家賃滞納したら強制退去?強制退去になったらその後はどうなる?

   司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4454号 / 大阪府行政書士会所属 会員番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
家賃滞納したら強制退去?強制退去になったらその後はどうなる?

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賃貸物件に住んでいて家賃を滞納してしまったら、すぐに強制退去させられてしまうと不安に思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。強制退去は、家賃滞納後に一定の期間が過ぎないと、手続きを進めることはできません。もちろん、部屋を借りている以上、家賃滞納をしないよう気をつけるべきですが、予測できないトラブルに遭遇することもないとはいえません。

本記事では、家賃滞納をした場合の強制退去までの流れや、家賃が支払えなくなったときの対応について解説します。

1章 家賃を滞納したらその後はどうなる?

家賃の支払いを数日忘れても、後から急いで支払いをすれば重大な問題にはなりません。しかし、1か月を過ぎても支払いをしないと、どうでしょう。未払いのまま1か月を過ぎてしまうと、その後は2か月分の家賃を支払える余力がないと滞納状態は解消できなくなってしまいます。

家賃を滞納したらその後はどうなってしまうのか、一つずつ確認していきましょう。

1−1 貸主との信頼関係が崩れてしまう

賃貸人は賃借人に対して、毎月の家賃を滞りなく支払ってくれる人だと信用して住宅を提供しています。支払いがないとわかった場合、「どうしたのだろう?」「うっかり忘れているのかな?」と心配になります。連絡も支払いもないまま日が過ぎてしまうと、このままずっと支払ってくれないのでは?と、心配は不安や不信に変わっていきます。

実際には、家賃の管理などは管理会社が請け負っていることも多いですが、連絡しても返答がない状態、つまり無視された状態で滞納が続くと、賃貸人の賃借人への信頼はどんどん崩れていきます。

今月だけ支払いが遅れそうということではなく、この先も支払いの目処がたちそうにない場合、早めに引っ越しを検討した方が良いこともあります。このまま滞納が続くと、高額な延滞金を支払わなければならなかったり、強制執行されて住むところがなくなったりするからです。

1−2 滞納して3か月が経過すると貸主は賃貸借契約を解除できる

家賃を滞納すると管理会社は、賃借人本人へ電話をしたり督促状を送ったりして、なんとか連絡をとろうとします。それでも、支払いができないからと電話や督促状に返事をしないまま3か月程度が過ぎてしまうと、賃貸人側には、賃貸借契約の解除や法的措置などを行える権利が発生します。

こうなると、賃貸人の賃借人に対する信頼は完全に崩れてしまい、賃貸人の意向を受けて管理会社も積極的に退去をさせる動きを取り始めます。つまり、3か月程度という期限は1つのポイントとになると考えられます。

1−3 連帯保証人に迷惑をかける

家賃滞納が始まり連絡がとれないまま1か月が過ぎると、連帯保証人へも連絡や督促状の送付が始まります。連帯保証人は家族や親戚などの身内、または会社という場合もあるでしょう。連帯保証人には、滞納の事実を絶対に知られたくないという人もいるかも知れません。しかし、家賃滞納の事実は連帯保証人に知られるところとなり、心配や迷惑をかけることになってしまいます。

1−4 貸主から裁判を起こされて強制退去させられる恐れがある

賃借人に対しての信頼が完全に崩れると、管理会社と賃貸人の間で、裁判や強制執行の申し立てについて相談が始まります。もちろん、家賃滞納後3か月を過ぎると、必ず裁判を検討する賃貸人ばかりではありませんが、督促に無視を続ける対応をしていると、早い時期にきびしい措置をとられてしまう可能性も否定できません。

1−5 保証会社が弁済を行うとブラックリストに載る

家賃を滞納したときに、家賃保証会社から電話がくるケースもあります。一昔前までは、家賃保証会社を利用するのはまれでしたが、最近では保証会社を利用して契約する物件がとても増えています。

保証会社とはなに?と疑問を持つ人もいらっしゃるかも知れませんね。保証会社の役割は、連帯保証人と同じです。連続して家賃の引き落としができない場合、賃貸人は家賃保証会社に代位弁済請求(だいいべんさいせいきゅう)を行うことができます。代位弁済請求とは、返済不可能になった賃借人に代わって家賃を肩代わりするよう、家賃保証会社に請求することを指します。

家賃を立て替えた家賃保証会社は、賃借人に立替家賃の返還を求めると同時に、賃借人の情報を信用情報機関に登録します。個人の信用情報に、事故情報(家賃滞納をしていることや、代位弁済が行われたこと)が登録されることを、ブラックリストに載るといういい方をしています。ブラックリストに載ると、その後新たな引っ越し先を探すときに、入居審査で引っかかる可能性が高くなってしまいます。

2章 家賃を滞納してから強制退去までの流れ

家賃を滞納してから強制退去になるまで、どのくらいの時間がかかりどのようなことがご自身の身に起こるのか、その流れを見ていきましょう。

家賃を滞納してから強制退去までの流れ

2−1 借主本人に電話などで督促の連絡がある

家賃の支払いを、うっかり忘れてしまうこともあります。その場合、すぐに賃貸人や管理会社から電話などで、状況確認の連絡が入ります。滞納した日の翌日〜1週間以内に連絡があることがほとんどですが、管理会社から、いついつまでに支払いをするようにという内容の滞納通知が届く場合もあります。そこで気がつきすぐに支払いをすれば、問題になることはありません。もちろん、強制退去を要求されることもありません。

2−2 連帯保証人へ通知される

通知に記された支払期日までに支払いがない、家賃の滞納から1か月を過ぎても連絡が取れないなどの状態が続くと、連帯保証人にも支払いを督促する連絡がいきます。連帯保証人へ通知される時点では、家賃が回収不能になるのでは?という不安から、これまでの状況確認のようなおだやかな内容ではなく、家賃の支払いを強く求める文面になっています。

賃貸人や管理会社からの連帯保証人への督促が、内容証明郵便で送られてくる場合もあります。内容証明郵便になじみがない人が多いこともあり、受け取った連帯保証人は戸惑うとともに、滞納家賃を支払ってほしいという強い内容に驚くことも少なくありません。そのため、連帯保証人に迷惑をかけたくないと望む場合は、家賃の支払いが遅れる事情が生じたとしても、滞納後1か月以内には支払いをしておくべきでしょう。

2−3 賃貸借契約解除通知が送付されてくる

督促を受けているにもかかわらず、家賃滞納の状態が3か月を超えると、賃貸借契約の解除通知が内容証明郵便で送られてきます。どのくらいの期間、いくら以上の金額を滞納したら契約を解除できるといった詳細が、定められているわけではありません。しかし、一般的には家賃の滞納が3か月以上続く場合に、信頼関係が壊れていると認められ、賃貸人から契約を解除できると判断される傾向にあります。

この時期になると、賃貸人は弁護士に相談して裁判の申立準備に入るなど、事態は紛争状態に発展していきます。裁判所から通知がくると、簡単に後戻りができないため、それ以前に誠意をしめすことが大切です。

2−4 強制執行手続きがなされる

契約解除通知を送付すると、賃貸人は建物の明け渡し請求を裁判所に提起します。裁判では、建物の明け渡し以外にも、滞納家賃の支払いやそれにかかる遅延損害金の支払いも、請求されることになります。賃借人が裁判を欠席した場合、その場で裁判が終了し明け渡しを命じられることになりますが、それでも退去しない場合は強制執行の手続きをとられることになります。

強制執行の際、部屋にある賃借人所有のものはすべて運び出されてしまいます。預貯金や給料も差し押さえの対象となるため、家賃を滞納して強制執行される事態になっていることを、勤務先に知られてしまう可能性が高くなります。強制退去にかかる費用は、いったんは賃貸人が立て替えますが、後にその費用を賃借人に請求することができます。

3章 強制退去させられそう、家賃が支払えない場合どうしたらいい?

家賃の未払いが続いてしまい、度重なる督促にも無視をしてしまった。もう強制退去させられるのでは・・・と追い詰められてしまった場合、どうしたらいいのか?

まずは、現状でできることから始めましょう。最初にやるべきことは、勇気を出して賃貸人や管理会社に連絡をとることです。他にも、親族から援助をうけることはできないか検討する、連帯保証人に連絡をしておくなど一つずつ進めていきましょう。

3−1 家賃を支払う意思があることを伝える

支払いができないとわかった時点で、賃貸人や管理会社に相談をしましょう。事情を話して、いつなら支払いができるかといった見通しも必ず伝えます。そうすることで、時間的な猶予をもらえる可能性が出てきます。

また、延滞を一度で解消するのが難しい場合は、分割での支払いに応じてもらえないか相談することもできます。まずは謝罪の気持ちを伝え、事情を説明した上で、家賃を支払う意思があることを誠意をもって伝えることが大切です。

3−2 親族からの援助も検討する

短期間に自力で支払うのが無理な場合、親族からの援助も検討しましょう。親族にはお金を借りづらいという人もいますが、その分低金利や無利息で貸してもらえる可能性が高いのも身近な家族です。頼みやすいからと、友人・知人などに借りるのは避けたほうがよいでしょう。後々、トラブルに発展する可能性もあるからです。

カードローンなどで借り入れをして支払う方法もありますが、そもそもカードローンの金利は決して低くありません。安易に借りてしまうと、返済時に大変な思いをする可能性もあります。また、カードローン枠がいっぱいで新たな借り入れができず、焦って闇金業者から借りてしまうなどということは絶対に避けるようにしましょう。

3−3 連帯保証人にも連絡しておく(連帯保証人がいる場合)

入居契約時に連帯保証人をつけているケースでは、賃貸人は連帯保証人に対して滞納家賃を支払ってもらうよう請求することができます。他にも、滞納している家賃を支払うよう賃借人に督促してほしいと連帯保証人に連絡をすることもあります。

家賃滞納の連絡を受けた連帯保証人は驚き、ご自身にどうしたのかと連絡が入るでしょう。そうなる前に、連帯保証人にも連絡をしておきましょう。すでに賃貸人から連帯保証人に連絡が入っていたとしても、直後に本人から連絡をもらうのと、こちらから連絡しないと本人からは何もいってこないのとでは、印象が大きく異なります。迷惑をかけていることを詫び、事情を説明しておきましょう。

3−4 敷金を滞納金に当てることはできない

家賃を滞納しても、入居時に支払った敷金を滞納金に充当すればよいのではないかと考える人もいるでしょう。実際、滞納している人が、賃貸人や管理会社に対して、「今は支払いができないので、とりあえず敷金を未払いの家賃に充ててほしい。」といってくるケースは少なくないようです。

しかし、賃貸人はこれに応じる義務はありません。確かに、敷金は賃貸人が家賃を滞納したり、部屋に修繕が必要な箇所が生じたりしたときのために預かっているお金です。しかし、家賃滞納のために預かっているとはいえ、これは契約終了時以降での充当が原則です。敷金を賃借人に返金しなければならないのは、物件の明け渡しを受けて以降とされているため、現時点での滞納家賃に敷金を充ててほしいという要望に応じる必要はないということになります。

敷金を支払っているから、1〜2か月家賃を滞納しても大丈夫などという思い込みは禁物です。

まとめ

家賃滞納といっても、支払えなくなった原因や事情は人それぞれです。一時的な事情からではなく、原因が借金である場合、特に複数の業者からの借り入れによって支払いが困難になっているような場合には、専門家の力を借りることが一番の解決方法です。

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