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そろそろ持ち家をと考えたとき、多くの人が住宅ローンを利用します。実際に物件を探すために知りたいのは、住宅ローンでいくら借入ができるかということではないでしょうか。住宅は一生に何度もない大きな買い物です。購入できる住宅の選択肢を広げるためにも、借入可能額を大きくしたいと考える人もいらっしゃるでしょう。そんな場合に利用できる住宅ローンで、単独で組む以外にペアローンと収入合算という方法があります。
ペアローンと収入合算とはどんなものなのか?それぞれのメリットやデメリットについて、解説します。ペアローンや収入合算は、ご夫婦や親子などでの利用が可能ですが、ここではご夫婦が住宅ローンを組むことを想定してお話します。
- ペアローンと収入合算のメリット・デメリットがわかる
- ペアローンと収入合算の違いがわかる
- ペアローンを避けるべきケースがわかる
目次 ▼
1章 ペアローンとは?
ペアローンとは、ご夫婦などが、1つの住宅についてそれぞれ契約者として住宅ローンを組む方法です。夫と妻がそれぞれ住宅ローンを組み、夫は妻の連帯保証人、妻は夫の連帯保証人になります。1つの住宅に、2本のローン契約を結びます。
「共同でローンを組んで借入額を増やし、購入できる住宅の選択肢を増やしたい」という場合に、ペアローンの利用は有効です。
しかし、ペアローンには、メリットと同時にデメリットもあります。
ペアローンを利用することで受けるメリットやデメリット、そしてペアローンを利用するときに注意したい点もあわせて解説します。
1−1 ペアローンのメリット
ペアローンを利用する場合の主なメリットを3つ解説します。
1-1-1 住宅ローンの借入額を増やすことができる
住宅ローンの借入可能額は、申込者の収入が基準になります。1人の収入より、2人の合計収入を基準にした方が、より借入額を増やすことができます。
住宅ローンの借入額が増えることで選択肢が増え、希望に近い住宅を選びやすくなるというメリットがあります。
1-1-2 夫婦とも住宅ローン控除を利用できる
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住まいを購入などした場合に、年末のローン残高に応じて「税金が還ってくる」制度のことです。
ペアローンを利用すると、夫婦2人それぞれが借入残高に対して住宅ローン控除を利用できるため、大きな節税になります。
1-2-3 夫婦とも団体信用生命保険に加入できる
ペアローンでは、夫婦ともにそれぞれが団体信用生命保険に加入できます。そのため、夫婦のどちらかに万一のことがあった場合には、保険金により住宅ローンが完済となり、住宅ローンの返済負担が軽くなります。
1−2 ペアローンのデメリット
ペアローンを組んだ際のデメリットは下記のとおりです。
1-2-1 事務手数料や印紙代などの諸費用が2人分かかる
ペアローンは、夫婦がそれぞれ住宅ローンを組むことになるため、ローン契約は2本になります。つまり、ひとつの住宅に発生する諸費用が、2倍かかることになります。
1-2-2 どちらか一方に退職や減収などがあってもローンはそのままの負担
ペアローンは、夫婦がそれぞれ契約者として住宅ローンを組みます。そのため、どちらか一方が退職したり転職で減収になったりしても、ローン返済の負担はそのまま継続します。
ペアローンではお互いに連帯保証人になっているため、どちらか一方の返済が滞った場合には、もう一方に請求がされるからです。
将来、夫婦どちらかに退職や(減収になる)転職があった場合、ペアローンの返済は大きな負担になる可能性があります。
1−3 ペアローン利用時の注意点
ペアローンでは、団体信用保証保険も2人がそれぞれ加入します。夫婦のどちらか1人に万が一のことがあっても、返済が免除されるのはその当人のローンだけであることに注意しましょう。もう一方の住宅ローンはそのまま残り、返済を続けなければいけません。
また、これはペアローンに限ったことではありませんが、契約時の金利にも注意が必要です。
住宅ローンには、固定金利型と変動金利型がありますが、2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策の解除を発表しました。今後住宅ローン変動金利が上昇するリスクがあることは、念頭に入れておく必要があります。
2章 ペアローンと収入合算とはなにが違う?
ペアローンと似た住宅ローン借り入れ方法に、収入合算というものがあります。少々紛らわしく感じますが、異なる借り入れ方法です。
収入合算とは、申込者本人の収入に加えて、一定の収入のある配偶者などの収入を合算して住宅ローンを組む方法です。合算した金額をもとにして、住宅ローンの審査を受けることができます。
ただし、収入合算には、連帯保証型と連帯債務型という2つのタイプがあります。ここでは、収入合算者が連帯保証人となる連帯保証型の収入合算についてお話しします。
収入合算のメリット・デメリットと、共働き夫婦のケースではペアローンと収入合算のどちらを選ぶとよいのか?ということについて解説します。
2−1 収入合算(連帯保証型)のメリット
収入合算を利用する場合の主なメリットを3つ解説します。
2-1-1 配偶者の収入を合算できる
1つ目は、ご本人と配偶者の2人の収入を合算して審査できるため、借入金額を増額させることができるということです。ご本人1人分の収入では希望する借入金額に届かないときでも、収入合算を利用すればより多くの借入が可能となり、希望の物件に手が届く可能性が高くなります。
2-1-2 ペアローンと比べ諸費用が節約できる
2つ目のメリットは、収入合算は、ペアローンと比べて諸費用が安く済むという点です。諸費用とは、事務手数料、保証料、登記にかかる登録免許税、司法書士への報酬、印紙税などを指します。
住宅ローンの諸費用は中古物件では、物件購入額の6~10%、新築物件の場合は物件購入額の3~7%かかるといわれています。収入合算は、ローンの契約者が1人であるため、諸費用も1契約分で済ませることができるので、その分節約になります。
2-1-3 申込者(主債務者)に何かあった場合は、団信によって住宅ローンの残債が返済される
生活費を主に担っている方が主債務者になっていれば、万が一の際も残された家族に住宅ローンの返済義務が残らず、返済に困ったり住宅を失ったりせずに済みます。
2−2 収入合算(連帯保証型)のデメリット
次に収入合算の主なデメリットを2つ解説します。
2-2-1 収入合算者は住宅ローン控除を受けられない
収入合算の場合、住宅ローン控除を受けられるのは、申込者(主債務者)のみです。収入合算者は連帯保証人ではあるのですが、住宅ローンの債務者ではありません。そのため、住宅ローン控除適用の対象外となります。
2-2-2 収入合算者は団体信用生命保険に加入できない
収入合算者は、団体信用生命保険に加入できません。申込者(主債務者)は、団体信用生命保険に加入して万が一のことがあったときには保障を受けることができますが、収入合算者に何かあっても保障はありません。
2−3 ペアローンと収入合算、共働き夫婦ではどちらを利用するべき?
共働き夫婦の場合、ペアローンと収入合算のどちらを利用したらよいのでしょうか。
一般的には、夫婦それぞれが一定程度以上の収入を安定して得ていて、2人の収入に差がないケースではペアローンを、収入に差があるケースでは収入合算を利用するとよいとされています。
ペアローンを利用するとよいケース
夫婦の2人ともが安定した勤務先に勤めていて、収入もほぼ同じ場合、夫と妻がそれぞれにローンを組むことができるペアローンの利用はおすすめできます。ペアローンを利用すれば、両者が住宅ローン控除の恩恵を受けられるため、大きな減税効果も期待できます。
収入合算を利用した方がよいケース
収入合算のメリットは、ペアローンよりも諸費用を低く抑えながら、1人で借入するよりも借入額を増額できることです。1人で借りるには収入が不足しているけれど、手数料を抑えつつ借入額を増やしたい方は収入合算を検討すると良いでしょう。
3章 ペアローンを避けるべきケースとは?
ペアローンの利用を避けた方がよい場合とは、どのようなケースでしょうか?
2つのケースを解説します。
3−1 夫婦どちらかの収入が減少する予定がある
ペアローンを組むと、夫婦それぞれが大きな債務を抱えることになります。現在は共働きだけれど、出産や親の介護などの出来事があった場合に、どちらか一方が退職や転職を余儀なくされる可能性がある場合は、ペアローンの利用は避けた方がよいかも知れません。
夫婦どちらかの収入が減少すると、住宅ローンの返済が困難になりさらに借金が膨らんでしまうリスクもあります。
どちらかが想定外の退職をすることになり、返済が難しくなるケースというのは実は少なくありません。
3−2 なるべく費用を抑えたいと考えている
住宅ローン費用そのものをなるべく抑えたいと考えている場合、ペアローンは向いていません。ペアローンの大きなメリットは、借入金額が最大限に増やせることです。そして、その分諸費用も高くなり、返済額も増大します。
ペアローンは、夫婦間の収入差が少なく2人分の安定した収入を得られる場合に、それを生かして最大限に借り入れをすることができるローンです。なるべく費用を節約したいと考えている人には、向いていません。
4章 このようなケースではペアローンはどうなる?
ペアローンを組んで自宅を購入しても、支払い中に不測の出来事が起こる可能性があります。離婚や失業、死亡などに直面した場合、ペアローンはどうなるのか知っておきましょう。
4−1 離婚することになった場合
ペアローンを組んでいる住宅は夫婦の共同名義のため、2人の同意がなければどんな手続きも進めることはできません。離婚することになった場合、売却するか保有し続けるかなどで、簡単に合意ができないこともあります。
一般的に、離婚時の住宅の扱いとして、夫婦の一方が残りのローンを引き受けるか、売却するかのどちらかが主な対処となります。ローンを引き受けた方は返済を続けなければいけませんが、もし返済をしなかった場合、連帯保証人が代わりに返済しなければならなくなります。
また、売却する場合、ローンの残額より高い値段で売却できればよいのですが、完済できなければ住宅ローン返済を継続する必要が出てきます。
このように、いざ離婚となった場合には、互いの連帯保証人であるため被るリスクがあるということや、実際に離婚しようという状況では、相手とうまくコミュニケーションをとることが感情的に難しいことを知っておくことが重要です。
4−2 夫婦どちらかが失業した場合
夫婦どちらかが失業した場合、返済リスクが高まります。
失業したときの対策として、失業給付を受けたり節約したりすることで再就職までの期間を乗り切ろうと試みるでしょう。それでも返済の見通しがたたない場合は、自宅の売却を検討することになります。
ペアローンを利用して高額の住宅ローンを借りたということは、あくまで2人で支払いをしていく前提なので、ひとりでは支払いが困難になる可能性が高いでしょう。
4−3 夫婦どちらかが死亡した場合
ペアローンで住宅ローンを組んでいれば、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入しています。夫婦どちらかが死亡した場合、死亡した人の住宅ローンは団体信用生命保険によって残債がゼロになります。
しかし、もう一方のローンは当然支払い続けなくてはいけません。なんとか住宅ローンの支払いは継続できたとしても、生活が厳しくなる可能性があります。
夫婦の一方が亡くなった場合、生活に余裕がなくなりローンが支払えなくなるケースがあります。万が一ローンが支払えなくなったら、売却を検討することになるかもしれません。
5章 まとめ
ペアローンや収入合算を利用することで、借入できる資金が増えて、選べる住宅の選択肢が広がるのはとても魅力的ですね。しかし、その分住宅ローンの返済額も増えてしまうことには注意が必要です。
また、住宅ローン申し込みの前に確認しておきたいことがあります。もし、ご夫婦どちらかでも借金がある場合は、審査の前に債務をなくしておくことが必要です。過去に借金をした記憶があり、今どうなっているか不明という場合は、ご自身の信用情報を確認してみましょう。
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