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- 自己破産できる借金の金額の目安
- 自己破産による免責が認められない条件
- 自己破産の費用を抑えるための方法
借金の返済がどうしても難しくなった時の解決方法の一つが自己破産です。自己破産をすれば、裁判所の手続きを経て借金の返済義務を免除してもらえる可能性があります。しかし、「どれくらいの金額から自己破産できるのか?」「少額でも申し立てはできるのか?」といった点が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自己破産が認められる借金額の目安や必要な費用、免責が認められないケースなどについて解説します。自己破産の費用を抑えるための方法も紹介しているので、借金問題でお困りの方はぜひ最後までご覧ください。
目次 ▼
1章 自己破産できる借金の金額の目安
まずは、自己破産できる借金の金額の目安を紹介します。実際にどのくらいの借金額の方が自己破産をしているかも紹介しているので、自己破産を検討している方はぜひ参考にしてください。
1-1 支払不能であることが条件となる
自己破産が認められるかどうかは、借金の金額そのものではなく支払不能の状態にあるかどうかで判断されます。支払不能とは、収入や資産から見て、将来的に借金を返済できる見込みがない状態を指します。
例えば、借金が100万円でも、安定した収入があり返済を続けられる人は支払不能とは言えません。逆に、収入が不安定で生活費を確保するのも難しい状況なら、借金が100万円程度でも自己破産が認められる可能性があります。
1-2 100万円〜200万円で自己破産をしている人が多い
2023年破産事件及び個人再生事件記録調査によると、自己破産した人の借金額は100万〜200万円未満が16.38%で最も多いという結果が出ています。次いで200万〜300万円未満が13.46%、100万円未満でも10.46%を占めており、決して高額な借金でなければ自己破産できない訳ではないことが分かります。
このデータからも明らかなように、自己破産は「借金の金額が多いか少ないか」ではなく、返済の見込みがあるかどうか=支払不能かどうかが判断の基準です。頑張って働いても生活費すら確保できない状況であれば、100万円前後の借金でも自己破産が認められるケースは珍しくありません。
2章 自己破産にかかる費用の相場は30万円〜100万円程度
自己破産の手続きを進める際、裁判所に支払う費用や専門家への報酬が必要となります。一般的に、自己破産にかかる費用の相場は30万円〜100万円程度とされています。
内訳は、裁判所に納める予納金や申立手数料、郵便切手代などの実費と、弁護士や司法書士へ支払う費用です。管財事件や少額管財事件となった場合は、管財人費用として追加で20万円〜50万円程度を支払う必要もあります。
また、依頼する専門家の種類によっても費用は異なります。弁護士に依頼する場合は着手金・報酬金が必要になることが多く、司法書士の場合は費用が比較的抑えられるケースがあります。いずれにせよ、事務所によって金額や支払い方法に幅があるため、事前に見積もりを確認しておくことが大切です。
3章 自己破産による免責が認められない条件
自己破産は裁判所に申し立てを行い、免責許可決定を受けることで借金の返済義務が免除されます。ただし、全てのケースで必ず免責が認められるわけではありません。借金の理由や返済の経緯によっては、免責不許可事由に該当し、裁判所が免責を認めない可能性があります。ここでは代表的な3つのケースを見ていきましょう。
3-1 ギャンブルなどによる浪費
自己破産は、やむを得ず返済できない状況に陥った人を救済する制度です。そのため、借金の原因がパチンコ・競馬・競艇といったギャンブルや、過度な買い物・遊興費である場合には、免責が認められない可能性があります。
例えば、生活費や医療費といった必要不可欠な支出のための借入であれば「やむを得ない事情」と判断される余地がありますが、ギャンブルやブランド品の衝動買いといった浪費が原因で借金が膨らんだ場合は、裁判所から自己破産制度の悪用とみなされかねません。
もっとも、浪費やギャンブルが借金の一因となっていても、必ず免責が不許可になるわけではありません。裁判所は借金の経緯や反省の有無、現在の生活態度なども考慮します。浪費を改めて生活を立て直そうとしている姿勢があれば、裁量によって免責が認められるケースもあります。
3-2 不平等な返済
自己破産の手続きでは、全ての債権者を平等に扱うことが原則です。ところが、一部の債権者にだけ優先的に返済を行うことを「偏頗弁済」と呼び、免責不許可事由に該当する可能性があります。
例えば、複数の金融機関から借入をしているのに、親族や特定の銀行にだけ返済を続け、他の債権者には一切返済しない場合です。これは債権者間の公平性を欠く行為とされ、裁判所から問題視されることになります。
ただし、全ての特定の債権者への返済が偏頗弁済に該当するわけではありません。例えば、家賃の滞納分を支払う場合や税金を支払う場合、当月分の生活費に関する支払いは、生活を維持するために必要不可欠な出費であり、偏頗弁済には当たらない可能性があります。
偏頗弁済と判断されるかどうかは状況によって異なり、最終的には裁判所の判断となります。気になる場合は、自己破産を申し立てる前に必ず専門家へ相談して確認しておくことが重要です。
3-3 詐欺的な行為
自己破産の手続きでは、借金をした経緯や返済の姿勢が厳しく確認されます。その中で、虚偽や不正が関わっている場合は詐欺的な行為とみなされ、免責不許可事由に該当する可能性があります。
代表的なのは、収入や勤務先を偽って借入をしたり、返済する意思がないのに借金を重ねたりするケースです。こうした行為は、債権者を騙して資金を得たものと判断され、免責が認められないばかりか、悪質な場合は刑事責任を問われることもあります。
また、自己破産の申立手続きにおいて財産や債務を隠す行為も詐欺的な行為にあたります。例えば、預貯金や不動産、車などの財産を意図的に申告しなかった場合や、家族名義に移して隠すような行為は、免責が下りない典型例です。不正や虚偽を伴う場合には制度の利用は認められないため、全ての財産・借入状況を正直に申告することが大切です。
4章 自己破産の費用を抑えるための方法
自己破産にかかる費用は30万円〜100万円程度と決して安くはありません。借金の返済に困っている状況でまとまったお金を用意するのは大きな負担ですが、工夫次第で費用を抑えることも可能です。
4-1 司法書士に依頼する
自己破産の費用相場は、弁護士に依頼する場合で30万円〜80万円程度、司法書士に依頼する場合で20万円〜50万円程度とされ、司法書士の方が安価で済む傾向があります。
手続きの内容自体に大きな違いはありませんが、管財事件の扱いにおいて差が出る場合があります。管財事件とは、裁判所が選任する破産管財人が、債務者の財産や取引状況を調査する手続きのことで、管財人費用として20万円〜50万円程度を裁判所に納めなければなりません。
弁護士に依頼した場合、少額管財事件として扱われやすく、管財人費用を20万円程度に抑えられる可能性があります。一方、司法書士に依頼した場合は管財事件となり、50万円の管財人費用を支払うことになります。そのため、総額で見ると弁護士に依頼した方が安く済む場合もあるのです。
つまり、「司法書士=安い」「弁護士=高い」と単純に比較できるものではありません。借金額や財産状況によって管財事件になるかどうかは異なるため、トータルコストと手続きの安心感を踏まえて依頼先を検討することが大切です。
4-2 法テラスに相談する
費用が原因で自己破産をためらっている場合は、法テラスに相談しましょう。法テラスには民事法律扶助制度という制度があり、利用すれば、弁護士や司法書士に支払う費用、さらには裁判所に納める予納金などを立て替えてもらうことができます。
立て替えてもらった費用は、手続き終了後に月々5,000円〜1万円程度の分割で返済していく仕組みになっており、まとまったお金がなくても安心して自己破産を申し立てられます。
利用には一定の収入・資産基準を満たす必要がありますが、生活保護受給者や低所得者層をはじめ、多くの人が対象となり得ます。さらに、相談料は原則無料のため、まずは気軽に相談できる点もメリットです。
4-3 着手金・相談料無料の事務所を探す
自己破産の費用を抑える方法として、着手金や相談料を無料にしている法律事務所を利用するという選択肢もあります。多くの事務所では、初回相談は無料に設定されていますが、中には着手金も無料にして、費用の分割支払いに対応してくれる事務所もあります。
このような事務所を利用すれば、自己破産の手続きを始める際の初期費用を抑えられるため、手元資金が少なくてもスムーズに申し立てに踏み切れるでしょう。ただし、相談料や着手金が無料でも、最終的に報酬金や実費(裁判所への予納金や郵券代など)は必要になる点には注意が必要です。
また、費用の安さだけで事務所を選んでしまうと、サポートの質や対応スピードに不満を感じる恐れもあります。費用の明確さと同時に、自己破産の実績が豊富で信頼できる専門家かどうかを確認することが大切です。
5章 状況によっては自己破産ではなく任意整理・個人再生を検討すべき
自己破産は借金を根本的に免除してもらえる強力な制度ですが、デメリットも少なくありません。財産を処分するリスクや、職業制限・資格制限が一時的にかかる場合があるため、状況によっては他の債務整理手続きの方が適していることもあります。
5-1 任意整理
任意整理とは、裁判所を通さずに弁護士や司法書士が債権者と直接交渉し、借金の返済条件を見直す手続きです。主な交渉内容は、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長などで、残った元本を3年〜5年程度で分割返済していくのが一般的です。
自己破産のように借金そのものが帳消しになるわけではありませんが、利息が免除されることで返済総額は大きく減り、毎月の負担を軽くできます。また、裁判所を介さないため、手続きのスピードが比較的早く、家族や勤務先に知られにくい点も大きなメリットです。
さらに、任意整理では手続きの対象とする債権者を選べます。例えば、住宅ローンや自動車ローンをそのまま残しつつ、消費者金融やクレジットカードの借金だけを整理するといった柔軟な対応も可能です。生活に必要な財産を維持しながら返済を続けられるため、「自己破産は避けたいが、返済を楽にしたい」という人に向いています。
ただし、元本は基本的に減額されないため、借金総額が大きすぎる場合や収入が安定していない場合には返済が難しいケースもあります。そのような場合は、個人再生や自己破産を検討する必要があるでしょう。
5-2 個人再生
個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年で分割返済していく手続きです。借金総額を大幅に圧縮できるため、任意整理では返済が難しいが、自己破産は避けたいという人に適しています。
最大の特徴は、住宅ローン特則を利用できる点です。条件を満たせばマイホームを残したまま他の借金を減額し、返済を続けることができます。家族の生活基盤を守りたい方にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、安定した収入がなければ返済計画を継続できないため、収入が不安定な人には向いていません。また、任意整理に比べて裁判所を通す分、手続きに時間と手間がかかる点もデメリットです。
6章 自己破産を検討しているなら弁護士・司法書士に相談しよう
自己破産は、借金を帳消しにできる制度ですが、その分デメリットや注意点もあります。管財事件になるかどうか、免責が認められるかどうか、家族や職場に影響が及ぶ可能性など、自己判断で進めるにはリスクが大きい手続きです。
弁護士・司法書士に相談すれば、任意整理・個人再生・自己破産といった複数の選択肢の中から、あなたの生活状況や借金額に合った解決方法を提案してもらえます。また、管財事件になるかどうか、少額管財を利用できるかどうかなど、費用面での見通しも含めて具体的にアドバイスを受けられます。
借金問題は、時間が経つほど利息や遅延損害金によって負担が増してしまいます。「もう返済できそうにない」と感じた時点で、できるだけ早く専門家へ相談することが重要です。
グリーン司法書士法人では、自己破産をはじめとする債務整理の相談を随時受け付けています。初回相談は無料ですので、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
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まとめ
自己破産は、借金を返済できない状況に陥った人を救済するための制度です。明確に「〇〇万円以上でなければ申し立てできない」という基準はなく、支払不能かどうかが判断のポイントになります。実際には、100万円〜200万円程度の借金で自己破産を選ぶ人も少なくありません。
費用を抑えるには司法書士に依頼する方法や法テラスの利用がありますが、弁護士に依頼すれば少額管財事件として扱われ、結果的に負担が軽くなるケースもあります。
また、借金問題の解決は自己破産だけでなく、任意整理や個人再生といった方法も選択肢に入ります。状況に応じてどの手続きが最適かを見極めるためには、専門家へ早めに相談することが大切です。
グリーン司法書士法人では、初回相談を無料で受け付けています。借金が膨らんで手遅れになる前に、早めにご相談ください。
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