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「20年以上前に返済したきり、放置している」という方は、その借金をもう返済しなくてよいかもしれません。
借金には「消滅時効」といって、一定期間放置すると返済義務がなくなる制度があります。
借金の消滅時効は原則として5年(場合によっては10年)であり、20年以上放置した借金はすでに消滅時効を迎えている可能性があります。
しかし、消滅時効は自動的に完成するものではなく、時効の援用(時効を迎えたことを主張すること)をしなければ完成しません。
また、5年以上経過していても、債権者が何らかのアクションを起こして時効がストップしているケースもあります。
そのため、「20年も経過しているからすでに時効だ」と安易に考えてはいけません。
この記事では、20年放置した借金はどうなるのかについて解説します。
目次 ▼
1章 20年放置した借金は時効を迎えている可能性が高い
20年放置した借金は消滅時効を迎えている可能性が高いと言えます。
しかし、債権者が裁判上の催促をしたり、あなた自身が借金を承認したりすると時効がストップすることがあります。 そのため、20年以上経過しているからと言って必ず時効を迎えているとは限りません。
また、借金の時効は年数が経てば自動的に成立するのではなく、時効の援用(時効を迎えたことを主張すること)をしなければ完成しません。 そのため、20年前の借金であっても時効援用の手続きをしていない限り、返済義務は残り続けています。
では、どのようなケースで時効が成立するのか、成立しないのか、詳しく解説します。
1−1 時効を迎えているケース
時効が成立する条件は以下の2つです
- 返済期日または最後の返済から5年または10年経過していること
- 相手から催告や裁判上の請求などをされていない
「返済期日または最後の返済から5年または10年経過していない」というのは、借金の消滅時効の条件が以下のように設定されているからです。
- 権利を行使することができることを知ったときから5年間(主観的起算点)
- 権利を行使することができるときから10年間(客観的起算点)
とはいえ、一般的な金融機関からの借金の場合「主観的起算点」が適用されることがほとんどです。そのため「最後の返済から5年が経過している」時点で消滅時効を迎えていると考えて問題ありません。
ただし、債権者から催告を受けたり、裁判上の請求をされたりすると時効がストップまたは延長される可能性があります。これについては次項で解説します。
1−2 時効を迎えていないケース
そもそも、返済期日または最後の返済から5年(または10年)が経過していなければ時効にはなりません。
その上で、債権者から一定の行為が行われると時効が中断したり、延長したりする可能性があります。
返済期日または最後の返済から5年(または10年)が経過しているにもかかわらず、時効を迎えていない可能性があるのは、以下のようなケースです。
時効を迎えていないケース | 概要 |
債務の承認 | 債権者が借金を返済するなど借金を承認した →承認時点で時効がストップし、時効が0から再スタートする |
裁判上の請求 | 債権者が債務者に対して返還を求める訴訟を起こした →訴訟を起こした時点で時効がストップし、裁判確定時に時効が0から再スタートする |
催告 | 債務者が債権者に対して返還を求める催告をした →催告をした時点から裁判確定まで時効がストップし、その後裁判が確定時した時に時効が0から再スタートする |
債権者と債務者の合意 | 債権者と債務者で時効の完成を猶予することに合意している →当事者の合意のもと、最長で1年間時効の完成を猶予することが可能 |
ここで重要なのは、判決を取られるとそこから10年経たないと時効にならないという点です。
裁判所からの請求や催告時点では時効の援用が可能なので、判決を取られる前に専門家に相談すると良いでしょう。
- そもそも消滅時効が成立しているのか知りたい
- 借金を最後に返済してから5年以上経過している
- いきなり昔の借金の訴状や支払督促状が送られてきた
上記に当てはまる場合はまずはグリーン司法書士法人にご相談ください。
グリーン司法書士法人ではあなたが時効成立しているかの確認も可能です。
2章 時効の援用をしなければ時効は成立しない
消滅時効の期間を問題なく経過したとしても、「債権者に対して時効を迎え、その権利を行使すること」を主張しなければ成立しません。これを「時効の援用」と言います。
ここでは、時効の援用をする方法や、費用、書き方について解説します。
2−1 時効を援用する方法
時効の援用は「時効援用通知書」を送付することで行います。
具体的な流れは以下のとおりです。
- 消滅時効が成立しているかを確認
- 時効援用通知書の作成
- 内容証明郵便を用いて債権者に時効援用通知書を送付
時効援用通知書は、内容証明郵便(「いつ、誰が、どのような内容を、誰に差し出したか」を郵便局が証明してくれる制度)を利用して送付するのが一般的です。
ただし、時効援用通知書を送るタイミングを間違えたり、書式に不備があったりすると、時効の完成が難しくなるリスクがあります。
そのため、時効の援用をする場合には、司法書士などの専門家に依頼するようにしましょう。
2−2 時効を援用する費用
時効援用通知を送付する際にかかる費用は以下の2つです。
- 内容証明郵便の費用:440円〜700円程度
- 専門家への依頼費用:5万円〜8万円程度
内容証明郵便は、基本料金が440円で、2枚目以降は260円が加算されます。
専門家への依頼費用は債権者1社につき5〜8万円が相場です。
なお、グリーン司法書士法人では消滅時効の援用費用を以下のように設定していますので参考にしてください。
相談料 | 無料 |
---|---|
過払い返還成功報酬 | 取り返した額の20%(裁判での回収は25%) |
減額成功報酬 | 減額報酬無し |
基本料金 | 19,800円(税込21,780円)~ |
2−3 時効援用通知の書き方
時効援用通知書に書く内容は以下のとおりです。
時効を援用する日付 | 書類を送付する日付でOK ただし、その日付が消滅時効経過後の日付になっているか必ず確認する。 |
差出人の情報 | 差出人の「氏名」「住所」「連絡先」を記載します。 専門家に依頼している場合、差出人はその専門家になります。 |
債権を特定する情報 | 債権者の情報(法人):名称・本店住所・代表者の氏名 債権者の情報(個人):氏名・住所 債務者:氏名・生年月日・住所・会員番号 債権:債権の性質・金額・発生日・最終返済日 |
消滅時効を援用する旨 | 「消滅時効を援用する」という旨を記載します。 この記載がなければ援用通知にはなりません。 |
時効援用通知の書式は決まっていないため、手書きで作成してもワードで作成しても構いません。とはいえ、不備を減らすためにもワードで作成するのが望ましいでしょう。
ここが時効の援用で最も重要な部分です。適切な文章で作成しないと失敗してしまいます。一見すると簡単な文章に見えても、そこには非常に複雑な法的判断が入っていますので、失敗しないためにはやはり弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが良いでしょう。
なお、内容証明郵便には指定書式がありますので注意してください。
2−3−1 内容証明郵便の書式と発送方法
内容証明郵便の指定書式は以下のとおりです。
文字数 | 行数 | |
縦書き | 1行20文字以内 | 1枚26行以内 |
横書き | 1行13文字以内 | 1枚40行以内 |
横書き | 1行20文字以内 | 1枚26行以内 |
横書き | 1行26文字以内 | 1枚20行以内 |
上記の書式で援用通知書を作成したら、債権者送付用、郵便局保管用、差出人の控え用として同じ文書を3部作成します。手書きの場合には原本を3枚コピーすれば構いません。
また、3部全てに押印するのを忘れないようにしましょう。
書類が準備できたら、郵便局に持参して内容証明郵便で送付します。郵便局に受理されると配達証明の控えがますので、大切に保管しましょう。
3章 長年放置している借金がある方はグリーン司法書士法人にご相談ください
長年放置している借金がある場合、消滅時効を迎えている可能性があります。しかし、例え時効を迎えていても援用しなければ時効は成立しません。
消滅時効は、裁判を通して請求などの一定の行為があった場合にはストップしている可能性があります。
また、借金は長期間放置すればするほど、逆に訴訟を起こされるリスクが高くなっていきますので、気づいた時点でなるべく専門家に相談するようにしましょう。
また、時効の援用のタイミングを間違えると時効が無効になってしまうリスクがありますので、自身で行うのはおすすめしません。
グリーン司法書士法人では、消滅時効を迎えているかを調べた上で、時効の援用手続きも承っております。
初回相談は無料です。オンライン相談も受けておりますので、ぜひご相談ください。
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よくあるご質問
- 借金を20年放置するとどうなる?
- 20年放置した借金は消滅時効を迎えている可能性が高いと言えます。
しかし、債権者が裁判上の催促をしたり、あなた自身が借金を承認したりすると時効がストップすることがあります。
借金の放置について詳しくはコチラ
- 借金を20年放置すると時効になる?
- 借金を20年放置したとしても、自動的に時効にはなりません。
時効を迎えた借金を時効援用することにより、時効が成立します。
借金の放置について詳しくはコチラ