買い物依存症から悲惨な末路にならないために|相談先・解決方法とは

司法書士市川有美

監修者:グリーン司法書士法人   市川有美
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4555号 【保有資格】司法書士

借金返済の知識

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外出先でついショッピングをしてしまい、必要ではないのに高価なものを買ってしまう。家にいても気がつくと、インターネットショッピングで買うものを探している。そんなご自身の状況に困っていませんか。

買い物依存症には、精神的ストレスが大きく関係していることがわかっています。ただ、気分転換に買い物をしているだけ。誰でもやっていること。と言い訳をしてそのままにしていると、買い物依存症から悲惨な末路をたどることになってしまうかも知れません。

買い物依存症の方は、気がつくと借金がふくらみ支払いができなくなっていることが少なくありません。この記事では、買い物依存症の対策と、借金を重ねてしまった場合の相談先についても解説します。

 この記事を読んでわかること

  • 買い物依存症になりやすい傾向について
  • 買い物依存症を放置して進んでしまった末路について
  • 買い物依存症とわかったときの相談先がわかる

1章 買い物依存症とは?

買い物は気分転換にもなるため、つい不要な物まで買ってしまったという経験は誰にもあるのではないでしょうか。 買い物をすると気分がよくなるので、つい繰り返し買ってしまい、いつの間にか、気分をよくするために買い物をするという状態になっていることがあります。そのうち支払いが苦しくなり借金もかさみ、それでも自分をコントロールできない状態になっている、それが買い物依存症です。

自分で抑えられないほど買い物をしてしまうことに悩んでいる人は、少なくないようです。 買い物依存症の特徴やそのまま進行してしまった場合の末路、そうならないための相談先などについて解説します。
思い当たることがあり不安を感じている人は、ぜひ参考になさってください。

1−1 買い物依存症になりやすいのはどんな人?

「やってはいけないとわかっているけどやってしまう」このように自分でコントロールできない状態が依存症の症状です。意志が弱いせいだとご自身を責めてしまう人が多いようですが、誰でもなり得る精神的な病気であると、多くの精神科医が述べています。

買い物依存症になりやすい人として、比較的女性が多いことがあげられます。(もちろん男性もいます。)
他にも、生真面目な人、自分に自信がない人、虚栄心が強い人なども買い物依存症になりやすいとされています。
真面目で自分に自信がない場合、ストレス発散の方法として買い物に依存してしまう傾向があります。また、虚栄心が強い人は、周囲の目を気にしてブランド品など高価な物を持つことで自分の価値をあげようとして、高額な買い物をしてしまいます。

1−2 買い物依存症の特徴にいくつあてはまりますか?

買い物依存症の特徴に、あなたはいくつ当てはまりますか?
下記の特徴にあてはまる数が多い場合は、要注意です。

  • 人が身につけている旬のものは、欲しくて我慢できず高額でも買ってしまう
  • 買い物をしないとイライラする / 不安感を買い物で解消する
  • 買い物に罪悪感がありウインドウショッピングだけのつもりが、つい買ってしまう
  • 何を買おうか考えることに多くの時間を使っている
  • 前に購入した物を売ったお金でまた買い物をすることを繰り返している
  • 買った商品や明細書を家族に見せられず隠している
  • 買い物をし過ぎて生活費が不足しがちである

1−3 買い物依存症と浪費癖は異なります

買い物依存症の人が買い物をしたときに気分がよくなるのは、快楽や喜びを感じる物質が脳内に分泌されるからです。もちろん、これはどんな人にも起こる現象ですが、気分がよくなるために過度に買い物を繰り返していると、「これ以上買い物をしてはいけないとわかっているけどやめられない」という依存が形成されます。こうなってしまうと、買い物依存症と呼ばれる状態です。快楽や喜びを求めて脳が指示を出すため、自分の意志で簡単に止めることができなくなります。

一方、浪費癖は強く意識することで、買い物をしたいという気持ちを自分の意志で抑えることができます。自分の意志でやめられるかやめられないかの違いは、一見わかりませんが、繰り返してしまう行動に現れるといえそうです。

2章 買い物依存症の末路とは?

依存症は、否認の病気とよばれ、ご自身が病気であると自ら認識することが難しいといわれています。ご自身が買い物依存症だと自覚できず、時間だけが進んでしまった場合の末路がどうなるのかについて解説します。

2−1 クレジットカードの利用と買い物依存症

手元に現金がなくても買い物ができるクレジットカードはとても便利です。しかし、買い物を自分の意志でコントロールできない買い物依存症の人にとって、クレジットカードはその行動を増長してしまうため危険です。

クレジットカードでの買い物は、通常翌月や翌々月には支払いをすることになりますが、買い物依存症の人の場合、ご自身がどれだけ使ったのかを把握していないことが多く、先の支払いを考えずに買い物をしてしまいがちです。気がつくと、多重債務になっていたというケースが少なくありません。このようなことを避けるためにも、クレジットカードを持っている人は、解約された方が良いでしょう。

2−1−1 リボ払いとの関連性

リボ払いとは、リボルビング払いと呼ばれるクレジットカードの支払い方法の一つです。
利用した金額や回数に関係なく、毎月一定金額を返済するため、翌月の支払い額を気にすることなく買い物ができ、一見便利な支払い方法です。

毎月リボ払いの返済をしていると、買い物をしてもちゃんと支払いもできていると勘違いしてしまいますが、実はそうではありません。買い物を続けても、一定金額しか返済しないので元本が減らず、手数料の部分しか支払っていないということが往々にしてあります。
気づいた時には元本がふくらみ、返せない金額になってしまっていたというケースもあります。

2−1−2 インターネットショッピングとの関連性

誰でもスマホやパソコンを持っている昨今、自宅にいながら気軽に買い物をできるのがインターネットショッピングです。
買い物依存症の人の多くが、誰かと一緒に店舗に行って買い物をするより、一人でショッピングに行ったり、インターネットで購入したりすることを好んでいます。

特にインターネットショッピングの場合、家にいながら24時間365日買い物が可能です。この手軽さが、買い物依存症の人の行動に拍車をかけてしまいます。

2−2 買い物依存症によって崩れる家族との関係

買い物依存症は、ご本人ばかりでなくその周りにいる家族も、問題に巻き込まれてしまうことがあります。ご本人が問題を自覚していなかったり、やめなくちゃと思っていてもやめられなかったりということが続くと、一緒にいる家族は途方に暮れてしまいます。
買い物依存にストップをかけられずそのままの生活を続けていると、家族との関係にも悪影響が出る可能性が高くなります。

2−3 買い物依存症が原因で家計が破綻に

度を超えた買い物によって支出がかさみ、家族からそのことを注意されても素直にきくことができないのが依存症の特徴です。最初は配偶者などの家族が不足分を補填してくれても、過剰な買い物を止めない限りいつかは家計が破綻してしまいます。
家計の破綻をきっかけに、離婚してしまうケースも珍しくありません。

3章 買い物依存症についての相談先

ご自身で止めようと思っても止められない買い物依存症に悩む場合、どこに相談すればよいのでしょうか。この章では、そんな場合の相談先について解説します。

3−1 保健所・精神保健福祉センター

保健所では、こころの健康や依存症の相談など幅広い相談を行っています。電話相談や面談による相談があり、専門職の人が対応してくれます。 保健師は地域分担制となっているので、一度相談するとその後の相談がスムーズにできる可能性が高くなります。

精神保健福祉センターでも、同様の内容を電話や面接で相談することができます。精神保健福祉センターは、一般的に、各都道府県・政令指定都市ごとに1か所ずつ設けられています。こころの健康センターと呼ばれていることもあります。

2つの施設ともに、事業内容や相談できることが異なっている場合があるので、電話やホームページで確認するとよいでしょう。

3−2 医療機関

買い物依存症の進行度合いによっては、精神科や心療内科での治療が必要な場合があります。依存症専門医療機関は全国にあるので、ご自身が通院可能な医療機関を探すことから始めましょう。

依存症というと、アルコール健康障害や薬物依存症、ギャンブル依存症などが一般的です。医療機関の中には、治療対象の依存症ジャンルが決められている場合もあります。買い物依存症も治療の対象になるかどうか、あらかじめ医療機関に直接電話で確認する方がよいでしょう。

医療機関での治療方法ですが、一般的なものは集団精神療法です。同じような悩みを抱えている人たちと、グループディスカッションのような形式で、今後の健全な生活について考えます。同じ病を抱えている人たちと話をすることで、本当に病気が良くなるのかと不安に思う人もいるようです。しかし、同じ悩みを持つ人がどのように考えたり病を克服するために何を心がけているのかを知ることは、依存症の人にとって大変有効とされています。
そのときの精神状態によって必要と判断されれば、薬物療法が行われる場合もあります。

3−3 司法書士・弁護士などの専門家

買い物依存症が原因で、返済が困難な借金を抱えている場合には、司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。ほとんどの借金は、債務整理を検討することで解決の道を探ることができます。

債務整理とは、法律で認められている借金解決のための手続きです。借金の減額や免除などを行なって、ご本人の生活を立て直すことを目的としています。

先に述べた買い物依存症の治療と同じくらい大切なのが、目の前の借金問題を解決することです。溜まっていく請求書や日々の督促に怯えて、返済のことばかり考える毎日では、落ち着いて治療をすることもできません。借金問題について解決の道筋をつけることは、精神的なゆとりをもたらします。

4章 買い物依存症によってできた借金を解決しましょう

ご自身の買い物依存症という病気について相談することは、とても重要です。
同時に、依存症によってできてしまった借金の返済や督促に苦しんでいたり、精神的に追い込まれたりしている場合は、そのことから解放されることも非常に大切です。
司法書士や弁護士などの専門家に相談することで、精神的な重圧からいったん解放されて、債務整理によって借金解決の道を探ることができます。

債務整理の手続きには、主に下記のようなものがあります。ご自身の状況によって、どの手続きが最もよい解決につながるのか、専門家が判断します。

4−1 任意整理

任意整理とは、お借入先の業者と和解交渉をして、借金の返済を軽減・減額する手続きです。 具体的には、利息をカットしてもらい支払い可能な回数で分割返済していく手続きです。

裁判所を通さないため手続きは簡易的で、財産を失うリスクもありません。ただし、元金は減らないため、借金がゼロに近くなるような大幅な減額は見込めません。

4−2 個人再生

個人再生とは、裁判所に返済計画を提出・承認してもらうことで、返済すべき借金の総額を5分の1から最大で10分の1にまで減額できる手続きです。

借金を大幅に減額でき、かつ家や車を残すことができます。ただし、手間と時間がかかるというデメリットもあります。

4−3 自己破産

自己破産とは、自力で借金を返済できる見込みがない場合に、裁判所に申し立てをして借金返済の免除を受ける制度です。

借金の返済義務がなくなり、取り立てから解放されます。持ち家や車など資産価値のあるものを失うというデメリットはありますが、一定の財産は手元に残すことができます。

5章 まとめ

買い物依存症から悲惨な末路をたどらないためにも、もしかして買い物依存症かも?と思い当たることがある場合は、早めに専門機関に相談することをおすすめします。場合によっては、医療機関にかかり専門家の助けを借りましょう。

また、買い物依存症によってできてしまった借金を解決するには、法律の専門家に相談するのが早道です。債務整理という借金解決方法の中から、ご自身の状況にあった方法を提案してくれるでしょう。

買い物依存症の治療と借金解決のための手続き、どちらか一方だけを進めても、全体の解決を図ることはできません。買い物依存症が良くなっても、借金を放置していては、増えることはあっても減ることはないからです。一日も早く悩みから解放されて、穏やかな生活を取り戻しましょう。

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