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日常生活における紛争を取り扱う簡易裁判所。簡易裁判所は日々の支払いを怠ったり、比較的軽い罪を犯した場合などに使われる裁判所です。
もし問題を起こして簡易裁判所でやり取りを行わないといけない場合、呼び出しをくらうケースがあります。
もし、簡易裁判所に呼び出しをくらった場合は必ず行かなければいけないのか、もし呼び出しの日に行けない場合はどうしたら良いのか、いきなり呼び出されても分からないことが多く困っていることだと思います。
この記事では、簡易裁判所の呼び出しに行けない場合の対処法を解説いたします。
▼支払督促を受けた場合の流れや対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
目次 ▼
1章 簡易裁判所に呼び出しをくらうケースとは?
簡易裁判所に呼び出されるケースを具体的に見ていきましょう。
1-1 簡易裁判所で扱う事件の種類
裁判所法という法律に、各裁判所で扱う事件の種類が定められています。
その中で、簡易裁判所については次のように決められています。
裁判所法第33条
第1項 第1号 訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く)
第2号 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第186条、第252条もしくは第256条の罪に係る訴訟
具体的には、次のようなものが当たる可能性があります。
- キャッシングやクレカを滞納した場合
- スマホ代の滞納があった場合
- 家賃や給料を滞納した場合
- 罰金以下の刑に当たる罪を犯した場合
- 窃盗や横領など比較的軽微な罪を犯した場合
- 貸したお金を返してほしいなどの個人間の紛争があった場合
- 売掛代金に関する企業間の紛争があった場合
もっとも、この中で
- 罰金以下の刑に当たる罪を犯した場合
- 窃盗や横領など比較的軽微な罪を犯した場合
のケースは「刑事裁判」に該当します。刑事裁判は同じ簡易裁判所でも厳格さが全く異なり、やり方も手順も異なります。
よって、この記事では刑事裁判以外の「民事裁判」に限定し、解説いたします。
上記のケースに心当たりがある場合、簡易裁判所に呼び出しをくらう可能性があります。
1-2 簡易裁判所での民事裁判の流れ
裁判所と聞くとなんだか大事のような感じがしますが、簡易裁判所の場合、原則1回の審理で済む少額訴訟が基本になります。
裁判所から呼び出しをくらったら、自宅に裁判所から封筒が届きます。
その中に「裁判所地図」や「第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」が封入されています。裁判の日程も記載されているため確認しましょう。
簡易裁判所に呼び出しをくらった場合、この記載されている期日に出頭するか、少なくとも書面を準備して提出しなければならないのです。
他にも「訴状」や「証拠書類」「裁判所からの説明書類」などが封入されているので、必ず全て目を通しておきましょう。
2章 【ケース別】簡易裁判所の呼び出しに行けない場合の対処法
簡易裁判所から呼び出しをくらってしまったら、原則は出頭することをおすすめします。なぜなら、実際にその場にいることで、裁判所が債権者だけでなく債務者の言い分も公正に聞いて判断してくれるからです。
しかし、やむを得ない事情で簡易裁判所に出頭するのが難しいケースもあるかと思います。
判定に不服な場合、出頭しないとなると不利な判定になるかと心配ではないでしょうか。
その場合の対処法として、司法書士や弁護士に依頼して代理人になってもらいましょう。専門家が本人の代わりに訴訟対応をしてくれるので、出頭できなくても参加したことになります。
ただし、ケースによっては司法書士や弁護士に依頼しなくても対応できるケースもあります。
ここからは、呼び出しに行けないケースごとの対処法を解説いたします。
2-1 仕事で簡易裁判所の呼び出しに行けないケース
残念ですが、仕事で簡易裁判所の呼び出しに行けない場合は期日を変更することができません。
裁判所の公式サイトでも、
原則として,仕事の都合だけで期日を変更することはできませんから,御注意ください。
裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A
と記載されています。
しかし、どうしても重要な会議や出張などで、呼び出しに行けないということもあるかと思います。
その際は「答弁書」を提出しましょう。
答弁書とは、裁判所と原告(訴えた人)に自分の言い分を伝えるための書面です。
答弁書について | |
---|---|
作成する人物 | 債務者・司法書士・弁護士 |
作成するシーン | 簡易裁判所の呼び出しに行けない場合 |
提出する期日 | 答弁書催告状に記載 (1週間~2週間前くらいが多い) |
記載内容 | 訴状の中で正しい部分と間違っている部分を記載 和解内容などの交渉 |
封筒に同封されていた「訴状」に記載されている原告の言い分の中で、正しい部分と間違っている部分を書き、決められた期日までに裁判所に提出しましょう。
また、和解したい場合も同様に「分割払いで和解したい」などの和解案を記載し、裁判所に返送しましょう。
しかし、いきなり答弁書の作成と言われても、書いたことがある方はほとんどいないはずです。しっかりと自分の言い分を伝えるためにも、司法書士や弁護士と一緒に作成するのをおすすめします。
2-2 簡易裁判所が遠方で行くのが難しいケース
簡易裁判所の場所は、必ずしも家の近くを指定するとは限りません。中には、遠方の簡易裁判所を指定してくる場合もあります。
もし、簡易裁判所の場所が遠方で出頭が難しい場合は、裁判所に「移送申立て」をしましょう。
移送申立てをし、無事認められた場合は申し立てた側の住所地で裁判ができる可能性があります。
あくまで可能性の話であり、移送申立てが認められるケースは多くありません。もし移送申立てをしたい場合はその理由を具体的に記載するようにしましょう。
認められない場合でも、専門家に答弁書を作成してもらい書面を提出すれば参加したことになるので、そちらを利用しましょう。
また、移送申立ては、答弁書の提出より前に裁判所へ移送申立書を提出しなければならないので注意が必要です。
2-3 妊娠中や病気などで外出が難しいケース
妊娠中や病気などでそもそも外出が難しい場合は、擬制陳述や電話会議システムを利用しましょう。
擬制陳述とは、答弁書を事前に提出しておけば欠席しても参加したことになる制度です。
簡易裁判所の場合は、擬制陳述をすることで一度も裁判所に行かずに対応することも可能です。
ただし、擬制陳述では判決で決着がつくことになるので、借金の滞納や軽犯罪が原因で呼び出しを食らった場合は原告の請求通りの判決が下りてしまいます。
また、最近ではコロナ禍をきっかけにオンライン化が進んでいることもあり、電話会議システムを導入していることもあります。時間は取れるものの、移動が難しい場合はオンライン対応しているか相談してみましょう。
2-4 債権者が認知症や知的障害で行くのが難しいケース
呼び出しをくらった本人が、認知症や知的障害などで判断能力がなく、簡易裁判所まで行けない場合は成年後見人を立てることで本人の代わりに裁判手続きを進めることができます。
成年後見人とは、認知症や知的障害などが原因で判断能力が不十分になった人を補助する役割を持つ人を指します。成年後見人は、本人の住民票登録の住所を管轄する家庭裁判所で申し立てを行うことで選任できます。
まずは、管轄の家庭裁判所で相談しましょう。
2-5 債務者が拘留中で行くのが難しいケース
債務者が拘留中で行くのが難しい場合は、刑務所まで出向いてくれる司法書士や弁護士に依頼しましょう。また、その際は債務者との直接のやり取りではなく刑務所長を通しての書面のやり取りになります。
債務者が拘留中に訴状が届いたとしても、釈放されて簡易裁判所に行くことはできません。
拘留中の場合、債務者の自宅に訴状が届くことも多く、そもそも簡易裁判所に呼び出しを食らったことを知らないケースも珍しくありません。
ですので、債務者が知らない間に終わっていることもあります。その場合は不参加のため敗訴となり、原告の請求通りの判決が下りてしまいます。
3章 簡易裁判所に行けないと分かった時点で専門家に依頼しよう!
簡易裁判所へ行けない場合、自分1人で対応するのは難しく、対応次第では不参加と見なされ敗訴してしまう可能性もあります。
やむを得ず行けない場合でも不利な判定にならないために、司法書士や弁護士に依頼しましょう。
専門家は以下の対応を行ってくれるので、裁判を不利に進めないために有効的です。
- 裁判所に提出する書類の作成
- 簡易裁判所での訴訟・民事調停、裁判外和解の代理
では、専門家に依頼する場合はどのように行えば良いのか解説してきます。
3-1 専門家に裁判所の訴訟代理人を依頼する
訴訟代理人とは、本人に代わって訴訟追行を行う人を指します。もし、訴訟に不服がある場合や交渉したい場合に代わって対応してくれます。
裁判所で代理人を依頼する場合は、原則として弁護士を選任しなければいけません。
しかし、簡易裁判所の裁判では、司法書士を訴訟代理人として選任することが可能です。
司法書士に依頼する場合は、弁護士よりも費用を安く抑えることができるケースも多いので相談してみることをおすすめします。
3-2 専門家が答弁書の作成を行う
訴訟代理人になってもらうことが決まったら、答弁書の作成を行いましょう。
司法書士や弁護士は、裁判所に提出する書類を全て作成することが可能なので、答弁書の作成についてもどちらに依頼しても問題ありません。
専門家に答弁書の作成を依頼することで、裁判所と原告(訴えた人)に要望を聞き入れてもらいやすくなるのはメリットです。
簡易裁判所のやり取りは、法律的な専門知識が必要になるケースも多いです。そのため、自分で知らずに進めてしまい損をしないためにも専門家の力を頼りましょう。
4章 簡易裁判所の呼び出しを無視するのは絶対にNG!
簡易裁判所に呼び出しをくらったものの、出頭することができない、もしくは出頭する意思がない場合でも無視するのは絶対にやめましょう。
用事で行けない場合はもちろんですが、訴訟の内容に全く身に覚えのないことが記載されていたとしても、必ず対応するようにしましょう。
呼び出しを無視すると、裁判の参加をしないと見なされ棄権扱いになります。訴状に記載された内容通りの判決が出てしまい、強制執行されてしまうので注意が必要です。
簡易裁判所の呼び出しに行けない場合の対処法は、2章でも解説しましたが、裁判所では以下の対処法を推奨しています。
決められた期日に,病気などの理由で裁判所に来られない場合には,簡易裁判所の担当の裁判所書記官に御相談ください。やむを得ない場合には,期日を変更することもあります。その場合には,事情を証明する診断書などの書類を提出していただくことがあります。
裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A
期日の変更を受け入れてくれるかは事情次第ですが、もし呼び出しに行けない場合は担当の裁判所書記官に相談しましょう。
5章 簡易裁判所に呼び出しをくらったらグリーン司法書士法人にご相談を!
裁判所から封筒が届くだけでも怖いのに、簡易裁判所に呼び出しをくらうとなると不安で仕方がないことだと思います。
しかし、怖いからと言って無視をしたり、行けないからと言って放置するのは絶対にやめましょう。裁判所からの通知は受取拒否できない上に、裁判所に受取日時が報告されるされるため逃れることはできません。
一番安心と言えるのは、司法書士などの専門家と一緒に手続きを進めることです。
グリーン司法書士法人でも簡易裁判所への対応をサポートしています。無料相談も行っているので、まずはお気軽にご連絡ください。
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よくあるご質問
- 簡易裁判所の呼び出しに行けない場合はどうすればいい?
- 簡易裁判所の呼び出しに出席できないときは、司法書士や弁護士に依頼して代理人になってもらいましょう。
裁判所の呼び出しに行けないときの対処法について詳しくはコチラ
- 簡易裁判所の呼び出しを無視するとどうなる?
- 呼び出しを無視すると、裁判の参加をしないと見なされ棄権扱いになります。
簡易裁判所の呼び出し無視について詳しくはコチラ