借金の利子を計算する方法とは?上限金利と借金を減額する方法を解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
借金の利子を計算する方法とは?上限金利と借金を減額する方法を解説

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借金の利子の負担が重いと、お金をやり繰りしながら返済していても終わりが見えず不安になってしまうものです。

特に金利が高い金融会社などからの借金は、利子ばかり返済し元金が減らない状態になりやすいといえます。

現状を知り、借金完済を目指すためにも、どのくらいの利子を支払うことになるのか理解しておくことが必要です。

そこで、借金の利子を計算する方法や、法律で決められた上限金利や借金減額の方法について次の4つの章に分けて説明していきます。

  1. 借金の利子とは
  2. 借金で払う利子の計算方法
  3. 上限金利の規定
  4. 利子負担が重いときの対処法

どうすれば早く借金を完済できるか、利子負担を軽減するために必要なことを知る参考にしてください。

1章 借金の利子とは

借金の「利子」とは、債務者が債権者に対し、借金の「元本」に追加して支払うお金です。

これに対し「利息」は、債権者が債務者から元本に「追加」して受け取るお金であり、金銭の貸し借りで元金とは別で支払われる費用といえます。

基本的に「利息」と「利子」の意味は同じですが、使い分け方としては次のとおりです。

  • 「利息」 債権者が受け取る借金の対価
  • 「利子」 債務者が支払う借金の対価

なお、借りたお金に対する利子の割合を「金利」といい、同様の意味を持つ言葉として「利率」が挙げられます。

金融機関はお金を貸すときに「金利」を設定し、設定された金利をもとに債務者は「利子」を支払い、金融機関が「利息」として受け取ることになります。

2章 借金で払う利子の計算方法

借金で支払う利子を「計算」したいときには、次の計算式を使うと簡単です。

借入残高(円)×年利(%)×借入日数(日)÷365(日※)=利子(小数点以下切り捨て)

※うるう年は366となりますが、契約によっては365日換算にしている場合もあります。

「年利」とは元金に対し「1年間」で支払う利子の割合であり、1年単位であらわす金利といえます。

たとえば30万円を年利18%で借りた後、30日後に一括返済したときに支払う利子は以下のとおりです。

30万円(年利18%)を30日後に一括返済する場合
30日後の返済で支払う利子(総利息額)300,000円×18%×30日÷365=4,438円
30日後の返済額(総返済額)300,000円+4,438円=304,438円

これに対し、仮に30日後と60日後に元金15万円をそれぞれ返す場合には、以下の利子を支払うことになります。

30万円(年利18%)を30日後と60日後に2回で分割返済する場合
30日後の返済で支払う利子300,000円×18%×30日÷365=4,438円
30日後の返済額150,000円+4,438円=154,438円
60日後の返済で支払う利子150,000×18%×30日÷365(日)=2,219円
60日後の返済額150,000円+2,219円=152,219円
総利息額4,438円+2,219円=6,657円
総返済額300,000円+6,657円=306,657円

3章 上限金利の規定

消費者金融など貸金業者の借金は、金利が高く利子負担も重くなりがちですが、設定される金利は次の「法律」により「上限」が定められています

  1. 利息制限法による上限
  2. 出資法による上限

上記2つの法律の「上限」についてそれぞれ説明していきます。

3-1 利息制限法による上限

「利息制限法」とは、金銭貸借契約に基づいた金銭の貸し借りにおいて債権者を規制するための法律であり、「借入額」に応じて年15~20%の範囲で上限となる金利は変動します。

具体的には以下のとおりです。

借入元本の金額金利の上限
10万円未満年20.0%
10万円以上100万円未満年18.0%
100万円以上年15.0%

金銭の貸し借りにおいては、債権者よりも債務者の方が弱い立場となるため、暴利による貸し付けで債務者が苦しむことのないように金利に「規制」を設けています。

なお、利息制限法による上限を超えた金利を設定されたでも、超えた分は「無効」​となる​ため上限の範囲による利率が適用されます。

3-2 出資法による上限

「出資法」とは、正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律」といい、金銭の貸し借りにおける手数料や金利について規制しています。

出資法の上限金利は年20%とされており、そもそも出資法は貸金業者が不当に高い金利でお金を貸すことのないようにするための法律であるため、違反した金融業者は「刑事罰」の対象となります。

過払い金について
以前は「利息制限法」と「出資法」の上限金利が異なっていたため、「グレーゾーン金利」と呼ばれる金利が存在していました。

このグレーゾーン金利でお金を借り、払すぎていた利子が発生していた場合には「過払い金返還請求」をすることができます。

ただし過払い金には「消滅時効」があるため、発生している可能性がある場合には早めに専門家に相談することをおすすめします。

4章 利子負担が重いときの対処法

毎月借金を返済しているはずなのに、なかなか減らず利子負担が重いと感じるときには、次の4つの「対処法」を検討しましょう。

  1. 繰り上げ返済
  2. 低金利ローン
  3. おまとめローン
  4. 債務整理

それぞれの対処法について説明していきます。

4-1 繰り上げ返済

借金の利子負担が重いときの対処法として、「繰り上げ返済」を利用する方法が挙げられます。

毎月の返済だけでなく、たとえばボーナスや臨時的な収入があったとき、まとまった額を返済することで元本返済の「前倒し」が可能です。

「元本」が減ることにより、返済期間の短縮や、利子負担軽減につながります。

4-2 低金利ローン

借金の利子負担が重いときの対処法として、「低金利ローン」に借り換える方法が挙げられます。

現在よりも金利が「低い」ローンへ借り換えることで利子負担は軽減され、総支払額や総返済額も減らすことができます

ただし、金利の低いローンを「新規」で借入れすることになるため、新たなローンの条件や債務者の利用状況によっては必ず借りられるとは限りません。

また、低金利ローンへの借り換えができた場合でも、元金は減らず利子自体は発生するため、借金問題を根本的に解決する方法ではないと理解しておきましょう。

4-3 おまとめローン

借金の利子負担が重いときの対処法として、「おまとめローン」を利用する方法が挙げられます。

おまとめローンとは、「複数」の金融会社の借入れを「1つ」にまとめる金融商品で、銀行だけでなく貸金業者でも扱っています。

利子負担を軽減できる可能性はあるものの必ず金利が下がるとは言い切れないため、事前の「シミュレーション」が必須となります。

なお、低金利ローンへの借り換えと同様に、おまとめローンでも元金は減らないため利子は発生し続けるため、借金問題の根本的な解決とはならないことは留意しておきましょう。

4-4 債務整理

借金の利子負担が重いときの対処法として、「債務整理」を検討することが挙げられます。

債務整理とは、借金や利子に苦しむ人に対する救済手段であり、借入れ件数が多くても「返済負担軽減」や「返済免除」などで借金問題を根本から解決できる方法です。

ただ、債務整理にも「種類」があり状況に応じて選ぶ方法は異なるため、自己判断せずに「専門家」に相談した上で手続を進めることをおすすめします。

まとめ

借金の利子は、金融会社の設定する金利に基づいて負担の大きさが左右されるため、高金利の借金は返済負担も重く返済期間も長くなりがちです。

できるだけ借金の利子負担を軽くしたいなら、金利を下げることと元金を早く返すことが必要といえます。

借金完済を目指すためにも、どのくらいの利子を支払うことになるのか事前に計算し、自力での返済が厳しいと感じるときには債務整理なども視野に入れることも必要である可能性もあります。

もしも借金の利子負担や毎月の返済が重いときには、一度気軽にグリーン司法書士法人グループへご相談ください。

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