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賃貸借契約は貸主と借主の間で結ばれ、家賃や敷金の支払い、物件の提供などの義務を定めています。この契約には賃料の滞納や物件の損傷に関する違約金、解除金も含まれることがあります。
そして連帯保証人は、借主の債務不履行に対して連帯責任を持ちます。連帯保証人になってしまったけれど、解除したいと考えている方もいらっしゃることでしょう。連帯保証人は一体解除できるのでしょうか?
今回の記事では解除の連帯保証人を解除する方法について、詳しく解説します。
目次 ▼
1章 賃貸借の連帯保証人の基本的な役割と責任
賃貸借契約における連帯保証人の役割と責任は、単なる保証人とは異なります。連帯保証人は借主と同等の責任を負い、契約更新の際にはその責任が続くことが一般的です。この章では、連帯保証人の基本的な役割と、賃貸借契約における責任範囲について見ていきましょう。
1-1 賃貸借における連帯保証人とは
連帯保証人は、賃貸借契約において借主の債務を保証する役割を担います。具体的には家賃の滞納だけでなく、物件の損傷や契約違反による損害賠償も含まれることがあります。
連帯保証人は、借主が責任を負うべき債務に対して、直接的に責任を共有します。このため、借主が負債を履行できない場合、連帯保証人がその責任を負うことになります。
賃貸借契約においては、連帯保証人の責任範囲は、家賃の滞納、違約金、損害賠償など広範に及びます。改正民法により、この責任範囲はある程度限定されているものの、依然として重い責任が連帯保証人に課せられます。
1-2 「賃貸借」の連帯保証人と「借金」の場合の違い
いわゆる「借金の連帯保証人」は、具体的に借りた金額の返済に対してのみ責任を負います。これに対して、賃貸借の連帯保証人は、賃料の支払いだけでなく、物件の損傷や契約違反に関連するすべての債権債務に対して責任を持ちます。
賃貸借契約における連帯保証人の責任は、賃料の滞納だけに限られません。たとえば、借主が物件を失火させた場合や器物損壊が発生した場合など、契約にもとづくさまざまな債務についても責任を負うことになります。
このように、賃貸借契約における連帯保証人は、借金の連帯保証人と比較してより広範な責任を負うことになります。これは、賃貸借契約が単なる金銭の貸借ではなく、不動産の使用や管理に関わる多様な問題を含むためです。
参考:極度額に関する参考資料|国土交通省住宅局住宅総合整備課
1-3 保証人が更新を拒否した際の影響
保証人が更新を拒否すると、貸主は新たな連帯保証人を確保するか、家賃保証会社を利用する必要があります。家賃保証会社の利用は、極度額の設定が不要であるため、貸主にとって有利な条件を維持しやすいです。
賃貸借契約の連帯保証人が死亡した場合、元本が確定し、その後の損害賠償責任などは保証人やその相続人には及ばないとされています。これは、契約更新後の保証人の責任に関連する重要な点です。
更新拒否が行われた場合、賃貸借契約は一定の影響を受けます。特に、保証人の変更や家賃保証会社の利用には注意が必要ですが、これらの対応は契約内容や貸主と借主の関係によって変わることがあります。
1-4 法的観点からの保証人の更新拒否
連帯保証人の法的責任範囲は広範に及び、賃料や違約金、損害賠償などを含みます。これは、連帯保証人が契約において重要な保証役割を担うことを示しています。
民法の改正により、連帯保証人の責任範囲はある程度限定されましたが、依然として重い責任を負うことがあり、契約の内容や法的な規定によって異なります。
連帯保証人は、賃貸借契約が更新された場合でも、更新に同意しなければ新たな契約に対する保証責任を負うことはありません。しかし、これは契約内容や法的な規定によって異なることがあるため、具体的なケースごとに適切な対応が必要です。
参考:保証人が更新契約に署名していないときの責任|全日本不動産協会
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2章 連帯保証人の解除方法
連帯保証人の解除は、特定の条件と手続きに従って行われます。解除方法には「基本的な解除方法」「合意解除」「特別な状況下での解除」の3つの方法があり、それぞれに異なるアプローチが必要です。この章では、これらの解除方法と手続きについて詳しく解説します。
2-1 基本的な解除方法と手続き
連帯保証人の解除は、契約書に明記された手続きにもとづいて行われます。これは通常、貸主と借主の合意が必要で、契約書の変更や新たな契約の締結が伴うことがあります。
解除手続きを行う際には、書面による合意が不可欠です。具体的には解除の意志表示と合意の証拠としての書面が必要で、これが法的な効力を持ちます。口頭でも解除の効力は発生しますが、将来のトラブルを防ぐために、必ず書面で執り行うことにしましょう。
解除を行う際には、新たな連帯保証人の確保や家賃保証会社への移行など、代替策の提供が求められることもあります。これは、貸主のリスクを軽減するために重要です。
2-2 「合意解除」の条件と進め方
合意解除とは、貸主と借主、そして連帯保証人の全員の合意にもとづいて行われる解除方法です。この方法では、全員が納得する条件の下で解除が行われる必要があります。
合意解除を進めるには、まず貸主と借主、連帯保証人での話し合いが必要です。この過程で、解除の条件や解除後の責任の分配などが詳細に議論されます。
合意に至った後は、合意内容を明記した書面を作成し、関係者全員が署名・捺印することが重要です。この書面は、将来的な紛争を防ぐための重要な証拠となります。
2-3 解除が可能な特別な状況
特別な状況では、連帯保証人契約の解除が可能です。たとえば不実の告知や勘違い(錯誤)が原因で契約を結んだ場合、消費者契約法にもとづいて契約を取り消すことができます。不実の告知は、事実と異なる重要事項が告げられた場合に該当し、これによる誤認で契約が成立した場合、契約の取り消しが可能です。
また、未成年者が連帯保証人として契約した場合も、契約の取り消しや解除が可能なケースが存在します。ただし、婚姻済みの未成年者、未成年と偽って契約した場合、親権者の承認がある場合などは、契約の取り消しが難しくなる場合があります。
なお、2020年の民法改正により、連帯保証人契約には極度額の設定が必須となりました。
これは、改正前には無限の責任を負っていた連帯保証人の責任範囲を、契約で定められた極度額の範囲内に限定するものです。この変更により、連帯保証人の責任範囲が明確になり、保証人に不当な負担がかからないようにされています。
出典:2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります|法務省
3章 連帯保証人を解除できる例外的なケース
保証人の契約解除には通常の方法の他にも、例外的なケースが存在します。これらのケースでは、契約の成立自体に問題があることが多く、その結果、特殊な条件下で解除が可能となります。
ここでは、勘違いや誤解にもとづく解除、未成年者が連帯保証契約を結んだ場合の解除の可能性について詳しく見ていきましょう。
3-1 勘違いや誤解にもとづく解除
勘違いや誤解にもとづく連帯保証人契約の解除は、特定の条件下で可能です。これは、契約当事者が契約の重要事項を誤解していたり、事実と異なる情報にもとづいていたりする場合に該当します。
解除を行うためには、勘違いや誤解があったことを証明する必要があります。この場合、契約の内容と実際の状況との相違点を明確に示すことが求められることが多いです。ただし、勘違いや誤解に過失があった場合、解除の申し立てが難しくなることもあります。
このような解除を行う場合、法的な手続きが必要になることが一般的です。司法書士などの専門家の支援を得ることで、適切な手続きを行い、契約解除の可能性を高めることができます。
3-2 未成年者が連帯保証契約を結んだ場合
未成年者が連帯保証人として契約した場合、法律上の保護を受けることができ、特定の条件下で契約の取り消しが可能です。この場合、未成年者の法的な判断能力が考慮され、保護されるべき対象とされます。
未成年者の連帯保証契約は、親権者の同意がない場合、または未成年者が契約の重要性や内容を十分に理解していない場合に取り消しや無効を主張できます。しかし、婚姻している未成年者や親権者の承認がある場合など、一部の例外もあるので注意が必要です。
ただし、未成年者が成人になってから時間が経過しすぎると、契約の取り消しは困難になることがあります。たとえば未成年者が成人になってから5年が経過してしまうと、時効が来てしまう可能性があります。
3-3 契約の無効や取消しを主張できるケース
連帯保証契約が無効になる可能性があるケースとしては、無断で連帯保証人にされた場合が挙げられます。たとえば債務者が連帯保証人の同意なく勝手に契約を結んだ場合、その連帯保証契約は基本的に無効となります。
また、詐欺や誤解にもとづいて連帯保証人になってしまった場合、契約の取り消しを主張できるでしょう。たとえば本来は借金の連帯保証契約であるにもかかわらず、賃貸借契約の連帯保証人になると誤認して契約にサインしたケースなどがこれに該当します。
消費者契約法における「不実の告知」を理由に連帯保証契約を取り消すことも可能です。これは、重要事項について事実と異なることが告げられ、それにもとづいて誤認して契約を結んだ場合に該当します。
4章 更新拒否の方法もある!その条件とは?
連帯保証人は、契約の更新時に同意しないことで、更新を拒否できます。更新拒否は、連帯保証人が更新後の債務に対して責任を負わないことを意味し、この選択は賃貸借契約と保証契約の内容に依存します。
2020年の民法改正では、個人が連帯保証人として契約する際に極度額の設定が必要になりました。これにより、改正前と比較して、連帯保証人の債務責任が極度額の範囲内に限定されるようになっています。
そのため、連帯保証人が更新に同意しなければ、新たな保証契約は成立しない可能性があるわけです。これは、賃貸借契約の更新時における保証人の重要な権利であり、連帯保証人が更新後の債務に対して責任を負うかどうかを左右することになります。
更新拒否の場合、貸主は新たな連帯保証人を見つけるか、家賃保証会社などの他の保証方法を検討することが必要です。このような状況は、連帯保証人だけでなく、貸主と借主にとっても重要な意思決定の機会となるため、慎重な対応が求められます。
5章 書面による連帯保証人解除の手続きが賢明
連帯保証人の解除には、書面による手続きが重要です。この手続きは、法的な効力を持ち、解除の正当性を示すために必須となります。ここでは、解除に必要な書面の種類、提出のプロセス、および書面による解除の効力と限界について詳しく見ていきましょう。
5-1 解除に必要な書面とその内容
連帯保証人の解除には、合意解除を目指す場合、債権者との合意書や解除契約書が必要です。これらの文書は、解除の合意が達成されたことを明確に示し、法的な根拠を提供します。
文書には、解除の条件、効力発生の日付、関係者の署名や捺印など、解除に関連するすべての重要事項が含まれている必要があります。これにより、将来的な誤解や紛争を防ぐことができます。
さらに、連帯保証人が新たな保証人を提供する場合、新しい保証人の同意書やその他の関連文書も必要になります。
5-2 書面提出のプロセスと注意点
書面の提出は、債権者や関連する他の当事者に対して行われます。提出前には、文書の内容が正確で完全であることを確認し、必要に応じて法律専門家のチェックを受けることが望ましいです。
文書提出後は、債権者からの正式な承認や応答を待つ必要があります。このプロセスは時間がかかる場合があり、債権者がすぐに承認するとは限りません。したがって、忍耐と持続的なコミュニケーションが重要にです。
提出された書面は、連帯保証人の解除が正式に行われたことを示す重要な証拠となります。そのため、書面のコピーを保管し、必要に応じてこれを提示できるようにしておくことが賢明です。
5-3 書面による解除の効力と限界
書面による解除は、法的効力を持ち、連帯保証人が負っていた責任を解消できます。しかし、この効力は、文書に記載された条件や合意にもとづいており、それが不完全であると効力が弱まる可能性があります。
書面による解除の限界として、債権者の同意が必要であることが挙げられます。債権者が同意しない場合、連帯保証人の解除は困難になるでしょう。また、既に発生している債務に関しては、書面による解除が適用されない場合があります。
書面による解除が成功した場合でも、保証人がすでに支払った債務に関しては回収が困難である場合が考えられます。また、書面にもとづく解除は、特定の状況下でのみ有効であり、すべての連帯保証人契約に適用されるわけではありません。
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まとめ
この記事では、賃貸借契約における連帯保証人について解説してきました。
賃貸借契約における連帯保証人の責任は重く、いったんなってしまうと簡単には解除できません。
したがって、連帯保証人になろうと思ってらっしゃる方は慎重に検討をする必要があり、更新の際にも同様に検討しなければならないでしょう。
もし、連帯保証人となったことで「大きな借金を背負ってしまった」という場合には債務整理が必要となるので、グリーン司法書士法人にご相談ください。
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よくあるご質問
- 連帯保証人を外すには?
- 連帯保証人を外すには借主と貸主、連帯保証人が合意し、書面による合意を行う必要があります。