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- 法人破産した場合に経営者に責任があるのか
- 法人破産時に経営者が責任を負うケース
- 借金を背負う場合の対処法
会社の経営が行き詰まり、法人破産を検討し始めた時、多くの経営者がまず直面するのが「社長である自分に全ての責任が降りかかるのではないか」という不安です。会社名義の借入や取引上の損失が、経営者個人の財産や信用にまで影響すると考え、破産手続きに踏み出せずにいる方も少なくありません。
結論から言えば、法人破産を理由に代表者が自動的に借金を背負う訳ではありません。法人は代表者とは別の法的存在であり、原則として会社の債務は会社が負うものです。しかし、特定の条件下では、経営者が責任を負うケースがあります。
本記事では、法人破産において経営者が責任を負わなくて良いケースと責任を負うケースを解説します。経営が苦しい経営者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次 ▼
1章 法人破産しても原則として経営者に責任はない
法人が破産したとしても、代表者が個人として会社の借金を返済する必要は、原則としてありません。法人と代表者は法律上まったく別の存在とされており、会社の債務は法人だけが負うものです。
そのため、法人破産で会社の資産が処分されても、代表者の個人資産まで差し押さえられることは通常ありません。また、個人的な返済義務が発生することも基本的にはないとされています。
ただし、すべてのケースがこの原則に当てはまる訳ではありません。2章では、例外となるケースを具体的に紹介します。
2章 法人破産時に経営者が責任を負うケース
法人破産時に経営者が責任を負うケースは以下の通りです。
- 保証人・連帯保証人になっているケース
- 法人から経営者が借入をしているケース
- 経営者が不正行為を行っているケース
- 法人に対する損害賠償責任が生じるケース
- 第三者(取引先・債権者など)に対する損害賠償責任が生じるケース
- 財産散逸防止義務に違反しているケース
- 法人破産に関して不誠実な行動をしているケース
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1 保証人・連帯保証人になっているケース
中小企業では、代表者が法人の借入に対して保証人や連帯保証人になっているケースが多くあります。この場合、会社が返済できなくなれば、保証人である代表者個人が返済義務を負うことになります。
特に連帯保証人となっている場合、債権者は会社を経由せず、代表者に対して直接、借金の全額を請求することが可能です。法人の破産によって返済期限の利益が喪失し、返済が一括請求される場合もあります。このような状況では、法人の破産後に代表者自身も債務整理を検討せざるを得なくなるケースが少なくありません。
2-2 法人から経営者が借入をしているケース
法人から借入をしている場合、会社が破産しても代表者個人に返済義務が残ります。会社から代表者への貸付金は会社の資産として扱われるため、法人破産の際には破産管財人によって回収され、債権者への配当に充てられる対象となります。
例えば、経営が苦しい時期に生活費として代表者が会社からお金を借りていた場合、法人破産後に破産管財人からその全額の返済を求められます。返済が困難であれば、代表者自身も自己破産を検討せざるを得ない状況に追い込まれることになります。
このような理由から、会社の資金と個人の資金は区別しておくべきです。法人からの借入は責任が経営者に跳ね返るリスクを持つため、安易に会社から資金を引き出すことは避けるのが望ましいでしょう。
2-3 経営者が不正行為を行っているケース
経営者が不正行為を行っていた場合、法人破産後に個人として責任を問われる可能性があります。会社の資産を隠したり、粉飾決算を行ったりといった行為は、会社だけでなく債権者にも損害を与える重大な違反です。
不正行為が明らかになると、破産管財人から損害賠償請求を受ける可能性がある他、内容によっては刑事責任を問われるリスクもあります。さらに、自己破産をしても免責が認められず、借金が残る可能性も否定できません。
不正は一時的な延命にはなっても、最終的には個人としての責任や信用を損なう結果に繋がるため、会社が厳しい状況でも経営者は誠実な姿勢を貫くことが重要です。
2-4 法人に対する損害賠償責任が生じるケース
経営者が職務上の義務に違反し、会社に損害を与えていた場合は、法人破産後に個人として損害賠償責任を問われる可能性があります。なぜなら、代表取締役には忠実義務や善管注意義務が課されており、これに反して経営判断を怠ったり、不適切な行為を見逃したりすれば、任務懈怠(にんむけたい)として法的責任を追及される対象となるためです。
破産手続きにおいては、破産管財人が過去の経営行為を調査し、会社に損害を与えたと認められれば、代表者個人に対し賠償を請求することになります。例えば、法令違反を知りながら取引を続けた、明らかに不利な契約を独断で締結した、不正を黙認して損失を拡大させたといったケースは、任務懈怠と判断されやすい典型例です。
法人と経営者は原則として別人格ですが、経営者としての義務を怠れば、法人に対する損失補填を個人として求められるリスクがあります。よって、破産の有無にかかわらず、経営者は法的責任を問われない経営を意識することが不可欠です。
2-5 第三者(取引先・債権者など)に対する損害賠償責任が生じるケース
法人の破産であっても、経営者の行為によって取引先や債権者など第三者に損害が生じていた場合は、経営者個人が損害賠償責任を負う可能性があります。
会社法第429条では、取締役が悪意または重大な過失により任務を怠り、その結果として第三者に損害が発生した場合、個人として損害賠償責任を負うと明確に規定されています。つまり、経営判断のミスや不誠実な取引が原因で、取引先や債権者に損害を与えていた場合には、法人の倒産後でも代表者個人に対して賠償請求が及ぶ可能性があるのです。
例えば、資金繰りが破綻していることを自覚しながら、取引先に商品やサービスを注文し、支払いの見込みがないまま納品させた場合は詐欺的な発注とみなされます。その結果、代表者個人に対して損害賠償を求める訴訟が起こされる可能性があります。
2-6 財産散逸防止義務に違反しているケース
法人が破産手続きに入る際、経営者には会社の財産を適切に保全する義務が課されています。これは財産散逸防止義務と呼ばれ、破産財団に組み入れるべき資産を減らしたり、隠したりしないことが求められます。
しかし、経営者が破産直前に特定の取引先のみに返済を行ったり、会社名義の車両や設備を第三者に譲渡してしまったりした場合、財産の偏った処分=散逸行為とみなされます。こうした処分は、全ての債権者に対して公平な配当を行うという破産手続きの根本原則に反するため、重大な問題とされます。
財産散逸防止義務に違反したと判断された場合、破産管財人から経営者個人に対して損害賠償請求が行われる他、状況によっては破産手続きそのものの免責が認められない可能性もあります。さらに悪質と判断されれば、刑事責任を問われるケースもあるでしょう。
3章 法人破産で多額の借金を背負う場合は債務整理を検討しよう
法人破産の結果、代表者自身が連帯保証人になっている場合や、法人からの借入がある場合には、破産後も経営者個人が多額の借金を抱えるケースがあります。そのまま放置すれば、経済的・精神的にさらに追い込まれてしまいます。そうした事態を防ぐためにも、経営者自身が債務整理を検討することが重要です。
3-1 自己破産
自己破産は、経営者個人の収入や資産では借金の返済が見込めない場合に選択される債務整理方法です。裁判所に破産を申し立て、免責許可が下りれば、原則全ての借金の返済義務が免除されます。
法人破産により、代表者が法人の債務を負っているケースでは、個人でも返済不能に陥ることが少なくありません。そうした場合、自己破産によって全てをリセットし、生活再建を目指すのが現実的でしょう。
しかし、自己破産を行うと99万円を超える部分の現金や不動産、自動車などは破産管財人によって換価され、債権者への配当に充てられます。また、手続き期間中は一部の職業に就けないといった制限がかかる点にも注意が必要です。
3-2 個人再生
個人再生は、借金の元本を大幅に減額し、原則3年で分割返済する手続きです。返済不能とまでは言えないものの、借金総額が大きく、従来通りの返済が困難な場合に有効です。
個人再生の大きな特徴は住宅ローン特則を活用することで、自宅を手放さずに債務整理ができる可能性がある点にあります。法人破産後も持ち家に住み続けたいと考える経営者にとって、大きなメリットとなる制度です。
また、個人再生では借金の総額に応じて最低弁済額が決まっており、500万円の借金であれば100万円程度まで圧縮されるケースもあります。保証債務や法人からの借入が個人に残っている場合でも、安定した収入が見込めれば再建が可能です。
ただし、再生計画の認可を受けるには、継続的な収入があることが前提となります。そのため、自営業の再建や転職によって一定の収入が確保できる見込みがある方に適した選択肢と言えるでしょう。
3-3 任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、返済条件の緩和を目指す手続きです。将来利息や遅延損害金の免除、分割回数の見直しなどによって、毎月の返済負担を減らせる点が大きなメリットです。
法人破産後に経営者個人へ債務が残った場合でも、一定の収入があり、返済の見通しが立つのであれば、任意整理は有力な選択肢となります。特に、カードローンや消費者金融など利息負担の重い借金に対しては効果的です。
また、整理する債権者を選べるため、住宅ローンや自動車ローンをそのままにし、対象を絞って交渉することも可能です。生活基盤を守りながら、無理なく借金を整理したい人に適した柔軟な方法と言えるでしょう。
ただし、借金の元本は原則として減らないため、返済を継続できるかどうかが判断の分かれ目となります。また、任意整理を行うと信用情報に事故情報が登録され、約5年間は新たな借入やクレジットカードの利用が制限される点にも注意が必要です。
4章 法人破産で借金を背負う際は弁護士・司法書士に要相談
法人破産の結果、経営者が個人で多額の借金を抱えることは珍しくありません。そのような状況に直面したら、まずは弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。
弁護士・司法書士に相談すれば、現在の借金額や保証債務、資産状況をもとに、自己破産・個人再生・任意整理のどれが最も適しているかを具体的にアドバイスしてもらえます。また、複雑な手続きや債権者とのやり取りも任せられるため、精神的な負担を大きく軽減できます。
さらに、専門家は免責不許可事由の有無や債権者の対応など、個人では見落としやすいリスクまで考慮して方針を立ててくれるため、失敗のない選択が可能になります。
特に法人破産と個人の債務整理を同時に進めるケースでは、手続きが煩雑化しやすく、個人では対応しきれないことも多いでしょう。そのため、法人破産で借金を背負う可能性がある場合は、なるべく早いタイミングで弁護士・司法書士に相談してください。
グリーン司法書士法人では、法人破産後に借金を抱えた経営者の方に向けて、最適な債務整理の方法を提案しています。相談は無料で、個別の状況に応じた具体的なアドバイスが可能です。「このまま借金を返していけるのか不安」「どの手続きを選ぶべきか分からない」とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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5章 法人破産は専門家に相談して慎重に進めよう
法人破産は、経営者にとって大きな決断です。その影響は会社だけでなく、経営者個人にも及ぶ可能性があります。代表者が保証人になっていたり、法人と個人の資金が混ざっていたりすると、会社の破産後に多額の借金を背負うことになりかねません。
また、法人破産が本当に最善の選択なのかどうかは、状況によって異なります。事業譲渡や私的整理、民事再生といった他の手段が有効な場合もあり、選択を誤ると本来守れた資産や再建のチャンスを失う恐れがあります。
そのため、法人破産を検討する際には、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することが重要です。専門家に相談すれば、会社と個人の財務状況を整理しながら、最適な手続きを客観的に見極めることが可能です。債権者への対応や裁判所への申立てなども任せられるため、精神的な負担も軽減されます。
特に中小企業では、法人と経営者個人の資金の区別が曖昧になっていることが多いため、専門的なサポートが不可欠です。正しい情報と的確なアドバイスを受けながら進めることで、手続きをスムーズに進められ、生活再建の準備も整いやすくなるでしょう。
まとめ
法人破産において、経営者がすべての責任を負う訳ではありません。原則として法人の債務は法人が負うものであり、法人と経営者は法的に別人格とされています。しかし、経営者が保証人になっている場合や、不正な行為や義務違反を行っていた場合には、法人破産後に経営者個人が責任を問われるケースもあります。
また、法人破産によって経営者に債務が残る場合には、自己破産や個人再生、任意整理といった債務整理の手続きによって、生活再建を図ることが可能です。選択肢を誤らないためにも、できるだけ早い段階で弁護士や司法書士に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、法人破産によって背負った債務に関する問題の解決をサポートしています。無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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