育休中にお金がない場合はどうする?利用可能な制度や対処法を解説

司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4454号 / 大阪府行政書士会所属 会員番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
育休中にお金がない場合はどうする?利用可能な制度や対処法を解説

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 この記事を読んでわかること

  • 育休中に利用できる公的支援制度
  • 育休中にお金が足りない場合の対処法
  • 育休中にお金がない場合にやってはいけないこと

育休中は、出産前と比べて収入が減少するうえに、オムツ代やミルク代など育児にかかる日々の出費が増えやすい時期です。さらに、家賃や光熱費、通信費といった固定費は育休前と変わらず発生するため、貯金を取り崩しながらの生活に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、育休中に利用できる公的支援制度や、育休中にお金が足りない場合の対処法を解説します。育休中にお金がない場合にやってはいけないことも紹介しているので、子育て中でお金にお困りの方はぜひ最後までご覧ください。

1章 お金がない時に頼りになる!育休中に利用できる公的支援制度

先述の通り、育休中は収入が減る一方で、出産・育児の費用や生活費がかかります。ここでは、育休取得者の多くが対象となる育児休業給付金について見ていきましょう。

1-1 育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者が育児のために仕事を休んだ場合に支給される制度です。育休中に賃金が支払われない、あるいは大幅に減額されることを補う目的で設けられており、育児による収入減をカバーする代表的な支援制度と言えます。

支給額は、休業開始時賃金日額(原則として、ボーナスを除いた直近6ヵ月間の賃金総額を180日で割った金額)を用いて計算されます。休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%が、181日目以降は50%が支給されます。

支給要件としては、育児休業開始前の2年間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あること、または賃金日数が11日未満でも就業時間が80時間以上ある月が12ヵ月以上あることが挙げられます。また、休業期間中に会社から休業前の賃金の80%以上が支払われていないこと、1ヵ月の就業日数が10日以下であること(10日を超える場合は80時間以下)も要件です。

なお、育児休業給付金の申請手続きは原則として勤務先を通じて行いますが、会社によっては申請サポートに差があるため、事前に人事・労務担当者に確認しておくことをおすすめします。初回の支給までは2ヵ月〜3ヵ月程度かかることもあるため、育休入り前に生活資金を準備しておくと安心でしょう。

1-2 出生時育児休業給付金

出生時育児休業給付金は、いわゆる産後パパ育休に対して支給される給付制度です。育児への参加を望む父親が、子の出生後すぐに育児休業を取得しやすくなるよう支援する目的で設けられました。

対象となるのは、雇用保険に加入しており、子の出生後8週間以内に出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した人です。休業は最大28日間、2回まで分割して取得することが可能です。給付額は「休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(上限28日) × 67%」で計算されます。

出生時育児休業給付金は、育児休業給付金と同様に勤務先を通じて申請します。必要書類や適用条件などが気になる方は、事前に人事・労務担当者に確認しておきましょう。

1-3 出生後育児休業給付金

出生後休業支援給付金は、育児休業中の経済的な不安を軽減し、夫婦が協力して育児に取り組むことを促すために2025年4月から新設された制度です。雇用保険の被保険者が、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給対象となる休業を通算して14日以上取得し、かつ配偶者も同様に14日以上の休業を取得した場合に支給されます。

ただし、配偶者が無業・自営業・産後休業中などで育児休業の取得が困難な場合は、この要件が免除される特例があります。これにより、ひとり親家庭などでも給付金の対象となります。

支給額は、「休業開始時賃金日額 × 対象休業日数(上限28日)× 13%」で計算されます。既存の育児休業給付金(67%)または出生時育児休業給付金(67%)と併せて支給されることで、合計80%の給付率となります。

申請は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の初回申請と同時に行うのが原則です。原則として勤務先が行うため、人事・労務担当者に確認しておくと安心でしょう。

1-4 育児時短就業給付金

育児時短就業給付金も2025年4月から新設された制度で、育児休業から復帰後、短時間勤務を選択した労働者の収入減少を補填することを目的としています。これにより、育児を理由とした離職を防ぎ、キャリア継続を支援します。

対象者は、2歳未満の子供を養育するために短時間就業を行う雇用保険の被保険者です。育児休業に続いて時短就業を開始した場合、または時短開始前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あることが要件となります。

給付額は、原則として時短就業中の賃金額の10%が支給されます。ただし、時短中の賃金と給付金の合計額が時短前の賃金水準を超えないように調整されます。

育児時短就業給付金も原則として、被保険者を雇用している事業主が申請を行います。適用を検討している場合は、勤務先の人事・労務担当者に確認しておくと安心です。

1-5 社会保険料の免除措置

育児休業中は、一定の条件を満たせば健康保険料および厚生年金保険料が免除される制度があります。免除されている期間も将来の年金額にはきちんと反映されるため、将来の年金受給額が減る心配はありません。

免除の対象は、厚生年金や健康保険に加入している被保険者が、子が3歳になるまでの間に育児休業を取得した場合です。従来は、育休を開始した月から終了した月の前月までが免除の対象でしたが、制度改正により、同月内に14日以上育児休業を取得した場合もその月の保険料が免除されるようになりました。

例えば、月の途中から育児休業を開始して14日以上取得した場合でも、その月の保険料は免除されます。これにより、月単位での取得に限らず、柔軟に免除を受けられるようになっています。

育休関連の給付金と同様に、具体的な手続きは勤務先が行います。不明な点がある場合は、人事・労務担当者や健康保険組合、年金事務所などに確認してみてください。

2章 育休中にお金が足りない場合の対処法

育休中にお金が足りない場合の対処法は以下の通りです。

  • 固定費を見直す
  • 自治体が実施している子育て支援制度を利用する
  • 両親や兄弟に支援をお願いする
  • 債務整理を検討する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

2-1 固定費を見直す

育休中は収入が減る一方で、支出はこれまでと変わらず発生するため、まずは固定費の見直しから取り組むのが効果的です。支出の中でも毎月自動的に引き落とされる費用は、見直しの優先度が高い項目と言えるでしょう。

例えば、スマホの通信費はプランの見直しや格安SIMへの乗り換えで、月数千円の削減が可能です。加えて、動画配信サービスや音楽アプリなどのサブスクリプションも、実際に使っていないものは解約することで無駄を省けます。

また、加入している保険が今のライフスタイルに合っているかどうかも、ぜひ見直したいポイントです。子どもの医療費が無料または軽減される自治体に住んでいる場合、医療保険の必要性が低くなるケースもあります。保障内容と保険料のバランスを見直すだけでも、家計の圧縮に繋がるでしょう。

今の暮らしに本当に必要なものは何かを整理することで、支出の最適化が進み、育休中の金銭的な不安を軽減できます。育休が終わってからの生活にも役立つため、固定費の見直しは早めに取り組んでおきたい対策の一つです。

2-2 自治体が実施している子育て支援制度を利用する

お金に余裕がない時は、住んでいる自治体が提供している子育て支援制度を積極的に活用しましょう。国の制度とは別に、自治体ごとに独自のサポートが展開されており、知らないだけで損をしているケースも少なくありません。例えば、自治体によって以下のような支援制度を設けている場合があります。

  • 紙おむつや粉ミルクの無料配達
  • 一時保育の利用料の多額軽減補助金
  • 子供の医療費の無料化制度

こうした制度の多くは自動で通知が来るわけではなく、自分で申請する必要がある点に注意が必要です。支援の有無や詳細は自治体によって異なるため、自治体のホームページをチェックしたり、市役所・区役所に問い合わせたりするのが確実です。

2-3 両親や兄弟に支援をお願いする

育休中にお金が足りなくなった場合、両親や兄弟に頼るのも選択肢の一つです。金銭的なお願いは気が引けるかもしれませんが、育児のための一時的な支援であれば、理解を得られる場合も多いでしょう。

無理を重ねて生活が立ち行かなくなる前に、「いつ・どのくらい必要なのか」「返済の目処はあるか」など、状況を正直に伝えましょう。お金だけでなく、ベビー用品のおさがりや食料品の差し入れといった物の支援をお願いすることも可能です。

2-4 債務整理を検討する

育休中の収入減に加え、カードローンやリボ払いなどの借金返済が重なっている場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類の方法があり、借金問題の解決に役立ちます。それぞれの効果は以下の通りです。

任意整理裁判所を介さずに貸金業者と直接交渉し、毎月の返済額・返済期間の調整を行う手続きです。元本自体は減額されませんが、将来利息や遅延損害金をカットできます。
個人再生裁判所に申立てを行い、借金を大幅に減額する手続きです。借金総額を5分の1程度まで圧縮し、残額を原則3年間で分割返済することになります。住宅ローンがある場合でも、住宅ローン特則を利用すれば家を残したまま手続きが可能です。
自己破産自己破産は、すべての借金の返済義務を免除(免責)してもらう手続きです。生活に必要な最低限の財産を除き、原則として財産は処分されます。

いずれの手続きも専門的な判断が必要なため、弁護士や司法書士への相談が欠かせません。特に早い段階で相談すれば、選択肢が広がり、精神的な余裕も得られやすくなります。初回は無料で対応している事務所も多いため、なるべく早めに相談しましょう。

3章 育休中にお金がない場合にやってはいけないこと

育休中の生活が苦しいと、つい「目の前の現金をどうにか確保しなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、短期的な解決策のなかには、後々大きなトラブルや後悔に繋がる選択肢もあります。ここでは、育休中にお金が足りなくなった時のNG行動について解説します。

3-1 闇金業者を利用する

闇金業者とは、金融庁への登録を行っていない違法業者のことです。貸金業法で定められた上限をはるかに超える金利での貸付を行っており、たとえ数万円の借入であっても、数日単位で何倍もの返済を求められることがあります。返済が遅れれば、自宅や勤務先、家族にも執拗な取り立てが及ぶことも少なくありません。

一度関わってしまえば、連絡先や個人情報を悪用され、逃げ場を失ってしまう可能性もあります。一時的にお金を借りるつもりが、人生を壊されるリスクと隣り合わせであることを理解しておくべきでしょう。育休中のように精神的・体力的な負担が大きい時期こそ、焦りや不安に流されず、正しい選択をすることが大切です。

3-2 クレジットカードの現金化を行う

クレジットカードの現金化とは、本来は商品の購入やサービスの支払いに使うクレジットカードを利用し、間接的に現金を手に入れる行為です。具体的には新幹線の回数券、家電製品、金券などの換金性の高い商品をクレジットカードで購入し、すぐに売却して現金化するといった方法が代表的です。

一見すると、合法的な抜け道のように思えるかもしれませんが、現金化はカード会社の利用規約で明確に禁止されている行為です。発覚した場合、カードの利用停止や強制解約、最悪の場合は一括返済の請求を受けることがあります。また、悪質な現金化業者を利用すると、商品が届かない、法外な手数料を差し引かれるといったトラブルに巻き込まれるリスクも秘めています。

さらに、現金化は一時しのぎにしかならず、その後の返済負担が重くのしかかってくるのが実情です。育休中で収入が減っているタイミングで返済額が増えれば、家計がさらにひっ迫し、より深刻な状況に陥りかねません。お金に困った時でも、目の前の現金だけを見て判断するのではなく、長期的な視点でリスクを考えることが重要です。

3-3 ギャンブルをする

育休中にお金が足りず、少しでも増やしたいという焦りからギャンブルに手を出してしまう人もいます。しかし、パチンコや競馬、競艇など、どのギャンブルであっても勝ち続けることは困難です。

一時的に勝てたとしても、次第に負けが込み、最終的には手元の資金を使い果たしてしまうケースが少なくありません。育児中という限られた収入の中でギャンブルに依存すれば、家計の破綻や借金の増加、家庭内トラブルにも発展しかねないでしょう。

また、ギャンブルによる借金は、原則として自己破産で免責が認められません。破産法では、ギャンブルは免責不許可事由とされており、自己破産をしてもパチンコや競馬などによる借金が帳消しにならない場合があります。ギャンブルによって借金を抱えてしまった場合、セーフティネットさえも利用できなくなる恐れがあることを把握しておきましょう。

3-4 闇バイトに応募する

育休中の経済的な不安から、「誰でもすぐに高収入」「在宅・匿名でOK」といった甘い言葉に引かれて、いわゆる闇バイトに応募してしまうのは非常に危険です。闇バイトとは、SNSや掲示板などで募集されている、違法な仕事や反社会的行為に関わる可能性のあるアルバイトを指します。

具体的には、詐欺の受け子・出し子、運び屋、荷物の受け取りなどが代表的です。これらに関与した場合、知らなかったとしても刑事責任を問われる可能性があり、逮捕や前科に繋がる深刻なリスクを抱えることになります。

一度足を踏み入れると、個人情報を握られて抜け出せなくなったり、さらに過激な要求をされるといった被害に遭うケースも少なくありません。生活費を稼ぎたいという一時的な動機で、育児どころか人生そのものを狂わせてしまうことになりかねないのです。どんなに困窮していても、「すぐ稼げる」などのうたい文句には十分に注意しましょう。

4章 借金が原因でお金がない場合は弁護士・司法書士に相談しよう

育休中の収入減に加え、カードローンやリボ払いなどの借金返済が家計を圧迫している場合、自力でのやりくりには限界があります。延滞や督促が続くと、利息の負担が膨らみ、精神的にも大きなストレスとなるでしょう。

そのような場合は、弁護士・司法書士に相談し、債務整理によって解決を図るのが現実的です。債務整理には、将来利息のカットや返済計画の見直しができる任意整理、借金の元本を大幅に減額し分割返済できる個人再生、借金そのものを帳消しにする自己破産の3つの手続きがあります。

いずれの方法も、借金の状況や家計に応じて選択肢が異なるため、専門家の判断が欠かせません。弁護士・司法書士は、あなたの状況に最適な方法を提案し、手続きのサポートも行ってくれます。

グリーン司法書士法人では、最適な債務整理方法の提案や、手続きのサポートを行っています。無料相談も実施しておりますので、育休中で借金の返済にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

育休中は、収入が減る一方で育児にかかる支出が増えるため、「お金が足りない」と感じる場面が少なくありません。そんな時は、育児休業給付金などの公的支援制度を活用し、固定費の見直しや自治体の支援策など、できる対処法から一つずつ取り組んでいくことが大切です。

もし借金の返済が家計を圧迫している場合には、無理を続けるのではなく、弁護士・司法書士への相談も視野に入れてみてください。債務整理などの法的手続きによって、負担を軽減できる可能性もあります。

グリーン司法書士法人では、経験豊富な専門家が借金問題の解決をサポートしております。オンラインでご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

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