リース料の滞納で差し押さえられる?未払いのリスクや差押えの流れを解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
リース料の滞納で差し押さえられる?未払いのリスクや差押えの流れを解説

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 この記事を読んでわかること
  • リース料を滞納した時に起こること
  • 滞納してから差押えを受けるまでの流れ
  • リース料の支払いが厳しい場合の対処法

事業用の車両や機械を導入する際、初期費用を抑えられる点で便利なのがリース契約です。ただ、売上の低下や取引先からの入金遅れなどをきっかけに、リース料の支払いが徐々に厳しくなってしまうケースも少なくありません。リース料を滞納してしまうと、「契約を解除されるのではないか」「差押えを受けるのではないか」と不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、リース料を滞納した場合に起こること、差押えに至るまでの流れを解説します。支払いが厳しい場合の対処法も紹介しているので、リース料の支払いでお困りの方はぜひ参考にしてください。

1章 そもそもリース契約とは?

リース契約は、事業用の車両や機械、設備などを購入せずに利用できる契約形態で、多くの事業者にとって導入しやすい手段です。初期費用を抑えながら、必要な設備をすぐに使える点は、リースの大きなメリットと言えます。

また、資金を設備購入に充てる必要がないため、手元資金を運転資金として残せる点も、リース契約が選ばれる理由の一つです。

ただし、リースは契約内容を理解していないと、返済が苦しくなった時に営業停止に陥る可能性があります。

1-1 原則として解約はできない

リース契約は、契約時に定めた期間中、原則として途中で解約することができません。これは、リース会社が利用者に代わって対象物を購入し、その代金を契約期間全体で回収する仕組みになっているためです。

やむを得ず中途解約を行う場合でも、単にリース物件を返却すれば済むわけではありません。残りの契約期間分のリース料に相当する金額を、違約金として一括で支払う必要があります。「支払いが厳しくなったら解約しよう」と考えていると、大きな負担が発生する点に注意しましょう。

2章 リース料を滞納した時に起こること

リース料の支払いが遅れた場合でも、いきなり差押えなどの強い措置が取られるわけではありません。しかし、滞納し続けると、様々な不利益を被ります。ここでは、リース料を滞納した時に起こることについて説明します。

2-1 遅延損害金が発生する

リース料を支払期限までに支払えなかった場合、契約内容に基づいた遅延損害金が発生するのが一般的です。遅延損害金の利率は契約書で定められており、多くのケースでは年14.6%前後に設定されています。リース料を滞納した場合の遅延損害金は、以下のような計算式で算出されます。

遅延損害金=未払いリース料×14.6%×滞納日数÷365日

例えば、未払いのリース料が30万円で、支払いが30日遅れた場合、30万円×14.6%×30日÷365日=約3,600円の遅延損害金が発生します。

金額だけを見ると大きく感じないかもしれませんが、滞納期間が長引けばその分積み重なっていきます。また、遅延損害金は元のリース料とは別に請求されるため、支払いを先延ばしにするほど負担額は増えていきます。

2-2 リース契約の対象物が引き上げられる

2ヶ月〜3ヶ月以上にわたって滞納すると、リース会社に契約を解除され対象物を引き上げられてしまいます。契約解除による引き上げの前には、リース会社から契約を解除する旨の通知が届きます。なぜなら、通知なしに契約を解除し、リースの対象物を引き上げるのは禁止されているためです。

ただし、督促や催告の段階で、「一定期間内に支払いがない場合は契約を解除する」といった文言が記載されているケースも少なくありません。このような場合、定められた期間の経過後も支払わなければ、リース会社からの解除の意思表示がなくても、契約が解除されたものとして扱われます。

契約が解除されると、リース契約の対象物について返還を求められ、事業用の車両や機械、設備などが引き上げられてしまいます。これらが使用できなくなることで、業務の継続に支障が生じる恐れもあるため、催告書や通知書の内容は慎重に確認することが重要です。
なお、リース物件の引き上げは、裁判所を通じた差押えとは異なります。あくまで契約解除に伴う返還であり、この段階でも、未払いのリース料や損害金については別途請求が続く点には注意が必要です。

2-3 当初の契約期間分のリース料の支払いを求められる

リース契約が途中で解除され、リース目的物を返還した場合、「残りの期間分のリース料は支払わなくて良いのではないか」と考える方も少なくありません。しかし、契約解除後も、当初の契約期間分のリース料の支払いを求められるのが一般的です。

この点について、最高裁の判例(昭和57年10月19日)では、ユーザーの債務不履行を原因として契約期間の途中でリース目的物が返還された場合であっても、リース会社は原則として全契約期間分のリース料を請求できると判断しています。つまり、途中で返還したからといって、リース料の支払い義務が当然に減るわけではありません。

また、最高裁は同時に、リース会社が不当に利益を得ることは認められないとも述べています。具体的には、返還時点でのリース目的物の価値が50万円で、当初予定していた契約終了時点での価値が10万円であった場合、その差額である40万円については、リース料残額とリース物件の価値を二重に取得することを防ぐため、ユーザーに返還すべきと判断しています。

2-4 保証人が請求を受ける

リース契約に保証人が付いている場合、利用者本人がリース料を支払えなくなると、保証人に対して支払いの請求が行われます。これは、保証人が利用者に代わって債務を履行する立場にあるためです。

特に、個人事業主や中小企業の場合、配偶者や親族、代表者個人が保証人になっているケースも少なくありません。そのため、リース料の滞納が続くと、本人だけでなく、身近な人にまで請求が及ぶことになります。

保証人に請求が行われると、関係性が悪化してしまうかもしれません。リース料の支払い対応を先延ばしにしてしまうと、問題が周囲に広がってしまう恐れがある点には注意が必要です。

2-5 取引先や従業員からの信用を失ってしまう

リース料の滞納が表面化すると、取引先や従業員からの信用を失ってしまうでしょう。なぜなら、リース会社からの連絡や契約解除、物件の引き上げなどが周囲に知られてしまえば、「経営状態が悪化しているのではないか」と受け取られてしまうためです。

取引先は、「売掛金を回収できなくなるかもしれない」と心配するでしょう。その結果、今後の取引条件や新規契約に影響を及ぼす可能性が高くあります。また、従業員は今後の給与や将来性を不安に思い、退職してしまうかもしれません。

また、事業用車両や機械が使えなくなったことで業務に支障が出れば、納期遅れや契約不履行に繋がる可能性もあります。リース料を支払えないことによる信用の低下は、金銭的な問題以上に回復に時間がかかることも少なくありません。リース料の滞納は、事業全体に影響する可能性がある点を理解しておくことが重要です。

2-6 差押えを受ける

長期にわたってリース料を滞納すると、リース会社は裁判所に対して請求手続きの申立てを行います。その内容が認められた場合には、預貯金や売掛金、設備といった一定以上の価値がある財産が差し押さえられます。事業用口座や取引先からの入金が差し押さえられれば、資金繰りに大きな影響が出るでしょう。

ただし、リース料を滞納したからといって、直ちに差押えが行われるわけではありません。督促や契約解除、請求手続きを経たうえで実行されるため、その前に対応できる余地は残されています。被害を最小限に抑えるためには、差押えに至る前の段階で行動することが大切です。

3章 リース料の滞納から差押えまでの流れ

リース料の滞納から差押えまでの流れは以下の通りです。

  1. 請求書が届く
  2. リース会社から督促を受ける
  3. 信用情報に事故情報が記録される
  4. 契約を解除される
  5. 財産が差押えられる

それぞれについて詳しく解説します。

3-1 請求書が届く

リース料の支払い期限を過ぎると、まずリース会社から請求書や支払案内が届きます。この段階では、支払いの遅れを知らせる意味合いが強く、直ちに契約解除や法的手続きに進むことは基本的にありません。

請求書には、未払いとなっているリース料の金額や、改めて設定された支払期限が記載されています。単なる支払い忘れや一時的な資金不足であれば、この段階で支払いを済ませることで、その後の督促や手続きを回避できます。

請求書が届いた時点は、まだ状況を立て直せる初期段階です。内容を確認せずに放置してしまうと、次の督促や催告へ進んでしまうため、できるだけ早く対応することが大切です。

3-2 リース会社から督促を受ける

請求書を受け取った後も支払わなければ、リース会社から電話や書面などによる督促を受けます。督促状や催告書が送付されることも多く、「一定期間内に支払いがない場合は契約を解除する」といった内容が記載されているケースがあります。

このような文言がある場合、期限が経過すると、改めて解除の意思表示がなくても契約が解除されたものとして扱われてしまいます。期限超過後は契約が解除され、リースの対象物を引き上げられてしまいます。さらに、当初の契約期間分の支払い義務は残るため、立て直しが難しい状況まで追い込まれてしまうでしょう。

3-3 信用情報に事故情報が記録される

法人の信用情報は、主に 日本信用情報機構(JICC) に登録されています。リース会社はJICCに加盟しており、リース料の滞納が一定期間続くと事故情報として記録されてしまいます。事故情報として記録されるのは、滞納から61日以上または3ヶ月以上が経過したタイミングです。

信用情報に事故情報が記録されると、その後のリース契約や融資、クレジット取引などが難しくなる可能性があります。また、法人代表者が連帯保証人になっている場合には、代表者個人の信用情報にも影響が及ぶケースがある点にも注意が必要です。

このように、リース料の滞納は今後の資金調達や、取引条件にも影響を与える可能性があります。リース料の滞納が原因で追加融資を受けられなくなれば、事業の存続が難しくなるでしょう。

3-4 契約を解除される

督促や催告を受けてもなおリース料を支払わなければ、リース会社によって契約を解除されてしまいます。催告書に「一定期間内に支払いがない場合は契約を解除する」といった記載がある場合には、その期間が経過することで、改めて解除の通知がなくても契約が解除されたものとして扱われます。

契約が解除されると、リース対象物の返還を求められることになります。併せて、未払いとなっているリース料だけでなく、当初の契約期間分の残リース料相当額についても、損害金や違約金として請求されるでしょう。

3-5 財産が差押えられる

契約解除後もリース料や遅延損害金の支払いが行われない場合、リース会社は裁判所に対して強制執行の申立てを行うことがあります。裁判所がその請求を認めた場合には、未払い金を回収するために、財産の差押えに進みます。法人の場合、差押えの対象となるのは、以下のような財産です。

  • 現金
  • 預貯金(会社名義の銀行口座)
  • 売掛金
  • 土地・建物
  • 機械・設備
  • 車両
  • 什器備品
  • 有価証券
  • 保険の解約返戻金
  • ゴルフ会員権

差押えが行われると、仕入れや人件費の支払いが滞るなど、事業の継続自体が難しくなります。そのため、リース料の支払いが厳しい状態を放置せず、差押えまで進む前に対応することが大切です。

4章 リース料の支払いが厳しい場合の対処法

リース料の支払いが厳しくなった場合、「どうにか支払わなければ」と場当たり的な対応をするのは危険です。なぜなら、状況に合わない方法を選んでしまうと、問題が長期化したり、負担が増えたりする恐れがあるためです。

ここでは、リース料の滞納が続いている、または今後支払いが難しくなりそうな場合の対処法を紹介します。差押えなどの深刻な事態に進む前に、取れる選択肢を整理しておくことが大切です。

4-1 リース会社に相談する

リース料の支払いが難しくなったら、まずはリース会社に相談しましょう。支払いが遅れる前、または滞納が始まった早い段階で事情を説明することで、支払期限の調整や分割払いに応じてもらえるケースがあります。

特に、一時的に売上が低下しているものの回復が見込める場合や、入金遅れで回収見込みがある場合などは、条件変更に応じてもらいやすいでしょう。ただし、必ずしも返済条件の変更に対応してもらえるわけではない点には注意が必要です。

4-2 ファクタリングを行う

取引先への売掛金がある場合には、ファクタリングの利用で資金を確保できます。ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に譲渡し、入金期日を待たずに現金化する仕組みです。

売掛金を早期に現金化できるため、リース料の支払期限が迫っている場合など、一時的な資金不足を補う手段として有効なケースもあります。借入とは異なり、負債として計上されない点をメリットと感じる方もいるでしょう。

一方で、ファクタリングには手数料が発生し、その割合が高額になることも少なくありません。利用を重ねると資金繰りがかえって苦しくなり、根本的な解決にはならないケースもあります。また、取引先に知られることで関係に影響が出る可能性がある点にも注意が必要です。

そのため、ファクタリングはあくまで短期的な資金確保の手段として位置づけ、継続的な利用や場当たり的な活用は避けるべきです。リース料の滞納が続いている場合や、他の支払いも重なっている場合には、資金繰り全体を見直す視点が欠かせません。

4-3 事業を売却する

事業用資産や事業そのものを売却することで、リース料やその他の支払いに充てる資金を確保できる場合もあります。事業の一部を手放して現金を受け取ることで、資金繰りを立て直せる可能性があるのです。

事業の売却は将来の収益や事業継続に大きな影響を及ぼします。短期的な資金不足を理由に急いで判断すると、後から取り返しがつかない結果になることもあります。そのため、売却を検討する際は、リース料だけでなく、会社全体の収支や今後の見通しを踏まえ、慎重に判断することが重要です。

4-4 法人の債務整理を行う

リース料の滞納が一時的な資金不足ではなく、事業全体の資金繰り悪化によるものである場合には、法人の債務整理を検討しましょう。なぜなら、返済計画の見直しやファクタリングによって一時的に滞納を解消できたとしても、根本的な資金繰りが改善されなければ、同じ問題を繰り返す可能性が高いためです。法人の債務整理には、事業の継続を前提とする再建型と、会社を整理する清算型の方法があります。

再建型の債務整理私的整理(裁判所を利用せず、債権者と直接交渉する方法)
民事再生(事業を続けながら、法律にもとづいて債務を整理する方法)
会社更生(主に大企業向けの再建手続き)
清算型の債務整理破産手続(会社の財産を換価し、会社を消滅させる方法)
特別清算(解散後の株式会社が、比較的簡易に債務を整理する方法)

どの手続きが適しているかは、会社の財務状況や事業の見通しによって異なります。リース契約だけでなく、金融機関からの借入や他の支払いも含めて全体を整理しなければ、根本的な解決には繋がりません。

差押えや訴訟などの法的手続きに進んでしまうと、取れる選択肢は大きく限られてしまいます。そうなる前に、専門家に相談し、現状を整理したうえで、今後の対応を検討することが重要です。

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まとめ

リース契約は、初期費用を抑えて事業に必要な車両や設備を導入できる便利な仕組みです。しかし、支払いが前提となっている以上、リース料を滞納すると、遅延損害金の発生や契約解除、高額な請求、最終的には差押えといった深刻な事態に発展する可能性があります。

支払いが厳しい場合には、リース会社への相談や資金調達、事業の見直しといった対処法を検討しましょう。ただし、リース料の滞納が事業全体の資金繰り悪化によるものである場合には、個別の対応だけでは根本的な解決に繋がらないことも少なくありません。

そのような場合には、早い段階で弁護士や司法書士といった専門家に相談し、契約内容や債務状況、今後の選択肢を整理することが重要です。差押えや法的手続きに進んでしまうと、取れる選択肢は限られてしまうため、状況が深刻化する前に専門家に相談しましょう。

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