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- 横領による賠償金は自己破産でも免責されない
- 横領したお金は返済しなくてはいけない
- 返済できるなら示談が成立する可能性がある
- 横領による賠償金は家族の返済義務はない
他人や会社の財産を不法に自分のものにする行為である横領。横領は犯罪行為のため、発覚した場合は多額の賠償金や懲役が課せられる可能性があります。
なかには、賠償金が高額で支払えずに自己破産を考える方もいますが、横領による賠償金は自己破産でも免責されないため注意が必要です。
一括で支払えない賠償額を請求された場合は、被害者に分割払いを交渉することも検討しましょう。
この記事では、横領による賠償金が自己破産できない理由を解説します。横領による賠償金はどうしたらよいのか困っている方は参考にしてください。
目次 ▼
1章 横領による賠償金は自己破産でも免責されない
結論から言うと、横領による賠償金は自己破産でも免責されることはありません。
たとえ、横領したお金を使い切ってしまい、返済できない状態になった場合でも、賠償金と横領したお金の返済義務は残ります。
そのため、時間をかけてでも賠償金は必ず払わなければいけません。
1-1 横領の賠償金は非免責債権に該当する
では、なぜ横領による賠償金は自己破産でも免責されないかというと、横領のように害意を持った行為による損害賠償請求は自己破産で免責されないと定められているからです。
このような免責されないお金を「非免責債権」といって、免除の効力がない債権があります。横領以外にも、慰謝料や税金、罰金や養育費や婚姻中の生活費などが対象です。
自己破産の手続き自体はできますが、非免責債権にあたるお金は免責されません。たとえば、カードローンの借金と賠償金がある状態で自己破産をした場合、カードローンの借金は免責されますが、賠償金は残ります。
そのため、賠償金が理由で自己破産をしても意味がないということになるでしょう。
2章 横領罪が成立するとどうなる?
横領が認められ、横領罪が成立すると懲役または罰金が課せられます。横領は犯罪に該当するため、逮捕される可能性があるので注意しましょう。
横領罪は3種類あるので、それぞれ解説します。
2-1 【単純横領罪】5年以下の懲役
単純横領罪は、他人の物やお金を横領した場合に適用されます。たとえば、友人から借りたものを自分のものにしたり、勝手に売却したりした行為が該当するでしょう。
単純横領罪は、5年以下の懲役で処罰されます。
2-2 【業務上横領罪】10年以下の懲役
業務上横領罪は、仕事で会社のお金や物を預かっているものを横領した場合に適用されます。たとえば、会社の経費を私用に使ったり、商品代金の集金を自分の懐に入れたりする行為が該当するでしょう。
業務上横領罪は、単純横領罪よりも悪質なため、10年以下の懲役で処罰されます。
2-3 【遺失物等横領罪】1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料
遺失物等横領罪は、遺失物や漂流物など他人の物だったはずのものを横領した場合に適用されます。たとえば、道で拾った財布を警察に届け出ずに中のお金を使ったり、忘れ物をそのまま自分のものにしたりする行為が該当するでしょう。
遺失物等横領罪は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料が科せられます。科料とは、刑罰として少額の金額をとりたてることです。科料は1,000 円以上1万円未満の金額に適用されます。
3章 横領したお金は返済義務はある
横領によって相手や会社が財産上の損害を受けているため、横領した本人はお金の返済義務があります。
もし、横領によるお金が返済できなかった場合は民事裁判に発展する可能性があるため、返済できる場合は必ず返済しましょう。
3-1 返済できるなら示談が成立する可能性がある
横領は犯罪に該当しますが、横領したお金を返済できる場合は示談が成立する可能性があります。
返済して真摯に謝罪できれば事件が公にならずに解決できるケースもあるため、刑事告訴は避けられるでしょう。
当然、返済すれば許されるわけではありませんが、被害者との関係によっては円満に事が済む場合もあります。
3-2 使い込みにより返済できなければ逮捕されることも
横領したお金を返済できない場合や、横領した本人が逃げようとした場合は逮捕されるおそれがあるので注意しましょう。
被害者はお金の返済を望んでいることがほとんどのため、お金が戻ってこないとなると、警察に被害届を提出したり刑事告訴したり可能性も考えられます。
刑事事件に発展すると、懲役刑や罰金刑などが科せられるので対応が必要です。
4章 損害賠償が自己破産できないならどうすればいい?
損害賠償は、非免責債権に該当するため自己破産ができません。そのため、損害賠償を命じられたら自力で完済を目指す必要があります。
自己破産できない場合は、被害者に分割払いを提案するか弁護士を立てて交渉をしましょう。
では、この2つの方法について解説します。
4-1 被害者に分割払いを提案する
一括で損害賠償が払えない場合は、被害者に分割払いを提案しましょう。もし被害者が分割払いを受け入れてくれるのであれば、条件に沿って支払いをします。
分割払いを希望する場合は、具体的な支払い計画を作成して、相手に納得してもらえるような提案が必要です。支払い回数や支払い期間などを決めて支払う意思を見せましょう。
4-2 弁護士を立てて交渉をする
被害者と話し合いが困難な場合は、弁護士を立てて交渉をしましょう。
弁護士は法律の専門家のため、被害者との交渉によって適切な解決策を見つけられるよう提案してくれるでしょう。そのため、自分では解決が難しいと思ったら依頼してみてはいかがでしょうか。
ただし、弁護士を立てたからといって必ず解決するわけではありません。解決が難しい場合は逮捕される可能性があるので注意が必要です。
5章 横領が発覚したら家族に知られることはある?
もし横領が発覚した場合は、家族に知られる可能性が高いです。
横領行為は犯罪のため、発覚した場合には警察が介入する場合があります。ここまで発展すると、家族に横領を隠せなくなるでしょう。
また、横領によって家計や生活に影響が出る可能性もあるため、家族に対して正直に話すことが大切です。
5-1 弁護士を介した示談の場合は知られない可能性がある
ただし、弁護士が窓口となり、被害者と示談を成立させられそうな場合は知られない可能性があります。横領が発覚しても返済ができれば警察沙汰にならずに済むので、家族にバレないでしょう。
ただし、被害者と口論になったり感情的になったりした場合、家族に連絡を入れて肩代わりを要求するケースも少なくありません。そのため、必ずしもバレないわけではないので弁護士と慎重に進めましょう。
5-2 基本的に家族に支払い義務はない
横領をした個人が責任を負うので、基本的に家族に賠償金の支払い義務はありません。そのため、賠償金を請求された場合でも、家族が肩代わりする必要がないのでご安心ください。
ただし、横領によって賠償金の支払いが発生する場合は、生活に影響が及ぶ可能性があります。そのため、状況によっては家族に協力してもらいながら解決策を見つけましょう。
5-3 横領したお金だと知って使っていた場合は家族も責任を問われる
賠償金は家族に支払い義務はありませんが、家族が横領に協力していた場合は、共犯者として罪に問われる可能性があります。
たとえば、横領したお金と知っていて生活費や娯楽費として使ったことが発覚したら、家族にも返済義務が生じるでしょう。そのため、横領の可能性があるお金は絶対に手をつけてはいけません。
6章 横領による賠償金は自己破産できない!横領は絶対にやめよう!
横領による賠償金は、非免責債権に該当するため自己破産ができません。それだけではなく、罰金刑や懲役刑が科せられる可能性もあるため絶対にやめましょう。
もし借金苦などで横領を考えているなら、別の方法で解決する必要があります。当メディアを運営するグリーン司法書士法人では、今の債務の状況から自分に合った方法を提案いたします。初回相談は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
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