贈与税はいくらからかかる?贈与税が0円になる4つの節税方法

贈与税はいくらからかかる?贈与税が0円になる4つの節税方法
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 7

年間110万円を超える金額を贈与されると、贈与税がかかる可能性があります。
なお、贈与税は贈与をした側ではなく、贈与を受けた側に課せられる税金です。

ただし、家族が生活費や教育費として贈与をした場合は、年間110万円を超えた贈与であっても、贈与税はかかりません。
また、贈与税には様々な控除や特例が用意されているので、これらを利用すれば年間110万円を超える贈与であっても、贈与税が0円になる可能性があります。

本記事では、贈与税がいくらからかかるのか、贈与税の計算方法や節税方法を解説していきます。

贈与税の計算方法や申告時の注意点は、下記のページでも詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

相続税・贈与税 記事一覧

1章 贈与税がかかるのは贈与額が1年間で110万を超えたとき

贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの間に贈与された金額が110万円を超えたときにかかります。
贈与税には110万円の基礎控除枠があり、贈与を受けた金額が基礎控除の110万円以内に収まれば贈与税はかかりません。
基礎控除枠に収まる贈与であれば、納税だけでなく申告も不要です。

贈与税はいくらかかるのか。贈与税の課税対象の範囲について

なお、贈与税は贈与をした側ではなく、贈与を受けた側に課税される税金です。
そのため、父と母からそれぞれ100万円ずつ、合計200万円の贈与を受けた場合には、贈与の合計金額200万円から基礎控除枠110万円を引いた90万円に対して贈与税がかかります。

1-1 生活費には贈与税がかからない

家族の生活費や教育費のために贈与を行うのであれば、年間110万円を超える贈与であっても、贈与税はかかりません。
この場合の家族とは、以下に当てはまる民法上の扶養義務者を指しています。

  • 夫や妻
  • 直系血族
  • 兄弟姉妹

例えば、祖父母が孫の大学の入学金や授業料を支払った場合、贈与税はかかりません。
続いて、贈与税の計算方法について確認していきましょう。

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2章 贈与税の計算方法と税率

贈与税は1年間の贈与の合計金額が基礎控除枠110万円を超えたときに、課税されます。
贈与税の計算方法は、以下の通りです。

  1. 贈与財産の合計金額を計算する
  2. 基礎控除額を引く
  3. 贈与税の税率を掛ける
  4. 贈与税の控除額を引く

それぞれ具体例と共に確認していきましょう。

2-1 贈与財産の合計金額を計算する

まずはその年にもらった贈与財産の合計金額を計算します。
不動産や株式などを贈与された場合には、贈与された財産の評価額を算出する必要があります。

例えば、父と母からそれぞれ200万円ずつ現金で贈与を受けた場合には、贈与財産の合計金額は400万円です。

2-2 基礎控除額を引く

贈与財産の合計金額を計算したら、基礎控除枠を引きましょう。
さきほどの例であれば、400万円から基礎控除額110万円を引いた290万円が贈与税の課税対象額になります。

2-3 贈与税の税率を掛ける

贈与税には税率が2種類あり、贈与者と受贈者の関係によって税率が異なります。
18歳以上の子供や孫に対して、直系尊属である親や祖父母が贈与したときには「特例税率」を使用します。
特例税率と控除額は、それぞれ以下の通りです。

課税価格特例税率特例税率の控除額(万円)
200万円以下10%0
200万円を超えて400万円以下15%10
400万円を超えて600万円以下20%30
600万円を超えて1000万円以下30%90
1000万円を超えて1500万円以下40%190
1500万円を超えて3000万円以下45%265
3000万円を超えて4500万円以下50%415
4500万円を超える55%640

例えば、両親から成人した子供に対して、400万円を贈与したときの贈与税額は以下の通りです。

(400万円-110万円)×15%-10万円=33.5万円

直系尊属以外から贈与されたときや直系尊属から未成年者への贈与に対しては「一般税率」を使用して、贈与税を計算します。
一般税率と控除額は、それぞれ以下の通りです。

課税価格特例税率特例税率の控除額(万円)
200万円以下10%0
200万円を超えて300万円以下15%10
300万円を超えて400万円以下20%25
400万円を超えて600万円以下30%65
600万円を超えて1000万円以下40%125
1000万円を超えて1500万円以下45%175
1500万円を超えて3000万円以下50%250
3000万円を超える55%400

2-4 贈与税の控除額を引く

贈与税には、様々な控除や特例が用意されています。
これらの控除や特例を利用する際には、贈与財産の合計金額から控除額を引いた後に、贈与税の税率をかけて税額を計算します。

贈与税の節税に使用できる控除や特例は、次の章で詳しく確認していきましょう。

【簡単シミュレーション付】贈与税の計算方法と6つの節税方法を解説

3章 贈与税の節税に使える控除や特例

贈与税には様々な控除や特例が用意されており、活用すれば贈与税を大幅に節税可能です。
なお贈与税の控除や特例は、贈与の目的などの要件が細かく決められており、控除や特例を活用して贈与税がかからなくなったとしても申告が必要です。
贈与税の節税に使える控除や特例は、主に以下の4つです。

  1. 相続時精算課税制度(2,500万円控除)
  2. 教育資金の贈与税の非課税措置(1,500万円控除)
  3. 結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置(1,000万円控除)
  4. 住宅取得等資金の非課税措置(1,000万円控除)

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 相続時精算課税制度(2,500万円控除)

相続時精算課税制度を活用すれば、2,500万円までの贈与を非課税にできます。
また、2,500万円を超える贈与に関しても、贈与税の税率は一律20%で計算可能です。

例えば、相続時精算課税制度で3,000万円贈与した場合は、2,500万円は非課税になり500万円に対して贈与税率20%が課せられます。

贈与税はいくらからかかる?贈与税の節税に使える控除や特例の一つ、相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の祖父母や親から18歳以上の子供や孫に贈与したときに活用できる制度です。
制度を活用した場合、相続発生時に贈与された財産を全て亡くなった方の相続財産に加算し、相続税を計算します。

贈与税の節税に繋がるものの相続税の節税対策にはならないので、全ての方に利用をおすすめできる制度ではありません。
相続時精算課税制度を利用した方がよい人の特徴は、主に以下の通りです。

  • 相続時に値上がりしそうな財産を贈与したい人
  • 親や祖父母が高齢であり暦年贈与を行うのは難しい人
  • 相続発生時ではなく現時点でまとまった贈与をしたい人

相続時精算課税制度を活用すべきかどうかは、個人で判断するのが難しいので、税理士などの専門家への相談もご検討ください。

相続時精算課税制度とは?メリデメから手続方法まで専門家が徹底解説
【相続時精算課税制度に基礎控除枠が追加されます】

これまで相続時精算課税制度を利用すると、毎年の贈与税の基礎控除額110万円は利用できませんでした。
しかし、2024年1月1日以降は相続時精算課税制度を選択した人にも毎年110万円の基礎控除額が与えられます。
相続時精算課税制度に基礎控除額が導入されたことにより、下記のメリットがあります。

  • 毎年110万円以下の贈与であれば贈与税の申告および納税は不要
  • 毎年110万円以下の贈与であれば贈与財産を相続税の加算対象に含めなくて良い

贈与者の年齢によっては毎年の基礎控除額を利用して贈与すれば、贈与税および相続税を大幅に節税できるでしょう。
制度改正により相続時精算課税制度を利用すべきかお悩みの人は、相続に精通した税理士に相談するのがおすすめです。

3-2 教育資金の贈与税の非課税措置(1,500万円控除)

教育資金の贈与税の非課税措置を利用すれば、最大1,500万円まで贈与税を非課税にできます。​
贈与を受ける側は30歳未満の子供や孫と要件が決められているので、贈与時の年齢に注意が必要です。

控除の対象になる教育資金は、学費等だけでなく保育園や幼稚園の費用、塾や習い事費用も含まれます。
制度を活用する場合には、教育資金の贈与専用の口座を開設し、受贈者が教育資金を使用したタイミングで都度引き出しをしていかなければなりません。

教育資金以外で贈与されたお金を使った場合や30歳になるまでに使い切れなかった贈与分に対して、贈与税がかかる点にもご注意ください。

3-3 結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置(1,000万円控除)

18歳以上から50歳未満の子供や孫に、結婚や子育資金として贈与をした場合、1,000万円まで贈与税がかからなくなります。
先ほど解説した「教育資金の贈与税の非課税措置」同様に専用口座を開設し、結婚や子育てに関する費用を支出した証明を金融機関に提出したときに贈与を受け取れる仕組みです。

結婚資金や子育て資金として使用できる範囲は決められているので、制度を活用するときには事前に確認しておくことをおすすめします。
さらに、制度活用時には以下の点にも注意が必要です。

  • 結婚資金として使用できるのは300万円まで
  • 贈与を受けた方が50歳になったタイミングで、使い切れなかった贈与分には贈与税がかかる
  • 贈与者が亡くなった時点で贈与分の残高は相続財産に加算される

3-4 住宅取得等資金の非課税措置(1,000万円控除)

18歳以上の子供や孫が住宅を購入する際の費用やリフォーム資金として贈与した場合、最大1,000万円まで贈与税の控除を受けられます。
購入やリフォームした住宅が省エネ等住宅の場合には1,000万円控除が受けられ、それ以外の住宅では500万円の控除となります。

また、住宅取得等資金の非課税措置は贈与を受けた人ごとに適用可能です。
そのため、夫婦それぞれが非課税措置を利用すれば、最大2,000万円も贈与税を控除できます。


まとめ

贈与税には毎年110万円の基礎控除枠が用意されています。
そのため、その年の1月1日から12月31日までの間に年間110万円を超える贈与を受けたときのみ贈与税は課税されます。
年間110万円以内に贈与額が収まる場合には、贈与税がかからないだけでなく、贈与税の申告も必要ありません。

また、贈与税は基礎控除以外にも様々な控除や特例が用意されています。
控除や特例の要件を満たせば、贈与税を大幅に節税できる場合もあるので、まとまった金額を贈与したい場合にはぜひ活用をご検討ください。

贈与は贈与者と受贈者双方の合意があれば行えますが、司法書士や弁護士などの専門家に贈与契約書を作成してもらうと、トラブルの発生も防げ安心です。

グリーン司法書士法人では生前贈与に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能なので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

100万円の贈与税はいくら?

贈与税には年間110万円の基礎控除枠があるので、100万円の贈与に贈与税はかかりません。
贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの間に贈与された金額が110万円を超えたときにかかります。
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶贈与税がかかるのは贈与額が1年間で110万円を超えたとき

生前贈与と相続はどちらがいいの?

「生前贈与」か「相続」かどちらがいいのか悩む場合は、相続に詳しい司法書士や税理士に相談するのがベストです。
なぜなら、生前贈与と相続では、方法や効果、かかる税金の種類などが大きく異なるため、状況によってどちらがいいか変わってくるからです。
詳しい専門家に状況や意向を伝えることで、正しい知識をもって複合的に判断してもらえます。
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶生前贈与か相続で迷っている人が知っておくべき違いとベストな選択基準

贈与税はいくらまでかからない?

暦年贈与を選択しているのであれば、毎年110万円までに対しては贈与税がかかりません。
▶贈与税はいくらからかかるのかについて詳しくはコチラ

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