競売の取り下げは可能?回避方法と費用・予納金との関係について解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
競売の取り下げは可能?回避方法と費用・予納金との関係について解説

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競売を取り下げてもらうために「費用」がかかると、たとえ「不利」な条件で売却されるとわかっていても、諦めてしまいがちです。

そもそもお金がなくて債務の支払いができず、差し押さえられた家が競売で売りに出されているので、取り下げに「費用」をかけることができない方が多いと考えられます。

しかし、債務を「全額返済」するか、または「任意売却」を成立させることで、競売を取り下げてもらえる可能性はあります。

そこで、競売の取り下げについて、不利な条件で売却されることを回避する方法や、費用・予納金との関係について次の3つの章に分けて解説していきます。

  1. 競売開始の決定とは
  2. 競売の取り下げでかかる費用と予納金の関係
  3. 競売の取り下げ方法

競売を債権者に取り下げてほしいけれど、費用面が気になるという方は、ぜひこの記事を参考にされてください。

1章 競売開始決定とは

「競売開始決定」とは、競売の手続を始めることや不動産を差し押さえたことを知らせるため、裁判所から送られてくる「通知」です。

債権者が抵当権を設定している不動産の競売を申立てたことについて、裁判所で「受理」したことを知らせるために送られます。

競売で入札が始まるまでは、半年ほどの「猶予」があるものの、競売を取り下げてもらう対策を練る十分な時間があるとはいえません。

何をしてよいかわからず、裁判所から通知が届いているのに「放置」してしまうと、競売手続は次々と進み、「強制退去」を求められる可能性も十分あります。

競売は、債権者が事前に設定した「権利」の保護を最優先に進められるため、競売取り下げのためにどのくらいの費用がかかるのか確認しておくと、手続に一歩踏み出しやすくなるでしょう。

2章 競売の取り下げでかかる費用と予納金の関係

競売の取り下げでは、次の2つの費用が関係します。

  1. 取り下げ段階で支払う費用(不動産1つにつき上限2万円)
  2. 申立ての際に支払った費用(60~80万円程度)

申立ての際に支払った費用を「予納金」といいますが、競売の取り下げでかかる費用と予納金との関係を含めて、上記の費用についてそれぞれ説明していきます。

2-1 取り下げ段階で支払う費用

不動産の競売を取り下げる場合、次の「流れ」で手続が進みます。

  1. 債権者が裁判所に「競売申立一部取下書」を提出
  2. 裁判所が提出された取下書に基づいて「登記嘱託書」を作成
  3. 裁判所が嘱託書を登記所に送付
  4. 登記所が嘱託書に基づいて登記

この流れから、競売の取り下げ段階でかかる費用として、差押え登記抹消嘱託用の「登録免許税」が、不動産1個につき1千円(上限2万円)必要です。

2-2 申立ての際に支払った費用

債権者は、競売を申立てる際に、裁判所へ「予納金」を支払っています。

「予納金」とは、競売で必要な次に充てられる「費用」です。

予納金の内訳

  • 現況調査手数料
  • 評価料
  • 売却手数料

 など

競売を管轄する裁判所によって異なるものの、「目安」となる予納金の額は60~80万円程度といえます。

先に債権者が立て替えて支払うものの、「債務」として加算されるため、最終的には「債務者」が支払う義務を負います

ただし、競売が取り下げられた場合は、​取り下げ「以降」の手続にかかるはずだった費用分​を、予納金として納めていた金額から返還してもらえます。

競売手続が進むほど返還される金額は少なくなるため、取り下げを求めるのなら、早めに対処することが必要です。

3章 競売の取り下げ方法

裁判所から競売開始決定通知が届いた「後」でも、競売を取り下げてもらうことはできます。

しかし取り下げができるのは、競売を申立てた「債権者」のみです。

たとえば住宅ローンの滞納で不動産が競売にかけられた場合、債権者は保証会社か債権回収会社(サービサー)のどちらかであるケースがほとんどでしょう。

競売の取り下げは、債権者に取り下げ手続を進めてもらうように「交渉」することになりますが、交渉の材料として次のいずれかを「完了」させることが必要です。

  1. 一括返済
  2. 任意売却

それぞれの方法について説明していきます。

3-1 一括返済

競売を取り下げてもらいたいものの、すでに手続が進んでいるのなら、ローン残債をすべて「一括返済」することが必要です。

本来、住宅ローンを毎月遅れずに返済していれば、自宅を差し押さえられることも競売にかけられることもありません。

これは、債権者と債務者との間でローン契約を結ぶとき、返済期限までに返済すればよいという「期限の利益」が成立しているからです。

しかし返済期限が守られなかった場合、「期限の利益」を失うことになるため、債権者から残債すべてを一括返済するように請求されます

住宅ローン返済途中の場合、自宅を売却すれば、その代金でローンを完済できる場合もあるでしょう。

しかし家を失うことを避けるなら、別途、一括返済に充てるお金が必要です。

ただ、毎月の支払いができない状態の方が、一括返済に充てる資金を準備することは現実的に「困難」といえます。

そのためローン残債を一括返済することで競売を取り下げてもらうことは、現実的ではないと考えられます。

3-2 任意売却

競売を取り下げてもらう交渉材料として、「任意売却」が挙げられます。

「任意売却」とは、不動産の「所有者」の意思で、債権者の同意を得た上で不動産を売却する方法です。

不動産を売っても住宅ローンが完済しないケースにおける方法であるため、残った債務をどのように返済するのか、金融機関などと打ち合わせしながら手続を進める必要があります。

そのため任意売却で競売を回避するためには、「開札日」の前日までにすべての債権者から任意売却の「同意」を得ておくことが必要です。

任意売却後は、決められた条件にしたがって残った債務を返済しなければ、次は「自己破産」となる可能性もあるため注意してください。

任意売却は、「売却先」によって次の3つに分けることができます。

  1. 一般市場での売却
  2. 親族間での売買
  3. リースバックの利用

それぞれ説明していきます。

一般市場での売却

通常の任意売却では、「市場」で不動産を売却します。

不動産会社が物件売却の依頼を受けたときには、対象不動産の情報は国土交通大臣指定の不動産流通機構「レインズ」に登録されます。

レインズは不動産会社共通の「ネットワークシステム」であるため、幅広く買い手を募ることができるでしょう。

一般的な中古住宅としてデータに載るため、任意売却物件と認識されることなく、「プライバシー」も確保できます。

親族間での売買

任意売却の売却先が親族である「親族間」での売買も方法として挙げられます。

親族間での売買なら、不動産を購入した親族と交渉することで、引き続き家に住むこともできるでしょう。

また、不動産を売却することに対する「心理的抵抗」を抑えることができるため、他人に売るのではなく、気心の知れた相手に売りたいときにも適しています。

ただし、任意売却の売却先が親族の場合は、「値段設定」が債権者や税務署から見ても「適切」と判断されることが必要です。

さらに現金ではなくローン利用で買い取る場合は、金融機関が融資を渋ることが多いことも注意が必要といえます。

スムーズに手続を進めるためには、任意売却や親族間売買にも精通している「専門家」などに相談することをおすすめします。

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リースバックの利用

任意売却で不動産を購入した相手に家賃を支払い、売った家に引き続き住む方法が「リースバック」です。

不動産の購入者から、売った家を「賃貸物件」として借りる仕組みであるため、毎月「家賃」の支払いは発生します。

しかし引っ越しをせずにそのまま住み続けることができることがメリットですが、競売の取下げを目的とするならば、不動産を売却することでローンを「完済」できることが条件になります。

さらにリースバックの賃貸借契約は、賃貸期間が一定期間に限定される「定期借家契約」で締結されることがほとんどです。

契約期間終了後に貸主と借主で合意できれば再度契約を結ぶことはできます。

しかし合意を得ることができなければ再契約できず「引っ越し」が必要となるため、契約期間を長めに設定するか、期間の定めがない「普通借家契約」で契約できないか交渉が必要となるでしょう。

まとめ

競売の手続が始まってから、取り下げてほしいと希望しても、ローンを「完済」するか「任意売却」といった方法に限られてしまいます。

また、債権者と競売取り下げに関する手続をしてもらうように「説得」することも必要です。

家の購入者を見つけることも債権者との「交渉」も、素人単独では難しいと考えられるため、借金問題や任意売却に精通している「専門家」に相談することをおすすめします。

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