給与ファクタリングとは?違法性や給料日前にお金がないときの対処法

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
給与ファクタリングとは?違法性や給料日前にお金がないときの対処法

この記事は約 11 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 給与ファクタリングとは何か
  • 通常のファクタリングと給与前払いサービスとの違い
  • 給与ファクタリングの違法性
  • 給料日前にお金がないときの対処法

「給料日まであと数日あるのに、生活費が足りない」「急な出費が重なり、どうしてもお金が必要になった」という状況に陥ることは、誰にでも起こり得ます。

そのようなとき、インターネット広告やSNSなどで見かける「給与ファクタリング」が気になっている方もいるのではないでしょうか。しかし、給与ファクタリングには違法性が指摘されており、金融庁や警視庁も注意喚起を行っています。また、高額な手数料や依存性など、大きなリスクがある点にも注意が必要です。

この記事では、給与ファクタリングの仕組みや違法性、利用するリスクを解説しています。あわせて、給料日前にお金がないときの対処法や、借金返済が苦しい場合の解決方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1章 給与ファクタリングとは

「給与ファクタリング」とは、将来受け取る予定の給与を債権として業者に買い取ってもらい、給料日前に現金を受け取る資金調達方法です。

「給料日前でもお金を受け取れる」と聞くと便利に感じるかもしれませんが、通常のファクタリングとは仕組みが異なります。また、給料の前払いにも似ているように思えますが、まったく別物です。

違いを正しく理解していないと、「借金ではないと思って利用したら、実質的には高金利の借入だった」ということにもなりかねません。

まずは、給与ファクタリングの基本的な仕組みや、他のサービスとの違いについて確認しておきましょう。

1-1 給与ファクタリングと通常のファクタリングの違い

通常のファクタリングとは、企業が保有している「売掛債権」を買い取ってもらい、早期に資金化するサービスで、「債権譲渡契約」になります。

たとえば、会社が取引先に商品を販売した場合、代金は後日支払われることがあります。この「将来受け取る予定のお金」をファクタリング会社が買い取ることで、企業は早めに現金を確保できます。

一方、給与ファクタリングは、個人が勤務先から受け取る予定の給料が対象で、その契約は、「金銭消費貸借契約」に該当するとされています。そのため、貸金業登録が必要になります。

給与ファクタリング通常のファクタリング
利用者個人法人・個人事業主
対象給料債権売掛債権
契約内容金銭消費貸借契約債権譲渡契約
事業者の収入利息手数料
貸金業者登録必要不要

1-2 給与ファクタリングと給与前払いサービスの違い

給与ファクタリングと混同されやすいものに、「給与前払いサービス」があります。

給与前払いサービスとは、勤務先が導入している福利厚生制度の一つで、すでに働いた分の給料の一部を、給料日前に現金で受け取れる仕組みです。

これに対して給与ファクタリングは、利用者が業者へ給与債権を買い取ってもらう取引であり、勤務先の関わりはないことが一般的です。

給与ファクタリング給与前払いサービス
提供者民間業者勤務先や提携会社
内容金銭消費貸借契約企業の福利厚生制度の一つ
手数料高額な場合あり比較的低額
勤務先の関与基本的になしあり

2章 給与ファクタリングは違法?

給与ファクタリングについて調べていて、「違法」「闇金と同じ」といった情報を目にしたことはないでしょうか。

給与ファクタリングの仕組み自体に、違法性はありません。しかし、金融庁や警視庁が給与ファクタリングについて注意喚起を行っており、貸金業登録をしていない業者による提供が多いのも事実です。

また、違法業者ではなかったとしても、手数料が高額であったり、利用者に大きなリスクが生じたりといったケースも少なくありません。

この章では、給与ファクタリングの違法性や、利用するリスクについて解説します。

2-1 違法業者・違法行為も存在している

金融庁は、給与ファクタリングについて「貸金業に該当する」との見解を公表しています。

つまり、「給料を買い取る」という形を取っていても、実態としては利用者にお金を貸し付けているのと同じであると判断されているのです。

貸金業を営むには、貸金業法に基づく登録が必要です。無登録で営業している場合には、違法業者にあたる可能性があります。

また、次のような違法行為が問題となるケースもあります。

  • 法外な利息を請求される
  • 執拗な取り立てを行う
  • 勤務先へ連絡される
  • 個人情報を拡散すると脅す
  • 深夜・早朝に連絡を繰り返す

特に、実質的な年利が利息制限法の上限金利(年15〜20%)を大きく超えているケースもあり、注意が必要です。

2-2 警視庁は注意喚起もしている

警視庁も、給与ファクタリングについて注意喚起を行っています。その背景には、利用者が高額な手数料を請求されたり、悪質な取り立て被害に遭ったりするケースが増えていることがあります。

軽い気持ちで利用したが、相手が違法なヤミ金業者だったと後でわかり、高額な手数料を支払わされるケースもあります。

無登録の給与ファクタリング業者に注意!」(警視庁公式ウェブサイトより)

給与ファクタリング被害に遭ったり、ヤミ金融業者からの執拗な取立てに困っている場合は、最寄りの警察署や相談ホットラインに連絡するよう、警視庁のサイトでも呼びかけています。

2-3 違法業者でなくてもリスク・デメリットが大きい

給与ファクタリングは、たとえ違法業者でなかったとしても、利用者にとってリスクやデメリットが大きいサービスです。

一時的に現金を確保できても、その後の生活がさらに苦しくなるケースもあります。この章で、主なリスクについて確認しておきましょう。

2-3-1 手数料が高い

貸金業登録をしている業者であれば、「消費者金融やカードローンの利息とそれほど変わらないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、給与ファクタリングは短期間で利用するケースが多く、実際には負担が大きくなりがちです。

たとえば、次のような点です。

  • 「手数料」という名目で費用が差し引かれる
  • 1週間〜1か月程度の短期間で精算するケースが多い
  • 実質的な年率で見ると高額になる場合がある

給料日前に現金を受け取れるため、一見便利に感じるかもしれません。しかし、何度も利用していると、次の給料で使えるお金が減り、生活が苦しくなってしまう可能性があります。

2-3-2 気軽に利用しやすく依存性が高い

給与ファクタリングは、スマートフォンだけで申し込みできる場合も多く、手軽に利用しやすいといえるでしょう。

そのため、「今月だけ」「数万円だけ」「給料日までのつなぎ」と繰り返し利用してしまうことがあります。

しかし、根本的な収支改善につながるわけではなく、依存しやすい点には注意が必要です。

2-3-3 自転車操業に陥りやすい

給与ファクタリングを利用すると、次の給料日に受け取れる金額が減ります。すると、翌月の生活費が足りなくなり、再度利用するという流れに陥りやすくなります。

さらに、他社からの借入やクレジットカードの利用が増えることで、支払いが重なり、家計がさらに悪化するケースもあります。

一時的な資金不足を解消するつもりが、長期的には生活を圧迫してしまう可能性があるため、慎重に判断することが必要です。

3章 給料日前にお金がないときの対処法

給料日前にお金が足りなくなると、不安や焦りから「すぐに現金を用意できる方法」を探してしまいがちです。

しかし、焦って給与ファクタリングのようなリスクの高いサービスを利用すると、かえって生活が苦しくなることもあります。大切なのは、「今すぐ必要なお金なのか」「一時的な資金不足なのか」「借金返済が原因なのか」を整理したうえで、適切な対処法を選ぶことです。

この章では、給料日前にお金がないときに検討できる方法について紹介します。

3-1 勤務先に給料の前払いについて交渉する

まず検討したいのが、勤務先への相談です。

給料の前借りは労働基準法で定められており、出産や結婚、病気、災害などの非常時には給料日前でも受け取れるようになっています。

ただし、給料の前借りは「これまで行った労働」に対して支払われるもので、「これから行う労働」については会社が支払う義務はありません。

また、会社によって導入しているサービスなどが異なるため、くわしくは勤務先へたずねてみるとよいでしょう。

3-2 公的支援制度を利用する

生活が苦しい場合には、公的支援制度の利用も検討しましょう。たとえば、次のような制度があります。

  • 生活福祉資金貸付制度 ⋯ 低所得者などを対象とした貸付制度
  • 住居確保給付金 ⋯ 家賃支援を受けられる場合がある
  • 緊急小口資金 ⋯ 一時的な生活資金を借りられる場合がある

お住まいの自治体や社会福祉協議会に相談することで、利用できる制度を案内してもらえることがあります。

3-3 クレジットカードのキャッシングや消費者金融の借入を利用する

急な出費が発生した場合には、クレジットカードのキャッシングや消費者金融の利用を検討する方法もあります。

たとえば、医療費や冠婚葬祭費、一時的な生活費不足など、短期間で解消できる支出であれば、計画的に利用することで乗り切れることもあります。

ただし、生活費の補填として日常的に利用し続けるのはおすすめできません。いつも借入に頼っている状態になると、返済負担が増えて家計がさらに苦しくなる可能性があります。

3-4 家族・親族や友人に援助してもらう

可能であれば、家族や親族、信頼できる友人などに相談してみましょう。第三者へ相談することで、次のようなメリットもあります。

  • 家計を見直すきっかけになる
  • 冷静なアドバイスをもらえる
  • 一人で抱え込まずに済む

ただし、人間関係が悪化することを避けるためにも、返済時期や金額は事前にしっかり話し合い、誠意ある対応をこころがけることが大切です。

3-5 日雇いバイト・不用品売却などでお金を作る

短期的にお金を用意する方法として、次のような選択肢もあります。

  • 日雇いや単発のアルバイト
  • リサイクルショップへの不用品売却
  • フリマアプリでの不用品売却

特に、使っていない家電やブランド品、ゲーム機などは、思った以上の金額になるケースもあります。

お金がないときには、すぐに「借りる」という発想をしてしまいがちですが、一時的な資金不足なら「収入を増やす」「不要なものを現金化する」という視点も重要です。

4章 お金がない原因が借金返済なら債務整理を検討しよう

もし、「給料日前になるたびにお金が足りない」「借金返済で生活費が不足している」という状況であれば、単なる一時的な資金不足ではない可能性があります。

このような場合、給与ファクタリングなどでその場をしのいでも、根本的な解決にはなりません。むしろ、借入を繰り返して状況が悪化してしまう可能性もあります。

借金返済が厳しい場合には、債務整理を選択肢として検討してみましょう。債務整理には複数の方法があり、状況に応じて適した手続きを選ぶことができます。

4-1 任意整理

「任意整理」とは、裁判所を通さずに債権者と交渉し、借金の利息や返済方法などを見直すことで、返済の負担を軽減する手続きです。

将来利息のカットなどが認められると、毎月の返済額が抑えられ、家計の負担が軽くなったと感じられる方も少なくありません。

任意整理は、債務整理の方法の中でも、比較的利用されることが多い手続きです。ただし、元金そのものが減額されるわけではないため、借入額が大きい場合には適さないケースもあります。

また、任意整理は、整理の対象とする債権者を選ぶことができます。そのため、自動車ローンや保証人が付いている債務を対象から外したいという方にも向いている手続きです。

【任意整理の特徴】
対象支払いが困難な債務のみの選択が可能
メリット将来利息のカット、毎月の返済額軽減
デメリット信用情報への登録(ブラックリスト)

4-2 個人再生

「個人再生」とは、大幅に減額された借金を原則3年間で返済するための再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けて返済を進めていく手続きです。

具体的には、借金の元本をおおむね5分の1程度まで減額できる可能性があり、再生計画どおりに返済を完了すれば、減額された分の借金については支払う必要がなくなります。

また、住宅ローンを返済中の場合でも、住宅ローン特則を利用すると自宅を手放さずに手続きができることも大きなメリットです。

ただし、減額後の借金を継続して返済していく必要があるため、安定した収入が求められます。無職の方や収入が不安定な場合には、利用が難しいこともあります。

【個人再生の特徴】
対象安定した収入がある個人
メリット大幅な債務の減額が可能・住宅の維持が可能
デメリット官報公告の掲載、信用情報への登録(ブラックリスト)、手続きが複雑

4-3 自己破産

「自己破産」とは、税金など一部の債務を除き、借金の返済義務を法的に免除してもらう手続きです。

原則として借金の返済義務がなくなるという大きなメリットがある一方で、持ち家や車など一定以上の価値がある財産は処分の対象となる可能性があり、失ってしまうリスクがある点には注意が必要です。

また、ギャンブルや浪費など、法律で定められた「免責不許可事由」に該当する行為がある場合には、免責が認められない可能性もあります。そのため、不安がある場合は事前に専門家へ相談することをおすすめします。

【自己破産の特徴】
対象収入や返済能力がない人
メリット借金が全額免除される
デメリット財産の処分、官報公告の掲載、信用情報への登録(ブラックリスト)、一定の職業制限(一時的)

5章 給与ファクタリングは使わずに、根本的な解決を考えよう!

給与ファクタリングは、「給料日前でも現金を受け取れる」という手軽さがある一方で、違法性が指摘されており、高額な手数料や依存性など、多くのリスクがあります。

また、一時的にお金を工面できたとしても、翌月以降の生活費が不足し、繰り返し利用してしまうケースも少なくありません。

特に、借金返済によって生活が苦しくなっている場合には、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理によって、生活再建を目指せる可能性があります。

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