奨学金の引き落としに間に合わなかったらどうする?1回目は翌月合算返済

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
奨学金の引き落としに間に合わなかったらどうする?1回目は翌月合算返済

この記事は約 11 分で読めます。

奨学金の引き落とし日に口座残高が不足していることに気づき、どうすればよいか焦りを感じていませんか。

1回の失敗で信用情報に傷がついたり、すぐに督促の連絡が来たりするのではないかと不安になるかもしれません。

この記事を読めば、奨学金の返済が1回だけ間に合わなかった場合の具体的なルールと対処法を正確に把握し、ご自身の状況に合わせて落ち着いて次に行うべき行動を判断できるようになります。

目次 ▼

1章 奨学金引き落としに1回だけ間に合わなかった場合の対処法3ステップ

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の引き落としに1回だけ間に合わなかった場合、基本的には翌月の引き落とし日に2ヶ月分がまとめて引き落とされます。
そのため、すぐにJASSOへ連絡したり、自分で振り込んだりする必要はありません。

まずは落ち着いて以下の3ステップで対処を進めましょう。

1-1 まずは落ち着いて状況を確認する

最初に、本当に引き落としがされていないかを客観的な事実で確認します。
通帳の記帳やインターネットバンキングの取引履歴を見て、引き落としが実行されていないことを確かめてください。

単なる思い込みや勘違いの可能性もあるため、冷静に事実を確認することが最初のステップです。

1-1-1 リレー口座の取引履歴で引き落とし結果を見る

奨学金の引き落とし口座(リレー口座)の取引履歴を確認し、予定されていた返済額が引き落とされていない事実を明確にします。
これにより、次のステップである「翌月の引き落としに備える」という行動に確信を持って移ることができます。

引き落とし結果は、JASSOの「スカラネット・パーソナル」でも翌月中旬以降に確認可能です。

口座に残高があるのに引き落としされない理由については以下の記事で解説しています。

1-1-2 金融機関によっては当日中の再引き落としも可能

一部の金融機関では、引き落とし日の当日中に入金すれば、再度引き落とし処理(再振替)が行われる場合があります。
例えば、夕方までに入金すれば間に合うケースなど、金融機関によって対応は異なります。

もし引き落とし日当日に残高不足に気づいた場合は、利用している金融機関に当日中の再引き落としが可能か問い合わせてみるのも一つの方法です。

ただし、これは確実な方法ではないため、基本的には翌月の引き落としを待つことになります。

1-2 翌月の引き落としに備えて口座に入金する

引き落としができなかったことを確認したら、翌月の返済に備えましょう。カード会社によっては、1回目の引き落とし失敗でも遅延損害金が発生する場合があります。

また、再振替を行うカード会社の場合、翌月ではなく再振替日に引き落としが行われます。そのため、計画的な入金が不可欠です。

1-2-1 翌月は2ヶ月分の合計額が引き落とされる

翌月の引き落とし日には、今回引き落とされなかった分と、翌月分の合計2ヶ月分が引き落とされます。

例えば、毎月1万5千円を返済している場合、翌月には3万円が引き落とされることになります。
翌月の引き落とし日の前営業日までには、必ず2ヶ月分の金額を口座に用意しておきましょう。

1-2-2 1ヶ月分しか入金せず再度残高不足になる

よくある失敗として、翌月に2ヶ月分が引き落とされることを知らず、いつも通り1ヶ月分の金額しか口座に用意しないケースが挙げられます。

これをやってしまうと、翌月も残高不足で引き落としができず、延滞が2ヶ月続いてしまうことになります。
延滞が続くと延滞金が発生したり、督促の連絡が来たりと状況が悪化するため、必ず2ヶ月分の入金を忘れないようにしてください。

1-3 どうしても支払えない場合は救済制度を利用する

「うっかり忘れていた」のではなく、経済的な理由で返済が困難な場合は、放置せずに公的な救済制度の利用を検討しましょう。

延滞が始まる前に相談することが非常に重要です。

1-3-1 減額返還や返還猶予の申請条件を確認する

JASSOには、経済的に返済が難しい人のために「減額返還制度」や「返還期限猶予制度」が用意されています。

減額返還は月々の返済額を1/2または1/3に減らす制度で、返還期限猶予は一定期間、返済を待ってもらう制度です。

災害、傷病、失業、経済困難などが理由で利用できるため、自分が条件に当てはまるかJASSOの公式サイトで確認しましょう。

奨学金の減額については以下の記事で解説しています。

1-3-2 申請は延滞する前に相談するのが原則

これらの救済制度は、原則として延滞する前に申請する必要があります。

もし来月も2ヶ月分の支払いが難しいと分かっている場合は、引き落としを待つのではなく、すぐにJASSOの奨学金相談センターに電話して事情を説明し、制度の利用について相談してください。早めの行動が、状況の悪化を防ぎます。

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2章 奨学金の引き落としに間に合わなかった場合に起こる3つのリスク

奨学金の引き落としに1回間に合わなかっただけでは、すぐに大きな問題にはなりません。
しかし、これが2回、3回と続くと、以下のようなリスクが発生します。

どのようなペナルティがあるのかを正しく理解し、延滞を続けないようにしましょう。

2-1 延滞金が発生し返済総額が増える

2回目の引き落としにも間に合わず、延滞が2ヶ月以上続くと延滞金が課されます。
延滞金は、延滞している割賦金の額に対して、延滞した日数に応じて年率3%(令和6年3月28日以降に貸与終了した方の場合)の割合で計算されます。

延滞が長引くほど支払う総額が増えてしまうため、早期の返済が必要です。

遅延損害金については以下の記事で解説しています。

2-2 3ヶ月以上の延滞で信用情報(ブラックリスト)に登録される

奨学金の返済を3ヶ月以上延滞すると、個人信用情報機関に延滞情報が登録されます。
これは、いわゆる「ブラックリストに載る」状態です。

一度登録されると、クレジットカードの新規作成や利用、住宅や自動車などのローン審査、スマートフォンの分割購入などが非常に難しくなる可能性があります。

この情報は延滞を解消しても約5年間は残るため、将来のライフプランに大きな影響を及ぼします。

支払いが遅れた場合の信用情報への影響については以下の記事で解説しています。

2-3 督促の連絡が本人や連帯保証人に届く

延滞が続くと、JASSOからハガキやSMS、電話による督促が始まります。
最初は本人への連絡ですが、それでも返済されない場合は、親などがなっている連帯保証人や保証人にも連絡がいくことになります。

これにより、家族に延滞の事実が知られてしまい、心配をかける事態につながります。

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3章 引き落とし失敗からの督促スケジュール

奨学金の引き落としに失敗した場合の督促は、滞納した回数によって段階的に厳しくなっていきます。
いつ、どのような連絡が来るのかを事前に把握しておくことで、落ち着いて対応できるでしょう。

3-1 1回目の滞納で「振替不能通知」ハガキが届く

最初の引き落としができなかった場合、翌月の10日前後に「奨学金返還の振替不能通知」というハガキが届きます。

この通知には、引き落としができなかった事実と、次回(翌月)に2ヶ月分がまとめて引き落とされる旨が記載されています。この段階ではまだ電話での督促はありません。

3-2 2回目の滞納でSMSや電話による督促が開始される

翌月の2ヶ月分の引き落としにも間に合わず、2ヶ月連続で滞納してしまった場合、JASSOから本人宛にSMS(ショートメッセージ)による督促が始まります。

ハガキだけでなく、より直接的な方法で返済を促されるようになり、事態が少し深刻化している段階です。
電話での督促は、3ヶ月連続で滞納した場合に本人や連帯保証人に開始されます。

3-3 3回目以降の滞納で連帯保証人へ連絡がいく

3ヶ月以上滞納が続くと、本人への電話連絡に加えて、連帯保証人(多くの場合は親)へも督促の連絡が入ります。
また、個人信用情報機関への登録手続きも進められます。

この段階になると、自分だけの問題ではなくなり、家族を巻き込む事態に発展します。

4章 来月以降も奨学金の返済が困難な場合の救済制度

一時的な残高不足ではなく、失業や収入の減少といった経済的な理由で、来月以降も奨学金の返済が難しい場合は、放置せずにJASSOが設けている救済制度の利用を検討してください。

返済の意思があることを示し、延滞する前に相談することが重要です。

4-1 月々の返済額を半分に減らせる「減額返還制度」

減額返還制度は、災害、傷病、経済困難などの理由で返済が難しい場合に、月々の返済額を2分の1、3分の1、4分の1、または3分の2に減額できる制度です。

1回の申請で12ヶ月間適用され、最長で15年(180ヶ月)まで延長可能です。

返済期間は長くなりますが、毎月の負担を軽減しながら返済を続けることができます。

4-2 返済を一時的に待ってもらえる「返還期限猶予制度」

返還期限猶予制度は、災害、傷病、経済困難、失業などにより返済が困難になった場合に、一定期間、返済を停止して先送りにできる制度です。

猶予された期間分の返済は、猶予期間終了後から再開されます。
返済が免除されるわけではありませんが、生活を立て直すための時間を確保することができます。

利用可能期間は原則として通算で10年(120ヶ月)ですが、災害、傷病、生活保護受給中、産前休業・産後休業および育児休業、一部の大学校在学、海外派遣の場合には、この制限が適用されません。

奨学金の引き落としに関するよくある質問

ここでは、奨学金の引き落としに間に合わなかった際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q.奨学金の引き落としが1回できなかっただけで、ブラックリストに載りますか?

載りません。

奨学金の返済を1回(1ヶ月分)延滞しただけで、すぐに個人信用情報機関(ブラックリスト)に登録されることはありません。
延滞情報が登録されるのは、延滞が3ヶ月以上に及んだ場合です。

1回目の失敗であれば、翌月にきちんと2ヶ月分を返済すれば問題ありません。

Q.引き落としに間に合わなかった場合、いつまでに口座へ入金すればよいですか?

次回の引き落とし日の前営業日までに入金してください。

例えば、毎月27日が引き落とし日の場合、翌月の27日の前営業日までに、今回分と次回分の合計2ヶ月分の金額を口座に用意する必要があります。

具体的な金額は、後日届く「振替不能通知」のハガキで確認できます。

Q.奨学金の延滞が連帯保証人である親に知られるのはいつからですか?

家賃滞納があった場合、連帯保証人への連絡は、滞納発生から2週間から1ヶ月以内に行われるのが最適なタイミングとされています。

1回目や2回目の滞納時点では、まず本人へ督促の連絡が入ることが一般的です。
しかし、1ヶ月の滞納でも連帯保証人へ連絡が行くケースがあり、本人と連絡が取れない場合や、滞納が続いた場合には、連帯保証人である親などへ督促の通知や電話連絡が入る可能性があります。

まとめ

奨学金の引き落としに1回だけ間に合わなかった場合、翌月の引き落とし日に2ヶ月分がまとめて返済されるため、すぐに入金や連絡をする必要はありません。
まずは落ち着いて取引履歴を確認し、翌月の引き落としに向けて2ヶ月分の資金を口座に準備しましょう。

ただし、延滞が3ヶ月以上続くと信用情報に影響が出るなどのリスクがあるため、継続して返済が困難な場合は、延滞する前にJASSOの相談窓口や救済制度の利用を検討することが重要です。

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