1 支払期日の翌日から1日単位で加算される

遅延損害金は、家賃の支払期日の翌日から発生し、実際に支払うまで1日単位で加算されていくのが原則です。
計算は日割りで行われるため、滞納期間が長引くほど支払うべき金額は大きくなります。

例えば、家賃の支払日が月末で、翌月の1日に支払った場合、1日分の遅延損害金が発生する可能性があります。

たとえ数日の遅れであっても、契約に基づき請求されることがあるため注意が必要です。

1-2 賃貸借契約書に記載がなくても支払い義務が生じる

遅延損害金に関する取り決めが賃貸借契約書に明記されていない場合でも、支払い義務がなくなるわけではありません。
民法では、金銭の支払いが遅れた場合、債務者は遅延損害金を支払う義務があると定められています。

契約書に記載がない場合は、法律で定められた「法定利率」に基づいて遅延損害金が計算され、請求されることになります。

したがって、「契約書に書いていないから払わなくてよい」ということにはなりません。

遅延損害金に関する契約書の記載については以下の記事で解説しています。

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2章 家賃の遅延損害金はいくら?利率の上限と計算方法を解説

家賃の遅延損害金の計算は、「滞納家賃×利率×滞納日数÷365日」という式で行います。
この計算に用いる利率には法律で上限が定められており、契約書に記載されている利率がそのまま適用されるとは限りません。

自身の状況でいくらになるのかを把握するため、利率の上限や契約内容に応じた計算方法を理解しておくことが重要です。

2-1 遅延損害金の利率上限は消費者契約法により年14.6%

家賃の遅延損害金の利率は、消費者契約法によって年利14.6%が上限として定められています。
これは、家賃の支払いを事業として行う不動産会社や大家と、消費者である入居者との契約が消費者契約にあたるためです。

もし賃貸借契約書に年14.6%を超える利率が記載されていても、その超過分は無効となり、上限である14.6%で計算されます。

法外な利率を請求された場合は、応じる必要はありません。

2-2 契約書に利率の記載がない場合は法定利率の年3%が適用される

賃貸借契約書に遅延損害金の利率に関する記載が一切ない場合は、民法で定められた法定利率が適用されます。
現在の法定利率は年3%です。

今後、市中の金利動向に合わせて変動する可能性があります。

契約書に記載がある場合はその利率が優先され、記載がない場合のみ法定利率が用いられると覚えておきましょう。

2-3 滞納日数と家賃別の遅延損害金のシミュレーション

実際に遅延損害金がいくらになるか、具体的な計算方法を用いてシミュレーションします。

計算式は「滞納家賃×利率(年率)×滞納日数÷365日」です。
ここでは、家賃7万円の物件で、上限利率の14.6%が適用されるケースを想定します。

10日間滞納した場合:70,000円×0.146×10日÷365日=約279円
30日間滞納した場合:70,000円×0.146×30日÷365日=約838円
60日間滞納した場合:70,000円×0.146×60日÷365日=約1,676円

3章 家賃を滞納してしまった場合に起こる4つのリスク

家賃の滞納は、遅延損害金の支払いだけで済む問題ではありません。
滞納を放置すると、日常生活に影響を及ぼすさまざまなリスクが発生します。
不動産会社や大家との信頼関係が悪化し、最終的には現在の住まいを失う可能性も否定できません。

賃貸物件に住み続けるためには、これらのリスクを正しく理解し、早期に対応することが不可欠です。

家賃滞納のリスクについては以下の記事で解説しています。

3-1 滞納から1週間以内に電話や書面で督促が届く

家賃の支払期日を過ぎると、通常は数日から1週間以内に管理会社や大家から電話やメールで支払いの確認連絡が入ります。

それでも支払いが確認できない場合、自宅に督促状が郵送されます。
この書面には、滞納している家賃と遅延損害金の合計額、そして支払い期限が記載されています。

この段階で誠実に対応すれば、大きなトラブルに発展することは少ないですが、無視し続けると次の段階へ進んでしまいます。

3-2 滞納1ヶ月以上で連帯保証人に連絡が入る

滞納が1ヶ月以上に及ぶと、契約者本人だけでなく連帯保証人にも連絡が入ります。

連帯保証人は、借主本人と同等の支払い義務を負っているため、管理会社や大家は連帯保証人に対して滞納家賃の支払いを請求できます。

親族などに保証人を依頼している場合、金銭的な迷惑をかけるだけでなく、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

3-3 滞納3ヶ月以上で契約解除となり強制退去の可能性も

家賃滞納が3ヶ月以上続くと、貸主と借主の「信頼関係が破壊された」と判断され、不動産賃貸契約の解除手続きが開始されるのが一般的です。

内容証明郵便で契約解除通知が送付され、それでも支払いや明け渡しに応じない場合は、裁判所に「建物明渡請求訴訟」を提起されます。

裁判で敗訴が確定すれば、強制的に退去させられることになります。
これはUR賃貸住宅のような公的な物件でも同様です。

家賃滞納による強制退去については以下の記事で解説しています。

3-4 保証会社の利用で信用情報に傷がつく(ブラックリスト入り)

近年では、連帯保証人の代わりに家賃保証会社の利用を必須とする物件が増えています。
家賃を滞納すると、この保証会社が家賃を立て替えて大家に支払います。
その後、入居者は保証会社から立て替え分を請求されることになります。

信販系の家賃保証会社を利用している場合、この代位弁済の事実が信用情報機関に事故情報として登録され、いわゆるブラックリスト入りの状態になるため注意が必要です。

家賃滞納が信用情報に与える影響については以下の記事で解説しています。

4章 家賃の支払いが遅れそうなときの正しい対処法

もし家賃の支払いが難しい状況に陥ったとしても、何もせずに放置するのは最も避けるべきです。
問題が深刻化する前に、適切な行動をとることで、解決の道筋を見つけることができます。

ここでは、家賃の支払いが遅れそうになった場合に取るべき、具体的で正しい対処法を紹介します。

家賃を滞納したらすぐ相談するべき理由については以下の記事で解説しています。

4-1 支払えないと分かった時点ですぐに大家や管理会社へ連絡する

最も重要なのは、家賃を支払えないと分かった時点で、すぐに大家や管理会社に連絡することです。

支払期日を過ぎてから連絡するのではなく、事前に正直に状況を説明し、謝罪することが信頼関係を維持する上で不可欠です。
その際、いつまでに支払えるのか具体的な日付を伝えることで、支払う意思があることを示せます。

4-2 分割払いや支払期限の延長が可能か相談する

大家や管理会社へ連絡する際には、ただ謝罪するだけでなく、具体的な支払い計画について相談しましょう。

一時的な資金不足が原因であれば、滞納分を分割で支払えないか、あるいは支払期限を少し延長してもらえないか交渉の余地があります。

支払いの意思と誠意ある態度を示すことで、柔軟に対応してもらえる可能性が高まります。

4-3 国や自治体の公的支援制度の利用を検討する

失業や病気などが原因で家賃の支払いが困難になった場合、公的な支援制度を利用できる可能性があります。

代表的なものに、市区町村が家賃相当額を支給する「住居確保給付金」があります。
受給には一定の要件がありますが、対象となれば大きな助けになります。

まずはお住まいの自治体の窓口に相談し、利用できる制度がないか確認してみましょう。

4-4 現在の家賃が負担なら安い物件への引っ越しも選択肢

もし家賃の滞納が一時的なものではなく、慢性的に続いているのであれば、現在の収入に対して家賃が高すぎることが原因かもしれません。
この場合、根本的な解決策として、より家賃の安い物件へ引っ越すことも真剣に検討すべきです。

固定費である家賃を下げることで、生活に余裕が生まれ、滞納のリスクを減らすことができます。

5章 家賃の遅延損害金に関するよくある質問

家賃の遅延損害金については、発生条件や利率の妥当性など、さまざまな疑問が生じやすいものです。
ここでは、特に多く寄せられる質問について、簡潔に回答します。

Q.家賃の支払いが1日でも遅れたら遅延損害金は発生しますか?

法律上は、支払期日の翌日から1日でも遅れれば遅延損害金は発生します。
しかし、実務上は数日の遅れであれば請求されないことも多いです。

ただし、契約に基づき請求された場合には支払い義務が生じるため、遅れる際は事前に管理会社へ連絡することが賢明です。

Q.遅延損害金の利率が14.6%を超えていました。違法ではないですか?

消費者契約法により、家賃の遅延損害金の利率は年14.6%が上限です。
したがって、それを超える利率が契約書に記載されていても、超過した部分は無効となります。

万が一、上限を超える利率で請求された場合は、その金額を支払う義務はありません。

Q.遅延損害金を支払わないと、最終的にどうなりますか?

遅延損害金と滞納家賃の支払いに応じないと、督促が続き、最終的には訴訟に発展する可能性があります。
裁判所の判決が出ると、給与や預金などの財産が差し押さえられることがあります。
また、賃貸借契約も解除され、強制退去に至るリスクも考えられます。

家賃滞納を放置した後の流れについては以下の記事で解説しています。

まとめ

家賃の支払いが遅れると、遅延損害金が発生します。
その利率は契約書で定められ、上限は年14.6%です。
契約書に記載がない場合は、法定利率の年3%が適用されます。

滞納を続けると、督促や連帯保証人への連絡だけでなく、契約解除や強制退去、信用情報への悪影響といった深刻な事態につながる可能性があります。

支払いが難しいと分かった時点で、速やかに大家や管理会社に相談し、誠実に対応することが重要です。

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