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- 国民年金を未納のまま放置するとどうなるのか
- 国民年金の未納から差押えが実行されるまでの流れ
- 未納による差押えを回避するための対策
国民年金を未納のまま放置すると、将来の受給額が減る以外にも、様々な不利益を被ります。国民年金の未納によるリスクを回避するためには、早めに追納を行うことが大切です。
ただし、状況によっては支払いが難しい場合もあるでしょう。
本記事では、国民年金の未納から差押えが実行されるまでの流れや、国民年金の未納による差押えを回避するための対策を解説しています。国民年金を滞納して困っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次 ▼
1章 国民年金を未納のまま放置するとどうなる?
会社員や公務員は厚生年金に加入しており、全国民が加入する国民年金と合わせて、保険料は給与から天引きされています。
一方で、個人事業主やフリーター、無職の方などは国民年金の第1号被保険者として、保険料を自分で納める必要があります。そのため、収入が不安定な場合などには、うっかり未納のまま放置してしまうケースも少なくありません。ここでは、国民年金を未納のまま放置するリスクを解説します。
1-1 将来の受給額が減る
国民年金保険料の未納期間に応じて、将来受け取れる老齢基礎年金の金額が減ります。老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を納めた場合に満額を受給できる仕組みです。もし未納期間があると、その分だけ年金額が減額されてしまいます。
未納による影響は一時的なものではなく、将来にわたって続きます。例えば、保険料の納め忘れが1年分あると、老齢基礎年金は年額で約2万円減額されます。2年分の未納があれば、その減額幅は年額で約4万円となり、この差は年金を受け取る期間中ずっと続くことになります。
また、未納期間が長くなると、年金額が減るだけでなく、老齢基礎年金を受給するために必要な受給資格期間にも影響します。原則として10年以上(120ヶ月)の受給資格期間が必要とされているため、未納が多い場合には、そもそも年金を受け取れません。
1-2 障害年金・遺族年金を受給できない可能性がある
国民年金の保険料は、老後に受け取る老齢基礎年金だけでなく、病気や怪我によって生活や仕事に支障が出た場合に支給される障害基礎年金や、被保険者が亡くなった場合に家族が受け取る遺族基礎年金の財源にもなっています。
障害基礎年金や遺族基礎年金を受給するためには、一定の保険料納付要件を満たしていることが必要です。具体的には、原則として、障害や死亡の原因となった病気やけがの初診日の前日時点で、一定期間以上の保険料を納めていることが求められます。そのため、国民年金を未納のまま放置している期間があると、万が一の事態が起きた際に、障害年金や遺族年金を受給できない可能性があります。
1-3 延滞金が発生する
国民年金の保険料を納期限までに納めなかった場合、未納の状態が続くと延滞金が発生する可能性があります。延滞金は、支払いが遅れたことに対して課されるもので、未納期間が長くなるほど金額も増えていく仕組みです。
保険料を納期限までに納付しないと、後日、年金事務所から督促状が送付されます。この督促状で指定された期日までに滞納を解消しなければ、延滞金が課されます。なお、延滞金は督促状が届いた日から計算されるのではなく、当初の納付期限の翌日から起算して計算される点には注意が必要です。
1-4 財産を差し押さえられる可能性がある
国民年金の保険料を長期間にわたって未納のまま放置していると、最終的には財産の差押えに発展する可能性があります。差押えは、いきなり実行されるものではありませんが、督促や催告を無視し続けた場合に取られる法的手段の一つです。
1-4-1 差押え対象の財産
国民年金の未納による差押えでは、現金や預貯金のほか、給与や売掛金、不動産、自動車などが対象となります。特に、預貯金や給与は差押えの対象になりやすい財産です。なぜなら、預貯金や給与は現金化しやすく、保険料の充当に適しているためです。
預貯金については、金融機関に対して差押えの手続きが行われることで、口座残高から未納分が直接回収されます。未納分よりも残高が少なければ、預貯金は全額差し押さえられるのが一般的です。
また、給与が差し押さえられると、手取りの4分の1が差し引かれた状態で支給されます。給与から国民年金の保険料が引かれることで、生活はさらに厳しくなるでしょう。
1-4-2 差押えを受ける条件
国民年金の保険料を滞納している場合でも、未納があるという理由だけで、直ちに差押えが行われるわけではありません。差押えは、督促や催告などの手続きを経ても滞納が解消されない場合に、強制徴収の手段として取られます。
差押えに進むかどうかは、未納期間や金額、所得や資産の状況、これまでの対応状況などを踏まえて総合的に判断されます。その中でも、年間所得が300万円以上あること、かつ国民年金の未納期間が7ヶ月以上あることは、強制徴収の対象として検討されやすい目安の一つとされています。
例えば、一定期間以上にわたって国民年金を滞納しており、収入面でも支払能力があると判断される場合には、差押えを受ける可能性が高まります。特に、年金事務所からの連絡に応じず、納付や相談を行っていない場合には注意が必要です。
2章 国民年金の未納から差押えが実行されるまでの流れ
国民年金の未納から差押えが実行されるまでの流れは以下の通りです。
- 年金事務所から電話や書面による督促を受ける
- 督促状が届く
- 差押予告通知書が届く
- 差押えが実行される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
STEP①年金事務所から電話や書面による督促を受ける
国民年金の保険料を納期限までに納めないと、まずは年金事務所から電話や書面による連絡が入ります。
書面による督励では、催告状や特別催告状が送付されることがあります。特別催告状は色分けされており、青色、黄色、赤色の順で段階的に送付されます。このうち、赤色の特別催告状は最終催告状とも呼ばれ、強制徴収に進む可能性が高まっていることを示す重要な通知です。
ただし、この段階は納付督励に過ぎず、すぐに強制的な手続きが取られることは通常ありません。催告状や特別催告状が届いた時点で、納付を行ったり、免除・納付猶予の申請や分割納付の相談をしたりすれば、差押えに進まずに済むでしょう。
STEP②督促状が届く
納付督励の段階である催告状や特別催告状に対応しなければ、督促状が届きます。督促状には、未納となっている保険料の金額や納付期限が明記されており、この期限までに納付や相談を行わない場合、延滞金が発生します。なお、延滞金は督促状が届いた日からではなく、当初の納付期限の翌日から起算して計算される点には注意が必要です。
STEP③差押予告通知書が届く
督促状にも対応しない場合、差押予告通知書が届きます。差押予告通知書は、財産の差押えといった強制徴収に進む可能性があることを、事前に知らせるための通知です。
この段階で対応せずに放置した場合、預貯金や給与などの財産の差押えが実行される可能性は非常に高くなります。差押え前の最後のチャンスなので、差押予告通知書を受け取ったら速やかに対応しましょう。
STEP④差押えが実行される
差押予告通知書に記載の期限までに納付しなければ、財産の差押えが実行されます。カードローンやクレジットカードなどの場合、裁判所での手続きが必要なので、差押えが行われるまでには一定の時間がかかります。
一方で、国民年金の保険料は裁判所を通さずに、市区町村や年金事務所の判断で差押えの手続きを進めることが可能です。そのため、差押予告通知書に記載された期限を過ぎると、比較的速やかに差押えが実行されるでしょう。
3章 国民年金の未納による差押えを回避するための対策
国民年金の未納が続いていても、必ず差押えに進むわけではありません。未納に気づいた段階で適切な対応を取れば、差押えを回避できます。ここでは、国民年金の未納による差押えを回避するための対策を紹介します。
3-1 追納ができるならすぐに納付する
手元に現金がある状態で支払いを忘れてしまったなら、すぐに追納しましょう。未納状態が解消されれば、差押えのリスクは解消されます。
ただし、未納期間について追納できるのは、原則として過去2年分までとされています。2年を超えた未納分については、後から支払うことができず、その分は将来受け取る年金額にも反映されません。
追納が可能な期間内に納付を行えば、老齢基礎年金の減額を防げるだけでなく、障害年金や遺族年金の受給要件を満たすうえでも有利になります。特に、差押予告通知書が届いている場合などは、できる範囲で納付を行うことで、差押えを回避できる可能性が高まります。
3-2 納付が難しければ免除・猶予申請を行う
経済的な事情により国民年金の保険料を納めることが難しい場合は、未納のまま放置するのではなく、保険料の免除制度や納付猶予制度の利用を検討しましょう。保険料の免除制度や納付猶予制度を利用すれば、一定期間、保険料の支払いが免除または猶予され、差押えに進むリスクを抑えることが可能です。
国民年金の免除・納付猶予制度は、前年の所得が一定額以下の方や、失業中の方、生活保護を受給している方、産前産後期間中の方など、様々な事情を抱える人が対象となります。免除については、全額免除のほか、4分の3免除、半額免除、4分の1免除といった複数の区分が設けられています。
これらの制度を利用するためには、申請手続きが必要です。日本年金機構のホームページからダウンロードできる「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」に必要事項を記入のうえ、年金事務所へ提出し、申請が認められれば、免除または猶予の適用を受けられます。
3-3 固定費を見直して支出を削減する
国民年金の保険料を継続して納めるためには、家計全体を見直すことも一つの方法です。特に、毎月自動的に支払いが発生している固定費を見直せば、努力を継続してなくても支出を削減できます。
家賃や保険料、通信費などを見直すことで、毎月の支出を数千円から数万円削れる可能性があります。支出削減に成功すれば、国民年金保険料の未納解消だけではなく、今後の納付も楽になるでしょう。
3-4 転職や副業で収入を増やす
転職や副業によって収入を増やすことで、未納の保険料を支払える可能性があります。
現在の収入が少ない、または不安定な場合には、より安定した収入が見込める職場への転職を検討することも一つの方法です。厚生年金に加入すれば、保険料は給与から天引きされます。収入が増えるうえに納付方法も変わるため、支払いに遅れることもなくなるでしょう。
一方で、すぐに転職が難しい場合や当面の収入を補いたい場合には、日払い・週払いに対応したアルバイトやフードデリバリーなどが適しています。また、中長期的な視点では、在宅で取り組める副業として、Webデザインや動画編集などのスキルを身につける選択肢もあります。最初は小さな案件から始め、徐々に収入を増やしていくことで、国民年金の納付や未納分の解消を目指すことも可能です。
3-5 他に借金があって苦しい場合は債務整理を行う
クレジットカードや消費者金融などの借金に追われ、それに伴って国民年金の保険料を滞納している場合は、任意整理や個人再生といった債務整理を検討しましょう。なぜなら、借金の返済負担が重いままでは、一時的に国民年金を納付できたとしても、生活に余裕が生まれず、再び未納になってしまう可能性が高いからです。
例えば、債権者と直接交渉する任意整理なら、将来利息や遅延損害金のカットによって総返済額を減らせます。また、借金が大幅に減る個人再生、返済義務がなくなる自己破産なども効果的です。
ただし、それぞれの方法ごとにメリット・デメリットがあり、個人で適した方法を選ぶのが難しいのが実情です。そのため、債務整理を検討している場合は、早めに弁護士・司法書士などの専門家に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、債務整理に強い専門家が、借金や家計の状況に合わせた提案を行っています。国民年金保険料を滞納してお困りの方は、お早めに無料相談にお越しください。
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まとめ
国民年金の未納状態を放置すると、将来の受給額が減ったり、延滞金が発生したり、最終的には財産を差し押さえられたりするリスクがあります。未納が短期間であれば大きな問題にならないこともありますが、放置期間が長くなるほど不利益は大きくなりやすくなります。
一方で、未納に気づいた時点で対応すれば、追納や免除・納付猶予といった制度を利用できるケースも少なくありません。また、借金が原因で未納が続いている場合には、債務整理によって家計全体を立て直すことが有効な場合もあります。
国民年金の未納は、状況によって取るべき対応が異なります。差押えなどの不安がある場合は一人で判断せず、早めに専門家へ相談し、今の状況に合った解決方法を確認することが大切です。
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国民年金の未納に関してよくある質問
ここでは、国民年金の未納に関してよくある質問に回答します。
- 数年前から未納の国民年金は追納できますか?
- 未納になっている国民年金の保険料は、原則として過去2年分までしか追納することができません。ただし、保険料の免除や納付猶予が認められていた期間については、原則10年以内であれば追納が可能です。そのため、未納のまま放置するよりも、早めに免除や猶予の申請を行うことが重要になります。
- 未納の国民年金の時効は成立しますか?
- 国民年金保険料には、2年の時効があります。しかし、年金事務所から督促状が送付されるとその時点で時効が更新されるため、基本的に時効は成立しません。また、仮に時効が成立した場合でも、その期間は年金額の計算に反映されず、将来受け取れる年金が減る点には注意が必要です。















