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住宅の購入を考えるとき、「住宅ローンの審査に通るのだろうか…」「キャッシングやカードローンを利用していることが審査に影響しないだろうか…」と、気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、キャッシングは住宅ローン審査に影響するのかということや、キャッシングの利用者が住宅ローン審査の前にできる対策についても解説します。
住宅ローンの審査でどのような点が重視されるのか、また審査が不利になるケースなどを知って、事前に適切な対策を行いましょう。
- キャッシングの利用は住宅ローンに影響がある
- 住宅ローン審査では重視される3つのポイントがある
- キャシングの利用者が審査の前にできる対策
目次 ▼
1章 キャッシングと住宅ローン
キャッシングと住宅ローンは、融資を受けるという点ではどちらも同じです。しかし、その目的や中身には大きな違いがあります。
1-1 キャッシングとは?
キャッシングとは、現金を借り入れできるサービス全般のことをいいます。一般的には、クレジットカードのキャッシング機能で借り入れすることを「キャッシング」と呼び、銀行や消費者金融からの借り入れは「カードローン」と呼んで区別しています。
しかしここでは、クレジットカードのキャッシング機能や銀行・消費者金融のカードローンすべてを指して、キャッシングを指します。
キャッシングは、担保や保証人の必要がなく、利用限度額の範囲内であれば自由に借り入れと返済を繰り返して利用することができます。そのため、住宅ローンのような目的別ローンに比べて、高めの金利が設定されています。また、住宅ローンと異なる点に、キャッシングは基本的に利用目的が自由であることもあげられます。
1-2 住宅ローンとは?
住宅ローンとは、マイホームを購入する際に組むローンのことです。マイホームはご自身や家族が居住するための住宅(生活の拠点となる住宅)で、人に貸したり別荘として利用したりする目的では、住宅ローンの利用はできません。
住宅ローンは目的別ローンの一つで、金利は低く設定されていますが返済期間は長期にわたることがほとんどです。そのため、ローン審査では、長期的に返済できるかどうかが重視されます。住宅ローンの借入先としては、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供するものや、銀行の住宅ローンなどがあります。
2章 キャッシングの利用は住宅ローンに影響するのか?
キャッシングの利用が、住宅ローンの審査に影響をおよぼす可能性はあります。しかし、利用履歴があれば必ずしも不利になるというわけではありません。遅れることなく返済ができていれば、基本的には問題はないと考えてもよいでしょう。
2-1 返済の遅延や延滞
利用履歴があるというだけで審査が不利になるとは限りませんが、返済の遅延や延滞などには注意が必要です。
クレジットカードやカードローンを利用すると、信用情報に記録されたその記録は一定期間保有されます。返済が遅れたり滞納が続いたりということがあると、その履歴が住宅ローンの審査に不利に影響することは間違いないでしょう。日頃のクレジットカードやカードローンの利用では、期日までに返済ができていることが重要になります。
2-2 利用限度額の大きさ
ご自身のクレジットカードやカードローンに、利用限度額がどのくらいに設定されているかご存知でしょうか? 住宅ローン審査では、実際に利用がなくても利用限度額が設定されていれば、今後借入の可能性があるとみなされる場合があります。特に利用限度額が大きい場合は、その分を借り入れとみなされて希望額の住宅ローンを組めないという事態になりかねません。
クレジットカードやカードローンには、不要な利用限度額を設定しないようにしましょう。使う予定のないカードは、住宅ローンを申し込む前に解約しておく方がよいでしょう。
2-3 キャッシング利用の事実
キャッシングの利用履歴があるというだけで審査が不利になるとは限りません。しかし、キャッシング利用の記録からわかるのは、これまでに現金の不足が生じたことがあるという事実です。もし、日常的または定期的にキャッシングを利用している場合、審査に影響を及ぼす可能性は否定できないでしょう。
3章 住宅ローンの審査で重視される3つのポイント
住宅ローンの申し込みをする前に知っておきたいのは、何が審査で重視されるかということです。審査基準の詳細は金融機関によって異なる部分もありますが、ここでは一般的に重視される3つのポイントに絞ってお伝えします。
3−1 借り入れする人の属性
属性とは、借り入れする人の基本情報のことです。住宅ローンの審査では、次のような契約者の属性が重視されます。
- (借入時・完済時の)年齢
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
これらの情報から、返済能力を総合的に判断します。
ローンを組む年数にもよりますが、借入時の年齢が高いと審査で不利になる可能性があります。また、完済時の年齢に上限が設けられている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
年収は、高額だけれど月によって変動が激しい人より、特別高収入ではなくても毎月安定した収入がある人が好ましいと判断される場合もあります。
勤務先については、一般的に会社の規模が大きいほど審査に有利とされていますが、雇用形態も重視されます。正社員に比べると、アルバイト・パートなど収入が不安定な形態で就業していると不利になります。
勤続年数も、重要な項目の一つです。国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、勤続年数を審査項目にしていると回答した金融機関の65%以上が、「1年以上」と回答しています。住宅ローンの申し込みは、現在の勤務先に少なくとも1年以上就業してから行いましょう。
参考:国土交通省「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001733623.pdf
3−2 返済負担率(返済比率)
住宅ローンの返済負担率とは「収入に占める年間の返済額の割合」のことで、「返済比率」とも呼ばれています。返済負担率が小さい方がゆとりを持って返済しやすく、目安は手取り収入の30〜35%以下といわれていますが、理想的な返済負担率は20~25%以下とされています。返済負担率は、額面の収入(総支給額)ではなく、税金などを差し引いた「手取り収入」で計算します。返済負担率の計算式は、以下の通りです。
たとえば、額面年収500万円の人が年間返済額120万円(毎月の返済額10万円)の住宅ローンを返済する場合の返済比率は次のようになります。
120万円(年間ローン返済額)÷ 500万円(額面年収)× 100= 24%(返済負担率)
返済負担率を事前に計算することで、住宅ローンの借入金額を決める際の参考にできますね。
3−2-1 年間のローン返済額には他の借り入れも含まれる
住宅ローンの審査では、住宅ローンの購入額以外に他の借り入れも考慮して審査されます。そのため、返済負担率を計算する際の「年間のローン返済額」には、キャッシングやカードローンなど他の返済分もプラスして計算しましょう。その際には借入残高ではなく、利用限度額を使うことをおすすめします。金融機関の住宅ローン審査では、借入残高ではなく利用限度額で計算されるからです。事前に、キャッシングやカードローンを完済して解約することができれば、「年間のローン返済額」にそれらを含める必要はなくなります。
3−3 個人の信用情報
個人の信用情報には、クレジットカードやカードローンなどの客観的な取引事実が登録されています。具体的には、契約の内容や申込履歴、返済履歴などをチェックできるため、金融機関は住宅ローン審査の際に必ず個人の信用情報を確認します。そのため過去に延滞や滞納などの記録があれば、審査に影響を及ぼす可能性があります。
個人の信用情報が不安な場合は、ご自身で照会することが可能です。照会方法などの詳細は、こちらの記事を参考になさってください。
4章 借入によって審査が不利になるケース
現在、もしくは過去の借入によって、思わぬことで審査が不利になるケースがあります。一つずつ確認していきましょう。
4−1 申告していない他社の借入がある
住宅ローンの申し込みの際は、他社での借入状況を申告しなければなりません。このくらい申告しなくてもわからないだろうと申告を怠ると、金融機関は審査時に個人信用情報などを確認して調査を行うためいずれわかってしまいます。申告をしなかったという事実は金融機関側の心証を悪くし、審査に通らない可能性も考えられます。
あるいは、家族に内緒の借り入れがある人もいますが、資金の問題は後々トラブルに発展しかねません。きちんと解決した上で、住宅の購入を検討した方がよいでしょう。
4−2 複数のキャッシングを利用している
複数のキャッシングを利用していると、そのことにより「返済負担率」が高くなる恐れがあります。また、審査ではキャッシングの実際の借り入れ残高ではなく、利用限度額で返済負担率を計算する可能性があります。そのため、複数のキャッシングを利用している場合は注意が必要です。
4−3 過去に返済の遅延・滞納がある
個人の信用情報には、クレジットカードやカードローンなどの返済の遅延や滞納の事実が事故情報として登録されています。事故情報が登録されていると、住宅ローンの審査で不利になってしまいます。
4−4 過去の延滞について認識がない
過去に延滞がある人のなかには、ご自身で延滞について認識がない場合もあります。何年も前の延滞であったり、期日を過ぎてすぐ支払っていたりというケースで起こりがちです。信用情報に登録された事故情報は約5年間は残ります。また、たった数日の遅れでも延滞として登録されている可能性があります。
5章 キャッシングの利用者が住宅ローンの審査前にできること
キャッシングやカードローンなどの借り入れがあっても、住宅ローンが利用できる例は少なくありません。しかし、少しでもご自身の信用を高めるために、住宅ローンの審査前にできることはあります。ここではそのポイントを紹介します。
5−1 返済負担率を試算する
まずご自身で返済負担率を試算してみましょう。その際、キャッシングやカードローンなど他の借り入れがある場合は、それも含めて考えることが大切です。また、現在の借入残高ではなく、利用限度額を使うことも重要なポイントです。
額面年収300万・他の借入の返済が月に2万円の人が、返済負担率を手取り収入の30%にすると仮定して試算した場合、年間のローン返済額はいくらになるか計算してみました。
返済負担率(30%)×額面年収(300万)÷ 100 = 年間のローン返済額 (90万)となります。
年間のローン返済額90万円の場合、月の返済額は7万5千円になります。ここから他の借入の返済2万円を差し引くと、住宅ローンに充てられるのは実質5万5千円となります。
このように試算していくと、ご自身が住宅ローン返済のために充てられる資金が月にいくらか明確になります。
5−2 他の金融機関からの借入を完済しておく
試算した返済比率が高い場合は、キャッシングやカードローンなど他の金融機関からの借り入れを完済・解約しておきましょう。年間返済額を引き下げることが可能になります。
5−3 使っていないクレジットカードは解約しておく
使っていないクレジットカードも、利用限度額があれば審査では年間返済額に入れられてしまうため、解約しておきましょう。
5−4 個人の信用情報を確認しておく
個人の信用情報に少しでも不安がある方は、住宅ローン申し込みの前にご自身の信用情報を確認しておくことがおすすめです。もし、事故情報が登録されていることがわかった場合、住宅購入の時期を検討し直すことも視野に入れましょう。
次の3つが主な信用情報機関です。
信用情報機関 | 主な加盟会社・機関 |
---|---|
日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融や銀行(地方銀行・ネット銀行)など |
シー・アイ・シー(CIC) | 消費者金融や信販会社、携帯電話会社など |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 全国各地の銀行 |
こちらの記事も参考になさってください。
5−5 おまとめ住宅ローンの利用を検討する
借り入れが複数ある場合に、「おまとめ住宅ローン」の利用を検討するという方法もあります。住宅ローンとキャッシング・カードローンでは、金利など商品の性質が異なります。そのため、これまではまとめられないことが一般的でしたが、最近ではおまとめ住宅ローンとして借り換えができるローンが増えています。
ただし、どの金融機関でも対応しているわけではありません。一部の銀行やJAバンク、ろうきんでは、おまとめ住宅ローンの取り扱いがあります。取り扱う店舗によって融資条件などの詳細が多少異なるため、自宅近くの店舗に問い合わせてみるとよいでしょう。
6章 まとめ
住宅ローンの審査では、年齢や勤続年数などの個人の属性や返済負担率、そして返済能力を測る個人の信用情報などが主に重視されます。また、キャッシングなどでの過去の延滞や滞納は、住宅ローンの審査に影響を与える可能性があります。
しかし、既存の借り入れを完済したり、利用していないクレジットカードを解約したりなど、事前の対策を行うことで住宅ローンの審査に通る可能性は高くなるでしょう。
もし、現在借金問題を抱え、住宅ローンの申し込みについてお悩みの場合は、司法書士などの専門家に相談してみましょう。借金問題を早く解決することで、住宅ローンの審査に通る日も見えてくるでしょう。
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