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- 保証債務における限度額について
- 極度額の記載がない個人の根保証契約の有効性
- 保証人・連帯保証人になるリスクと回避する方法
保証債務とは、主債務者(お金を借りた本人など)が返済できなくなった場合に、その代わりに支払い義務を負う債務のことです。保証人や連帯保証人になると主債務者の返済が滞った時に請求を受けますが、「限度額はあるのか」「全額を負担する必要があるのか」と不安になっている方もいるでしょう。
本記事では、保証債務における限度額や、極度額との違いについて解説します。極度額の記載がない契約の効力についても説明しているので、保証人・連帯保証人を頼まれている方はぜひ最後までご覧ください。
目次 ▼
1章 保証債務における限度額とは?極度額との違いは?
まずは、保証債務における限度額や極度額との違いなどについて解説します。
1-1 保証債務で設定されているのは極度額
保証債務の上限を説明する際に限度額という言葉が使われることがあります。しかし、法律上の正式な用語は極度額です。極度額とは、保証人が負う責任の最大金額をあらかじめ決めておくものを指します。つまり、「いくらまで支払うことになるのか」をはっきりさせるための金額です。
限度額と極度額は同じ意味で使われることもありますが、保証債務の契約書で実際に定められているのは極度額だということを覚えておきましょう。
1-2 保証債務における極度額の相場
極度額には、法律で定められた上限はありません。そのため、いくらに設定するかは契約の内容によって異なります。契約の種類に応じた極度額の相場は以下の通りです。
- 賃貸借契約:家賃の12ヶ月分から24ヶ月分程度
- 奨学金の保証:奨学金の総額、または総額に一定額を加えた金額
- 事業用融資の保証:借入額と同額、またはそれ以上に設定されることもある
例えば、家賃が8万円の場合、極度額は96万円から192万円程度に設定されることが一般的です。奨学金の保証では、貸与される奨学金の総額がそのまま極度額となるケースがあります。一方で、制度によっては、奨学金の総額に加えて10万円程度を上乗せした金額が極度額として定められる場合もあります。これは、延滞金や事務費用などを見込んで設定されることがあるためです。具体的な金額は、利用する奨学金制度の内容によって異なります。
また、事業用融資の保証では、借入額と同額、またはそれ以上に設定されることもあり、数百万円から数千万円に及ぶこともあります。
1-3 極度額に含まれるもの
極度額は、単に借りたお金の元本だけを指すものではありません。例えば、金融機関からの借入であれば、借金の元本だけでなく、利息や遅延損害金なども含めた金額が対象になります。また、賃貸借契約の保証であれば、未払い家賃だけでなく、滞納による遅延損害金や、原状回復のための修繕費なども含まれるのが一般的です。
このように、極度額は主債務に関連して発生する支払い全体を想定して定められています。そのため、元本だけを見るのではなく、どのような費用まで含まれるのかを契約書で確認することが重要です。
なお、元本や利息、家賃、修繕費などを合計した金額が極度額を超える場合、その超えた部分については、原則として保証人が支払う義務はありません。
2章 2020年の民法改正以降は極度額の定めがない個人の根保証契約は無効になる
従来は、個人が根保証契約を締結する場合でも、極度額を定めることは必須ではありませんでした。極度額が設定されていないことにより、保証人が想定を超える高額な責任を負うケースが問題となっていました。
こうした状況を受け、2020年の改正民法以降は、個人が根保証契約をする場合には極度額の定めを義務づけ、これを欠く契約は無効とするルールが設けられています。ここでは、その具体的な内容について見ていきます。
2-1 根保証契約とは?
根保証契約とは、将来発生する可能性のある債務をまとめて保証する契約です。例えば、「この賃貸借契約から生じる家賃や損害金」や「この融資取引から生じる借入金」など、対象となる取引の範囲はあらかじめ決められています。しかし、その結果として最終的にいくらの債務が発生するのかは、保証人・連帯保証人になる時点では確定していません。
このように、対象となる取引の範囲は決まっているものの、最終的な金額は決まっていない債務を保証するのが根保証契約の特徴です。金額がはっきりしないまま保証することになるため、保証人・連帯保証人の責任が想定以上に大きくなる可能性があります。
2-2 2020年の民法改正によって極度額の記載が義務化された
2020年4月1日に施行された民法改正により、個人が根保証契約を締結する場合には、極度額を定めなければその契約は無効とされるようになりました。これは、保証人が将来どれほどの金額を負担することになるのか分からないまま契約してしまい、結果として想定を超える高額な責任を負う事態を防ぐための制度です。極度額を明確に定めることで、保証人は「最大でいくらまで責任を負うのか」をあらかじめ把握できるようになりました。
2-3 改正前の契約では極度額の記載が不要
2020年4月1日より前に締結された個人の根保証契約については、極度額の定めがなくても原則として有効です。施行日前に成立していた保証契約まで自動的に無効になるわけではありません。
ただし、注意が必要なのは保証更新の場合です。2020年4月1日以降に保証契約を新たに締結し直す、あるいは更新する場合には、極度額を定めなければ無効となります。一方で、賃貸借契約のみを更新し、保証契約自体は更新していない場合には、引き続き旧法が適用されると考えられています。
このように、契約の締結時期や更新の有無によって結論が異なるため、契約書の内容を個別に確認することが重要です。
3章 極度額があっても安心ではない!保証人・連帯保証人になるリスク
極度額が定められていれば、保証人の責任には上限があることになります。しかし、それだけで安心できるとは限りません。なぜなら、極度額の金額次第では高額な債務を負う可能性があるためです。
また、連帯保証人の場合は、主債務者より先に請求を受けることもあります。ここでは、極度額が定められている場合でも注意すべき、保証人・連帯保証人の主なリスクについて解説します。
3-1 高額債務を背負う可能性がある
極度額が定められているとはいえ、その金額自体に法律上の上限はありません。そのため、契約によっては非常に高額に設定されることがあります。
例えば、事業用融資の保証では、借入額と同額、あるいは将来の利息を見込んでそれ以上の金額が極度額として定められることもあります。数百万円から数千万円に及ぶケースも珍しくありません。
また、賃貸借契約の場合でも、家賃が高額であれば極度額も高くなります。家賃の12ヶ月分から24ヶ月分を目安に設定されることが多いため、例えば家賃が15万円であれば、極度額は180万円から360万円程度になる可能性があります。
このように、上限がある場合でも、その金額が家計で現実的に負担できる規模かどうかは別問題です。主債務者が支払えなくなった場合に、自分が対応できる金額なのかを事前にシミュレーションすることが重要です。
3-2 一度契約すると原則撤回できない
保証契約は、一度締結すると、保証人・連帯保証人の意思だけで自由に取り消したり、やめたりすることはできません。「家族だから」「一時的なものだろう」と考えて安易に署名してしまった後、事情が変わったからといって簡単に責任を免れることはできないのです。根保証契約では、将来発生する債務も対象となるため、想定より長期間にわたって責任を負う可能性があります。
3-3 連帯保証人には催告の抗弁権や検索の抗弁権がない
保証人には通常の保証人と連帯保証人がありますが、責任の重さは大きく異なります。通常の保証人であれば、債権者から請求を受けた際に「まずは主債務者に請求してください」と求めることができます。これを催告の抗弁権といいます。
また、主債務者に十分な財産があることを示せば、先にその財産から回収するよう求めることもできます。これを検索の抗弁権といいます。
しかし、連帯保証人にはこれらの権利がありません。たとえ滞納している主債務者に支払い能力や財産があったとしても、連帯保証人は全額の支払いを請求されてしまいます。
実際、保証契約の多くが連帯保証とされており、主債務者とほぼ同じ責任を負う内容になっていることが少なくありません。そのため、契約書に連帯保証人と記載されているかどうかは、必ず確認する必要があります。
3-4 家族の生活にも影響が及ぶ可能性がある
保証債務を負うのは保証人本人ですが、その影響は家族の生活にも及ぶ可能性があります。例えば、保証債務の支払いが発生した場合、預貯金を切り崩したり、毎月の収入から返済したりすることが必要になります。
また、高額な保証債務を負えば、住宅ローンや自動車ローンの審査通過が難しくなるでしょう。保証人・連帯保証人になることにより、ライフプランが崩壊する恐れがあるのです。さらに、保証債務の返済を滞納するようになれば、給与やマイホームが差し押さえられるリスクもあります。
保証契約は自分だけの問題と考えがちですが、家計全体にも影響を及ぼします。そのため、保証人になるかどうかを判断する際には、家族への影響も含めて慎重に検討することが重要です。
4章 保証人・連帯保証人を頼まれた時に回避する方法
ここまで説明してきたように、保証人・連帯保証人になることには一定のリスクが伴います。しかし、頼まれたからといって必ず引き受けなければならないわけではありません。ここでは、保証人・連帯保証人を頼まれた場合に考えられる対応策について解説します。
4-1 保証会社を利用してもらう
個人を保証人・連帯保証人として設定するのではなく、保証会社の利用を検討してもらいましょう。保証会社とは、主債務者が返済できなくなった場合に、その代わりに債権者へ支払いを行う会社のことです。
例えば、賃貸借契約では家賃保証会社が、家賃の滞納があった場合に大家へ立て替え払いを行います。また、事業用融資では信用保証協会を利用できる場合があります。信用保証協会付の融資を利用すれば、金融機関に対する保証人・連帯保証人を設定する必要がありません。保証料などの費用はかかりますが、個人が高額な保証債務を負うリスクを避けることができます。
4-2 自分以外の親族になってもらう
どうしても保証人が必要な場合には、自分以外の親族にお願いしてもらうというのも選択肢の一つです。保証人は法的に重い責任を負う立場であるため、自分が引き受けることに不安がある場合は、無理をする必要はありません。
5章 保証債務が原因の借金返済が厳しくなったら弁護士・司法書士に相談しよう
保証契約に署名した後、主債務者が返済できなくなれば、保証債務を背負ってしまいます。極度額の範囲内であっても、数百万円単位の支払いを求められるケースは珍しくありません。返済が難しい状況に陥った場合には、債務整理による解決を目指す必要があるでしょう。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産などの方法があり、それぞれ要件や効果が異なります。しかし、どの手続きが自分に適しているのかを個人で判断するのは容易ではありません。そのため、保証債務の返済に不安がある場合には、早めに弁護士・司法書士へ相談することが重要です。
グリーン司法書士では、保証債務を含む借金問題について無料相談を受け付けています。契約内容や現在の状況を確認したうえで、適切な解決方法を提案いたします。無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ
2020年の民法改正以降、個人が根保証契約を締結する場合には、契約書に極度額を記載しなければなりません。極度額とは、保証人が負う責任の上限額を定めるものです。極度額が定められていない場合、その保証契約は無効となります。
ただし、極度額が定められていても安心とは限りません。賃貸借契約では家賃の12ヶ月から24ヶ月分、奨学金では貸与総額、事業用融資では借入額と同額またはそれ以上に設定されることもあり、金額次第では家計に大きな影響を及ぼします。
保証人になる前には、極度額の金額や含まれる範囲を確認し、責任の重さを十分に理解したうえで判断することが重要です。
また、すでに保証人・連帯保証人になっていることにより借金を背負ってしまった場合には、債務整理による解決を検討する必要があります。状況に応じて適切な方法は異なるため、不安がある場合は早めに専門家へ相談しましょう。
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保証債務の極度額に関してよくある質問
ここでは、保証債務の極度額に関してよくある質問に回答します。
- 民法改正前の契約でも極度額の記載が必要ですか?
- 2020年4月1日より前に締結された個人の根保証契約については、極度額の定めがなくても原則として有効です。ただし、2020年4月1日以降に保証契約を更新する場合には、極度額を定めなければ無効となります。なお、賃貸借契約のみを更新し、保証契約自体を更新していない場合は、旧法が適用されるため、極度額の定めがなくても無効にはなりません。
- 賃貸借契約における個人保証の極度額の相場はどれくらいですか?
- 極度額に上限はありませんが、家賃の12ヶ月分から24ヶ月分に設定されることが多い傾向があります。例えば、家賃が8万円の場合、極度額は96万円〜192万円となるケースが一般的です。ただし、契約内容によって金額は異なるため、必ず契約書を確認しましょう。
















