国や自治体からお金を借りることはできる?公的融資制度まとめ

司法書士渡邊優太

監修者:グリーン司法書士法人   渡邊優太
【所属】札幌司法書士会 登録番号札幌第1092号 / 北海道行政書士会所属 登録番号第17260997号 【保有資格】司法書士・行政書士

借金返済の知識
国や自治体からお金を借りることはできる?公的融資制度まとめ

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 この記事を読んでわかること
  • 国や自治体からお金を借りられる制度の種類
  • 公的融資制度と民間ローンの違い
  • 各制度の対象者・借入額・申込方法
  • 公的融資を利用するときの注意点

病気や失業、収入減少などをきっかけに、生活資金が不足してしまうことがあります。特に、非正規雇用やフリーランスなど、収入が不安定な方にとっては深刻な問題です。

そのような状況で利用できる可能性があるのが、国や自治体による公的支援制度です。公的融資制度は、民間ローンと比べて低金利または無利子で利用できることも多く、生活再建を目的としている点が特徴です。

この記事では、国や自治体からお金を借りられる主な制度や利用時の注意点、借金問題を根本的に解決する方法について解説します。

現状を改善するための選択肢を知り、生活再建への一歩を踏み出す参考にしてください。

1章 国や自治体からお金を借りることはできる

急な失業や収入減、病気などによって生活が苦しくなると、「国や自治体からお金を借りることはできるのだろうか」と考える方は少なくありません。

一定の条件を満たせば、公的な貸付制度を利用できる可能性があります。ただし、審査や必要書類の提出があり、制度によっては用途が限定されている場合もあります。

まずは、公的な融資制度と民間のローンの違いについて確認していきましょう。

1-1 国や自治体の融資制度と民間ローンの違い

国や自治体の融資制度と、銀行カードローンや消費者金融などの民間ローンには、次のような違いがあります。

公的融資制度民間ローン
主な目的生活支援・自立支援利益
金利低金利または無利子が多い比較的高め
審査生活状況を重視信用情報を重視
融資までにかかる期間数週間〜1か月程度即日〜数日
資金の使途制限がある場合が多い比較的自由
相談窓口社会福祉協議会・自治体など銀行・貸金業者

公的融資制度は、「生活を立て直すための支援」という側面が強く、低所得者や失業者などを対象にしている場合がほとんどですが、申し込みから実際に資金を受け取れるまで、時間がかかります。そのため、「今日中に現金が必要」といったケースには向かない場合があります。

また、公的融資制度は「返済不要の給付金」ではなく、原則として返済義務のある貸付制度です。利用する際は、返済計画も含めて慎重に検討しましょう。

2章 国や自治体からお金を借りられる制度

国や自治体には、生活に困っている方を支援するため、さまざまな公的融資制度があります。ただし、制度によって対象者や利用目的、借入可能額は異なります。

たとえば、「生活費に困っている方」を対象とした制度もあれば、「教育費」や「就職活動中の生活費」を対象とした制度もあります。

この章では、主な公的融資制度について、それぞれの特徴や利用条件を解説します。

2-1 生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度とは、低所得世帯や高齢者世帯、障害者世帯などを対象に、生活再建に必要な資金を貸し付ける制度です。

相談窓口は、各都道府県の社会福祉協議会です。

生活福祉資金は、目的によって次の4つの資金に分かれています。

総合支援資金失業や収入減少などにより、生活維持が困難になった世帯が対象
福祉資金低所得世帯、障害者世帯、または高齢者世帯が生活環境を整えるための一時的な資金
教育支援資金低所得世帯を対象に、高校や大学等の就学費用(授業料、入学金、生活費など)を無利子で借りられる
不動産担保生活資金低所得の高齢者世帯が住み慣れた自宅(土地・建物)を担保に、生活費を毎月借り入れる公的制度

2-2 教育一般貸付(国の教育ローン)

教育一般貸付は、日本政策金融公庫が実施している教育ローンです。

高校・大学・専門学校などの学費や受験費用、通学費用、定期券代、賃貸物件の費用、パソコン購入費など幅広く利用できます。また、日本学生支援機構の奨学金と併せて借りることもできます。

提出書類として、本人確認書類や所得証明書、入学関係書類などが必要になることがあります。

2-3 緊急小口資金

緊急小口資金は、生活福祉資金貸付制度の一部として設けられており、一時的に生活費が必要になった場合に利用できる制度です。

急病や失業など、緊急性の高い事情がある場合に利用が検討されますが、災害など特別な場合には支援対象が広がる場合もあります。

2-3-1 対象者

次の3つの要件を、いずれも満たしている世帯が対象となります。

  • 低所得世帯である
  • 緊急かつ一時的に生計維持が困難な状況である
  • 返済の見通しが立つ

緊急かつ一時的に生計維持が困難な状況というのは、現在は困窮しているが支援を受けられれば生活を立て直せる状況です。常に困窮している世帯は、対象にはなりません。

また、生活が苦しく返済の見通しが立たない世帯についても、この貸付制度は適用されません。

2-3-2 借入可能額・金利

貸付限度額は10万円で、利息はかかりません。また、連帯保証人も原則不要です。

2-3-3 申し込み方法・必要書類

社会福祉協議会で相談・申請を行います。

主な必要書類は次の通りです。

  • 借入申込書(用紙は相談窓口にあります)
  • 住民票の写し 
  • 健康保険証または顔写真つきの本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
  • 借入申込者の世帯の収入証明(源泉徴収票の写しや確定申告書の写し等)
  • 借用書(用紙は相談窓口にあります)    
  • 預金口座振替依頼書(用紙は相談窓口にあります)
  • 通帳と口座届出印(資金を振り込む口座の確認や、返済金の口座振替の手続きに必要)
  • 借入理由による確認書類(借入理由に応じて必要な書類)

2-4 求職者支援資金融資制度

求職者支援制度を利用して職業訓練を受ける方が、生活費不足を補うために利用できる制度です。

2-4-1 対象者

次の要件をどちらも満たしている方が対象です。

  • 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
  • ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方

2-4-2 借入可能額・金利

借入額は家族構成に応じて、次のようになります。

同居または生計を一にする別居の配偶者、子ども、父母がいる場合月額10万円(上限) ✕ 受講予定訓練月数(最大12)
上記以外の場合(単身者など)月額 5万円(上限) ✕ 受講予定訓練月数(最大12)

貸付利率は、年2.0%(信用保証料0.5%を含む)で、連帯保証人は原則不要です。

2-4-3 申し込み方法・必要書類

ハローワークで相談後、貸付要件の確認などの手続きを行います。その後、ハローワークが 指定する金融機関で貸付の手続きを行います。

事前審査の申請には、受給申込書のほか、顔写真や本人確認書類、マイナンバーカード、収入証明などの各種書類が必要になります。

2-5 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度とは、ひとり親家庭などの生活や経済的自立を支援するための制度です。児童を扶養している母子家庭・父子家庭や寡婦の方を対象に、必要な資金の貸付けを行っています。

貸付金は、子どもの進学費用に利用できる「修学資金」や、日常生活に必要な「生活資金」など、用途に応じて複数の種類が用意されています。状況に応じて利用できるため、生活再建や子どもの将来の支援につながる制度といえるでしょう。

2-5-1 対象者

  • 母子家庭
  • 父子家庭
  • 寡婦

2-5-2 借入可能額・金利

借入限度額は、資金の種類によって異なります。どの資金も、無利子または1.0%などの低金利で利用できるものがほとんどです。

2-5-3 申し込み方法・必要書類

自治体の福祉担当窓口で、事前相談が必要です。また、希望する資金の種類により申請に必要な書類が異なるため、窓口の担当者に確認しましょう。

2-6 福祉貸付制度(自治体)

自治体によっては、独自の福祉貸付制度を設けている場合があります。

先にご紹介した生活福祉資金貸付制度の審査に落ちた場合でも、他の公的融資制度を利用できる可能性があります。生活費や医療費などを対象としているケースがあり、内容は自治体ごとに異なります。

2-6-1 対象者

  • 低所得世帯
  • 高齢者世帯
  • 障害者世帯など

2-6-2 借入可能額・金利

自治体ごとに異なるため、問い合わせ時に確認しましょう。

2-6-3 申し込み方法・必要書類

市役所・区役所などの福祉窓口で相談します。

2-7 生活困窮者支援制度(自治体)

自治体では、生活困窮者自立支援制度に基づき、住居確保給付金や就労支援などを行っています。

具体的には、仕事探しのサポートや家計改善のアドバイス、居住支援などを身近な機関と連携しサポートしてくれます。

2-7-1 対象者

  • 離職や減収により生活困窮している方
  • 住居を失うおそれがある方 など

2-7-2 借入可能額・金利

制度によって異なりますが、給付型の場合は返済不要です。

2-7-3 申し込み方法・必要書類

自治体の自立相談支援窓口や、福祉保健センターなどで相談を行います。

3章 国や自治体からお金を借りるときの注意点

公的融資制度は、低金利や無利子で利用できる場合もあり、生活に困っているときの支えとなる制度です。

しかし、申し込みをすればすぐに借りられるわけではありません。制度によっては、審査や面談、必要書類の提出などが必要となり、実際に融資を受けるまでに時間がかかることもあります。

大切なのは、現在の収入状況や生活状況に合った制度や解決方法を選ぶことです。制度を利用する前に、注意点や他の選択肢についても理解しておきましょう。

3-1 国や市役所の融資を受けるには約1か月かかる

公的融資制度は、申請後すぐに入金されるとは限りません。相談、書類提出、審査などを経て融資が実行されるため、1か月程度かかるケースもあります。

特に、次のような場合は時間がかかりやすい傾向があります。

  • 提出書類に不足がある
  • 面談が必要
  • 他の制度との調整が必要
  • 申請件数が多い

そのため、早めに自治体や社会福祉協議会へ相談することが大切です。

3-2 融資を受けるまでの資金がない場合は臨時特例つなぎ資金貸付制度を利用する

公的融資の審査中に生活費が不足してしまう場合、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」を利用できることがあります。

これは、公的給付や貸付を受けるまでの一時的な生活費を支援する制度です。たとえば、次のようなケースで利用が検討されます。

  • 失業後で収入がない
  • 公的給付の支給まで時間がかかる
  • 当面の食費や交通費が必要

ただし、自治体によって実施状況が異なるため、まずは社会福祉協議会などへ相談してみるとよいでしょう。

3-3 働けない場合は生活保護の受給を検討する

病気や障害などによって働くことが難しく、収入を得る見込みがない場合には、生活保護の受給を検討することも重要です。

生活保護では、生活費や家賃、医療費などの支援を受けられる場合があります。「生活保護を受けるのは抵抗がある」と感じる方もいるかもしれません。しかし、生活保護は公的制度であり、利用できる状況であれば遠慮する必要はありません。

なお、生活保護を受給していても、借金そのものがなくなるわけではありません。借金問題を抱えている場合には、債務整理を併せて検討する必要があります。

4章 借入目的が借金返済なら債務整理を検討しよう

「生活費が足りない」という悩みの背景に、借金返済があるケースは少なくありません。たとえば、クレジットカードの支払いやカードローン返済のために、新たな借入を考えている場合には注意が必要です。

借金返済のためにさらに借金を重ねてしまうと、多重債務に陥るリスクがあります。そのような場合、公的融資を利用するだけでは根本的な解決にならないこともあります。返済が難しい状況であれば、債務整理によって返済負担を軽減できる可能性があります。

ここでは、主な債務整理手続きについて解説します。

4-1 任意整理

「任意整理」とは、裁判所を通さずに債権者と交渉し、借金の利息や返済方法などを見直すことで、返済の負担を軽減する手続きです。

将来利息のカットなどが認められると、毎月の返済額が抑えられ、家計の負担が軽くなったと感じられる方も少なくありません。

任意整理は、債務整理の方法の中でも、比較的利用されることが多い手続きです。ただし、元金そのものが減額されるわけではないため、借入額が大きい場合には適さないケースもあります。

また、任意整理は、整理の対象とする債権者を選ぶことができます。そのため、自動車ローンや保証人が付いている債務を対象から外したいという方にも向いている手続きです。

【任意整理の特徴】
対象支払いが困難な債務のみの選択が可能
メリット将来利息のカット、毎月の返済額軽減
デメリット信用情報への登録(ブラックリスト)

4-2 個人再生

「個人再生」とは、大幅に減額された借金を原則3年間で返済するための再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けて返済を進めていく手続きです。

具体的には、借金の元本をおおむね5分の1程度まで減額できる可能性があり、再生計画どおりに返済を完了すれば、減額された分の借金については支払う必要がなくなります。

また、住宅ローンを返済中の場合でも、住宅ローン特則を利用すると自宅を手放さずに手続きができることも大きなメリットです。

ただし、減額後の借金を継続して返済していく必要があるため、安定した収入が求められます。無職の方や収入が不安定な場合には、利用が難しいこともあります。

【個人再生の特徴】
対象安定した収入がある個人
メリット大幅な債務の減額が可能・住宅の維持が可能
デメリット官報公告の掲載、信用情報への登録(ブラックリスト)、手続きが複雑

4-3 自己破産

「自己破産」とは、税金など一部の債務を除き、借金の返済義務を法的に免除してもらう手続きです。

原則として借金の返済義務がなくなるという大きなメリットがある一方で、持ち家や車など一定以上の価値がある財産は処分の対象となる可能性があり、失ってしまうリスクがある点には注意が必要です。

また、ギャンブルや浪費など、法律で定められた「免責不許可事由」に該当する行為がある場合には、免責が認められない可能性もあります。そのため、不安がある場合は事前に専門家へ相談することをおすすめします。

【自己破産の特徴】
対象収入や返済能力がない人
メリット借金が全額免除される
デメリット財産の処分、官報公告の掲載、信用情報への登録(ブラックリスト)、一定の職業制限(一時的)

5章 状況に合った制度や解決方法を選ぶことが大切

国や自治体には、生活困窮者を支援するための公的融資制度があり、状況によっては生活費や教育費などを借りることができます。これらの制度は、低金利や無利子で利用できる一方で、審査や手続きに時間がかかることも少なくありません。

また、借入目的が「借金返済」である場合には、新たな借入を重ねる前に、債務整理を検討したほうがよいケースもあります。現在の収入や借金状況に応じて、どの制度や手続きが適しているかは異なります。

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