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- 税金滞納状態の場合住宅ローンの審査に通りにくくなる
- 税金滞納が金融機関に知られるタイミング
- 税金滞納中に住宅ローンの審査に通る方法
税金を滞納している場合に住宅ローンの申し込みを行った場合、その審査に通ることはあるのでしょうか?
一般的な借金やその他のローンがある場合でその金額が大きい場合や、それらを滞納している場合は住宅ローンの審査に通ることは難しいのですが、税金はそのような借金とは性質が異なるため、滞納している場合には審査にどう影響するのか、一般の方には判断が難しいと思います。
ここでは、税金を滞納している場合に住宅ローンの審査に通ることができるのかということについて詳しく解説していきます。
目次 ▼
1章 税金を滞納すると住宅ローンの審査に通らない可能性が大きくなる
税金を滞納していると、住宅ローンの審査に大きな影響を与えるので、ほとんどの場合審査に通ることはありません。
その理由は、返済能力に問題があると判断されてしまうためです。
特に法人経営者や個人事業主の場合には、会社員の場合より税金の納付に関して気を付けなければいけません。
ここでは会社経営者や個人事業主の場合と、会社員の場合の税金の納付に関する違いについて解説していきます。
1-1 法人経営者や個人事業主の場合
法人経営者や個人事業主が税金を滞納している場合、住宅ローンを申し込む際に金融機関に知られてしまうことも少なくありません。
その理由は、法人経営者や個人事業主が税金を納める際には自分で納めるべき税金の金額を計算する必要があるからです。
そのため税金を滞納していても自分で気づかないこともあり、滞納に気づかないまま住宅ローンの申し込みをしてしまう可能性もあります。
住宅ローンの申し込みをする際には金融機関に納税証明書を提出する必要がありますが、その段階で税金の滞納が発覚してしまう可能性が高いのです。
自分でも気づかないうちに税金の滞納をしている可能性もあるので、そのような場合に住宅ローンの申し込みを行うと審査に通らない可能性が高くなってしまいます。
1-2 会社員の場合
会社員の場合は、住民税や所得税を源泉徴収されるため、住宅ローンの申し込みをする際には源泉徴収票を金融機関に提出します。
会社側が納めるべき税金の額を計算し、給与から天引きされるためこれらの税金を滞納している可能性は低く、住宅ローンの申し込みもスムーズに行える可能性が高いでしょう。
2章 税金を滞納していても住宅ローンの審査に通ったケースはある?
住宅ローンの審査を行う際に、金融機関は個人信用情報機関に照会を行い、その人に金融事故の情報や多額の借入がないかといったことを確認します。
しかし税金の滞納の情報は、個人情報登録機関に登録されません。
そのため、金融機関が個人情報登録機関の情報から税金の滞納に関する情報を得ることはできないのです。
しかし会社経営者や個人事業主は、住宅ローンの審査の際に納税証明書を金融機関に提出する必要があるため、税金を滞納している場合にはこの文書で税金を滞納していることが金融機関に知られてしまいます。
提出の必要がある納税証明書は、「納税所得証明書その1」と「納税所得証明書その2」です。
税金の未納がある場合には、「納税証明書その1」にその事実が記載されるため、金融機関に提出した段階で税金を滞納していることを知られてしまいます。
会社員の場合には審査の際に源泉徴収票を金融機関に提出する必要がありますが、これには税金を滞納していてもそのことに関する記載がないため、金融機関に税金を滞納していることを知られることはないでしょう。
ただし、税金を滞納している場合に必要書類を提出しても、審査で金融機関側が滞納に気づかず審査に通るケースもないとは言えません。
このようなケースは本当に稀な出来事なので、税金を滞納している状態での住宅ローンの申し込みを行うことはやめた方がよいでしょう。
住宅ローンの申し込みを行う際には、金融機関が個人信用情報機関に住宅ローンを申し込んだ方の信用情報を照会しますが、照会したという記録は6か月間残ります。
そのため、複数の金融機関に住宅ローンの申し込みを行った結果、審査に通らなかったという事実は金融機関側に容易に推測されてしまいます。
このようなことから、金融機関ごとに審査の基準が異なるからといって手当たり次第住宅ローンの申し込みを行うのは、控えた方が無難です。
過去に税金を滞納していた場合には、その事実が金融機関側に知られても、他に問題がなければ住宅ローンの審査に通ることができます。
3章 税金滞納が金融機関に知られてしまうタイミング
税金の滞納は、どのタイミングで金融機関側に知られてしまうのでしょうか。
ここでは、会社経営者と個人事業主、会社員の2つのケースに分けて解説していきます。
3-1 法人経営者や個人事業主の場合
法人経営者や個人事業主の場合には、納税証明書を金融機関に提出した時点で知られてしまいます。
そのため、すぐに滞納の事実を金融機関側に知られてしまい、住宅ローンの審査に通る可能性が低くなってしまいます。
また自動車を例に挙げると、その自動車を自宅用と業務用で兼用して利用する際には、その利用割合で自動車にかかる税金を按分し経費として計上することが可能です。
しかし、自宅用のみで使用している場合には按分することはできず、必用になる税金は全額自費で賄うことになり、これを滞納すると自動車以外の財産も差し押さえられてしまう可能性があります。
差し押さえられる財産が給与や預貯金であればその口座を開設している金融機関に差押えの事実が知られることになり、不動産が差し押さえられた際はその事実が不動産登記簿に登記されてしまうため、登記簿を見ることで住宅ローンの申し込みを行う金融機関にも知られてしまいます。
会社経営者はや個人事業主は、納税証明書を提出する時とと財産の差押えの事実を知られた場合に、税金の滞納が金融機関に知られることになります。
3-2 会社員の場合
会社員の場合は、住宅ローンの申し込み時に収入や納税の状況を金融機関側に知らせるために、源泉徴収票を提出します。
源泉徴収票には、会社側が本人に代わって税金を支払うために、ある程度の金額を天引きされていることが記載されているため、これを提出する時点では税金の滞納の事実を知られることはありません。
しかし、自分で納付する自動車税や固定資産税を滞納している場合、預貯金や不動産などの財産が差し押さえられると、金融機関に税金を滞納していることが知られてしまします。
預貯金を差し押さえられた場合にはその口座を開設している金融機関に、不動産を差し押さえられた場合には不動産登記簿に差し押さえられたことが記載されるため登記簿を見た人全員に、税金を滞納していたことを知られてしまいます。
4章 税金を滞納している場合に住宅ローンの審査に通るための対応策
税金を滞納していることが金融機関側に知られてしまうと、住宅ローンの審査に通ることはまずありません。
この状態を改善するためには、適切な方法で対処する必要があります。
適切な対応とは、住宅ローンの申し込みを行う前に滞納している税金を遅延金を含めてすべて納付することです。
こうすることで税金の滞納は過去のものとなり、住宅ローンの審査に悪影響を及ぼすことがなくなります。
5章 税金納付状況以外に重要視される住宅ローンの審査基準
税金をきちんと納付していても、他の審査基準に満たないことが原因で住宅ローンの審査に通らないことがあります。
金融機関側が重要視する審査基準には、以下のようなものがあります。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 担保評価
- 年収
- 融資可能額(借換の場合)
- 連帯保証人
- 勤続年数
- 他のローンなどの借入状況
この中ですぐに対応できる可能性があるのは、他のローンなどの借入状況です。
手元資金に余裕がある場合には、まずこちらを繰上または一括返済して、借金の残債を可能な限り少なくしておくとよいでしょう。
また勤続年数も重要視されるため、転職を考えている場合には転職する前に住宅ローンの申し込みを行うことで、住宅ローンの審査に通りやすくなります。
6章 社会保険の滞納は住宅ローンに影響する?
会社経営者や個人事業主の方は、国民健康保険と国民年金に加入しているケースがほとんどです。
これらを滞納していても、住宅ローンの審査に影響することはまずないと考えてよいでしょう。
ただし、本人確認書類として健康保険証を提出するときには、注意が必要になります。
その理由は、国民健康保険料の滞納が続くと国民年金保険証が「短期被保険者証」に切り替わることがあり、このことから金融機関に滞納していることが知られてしまうというものです。
また、社会保険料も滞納していても住宅ローンの審査に影響することは少ないでしょう。
しかし社会保険料も納付の義務があり、延滞料が発生したり差押えの可能性があったりするので、延滞しないにこしたことはありません。
国民健康保険料や社会保険料の支払いを延滞すると、病院を受診する際に受診料が10割負担になったり、年金滞納の場合は将来受けとれる年金の額が少なくなったりするため、住宅ローンの申し込みに影響はなくても、そのデメリットは大きいと言えます。
7章 他の債務の返済が原因で税金を滞納しそうな場合には早い段階で専門家に相談しよう
税金自体は、滞納しても債務整理で解決することはできません。
その理由は、税金が非免責債権(破産法253条1項1号)だからということです。
しかし他に目的ローンやキャッシングなどの債務があり、これらが生活を圧迫して税金を滞納している場合には、税金以外の借金を債務整理で解決することができます。
債務整理により借金の返済を軽くして税金を早い段階で全額納付し、税金以外の借金を完済してから5年経過すれば、住宅ローンを申し込みの審査に通る可能性が高くなるでしょう。
債務整理を行い完済してから5年という期間は、非常に長く感じる方が多いと思います。
しかし、他の借金が家計を圧迫し税金を滞納している場合には、他の借金の返済も滞り遅かれ早かれブラックリスト入りしてしまうでしょう。
そのような事態になれば借金や税金の滞納分を支払うことができなくなり、住宅ローンの審査に通るまでの期間が遠くなる、またはその機会が来ないことが考えられます。
債務整理を行い借金の返済を軽減し滞納している税金を早い段階で返済するのが、たとえ完済から5年かかるとはいっても、住宅ローンの審査に通るための一番の近道なのです。
グリーン司法書士法人には、多くの債務整理の実績があり、どの借金や延滞が債務整理の対象になるのか、債務整理のどの方法が一番相談者の借金の債務を整理するために向いている方法なのか、最適な方法を提案できます。
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