会社も任意整理は可能!成功させるためのポイントとは?

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

任意整理
会社も任意整理は可能!成功させるためのポイントとは?

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会社の資金繰りが行き詰ってしまい、事業を続けることが難しくなったときには再建するための対策を考えることが必要ですが、その1つが「任意整理」です。

「任意整理」といえば、個人の借金が増えすぎたときなどに利用される解決方法として知られていますが、会社など法人でも手続できます。

ただし会社の任意整理では、成功させるためにいくつかポイントを押さえておくことが大切です。

そこで、

  1. 会社の「任意整理」とは
  2. 会社の任意整理の「メリット」
  3. 会社の任意整理の「デメリット」
  4. 会社が任意整理するときの手続の流れ
  5. 任意整理を成功させるために知っておきたいポイント

の3つを章ごとに詳しく説明していきます。

1章 会社の「任意整理」とは

会社の資金繰りが行き詰まったために事業継続が困難になったとき、考えられる会社の再建方法の1つが「任意整理」です。

会社の再建方法には、

  • 民事再生
  • 任意整理

の2つがあります。

民事再生とは
裁判所に申立てを行い、裁判所の監督のもと、会社を再建させる方法が「民事再生」です。「民事再生」では、再建計画に反対する債権者がいた場合でも、多数決により会社を再建させることができます。

任意整理とは
会社が金融機関など債権者と直接交渉を行い、債務を減額してもらったり支払いを猶予してもらったりすることで会社を再建させる方法が「任意整理」です。「任意整理」では裁判所を通す必要はなく、再建手続を進めていることを知るのは当事者のみのため、社会的信用を失い風評被害を受けるリスクを最低限に抑えることができます。

もしも再建計画に反対する債権者が出てくる可能性があるなど、すべての債権者から同意を得ることが難しいときには「民事再生」による手続も可能です。

ただし、債権者である金融機関だけでなく仕入先など取引先も巻き込んで手続することになるため、社会的な信用を失い風評被害を受けるリスクがあることは留意しておくべきでしょう。

対する「任意整理」の場合は裁判所を通さないため、手続を進めていることを第三者に知られることもなく、社会的信用を失うリスクを最小限に抑えることができます。

ただし民事再生のように債権者の多数決で再建可能になるわけではなく、1社でも債権者に反対する者がいれば再建は難しくなる可能性があると留意しておいてください。

2章 会社の任意整理の「メリット」

すべての債権者から同意を得ることができそうな場合、柔軟に再建計画を作ることが可能である「任意整理」を選ぶことができます。

会社が「任意整理」で手続するメリットとして挙げられるのは次の3つです。

  1. 事業価値が毀損することを防止できる
  2. 手続に柔軟性がある
  3. コストを抑えることができる

2-1 事業価値が減少することを防止できる

「民事再生」など法的整理を行った場合、金融機関だけでなく仕入先などの取引先の買掛金なども債務の対象となるため、返済は停止されてしまいます。

そのためお金を借りている債権者だけでなく、商取引のある取引先まですべてを巻き込んで手続しなければならないのが民事再生のデメリットです。

それに対し「任意整理」では、取引先を対象に含めず手続を進めることができます

取引先との信用を継続させることができるため、事業価値の減少(毀損)を防ぐことが可能となるのはメリットといえます。

2-2 手続に柔軟性がある

「任意整理」の場合、たとえば少額の取引先に対しては弁済し、取引関係を維持するといった個別の事案に応じた再建計画の作成が可能です。

手続に柔軟性があることは、任意整理のメリットといえるでしょう。

2-3 コストを抑えることができる

「民事再生」で法的整理する場合には、裁判所に最低でも150万円の予納金を納めることが必要であり、多額のコストがかかります。

それに対し「任意整理」では裁判所を通さず手続を進めるため、予納金は発生せず、コストを抑えて再建を目指すことができます。

3章 会社の任意整理の「デメリット」

会社が任意整理で再建を図ることには多くのメリットがありますが、反対に次のようなデメリットには注意が必要です。

  1. すべての債権者から同意を得ることが必要
  2. 公平性について債権者から信頼を得にくい

それぞれ説明していきます。

3-1 すべての債権者から同意を得ることが必要

「民事再生」では、すべての債権者から同意を得ることができなくても、「多数決」で可決され手続を進めることができます。

しかし「任意整理」では、手続に入れるすべての債権者から同意を得ることができなければ、再建は難しいことがデメリットです。

3-2 公平性について債権者から信頼を得にくい

「民事再生」は裁判所を通して手続しますが、「任意整理」は債権者と直接交渉をして手続するため、裁判所は通しません。

裁判所の監督がない手続であることは、「手続の透明性」や「債権者の公平性」に対して懸念を抱かれるなど、債権者から信頼を得にくくなってしまうのはデメリットといえます。

4章 会社が任意整理するときの手続の流れ

会社の任意整理では、政府が公表している手続規定である「私的整理ガイドライン」など、任意整理手続を進めるため準拠となるものが利用されますが、主に次のような流れで手続が進んでいくことになります。

  1. 専門家との打ち合わせ
  2. 取引銀行への説明
  3. 事業再生計画の策定
  4. 債権者から可決を得る
  5. 事業再生計画の実施

それぞれ何を行っていくのか、段階ごとに説明していきます。

STEP1 専門家との打ち合わせ

まずは弁護士など専門家に相談し、任意整理に向けた打ち合わせを行います。

法律上、専門家に依頼することは必須とされているわけではありませんが、スムーズに手続を進めていくためには専門家から助言を得たほうがよいといえます。

相談後に正式に依頼することになれば、任意整理に向けた準備を行っていくことになります。

STEP2 取引銀行への説明

任意整理ではメインバンクなどの金融機関を中心として、借金を減額してもらえないか要請していきます。

そのためまずはメインバンクに任意整理の利用と説明を行い、債務減額や返済猶予の「協力」を求めます。

STEP3 事業再生計画の策定

任意整理による再建に向けて、「事業再生計画」を策定し債権者に説明を行います。

通常は「債権者会議」など開催し、債権者に集まってもらって事業再生計画を策定していきます。

STEP4 債権者から可決を得る

策定した「事業再生計画」を債権者に確認してもらい、後日、再度「債権者会議」を開催して可決してもらいます

STEP5 事業再生計画の実施

可決された「事業再生計画」を実施していきます。

5章 任意整理を成功させるために知っておきたいポイント

基本的に会社の任意整理では、すべての金融機関など債権者から同意を得ることが必要です。

債権者が少ないときや借金がそれほど多くない場合であれば、会社と代理人の間だけで手続を進め成功させることはできるでしょう。

しかし債権者が多いときなど、すべての債権者から同意を得ることは容易とはいえません。

そこで、会社の任意整理を成功させるためには、「第三者」に関与してもらう次のような手続を検討することがポイントとなります。

  1. 特定調停により手続を進める
  2. 中小企業再生支援協議会に相談する
  3. 事業再生ADRを利用する

それぞれどのような手続か、その内容を説明していきます。

5-1 特定調停により手続を進める

「特定調停」とは、会社と金融機関など債権者との間に「裁判所」が入り、借金返済に対する調整を行ってもらう手続です。

まずは「事業改善計画」を立てておき、すべての債権者と事前協議を行った上で、裁判所に特定調停の申立を行います。

金融機関のほとんどは返済案に同意してくれているのに、一部の金融機関のみ了承してくれないという場合、特定調停で解決できることがあります。

5-2 中小企業再生支援協議会に相談する

中小企業の再建支援に向けて、都道府県ごとに設置されている公的機関が「中小企業再生支援協議会」です。

主に金融機関と交渉するだけで事業再建が可能なときなどに利用されており、「中小企業再生支援協議会」に相談をした上で、2次対応の事業再生支援で「任意整理」を行うことができます。

「中小企業再生支援協議会」を利用すれば、債権放棄する金融機関にも貸倒処理が確実になるといったメリットがあるため、任意整理に対する協力を得やすくなることがあります。

また、債務免除を受けたときには「債務免除益」が発生します。しかし「中小企業再生支援協議会」に支援してもらい策定した再生計画での債務免除は、期限切れ欠損金を「損金算入」し債務免除益と「相殺」できることがあるのもメリットです。

5-3 事業再生ADRを利用する

「事業再生ADR」は、ADR機関として認定を受けている事業再生実務家協会から選任された専門家が主導として行う手続です。

具体的には、事業再生ADR利用を申請した会社が策定した「事業再生計画案」について、適法性や合理性などに関する調査を行います。

対象となった債権者と合計3回、債権者会議と面談などを通じて協議を行い、すべての債権者が一致して同意することで「事業再生計画」を成立させることを目指していきます。

まとめ

会社が任意整理を成功させることができるかは、すべて債権者である金融機関等次第といえます。

もしもすべての債権者から同意が得ることができないのであれば、任意整理による再建は難しいといえるでしょう。

そのため成功させるためには、銀行など借入先を説得し、納得してもらえる事業の再建計画や返済計画を立てることが重要といえます。

ただし、再建計画や返済計画を作成することは容易ではなく、手間もかかります。

さらに金融機関などに計画内容を説明し理解してもらうことも難しい作業のため、交渉経験が豊富な専門家に相談したほうがよいでしょう。

もしも会社を再建するために何がするべきか悩んでいるのなら、弁護士に相談することをおススメします。

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・事業再生計画の策定
・債権者から可決を得る
・事業再生計画の実施
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