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個人再生の手続きをする際、裁判所が必要と判断した場合には「個人再生委員」が選任されます。
個人再生委員には、申立人の財産・収入の調査や再生計画作成のアドバイス、債権の評価の補助などを行う役割があります。
主に、申立人が個人再生の手続き後にきちんと返済ができるかどうか疑わしいケースに選任されます。
個人再生委員が選任された場合、報酬が発生しますし、手続きが長期化してしまう傾向がありますので、できるだけ選任されないよう事前準備をすることが大切です。
この記事では、個人再生委員について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
個人再生|財産を残しつつ借金を大幅減額
個人再生とは借金の返済が難しいときに裁判所に申立てを行い、借金を5分の1から10分の1程度に減額し3年から5年程度で返済していく手続きです。
個人再生であれば借金を大幅に減額できるので、生活の立て直しを図れます。
目次 ▼
1章 個人再生委員とは
個人再生委員とは、個人再生の手続きをする上で裁判所のサポートや申立人の監督をする人であり、申立裁判所の管轄内に所在する法律事務所の弁護士が選任されるのが一般的です。
個人再生では、申立人は借金の圧縮後の再生計画を立てなければいけませんが、一人で適正な再生計画を立てるのは難しいでしょう。
また、裁判所は申立人の収入や財産についても徹底的に調査しなければいけません。
個人再生委員は、そのような手続きに対して補佐をする人であると考えておけば問題ありません。
具体的な役割については3章にて解説しますので、ここでは個人再生委員が選任されるケースや、報酬について詳しく解説します。
1−1 個人再生委員が選任されるケース
個人再生委員が選任するかどうかは、それぞれの事件に応じて裁判所が判断します。裁判所によっては、全件で個人再生員を選任する運用をしているところもあります。
そのため、個人再生委員が選任される明確な基準はありません。裁判所によっては、全ての案件で個人再生委員を付けるという運用をしているところもあります。
そうでない場合、裁判所が収支の状況を見て、個人再生手続き後に返済するのが難しいと判断した場合には個人再生委員が選任されやすい傾向があります。
また、たとえば個人事業主など、私的財産の適切な把握が困難と考えられる人は、その部分の調査をするために個人再生委員が付けられることがあります。
1−2 個人再生委員に対する報酬
個人再生委員が選任されると、当然、個人再生委員に対する報酬が発生し、「予納金」として裁判所に納めなければいけません。
予納金の金額は裁判所や事件ごとにことなりますが、20万円~30万円程度が一般的です。
これは原則として一括納付となりますが、全件に対して個人再生委員を付ける運用をしている裁判所では、履行テストを兼ねて分割納付を認めているところもあります。
2章 個人再生委員が選任されるとどうなる?
ここでは、個人再生委員が選任されるとどうなるのかについて解説します。
2-1 個人再生委員との面談が必要になる
個人再生委員が選任されると、個人再生委員との面談が必要になります。
この面談は、個人再生委員になった弁護士が所属する法律事務所で行うのが一般的です。
面談では、以下のようなことについて聞かれます。
- 個人再生に至った経緯
- 財産の内容
- 家計の状況
- 収支バランスを改善するためのアドバイス
申立人は個人再生委員からのアドバイスや指示を受けながら適正な再生計画案を作成し、裁判所に提出します。
なお、個人再生委員との面談は通常の法律相談とあまり変わりません。弁護士の自己紹介から始まり、手続きに関する簡単な説明がを受けた後に、事件に関する質疑が行われます。終始和やかな雰囲気で行われることがほとんどですので、それほど不安に感じる必要はありません。
不安なときは、依頼した専門家に同席してもらうこともできますので、お願いしてみるのも良いでしょう。
2−2 手続きの手間が増え期間も長くなりやすい
個人再生委員が選任されると、書類の作成・提出や面談が多くなるため、手続きの手間が格段に増えます。
個人再生委員が選任されてもされなくても手続きの期間はほとんど変わらないため、かなり忙しくなるでしょう。
3章 個人再生委員が行うこと
個人再生委員は個人再生の手続きをする上で裁判所のサポートや申立人の監督をする役割があると解説しました。
では、実際にはどのようにサポートするのでしょうか。
具体的に、個人再生委員会が行うのことは以下のとおりです。
- 収支・財産の調査
- 債務調査
- 再生計画案の精査
それぞれ具体的に解説します。
3−1 収支・財産の調査
個人再生では、財産額と圧縮債務額との比較で具体的な返済額が決まります。そのため、個人再生において、申立人の財産がどの程度あるかは非常に重要です。
また、圧縮後の借金は原則として3年で返済しますので、それが可能かどうかを確認するため、収支についても明確にしておかなければいけません。
そのため、個人再生委員は申立人の収入・支出・所有する財産について調査します。
3−2 債務調査
申立人の個人再生について、債権者が異議を唱えることもあります。
例えば、申立人は「債権者Aから100万円借りている」と言っているのに、債権者Aは「申立人はうちから200万円借りている」と主張することもあるのです。
その場合、申立人と債権者のどちらが正しいことを言っているか把握しておかなければいけません。
第三者として債務の調査を行うのも、個人再生委員の役割の1つです。
3−3 再生計画案の精査
個人再生の手続き後、申立人が再生計画を遂行できなくなってしまうことがあってはいけません。そのため、適正な個人再生案を作成することが重要です。
個人再生委員は、申立人が作成した再生計画案を確認し、「実現可能かどうか」「債権者が不利益を受けないか」と精査します。また、問題がある場合には、作成し直すよう勧告することもあります。
4章 個人再生委員が選任された場合の注意点
個人再生委員が選任された場合には、以下の点に注意しましょう。
- 個人再生員委員との面談は誠実に対応する
- 履行テストは慎重に行う
それぞれ詳しく解説します。
4−1 個人再生員委員との面談は誠実に対応する
個人再生委員が選任されると、面談をが行われます。面談では、申立人の収支や財産の内容などについて聞かれますが、そこでは以下のことに心がけ、誠実に対応するようにしましょう。
- 嘘をつかずに正直に話す
- 態度良く、誠実に話しをする
- 書類などを求められた場合には期限を守る
4−2 履行テストは確実に行う
個人再生の手続きの中には実際に個人再生案の内容通り返済ができるかどうか確認する「履行テスト」というものがあります。
履行テストでは、個人再生委員が指定する口座に計画にある弁済額を毎月振込みます。
もしこの履行テストが失敗してしまうと、個人再生が認められなくなってしまう可能性がありますので、日々の生活を見直しながら確実に行うようにしましょう。
まとめ
個人再生委員の選任基準は裁判所によって異なりますが、個人再生手続き後に返済するのが難しいと判断した場合には個人再生委員が選任されやすい傾向があります。
個人再生委員が選任されると手続きが長期化しやすく、また報酬も発生するため費用は多くかかってしまいます。
そのため、個人再生委員がつかないよう、依頼した専門家と相談しながら十分な事前準備をすることが大切です。
グリーン司法書士法人では、これまで多くの個人再生手続きをサポートしてまいりました。
ご依頼いただきましたら、可能な限り個人再生の手続きが円滑に進むようサポートいたします。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
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