シングルマザーの自己破産は子どもや生活に影響する?注意点も解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
シングルマザーの自己破産は子どもや生活に影響する?注意点も解説

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 この記事を読んでわかること
  • シングルマザーの自己破産が及ぼす子どもや生活への影響
  • シングルマザーの自己破産後の生活についての誤解と真実
  • シングルマザーが自己破産費用を支払えない場合の対処法
  • シングルマザーが借金問題を自己破産以外で解決する方法

シングルマザーの家庭では、経済的余裕がないケースが少なくありません。生活のための借金が重なって返済不能となり、生活を立て直すため自己破産を検討しているシングルマザーもいるでしょう。自己破産はシングルマザーかどうかに関係なく、条件を満たしていればどなたでも手続きが可能です。

この記事では、シングルマザー家庭の母親が自己破産をしたときの子どもや生活への影響について解説します。自己破産は、返済不能に陥った母子の将来を考える上で大変有益な手続きです。安心できる未来のために正しい知識を身につけましょう。

目次

1章 自己破産をしたら子どもや生活へどんな影響がある?

自己破産をするときにまず心配なことは、「今後の親子の生活にどんな影響があるのか?」ということではないでしょうか。実際、影響を受けることと受けないことの両方があります。一つずつ確認しておきましょう。

1-1 児童手当・児童扶養手当などの公的手当は受給できる

まず気になるのは、児童手当や児童扶養手当などの手当が受けられるかということでしょう。児童手当や児童扶養手当、住宅手当、生活保護のような「公的扶助」は、破産法において差し押さえることが禁止されており、破産手続きにおいても差し押さえられることはありません。自己破産手続きをしても受給が可能で、自由財産として手元に残すことができます。

1-2 養育費には影響しない 

離婚した元夫から養育費を得ているシングルマザーの場合、ご自身が自己破産をすると受け取れなくなるのでは?と気になっているかもしれません。自己破産手続きをしたからといって、養育費を受け取る権利が失われることはありません。

1-3  クレジットカードやローン審査が通りにくくなる

自己破産に限らず債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストの状態になり、クレジットカードやローンの審査に通りにくくなります。ただし、近年ではクレジットカード以外の決済方法も増えており、日常生活で大きく困ることはないでしょう。

1-4 教育ローンは一定期間借りられない・奨学金の保証人になれない

自己破産をしてブラックリストに載っている場合、消去されるまでの約7年間はあらゆる借入が難しい状態になりますそれは教育ローンの借入も同様です。

一方、子ども本人の名義で申し込む奨学金は、親が自己破産をしていても関係なく申し込みができます。ただし、自己破産している親は奨学金の連帯保証人にはなれません。その場合、機関保証制度(保証機関に保証料を支払う)を利用すると家族が保証人にならずとも奨学金の申込みができます。また、離婚した父親に連帯保証人になってもらうことも一案です。

1-5 携帯電話の利用ができなくなる可能性がある

自己破産をしても、携帯電話が没収されてしまうわけではありません。しかし、自己破産の手続き時に端末料金を分割払い中の場合、強制解約になってしまうリスクがあります。端末の分割払契約と通信契約を分離し、端末分だけ破産するという方法で解決できる可能性があります。

また、通信料を滞納している場合も、自己破産手続きによって契約解除になる可能性があります。手続き前に支払いをして滞納をなくすことができれば利用することができますが、偏頗弁済を指摘される可能性があります。いずれにしても、携帯電話が利用できなくなると仕事や生活において支障をきたす恐れがあるため、専門家に相談して自身の希望を伝えましょう。

1-6 自分名義の持ち家や車を失う可能性がある

シングルマザー自身に自分名義の持ち家や車がある場合、自己破産手続きを行うと持ち家は失い、車も失う可能性があります。自己破産手続きでは、持ち家や土地などは換価対象とされており、20万円以上の価値がある財産(車や生命保険など)も同様に扱われます。

2章 自己破産後の生活についてよくある誤解と真実

自己破産をした後の生活について、誤解をしている人は少なくありません。もし、あなたがいらぬ誤解から自己破産手続きを躊躇しているとしたら、自ら問題の解決を先送りしている可能性があります。この章では、よくある誤解とその真実をお伝えします。

2-1 住んでいる公営・賃貸住宅から追い出されない

公営住宅に住んでいるシングルマザーの不安に、自己破産したことで住宅を追い出されるのでは?ということがあります。家賃をきちんと支払っていれば、退去を求められることはありません。もちろん公営以外の賃貸住宅も同様です。

ただし家賃を長期滞納すると、強制退去を求められることがあります。また、自己破産手続きによって滞納している家賃の支払いが免除された場合にも、賃貸借契約の解除を求められる可能性があります。すでに滞納家賃があって支払いが難しい場合は、そのことも含めて早めに専門家に相談をしましょう。

2-2 周囲の人に自己破産をしたことは知られない

自己破産をするシングルマザーの不安に「周囲の人に自己破産のことを知られたらどうしよう」というものがあります。「ママ友に知られて噂になるようなことはないか」「子供が学校でいじめられないか」など不安の種は尽きないでしょう。

自己破産をしたことが周囲に知られてしまう心配は、ほとんどないといえるでしょう。自ら他人に話さない限り、周囲に知られることはほぼありません。知られてしまう可能性としては、自己破産をした人の住所と氏名が官報に掲載されることがありますが、日常的に官報を見ているのは特定の職業の人であり、一般の人が目にすることはまずありません。

2-3 子どもの就職や結婚には影響しない

自己破産が子どもの将来に影響を及ぼすのでは?という心配に、子どもの就職や結婚があります。戸籍や住民票に自己破産をしたことが記録されますか?というご質問をたまに受けますが、自己破産をしても住民票や戸籍、マイナンバーに記載・記録されることはありません。自らあえて話さない限り、子どもの就職先や結婚相手、その家族が母親の自己破産について知る手立てはまずありません。

2-4 子どもの身元保証人にはなれる

子どもの就職先から、身元保証人を記載するよう求められるケースがあります。自己破産をすると、その後しばらく連帯保証人にはなれませんが、身元保証人は債務の保証人ではないため問題はありません。

ただし、子どもが進学や就職で家を出て、賃貸物件を契約するときの保証人には注意が必要です。家賃保証会社が信販系保証会社の場合、ブラックリストに登録されていると審査に通過できない可能性があります。信販系以外の保証会社の場合は保証人になれる可能性がありますが、保証会社について事前に確認した方がよいでしょう。

3章 シングルマザーが自己破産するときの注意点

自己破産は生活再建のためにとても有益な手続きですが、デメリットがないわけではありません。返済が免除されるメリットばかりに目がいってしまいがちですが、さまざまなリスクがある点にも注意することが重要です。その上で、手続き前に対策できることがあればしっかりと行いましょう。

3-1 自己破産後に支払義務が残る債権もある

自己破産は、基本的に支払いを免除される手続きですが、中には免責されない債権もあります。自己破産しても免責されない債権は、破産法で「非免責債権」と規定されており、主に次のようなものが非免責債権に該当します。

  • 税金
  • 年金
  • 健康保険料
  • 下水道料金

支払いが難しい場合は、管轄の自治体や税務署などに早めに相談しましょう。事情を説明して、分割払いに応じてもらったり、支払いの猶予を受けられたりする可能性があります。

上記以外の非免責債権には、養育費や罰金などがあります。

3-2 20万円を超える財産は換価処分される

自己破産手続きでは、おおむね20万円以上の価値がある財産は処分されます。主なものとして、自動車やバイク、預貯金、生命保険、宝石などがあります。ただし、生活に必要な最低限の財産(家財道具など)は処分の対象にはなりません。

3-3 信用情報機関(ブラックリスト)に事故情報が載る

自己破産手続きを行うと、信用情報機関に「事故情報」として登録されます。このことを世間ではブラックリストに載るという言い方をしています。一度ブラックリストに掲載されると、自己破産の場合は7年程度ローンの契約やクレジットカードの発行・利用が難しくなります。

3-4 借金の連帯保証人(保証人)に迷惑をかける

自己破産手続きでご自身は返済義務を免れても、連帯保証人には借金の支払い義務が移ります。信頼して連帯保証人になってくれた気持ちを裏切るだけでなく、多大な迷惑をかけることになります。そのため自己破産をする場合には、連帯保証人に正直に事情を伝え、理解してもらえるようあらかじめ説明しておきましょう。

3-5 手続き完了まで就けない職業がある

自己破産をしたからといって仕事が続けられなくなるわけではありません。ただし、破産手続きの期間中に制限される資格や一定期間就けない職業があります。いずれも一時的であり、免責許可決定が確定したらこれまで通り仕事ができますのでご安心ください。

自己破産によって制限される職種について、以下の記事で詳しく解説しています。

3-6 官報に名前と住所が掲載される

自己破産をすると、「官報」という国の機関誌に住所と氏名が掲載されます。手続きの中で2度掲載され、発行から原則90日間はインターネットでも無料閲覧が可能です。

しかし、日常的に官報を見る人のほとんどは、金融業者や信用情報機関など一部の職業に就いている人です。周囲に知られる心配はほぼないでしょう。

4章 自己破産にかかる費用が支払えない場合の対処法

自己破産の手続きには、思いのほか費用がかかります。「お金がないから自己破産をするのに、その手続きにまとまったお金が必要だなんて……」という声が聞こえてきそうですが、残念ながら費用がかかるのは事実です。

手続き費用の支払いが難しい場合、日本司法支援センター「法テラス」の利用や分割払いに対応している専門家の事務所に相談するなどの対処法があります。

4-1 法テラスを利用する

「法テラス」とは、日本司法支援センターの通称で、2006年4月に設立された法務省が管轄する国の機関です。国民全員が、法的トラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられることを目的としています。もちろん、借金の問題や自己破産手続きにについても相談ができます。

法テラスの弁護士・司法書士費用等の立替制度を利用するにあたっては、収入や資産が一定基準以下であることなどの条件があります。審査に通れば、費用の立替を受けて立替分は毎月法テラスに返済していきます。生活保護を受給中の人は、法テラスへの返済が免除される可能性もあります。

4-2 分割に対応している専門家の事務所に依頼する

現在貸金業者から督促を受けていて、毎日辛いと感じているシングルマザーもいるでしょう。弁護士や司法書士の専門家に依頼すると、ご依頼をお受けしたタイミングで貸金業者からの督促が停止します。債務整理の相談が可能な司法書士や弁護士の事務所の中には、費用の分割払いに対応している事務所があります。まとまった費用は手元にないけれど、1日も早く督促から逃れたいという方は、分割払いに応じてくれる専門家への依頼を検討しましょう。

グリーン司法書士法人では無理のない分割払いに対応しています。着手金もありませんので、即時介入、取り立ては即日ストップすることが可能です。

5章 自己破産をせずに借金問題を解決する方法は? 

自己破産手続きに踏み切れない事情がある場合、借金額や財産などの状況によっては自己破産をせずに借金問題を解決できるかもしれません。その方法について以下で解説します。

5-1 公的な支援制度を活用する

ひとり親家庭に向けた手当や支援制度を利用することで、自力での返済が可能になる場合があるかもしれません。お住いの地域がある自治体で利用できる制度があれば、積極的に申し込みをしましょう。

  • 児童扶養手当
    ひとり親家庭で、18歳に達して最初の3月31日までにある子どもの養育者に支給。
  • 児童育成手当
    ひとり親家庭で、18歳に達して最初の3月31日までにある子どもの養育者に支給。(自治体によって異なる)
  • 住宅手当(住宅助成制度)
    ひとり親家庭が利用できる家賃補助制度は、各自治体が独自の制度を提供しています。ただし、実施していない地域もあるため確認が必要です。
  • ひとり親家庭等医療費助成制度
    ひとり親家庭で、18歳に達して最初の3月31日までにある子どもと母(父)の医療費の自己負担分を自治体が一部助成。ただし自治体によって、金額は異なります。

5-2 親族から援助してもらう

親族の援助を受けられる状況であれば、借金の金額によっては自己破産をせずに借金問題を解決できるかも知れません。ただし、援助してもらってもなお借金が完済できる見込みがない場合は、援助金を手続き費用に充てて債務整理をした方がよい場合もあります。ご自分の場合はどうなのか?と判断が難しい場合には、司法書士への無料相談がおすすめです。

5-3 借金の利息がなくなれば支払える場合は「任意整理」

任意整理とは、借入先と交渉して利息をカットしてもらい返済額を減額する手続きです。借金の総額を減らし、3~5年で無理なく完済できるようにします。任意整理についての詳細は、下記の記事を参考にしてください。

5-4 借金額が大きい・ローンのある自宅を残したい場合は「個人再生」

個人再生(個人民事再生)と、裁判所に再生計画案を提出して借金を大幅に(5分の1〜10分の1)減額してもらう手続きです。住宅ローン返済中の人は、住宅資金特別条項を活用すればマイホームに住み続けながら個人再生を行えます。下記の記事では、個人再生についての詳細がわかります。

6章 まとめ

母子家庭の数は父子家庭に比べて多く、中でも日本はシングルマザー家庭の貧困率が高いといわれています。シングルマザーとなる女性は出産を機に退職した人も多く、ひとり親になってから幼い子どもを抱えて就業するのは難しいということも一因です。

返済ができなくなり自己破産を考えているシングルマザーの方は、お早めに司法書士にご相談ください。借金のお悩みは必ず解決できる問題です。お一人で抱え込まずお悩みを話していただくことで、一緒に解決の道を探りましょう。グリーン司法書士法人では、債務整理についてのご相談を無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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