この記事は約 12 分で読めます。
- 生命保険で借金ができる契約者貸付制度とは
- 契約者貸付制度のメリット
- 契約者貸付制度を利用する際の注意点
生活費や教育費、住宅ローンなど、毎月の出費が重なって家計が苦しいとき、「生命保険を使ってお金を借りられる」と耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。実は、生命保険の種類によっては契約者貸付制度を利用して、解約返戻金の範囲内で借入をすることが可能です。
ただし、契約者貸付には保険契約が失効したり、万が一のときに保険金が受け取れなかったりするリスクもあるため、注意点を押さえて利用することが大切です。
この記事では、生命保険で借金できる契約者貸付制度の仕組みやメリット、注意点を解説します。また、契約者貸付に頼らず生活を立て直す方法も紹介しているので、返済でお困りの方はぜひ最後までお読みください。
目次 ▼
1章 生命保険で借金ができる契約者貸付制度とは?
生命保険の中には、契約を解約した場合に解約返戻金を受け取れるタイプがあります。終身保険や養老保険などの貯蓄型の生命保険がその代表例です。契約者貸付制度とは、この解約返戻金の一定範囲内で、契約者が保険会社からお金を借りられる仕組みを指します。
契約者貸付は、保険を解約せずに「積み立てた資産を担保に借入ができる制度」と言い換えることもできるでしょう。借入限度額は、一般的に解約返戻金の60〜90%程度が上限となり、保険の種類や契約年数によって異なります。
申し込み方法は、各保険会社に電話や郵送で依頼するほか、インターネットから手続きできる場合もあります。必要な書類も少なく、カードローンのような審査も行われないため、比較的スムーズに資金を調達できる点が特徴です。
2章 契約者貸付制度のメリット
契約者貸付制度のメリットは以下の通りです。
- 保険に加入したままお金を借りられる
- 借入時の審査がない
- 資金の使い道が自由なローンより金利が低い
- 柔軟に返済計画を立てられる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1 保険に加入したままお金を借りられる
通常、お金が必要になった時に生命保険を解約すると、保障が全て失われてしまいます。特に家族がいる方にとっては、死亡保障や医療保障を失うことは大きなリスクです。
契約者貸付制度を利用すれば、保険契約を解約せずに資金を確保できるため、万が一のときも保障は継続されます。例えば、小さなお子さんがいる家庭で急に医療費や教育費が必要になった場合でも、保障を残したまま一時的に資金を工面できるのは大きな安心材料です。
また、貸付を受けても保険の契約内容や保障額は変わらないため、「保障を維持しながら家計のピンチを乗り切れる」というのが、契約者貸付制度の大きなメリットと言えるでしょう。
2-2 借入時の審査がない
通常、銀行や消費者金融からお金を借りる場合は、年収や勤務先、他の借入状況などを細かく調べる審査が行われます。審査に通らなければ、たとえ一時的にお金が必要でも借入できません。
一方で契約者貸付制度は、すでに積み立てられている解約返戻金を担保に借り入れる仕組みのため、新たに審査を受ける必要がありません。つまり、加入している生命保険に解約返戻金があれば、その範囲内ですぐに借入が可能です。
そのため、収入が一時的に減っている方や、他のローンを利用中で審査に不安がある方でも利用しやすい制度といえます。信用情報に新たな記録が残ることもないため、「借金の履歴を増やしたくない」という方にとっても安心です。
2-3 資金の使い道が自由なローンより金利が低い
消費者金融やカードローンでは年利15〜18%程度が一般的で、返済期間が長引くほど利息負担が重くのしかかります。
一方、契約者貸付制度の金利は年利2%〜6%程度と、通常の無担保ローンに比べて低めに設定されています。これは、解約返戻金という担保があるため、保険会社にとって貸し倒れのリスクが小さいからです。その結果、利用者は利息負担を抑えながら資金を確保できます。
また、借入した資金の使い道は原則自由です。急な医療費や教育費、生活費の補填、さらには事業や冠婚葬祭の費用など、幅広い場面で柔軟に活用できます。高金利ローンに頼らず、手元の保険を活用して低コストで資金を調達できる点は、契約者貸付ならではの大きなメリットと言えるでしょう。
2-4 柔軟に返済計画を立てられる
多くのローンは、借入直後から「毎月◯日までに◯円返済」といった固定スケジュールが決められています。そのため、返済に追われて精神的な負担を感じる人も少なくありません。
これに対し契約者貸付制度は、返済のタイミングや金額に縛りがほとんどない点が特徴です。利息は日々発生しますが、資金に余裕ができた時にまとめて返済することも、少額ずつ返済することも可能です。毎月の返済義務が課されるわけではないため、家計の状況に合わせて無理のない返済計画を立てられます。
例えば、ボーナス時期に一括返済したり、月々の家計に余裕があるときだけ少しずつ返済したりと、利用者のライフスタイルに柔軟に対応できるのが魅力です。
3章 契約者貸付制度を利用する際の注意点
契約者貸付制度は、保険を解約せずに資金を確保できる便利な制度ですが、利用にあたっては注意すべき点もあります。安易に利用すると、保障の維持や将来の受取額に影響が出てしまう可能性があるため、以下のポイントを理解しておきましょう。
3-1 貸付の元利合計が解約返戻金の額を超えると保険契約が失効する恐れがある
契約者貸付は、解約返戻金を担保にしてお金を借りる仕組みです。そのため、借入した元金と利息の合計額が解約返戻金を上回ってしまうと、保険契約は自動的に失効してしまう可能性があります。
例えば、解約返戻金が300万円ある保険で250万円を借り入れた場合、返済をしないまま利息が膨らんでいけば、数年後には解約返戻金を超える残高になってしまうことがあります。その時点で契約は失効し、長年支払ってきた保険料も保障も失われてしまいます。
契約が失効すると、死亡保障や医療保障といった「いざという時の備え」がなくなり、家族に不安を残すことになりかねません。契約者貸付を利用する際は、借入額と利息の合計が解約返戻金を超えないように定期的に確認し、返済の目処を立てながら計画的に利用することが大切です。
3-2 返済が完了していない場合は保険金や給付金を受け取れない
契約者貸付を利用している途中で万が一のことが起きた場合、保険金や給付金はそのまま全額受け取れるわけではありません。借入の残高と未払い利息がある場合、それらが差し引かれた金額が実際の受取額となります。
例えば、死亡保険金が1,000万円の契約で200万円の貸付残高が残っていれば、遺族が受け取れるのは800万円に減ってしまいます。医療保険や入院給付金の場合も同様で、支払われる額から未返済分が控除される仕組みです。
せっかく保険で家族を守る準備をしていても、契約者貸付を利用したまま返済を怠ると、必要な時に十分な保障を受けられないリスクがあるのです。契約者貸付を使うときは、返済計画を立て、できるだけ早めに残高を減らしておくことが大切です。
4章 契約者貸付制度を使って借金する前に検討すべき選択肢
契約者貸付制度は便利な制度ですが、利用すれば利息が発生し、返済が滞れば将来の保障にも影響が出ます。したがって、「どうしても必要な時の最後の手段」と考えることが望ましいでしょう。まずは以下のような方法で、家計を立て直せないか検討してみてください。
4-1 固定費の見直しによる支出削減
家計を改善するために最初に取り組みたいのが、毎月必ず出ていく固定費の見直しです。固定費は一度削減できればその効果が継続するため、借金に頼らず資金を捻出できる可能性があります。
例えば、スマホを大手キャリアから格安SIMに切り替えると、月々の通信費を削減できるでしょう。また、住宅ローンであれば金利の低いプランに借り換える、賃貸であれば更新時に家賃交渉や住み替えを検討するなどの方法もあります。さらに、サブスクリプションサービスや習い事など、利用頻度の低い契約を整理するだけでも支出は減っていきます。
例えば通信費と保険料を合わせて月1万円節約できれば、年間で12万円の改善に繋がります。契約者貸付制度を利用する前に、まずは固定費の削減で資金を確保できないかを検討することが、家計を守るための第一歩と言えるでしょう。
4-2 副業・転職などによる収入増加
支出を減らすだけでは家計の改善に限界があるため、収入を増やす工夫も欠かせません。借金に頼るのではなく、自分の働き方を見直して収入基盤を強化することが、根本的な解決に繋がります。
副業の手段は多様化しており、在宅で取り組めるライティングやデータ入力、ネットショップ運営のほか、フードデリバリーのように体を動かして稼ぐ方法もあります。特にフードデリバリーは、週末や夜の時間を活用しやすく、すぐに収入を得やすい点がメリットです。こうした副業を活用すれば、短期的に数千円から数万円の収入増を見込むことができます。
さらに、中長期的な視点では転職も選択肢の一つです。給与水準の高い職場へ移ることで、毎月の収入が安定的に増えれば、借金に依存せずとも生活の余裕を取り戻せます。副業と転職はどちらも手間や労力がかかりますが、収入を増やす努力は契約者貸付に頼らない家計改善の有効な手段といえるでしょう。
4-3 保険を見直す
生活状況が変わると、加入している生命保険や医療保険が現在のニーズに合わなくなることがあります。独身時代に契約した内容を家族を持った今も続けていたり、似た保障内容の保険に複数加入していたりすると、必要以上の保険料を支払っているかもしれません。
例えば、子どもが生まれる前に契約した高額な死亡保障を、教育資金や生活費を考慮して調整するだけでも、毎月の保険料負担を軽くできる可能性があります。また、医療保険やがん保険の特約が重複している場合は、内容を整理することで数千円から数万円の節約に繋がります。
さらに、すでに契約者貸付制度を利用している保険についても見直しが必要です。返済が難しい状況であれば、解約して解約返戻金を受け取ることで資金を得るという選択肢もあります。もちろん保障はなくなりますが、保険契約を維持するよりも現金化を優先した方が生活の安定に繋がる場合もあるでしょう。
保険は万が一の備えとして大切ですが、保障が過剰になっていると家計を圧迫する原因になりかねません。専門家や保険ショップで相談しながら、本当に必要な保障だけを残すことで、毎月の固定費を削減し、契約者貸付に頼らなくても済む状況を作れるでしょう。
4-4 任意整理や個人再生などの債務整理
すでに複数の借入があり、返済が家計を圧迫している場合は、契約者貸付で一時的に資金を工面するだけでは根本的な解決にはなりません。そのような状況では、弁護士・司法書士に相談して債務整理を検討することが有効です。
任意整理であれば、将来の利息をカットして返済総額を減らせる可能性があります。個人再生を選べば、裁判所の手続きを経て元本を大幅に圧縮し、分割での返済が可能になります。自己破産を選択した場合は、一定の財産は失うものの借金を帳消しにできます。
契約者貸付に頼り続けて将来の保障を失うよりも、早めに専門家に相談して債務整理を検討する方が安心して生活を再建できるケースも少なくありません。
5章 借金の返済に行き詰まったら弁護士・司法書士に相談しよう
契約者貸付制度は、生命保険を解約せずに資金を確保できる便利な仕組みですが、あくまでも一時的な対応策にすぎません。すでに複数の借入がある、返済の目処が立たない、といった状況で無理に利用すれば、保険契約が失効したり、家族に残せる保障が大きく減ったりするリスクを抱えることになります。
こうした状況に陥った時は、自分だけで抱え込まずに弁護士・司法書士に相談することが重要です。専門家に相談すれば、任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理の選択肢の中から、自分の生活状況に合った解決方法を提案してもらえます。
借金問題は、早めに相談するほど解決の幅が広がります。返済に行き詰まってからではなく、「このままでは厳しいかもしれない」と感じた段階で専門家に連絡することが、家計を守り、再スタートを切るための第一歩になります。
グリーン司法書士法人では、借金問題や債務整理に関するご相談を随時受け付けています。秘密厳守はもちろん、初回相談は無料で対応していますので、一人で悩まず、安心してご相談ください。
お気軽にお問い合わせください!
借金返済のご相談はグリーンへ
まとめ
生命保険に加入している人が利用できる契約者貸付制度は、解約返戻金の範囲内でお金を借りられる便利な仕組みです。審査がなく、金利も比較的低いため、急な出費に対応できる手段として有効です。
一方で、返済が滞れば保険契約が失効したり、受け取れる保険金や給付金が減額されたりするリスクもあります。契約者貸付を利用する前には、固定費の削減や副業による収入増加、保険の見直しといった方法を検討し、それでも解決できない場合には債務整理を含めた専門家への相談が欠かせません。
借金問題は、放置すればするほど状況が悪化します。生命保険を活用した借入を考えている方も、将来の保障を守るために「今の家計をどう立て直すか」という視点を持つことが大切です。もし返済に行き詰まっているなら、早めに弁護士・司法書士に相談し、安心して再スタートを切りましょう。
グリーン司法書士法人では、経験豊富な司法書士が借金問題の解決をサポートしております。無料相談も承っておりますので、毎月の返済に追われてお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問い合わせください!
借金返済のご相談はグリーンへ
借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
アクセス数が多いキーワード:債務整理 クレジットカード
借金返済の無料相談ならグリーンへ

お気軽にお問い合わせください!















