詐欺破産罪とは?罪に問われる行為と発覚したら起きることを解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産

この記事は約 9 分で読めます。

 この記事を読んでわかること

  • 詐欺破産罪の概要
  • 詐欺破産罪に問われる6つの行為
  • 詐欺破産行為が発覚したら起きること

「詐欺破産罪に触れずに自己破産の手続きを進めたい」

「自己破産をすれば、借金がなくなって得をするのではないか」

上記のように考えている人がいらっしゃるのではないでしょうか。借金が帳消しになる自己破産を選択することで厳しい返済から逃れられますが、NG行為を犯すと詐欺破産罪に問われる恐れがあります。

本記事では詐欺破産罪の概要を解説した後、詐欺破産罪に問われる行為と発覚したら起きることを解説します。詐欺破産罪に問われることなく自己破産を終えたい方は、ぜひ参考にしてください。

1章 自己破産を検討しているなら知っておこう!詐欺破産罪の概要

詐欺破産罪とは破産法265条によって定められている罪で、貸金業者や金融機関などの債権者が不利益になることを目的とする行為が認められた際に成立します。

つまり、お金を借りている人が、意図的に貸している人の利益を損なった場合に、詐欺破産罪は成立するのです。罪が確定するのは、自己破産の手続き開始が決まったタイミングであるだけで、手続き前にした行為でも罪に問われる点に注意しましょう。

また、破産法は歴史のある法律で基本的に抜け道はありません。誠実な対応が経済的更生への近道だということを理解しておきましょう。

2章 詐欺破産罪に問われる6つの行為

先述の通り、詐欺破産罪に問われるのは債権者に不利益になる行為です。破産法265条では、以下の行為が違反行為として定められています。

  • 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
  • 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
  • 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
  • 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為

この文章だけだと違反行為をイメージできない方が多いでしょう。そこでここでは、詐欺破産罪に問われる具体的な違反行為を解説します。

2-1 財産を隠した

自己破産の手続きを行う際、保有資産を申告する財産目録を提出します。手続きのなかで一定の価値がある財産はすべて没収されるため、財産隠しを考えている人もいるでしょう。

ただ、破産時の財産調査は自己申告と合わせて、破産管財人によっても行われます。処分による売却金が少なくなって債権者に不利益に働くため、財産を隠したまま手続きを進めた債務者は詐欺破産罪に問われます。

また、車や骨董品、貴金属などを壊すのも違反行為です。財産を失うのを避けたい気持ちもわかりますが、手続きを完了させるためにも必ず正直に申告しましょう。

2-2 親族や知人に財産を譲渡した

親族や知人への財産譲渡によって売却金額が少なくなるため、違反行為として定められています。自己破産の手続きを見据えて骨董品や貴金属、現金などを譲渡するのは違反行為です。

また、処分される恐れのある財産を一時的に預かってもらったり、車やマイホームの名義を変更したりするのも違反行為に該当します。このような行為もしないようにしましょう。

2-3 実際にはしていない借金を偽装した

債務者から没収した財産の売却金額は、債権額に応じて比例配分して債権者に配当金として支払われます。債権者と債権額の増加によってほかの債権者の配当金が減少するため、借金の偽装は詐欺破産行為です。

このように債権者の不利益につながって詐欺破産罪に問われるため、あたかもお金を借りているかのように偽装するのはやめましょう。

2-4 実際の価値よりも不当に低い金額で財産を売却した

債権者の不利益になるので、自己破産の手続き前後に住宅や車を実際の価値よりも不当に低い金額で売却することによって詐欺破産罪に問われます。

年数ではなく経済状況によって違法性が判断されるため、すでに返済が厳しい状況に陥っているならば3年前の売却でも処罰の対象になる恐れがあります。

一方で、財産を安価で売却していても返済能力があるならば、1年前や半年前でも罪に問われません。詐欺破産罪の成立には、債権者に不利益に働くことを認識できるタイミングだったかどうかが大事になります。

2-5 債権者を害する目的で債務者の財産を取得した

自己破産の手続きを開始したことを知りながら、債権者を害する目的で債務者の財産を取得することは違反行為です。典型的なのは、破産者の家族が財産隠しのために破産者から財産の名義を書き換えたケースです。この場合は家族も詐欺破産罪に問われます。

また、自身では取得せずとも、第三者に取得させることも詐欺破産行為です。債権者が不利益を被るような行為をすれば、債務者以外も詐欺破産罪に問わることを把握しておきましょう。

2-6 計画倒産をおこなった

計画倒産とは、債権者への支払いを踏み倒すことを目的に会社をたたむことです。計画倒産では財産隠匿や不当な譲渡などが複合的に行われており、詐欺破産罪に問われます。なお、返済する意思がない状態でお金を借りれば、詐欺罪にも問われます。

また、処分を避けるために財産を隠したり、財産を不当な価格で売却したり、特定の債権者にだけ返済したりするのも詐欺破産行為です。法人の経営者も詐欺破産罪に問われる可能性があることを理解しておきましょう。

3章 詐欺破産行為が発覚したら起きること

詐欺破産罪に問われる行為をした場合、債務者に起きることは以下の通りです。

  • 有罪判決を受ける
  • 免責が許可されない可能性が高まる
  • 取引が否認される

それぞれについて詳しく解説しましょう。

3-1 有罪判決を受ける

詐欺破産罪は犯罪なので、詐欺破産行為が発覚すると有罪判決を受けます。10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられます。場合によっては、懲役と罰金の両方が科せられる可能性がある点に注意が必要です。

また、罪に問われたのが法人の経営者や従業員の場合でも、同様の刑罰が科せられます。

3-2 免責が許可されない可能性が高まる

自己破産の手続き前後で詐欺破産行為を犯すことにより、免責が許可されない可能性が高まります。免責とは自己破産の手続きを通じて、借金の支払い義務を免除することです。

免責不許可事由に該当しても悪質だと判断されない場合は、対応次第で免責が認められます。しかし、詐欺破産罪に問われる悪質な行為をすると免責を受けられず、救済措置もほとんどありません。

自己破産ができなくなるなどデメリットが大きすぎるため、今後の生活のためにも必ず誠実に向き合いましょう。

3-3 取引が否認される

親族や知人への名義変更や財産譲渡、不当に低い金額での売買、債権者を害する目的にした財産譲渡などの取引は、詐欺破産行為に該当します。詐欺破産罪が確定すると、これらの取引は否認される可能性が高いです。

なぜなら、自己破産の手続きを進める破産管財人に否認権があるからです。破産管財人が否認権を行使することによって、名義変更や売買といった取引をなかったことにできます。

自己破産ができなくなるだけではなく、取引相手に迷惑をかけるリスクがともないます。基本的に破産法には抜け道がないので、詐欺破産行為をせずに誠実に向き合ってください。

4章 自己破産は弁護士・司法書士に相談しよう

「詐欺破産行為をしていないか不安」「意図的ではなくても財産の申告を忘れてしまうかもしれない」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

規則上は自己破産の手続きを1人で進められますが、慣れていない方が行うと膨大な手間と時間がかかります。また、手続きにミスがあると免責が認められない可能性があります。

安全かつスムーズに自己破産を進めたいのであれば、手続きに慣れている弁護士・司法書士へ依頼しましょう。

グリーン司法書士法人グループでは、自己破産の手続きのサポートや必要書類の代理取得をおこなっています。借金の返済が厳しくなって自己破産を検討している方は、ぜひ一度グリーン司法書士法人グループにご相談ください。

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まとめ

詐欺破産罪は債権者に不利益になる行為を禁止することを目的としており、破産法265条によって定められています。詐欺破産罪に問われる行為は以下の通りです。

  • 財産を隠した
  • 親族や知人に財産を譲渡した
  • 実際にはしていない借金を偽装した
  • 実際の価値よりも不当に低い金額で財産を売却した
  • 債権者を害する目的で債務者の財産を取得した
  • 計画倒産をおこなった

自己破産の手続き時期を問わず、債権者が不利益を被ることをわかった状態でした行為は罪に問われる可能性があります。詐欺破産行為が発覚して有罪判決を受けると、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が課せられます。

また、免責が許可されず、借金が帳消しにならないかもしれません。知らずに詐欺破産行為に及んでいる可能性もあるため、自己破産をする際は弁護士や司法書士に依頼しましょう。

グリーン司法書士法人グループでは、これまでに多くの方の自己破産の手続きをサポートしてきました。経験と実績を活かして手続きをスムーズに進められるようにお手伝いしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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