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- 未払賃金立替制度がいつ支給されるのか
- 未払賃金立替制度の概要と対象となる賃金
- 未払賃金立替制度の受給条件
未払賃金立替制度とは、会社の倒産によって給料が支払われなかった場合に、独立行政法人労働者健康安全機構が一定額を立て替えて支給する制度です。突然の倒産で収入が途絶えた労働者の生活を守るために設けられています。ただし、勤務先が倒産して収入が途絶えている状況では、「いつもらえるのか」が分からなくて不安な方もいるでしょう。
この記事では、未払賃金立替制度がいつもらえるのかという目安や、受給条件、支給額について解説します。支給時期の見通しを把握し、今後の生活設計に役立ててください。
目次 ▼
1章 未払賃金立替制度はいつもらえる?振込までの流れを解説
未払賃金立替制度では、立替払請求書を提出してから振込までにかかる期間は、一般的に30日以内が目安とされています。未払賃金立替制度の申請から振込までの流れは以下の通りです。
- 未払賃金の総額を確認する
- 倒産の証明書を入手する
- 立替払請求書を記入する
- 立替賃金を受け取る
それぞれについて詳しく説明します。
STEP① 未払賃金の総額を確認する
未払賃金立替制度を利用するためには、まず自分にいくらの未払賃金があるのかを正確に把握する必要があります。対象となるのは、原則として退職前6ヶ月分の未払い賃金です。
未払賃金の額を確認する際は、給与明細や雇用契約書、就業規則、タイムカードなどの資料を用いて、基本給だけでなく残業代や各種手当も含めて計算します。これらの資料が不足している場合は、会社の労務担当者に聞くなどして証拠を集めましょう。未払賃金の総額を正確に把握しておくことで、その後の立替払請求書の記入や審査がスムーズに進みます。
STEP② 倒産の証明書を入手する
未払賃金立替制度を利用するためには、会社が法律上または事実上倒産していることを証明する書類が必要です。
STEP②-1 法律上の倒産の場合
会社が破産、特別清算、民事再生、会社更生などの法的手続きに入っている場合は、法律上の倒産に該当します。この場合、立替払を受けようとする労働者は、倒産手続きの種類に応じた証明者に対して、立替払請求に必要な事項の証明を申請します。
証明者は、破産の場合は破産管財人、特別清算の場合は清算人、民事再生の場合は再生債務者(または管財人)、会社更生の場合は管財人です。
証明内容に疑問があり、証明者に相談しても解決しない場合や、立替払請求に必要な事項の全部または一部について証明を受けられなかった場合には、労働基準監督署に相談することが可能です。状況によっては、労働基準監督署長に対して確認申請を行うことで、証明が得られなかった事項について確認を受けられる場合があります。
STEP②-2 事実上の倒産の場合
事実上の倒産とは、会社が事業活動を停止し、再開する見込みがなく、かつ賃金を支払う能力がない状態にあると労働基準監督署長が認定することを指します。法的な破産手続きなどが開始されていなくても、一定の要件を満たせば倒産として扱われます。
ただし、事実上の倒産として認定されるのは、中小企業に限られます。中小企業の定義は、業種ごとに資本金額または常時雇用する従業員数によって以下のように定められています。
| 業種 | 定義 |
|---|---|
| 卸売業 | 資本金額1億円以下または常時雇用の従業員数100人以下 |
| サービス業 | 資本金額5000万円以下または常時雇用の従業員数100人以下 |
| 小売業 | 資本金額5000万円以下または常時雇用の従業員数50人以下 |
| 上記以外の業種 | 資本金額3億円以下または常時雇用の従業員数300人以下 |
事実上の倒産に該当する場合は、立替払を受けようとする労働者が労働基準監督署長に認定申請書を提出し、倒産の認定を受ける必要があります。申請が認められると、認定通知書が交付されます。
立替払請求者が複数いる場合でも、認定申請はそのうち1人が行えば足り、他の労働者が改めて同じ手続きを行う必要はありません。なお、認定申請書は退職日の翌日から6ヶ月以内に提出しなければならない点に注意が必要です。
STEP③ 立替払請求書を記入する
倒産の証明書や認定通知書・確認通知書がそろったら、所定の立替払請求書に必要事項を記入し、必要書類を添付して提出します。請求書には、未払賃金の額や退職日、振込先口座などを正確に記載しましょう。
また、氏名を変更した場合は戸籍事項全部証明書の写しやマイナンバーカードの写し、住所を変更した場合は自動車運転免許証の写しや住民票の写しの提出も必要になります。状況に応じて必要書類が変わります。
提出先は、独立行政法人労働者健康安全機構の窓口です。書類に不備があると差し戻しとなり、支給までの期間が延びる可能性があるため、記入内容や添付書類は事前に確認しておきましょう。請求が受理されると審査が行われ、支給の可否や支給額が決定されます。
STEP④ 立替賃金を受け取る
立替払請求が受理され、審査が完了すると、支給決定通知がなされ、指定した口座に立替賃金が振り込まれます。振込時期の目安は、請求書の提出から30日以内とされていますが、審査状況などにより前後する可能性があります。
支給額は、未払賃金総額の8割が一般的で、年齢ごとに上限額が定められています。実際に振り込まれる金額は、未払賃金の総額や年齢区分によって異なるため、支給決定通知で金額を確認しましょう。
2章 そもそも未払賃金立替制度とは?
未払賃金立替制度とは、会社の倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、独立行政法人労働者健康安全機構が一定額を立て替えて支給する制度です。突然の倒産によって生活が不安定になることを防ぐために設けられています。ここでは、未払賃金立替制度の概要や対象となる賃金、支給額について解説します。
2-1 未払賃金立替制度の概要
未払賃金立替制度とは、会社が倒産したことにより賃金の支払いを受けられないまま退職した労働者に対し、独立行政法人労働者健康安全機構が一定額を立て替えて支給する制度です。事業主に代わって国が支払う仕組みであり、その後、国が事業主に対して求償します。
この制度では、退職日の6ヶ月前から請求日の前日までに支払われるはずだった賃金のうち、未払いとなっている分が対象となります。突然の倒産によって生活が不安定になることを防ぐための救済制度と言えるでしょう。
2-2 未払賃金立替制度の対象となる賃金
未払賃金立替制度の対象となるのは、退職日の6ヶ月前から請求日の前日までに支払われるはずだった賃金のうち、未払いとなっているものです。
対象となるのは、毎月1回以上、定期的に支払われる定期賃金です。具体的には、基本給や家族手当、通勤手当、時間外手当などが含まれます。なお、支給額の算定にあたっては、所得税、住民税、社会保険料などの法定控除額を差し引く前の金額が基準となります。また、退職手当も一定の範囲で対象となります。
一方で、解雇予告手当、賃金の延滞利息、年末調整による税金の還付金、慰労金や祝金などの恩恵的・福利厚生的な給付、実費弁償としての旅費や用品代などは、立替払の対象にはなりません。
2-3 支給されるのは未払賃金総額の8割が一般的
未払賃金立替制度では、未払賃金の全額が支給されるわけではなく、原則として未払賃金総額の8割が立て替えられます。会社に十分な資産がある場合は、立替制度を利用せずとも全額支払われる可能性もありますが、倒産に至る企業ではそのような資金が残っていないケースが多いのが実情です。
また、立替払には年齢ごとの上限額が設けられており、未払賃金の8割がその上限を超える場合は、上限額までしか支給されません。具体的な限度額と立替払の上限額は以下の通りです。
| 退職日における年齢 | 未払賃金総額の限度額 | 立替払上限額 |
|---|---|---|
| 45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
| 30歳〜45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
| 30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
なお、未払賃金総額が2万円未満の場合は、立替払の対象外になる点に注意が必要です。
3章 未払賃金立替制度の3つの受給条件
未払賃金立替制度を利用するためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。ここでは、主な受給条件を3つに分けて解説します。
3-1 会社に労働者として雇われていたこと
未払賃金立替制度を利用するためには、申請者が会社に労働者として雇われ、賃金を受け取る立場にあったことが必要です。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトなどであっても、会社の指揮命令のもとで働き、賃金の支払いを受けていた場合は対象となります。
一方で、会社の代表者や取締役などの役員は、原則として労働者に該当しないため、制度の対象外です。また、業務委託契約や請負契約として働いていた場合も、原則として利用できません。
ただし、契約の形式にかかわらず、実際の働き方や報酬の支払方法、会社からの指揮命令の有無などを総合的に判断し、実質的に労働者といえる関係があると認められれば、制度を利用できる場合もあります。
3-2 法律上または事実上会社が倒産したこと
未払賃金立替制度を利用するためには、会社が法律上の倒産または事実上の倒産に該当していることが必要です。単に経営が悪化している、賃金の支払いが遅れているといった事情だけでは利用できません。
法律上の倒産とは、破産や民事再生、会社更生、特別清算などの法的手続きが開始されている場合を指します。この場合は、裁判所の決定に基づき、破産管財人などが未払賃金額等を証明します。
一方、事実上の倒産とは、法的手続きが開始されていないものの、会社が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、賃金の支払能力がない状態にあると労働基準監督署長が認定した場合のことです。この場合は、労働基準監督署に認定申請を行い、認定通知書の交付を受ける必要があります。
3-3 倒産した日の6ヶ月前から2年後までに退職していること
未払賃金立替払制度を利用するためには、退職日が倒産の日の6ヶ月前から倒産日の2年後までの間にあることが条件となります。この期間を外れている場合は、制度の対象となりません。ここでいう倒産の日は、倒産の種類によって異なります。
法律上の倒産の場合は、裁判所に対する破産手続や民事再生手続などの申立日が基準です。事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長に対して認定申請を行った日が基準となります。
また、事実上の倒産に該当する場合は、退職日の翌日から6ヶ月以内に労働基準監督署へ認定申請を行う必要があります。この期限を過ぎると制度を利用できなくなる可能性があるため、倒産を知ったらできる限り早めに手続きを進めることが重要です。
4章 会社の倒産が原因で借金の返済に困っているなら弁護士・司法書士に相談しよう
会社の倒産により賃金が支払われない状況になると、生活費の確保が難しくなり、クレジットカードやローンの返済に影響が出る場合があります。未払賃金立替制度を利用できたとしても、支給までには一定の期間がかかり、支給額も未払賃金の全額ではありません。
そのため、すでに借入がある方や、毎月の支払いが多い方は、一時的に資金繰りが厳しくなる可能性があります。返済が遅れることにより遅延損害金が発生すれば、負担がさらに増えてしまいます。
返済の見通しが立たない場合には、早めに弁護士や司法書士へ相談することも選択肢の一つです。状況に応じて任意整理、個人再生、自己破産といった債務整理の方法を検討することで、無理のない形で生活の立て直しを図れる可能性があります。
グリーン司法書士法人では、会社倒産による支払い問題を抱えている方のサポートを行っています。無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ
未払賃金立替制度は、会社の倒産により賃金が支払われなかった場合に、独立行政法人労働者健康安全機構が一定額を立て替えて支給する制度です。申請から振込までの目安は30日以内とされていますが、手続きや書類の準備状況によって前後することがあります。
制度を利用するためには、会社が法律上または事実上倒産していること、労働者に該当すること、退職日が倒産の日の6ヶ月前から2年後までの間であることなど、複数の要件を満たす必要があります。また、支給額は原則として未払賃金の8割であり、年齢ごとの上限額も設けられています。
未払賃金立替制度は生活再建の一助となる制度ですが、支給までには一定の時間がかかり、全額が支払われるわけではありません。会社倒産により生活費や借金の返済に不安がある場合は、早めに状況を整理し、必要に応じて専門家へ相談することも検討しましょう。
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未払賃金立替制度に関してよくある質問
ここでは、未払賃金立替制度に関してよくある質問に回答します。
- 倒産前に退職していても未払賃金立替制度を利用できますか?
- 退職日が倒産日の6ヶ月前から倒産日の2年後までの間であれば利用できます。倒産の日は、法律上の倒産の場合は裁判所への申立日、事実上の倒産の場合は労働基準監督署への認定申請日となります。なお、自己都合退職か会社都合退職かは問いません。
- 未払賃金立替制度を利用する際の必要書類を教えてください。
- 主な必要書類は、未払賃金立替払請求書、未払賃金額等の証明書、退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)などです。法律上の倒産の場合は倒産の証明書、事実上の倒産の場合は認定通知書が必要になります。
また、氏名や住所、振込先口座の変更がある場合には、戸籍事項全部証明書の写しや住民票の写し、振込先が確認できる書類などの提出が求められることがあります。必要書類が分からない場合は、労働者健康安全機構に問い合わせると良いでしょう。
- 未払賃金の残り2割は諦めるしかありませんか?
- 未払賃金立替制度では、原則として未払賃金総額の8割が支給されます。残りの2割についても請求権自体が消滅するわけではありませんが、倒産している企業には十分な資産が残っていないことが多く、実際に回収できる可能性は高くないのが一般的です。
- 立替払いで受給した賃金にも税金がかかりますか?
- 立替払いで受け取った賃金は、原則として課税対象となります。ただし、退職手当については退職所得控除が適用されるため、実際に課税される金額は少額またはゼロとなるケースもあります。具体的な税額については、税務署や税理士に確認すると安心です。















