親の認知症は誰に相談する?9つの相談先や相談時の注意点について

親の認知症は誰に相談する?9つの相談先や相談時の注意点について
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

【この記事でわかること】

  • 親が認知症になったときの相談先
  • 親の認知症症状を相談するときの注意点
  • 親が認知症になる前にすべき認知症対策・相続対策

「最近、父親の物忘れが激しくなってきた気がする」など、親の認知症症状について不安を抱えているものの、誰に相談すればわからない方もいるのではないでしょうか。

親が認知症かもしれないと悩んだときには、地域包括支援センターや自治体の福祉課などに相談すると良いでしょう。

また、認知症の症状が進行してしまうと、親の資産が凍結される恐れもあるのでご注意ください。
本記事では、親が認知症になったときの相談先や、認知症症状を相談するときの注意点を解説します。

親が認知症かもしれないと悩んだときの対処法は、下記の記事でも詳しく解説しているので、よろしければ併せてお読みください。

親が認知症かも?と感じたら至急すべきこと【診察を受けてもらうコツ】

1章 親が認知症になったときの6つの相談先

認知症は誰にでも起こりうる問題であり、親が認知症になった際には、適切な支援を受けることが大切です。
親が認知症になったときの相談先は、主に下記の通りです。

  • 地域包括支援センター
  • 自治体の福祉課
  • 社会福祉協議会
  • 認知症カフェや家族の会
  • 医療機関
  • 生前対策専門の法律家(司法書士や行政書士など)

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口として各市区町村に設置されており、介護や福祉、医療に関する相談を受け付けています
相談だけでなく、認知症に関する情報を提供してもらうことや、適切な支援機関の紹介を受けることが可能です。

地域包括支援センターは、ケアマネジャーとも連携しているため、介護サービスの利用についても相談できます。

1-2 自治体の福祉課

市区町村の福祉課では、介護保険サービスの申請や利用方法について相談可能です。
他にも、認知症の方が利用できる支援制度についての情報ももらえます。

要介護認定の申請手続きも、自治体の福祉課で行えます。

1-3 社会福祉協議会

社会福祉協議会は、地域の福祉を支える非営利団体であり、認知症患者やその家族を支援する活動を行っています。
社会福祉協議会によっても異なりますが、下記のサービスを提供していることもあります。

  • 介護に関する相談
  • ボランティアによる生活のサポート
  • 福祉用具の貸し出し

1-4 認知症カフェや家族の会

認知症カフェや家族の会は、同じ悩みを持つ家族が情報交換や交流を行う場です。
ここでは、認知症の対応方法についてのアドバイスを受けたり、家族同士の支え合いを得たりすることができます。

医療や福祉の専門家が参加することもあり、有益な情報を得られることもあるでしょう。

1-5 医療機関

親の認知症が疑われる場合、医療機関で診察を受けることも選択肢のひとつです。
認知症の種類によっては薬などの治療で進行を遅らせられる場合もあります。

認知症の症状を疑っている場合では、かかりつけ医や物忘れ外来を受診することが一般的です。
ただし、認知症の症状によっては診断が確定し、資産が凍結されたり、相続対策をしたりすることが難しくなってしまう恐れもあります。

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1-6 生前対策専門の法律家(司法書士や行政書士など)

認知症の症状が進行すると、財産管理や相続に関する問題が発生する可能性があります。
事前に司法書士や行政書士に相談することで、家族信託の活用や、任意後見契約の締結、遺言書の作成などの生前対策を進められる場合があります。

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2章 親の認知症症状を相談するときの注意点

親の認知症症状が進行し、自分で物事を判断することができなくなると、銀行口座などの資産を凍結される恐れがあります。
また、認知症となった親を支えるために、家族や親族で今後について相談しておくことも大切です。

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 認知症になり判断能力を失うと資産が凍結される恐れがある

親が認知症を発症し判断能力が低下すると、銀行口座が凍結されたり、自宅不動産の売却ができなくなるなど、経済面で様々な制約が生じる恐れがあります。

そのため、親が認知症かもしれないと不安になった際には、医療機関で診断を受ける前に、先に認知症対策を行うことも検討しましょう。
認知症の症状が軽度であり、判断能力が残っているとされれば、家族信託や任意後見制度を活用できる可能性もあるからです。

なお、医療機関への受診を行うことで、後ほど相続紛争になったときに、遺言書作成時に判断能力を喪失していたことの記録が医療機関に保管される可能性もあります。
認知症症状の進行度合いや資産・家族の状況によっても変わってくるため、慎重に判断しなければなりません。

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2-2 家族・親族で対策を話し合う

認知症症状の進行に備え、専門機関に相談するだけでなく、家族や親族で今後の対策や方針についても話し合っておきましょう。
特に、親が判断能力を有しているうちに、財産管理や介護の方針を決めておくと、将来的なトラブルを回避しやすくなるはずです。

具体的には、下記などについて話し合うと良いでしょう。

  • 財産管理の方法・財産管理を行う人物
  • 介護費用を負担する人物・その負担割合
  • 介護サービスの利用方針

財産管理について、家族や親族だけで話し合うことが難しい場合には、司法書士などの専門家に相談することもご検討ください。
専門家であれば、資産や家族の状況に合った財産管理方法や認知症対策を提案可能です。

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2-3 行政サポートや介護サービスの利用を検討する

親の認知症が進行してから、家族や親族のみで問題を解決しようとするのは困難を伴うものです。
症状が軽いうちから行政サポートや介護サービスを利用しておきましょう。
症状が軽いうちから、介護サービスを利用しておくことで、本人の拒否感を軽減できる可能性もあります。

特に、地域包括支援センターなどでは、認知症の初期段階から利用できる支援を提供しているので、早めに相談してみましょう。
具体的には、下記のサービスを受けておくと、認知症の症状が進行したときの負担を軽減しやすくなります。

  • 地域包括支援センターにて、介護や福祉サービスの案内を受けておく
  • ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
  • デイサービスやショートステイを利用しておく

3章 親が認知症になる前にすべき認知症対策・相続対策

認知症の症状が進行すると、自分で財産管理や契約手続きを行うことができなくなり、認知症対策や相続対策を行えなくなる恐れがあります。
そのため、認知症になる前、もしくは症状が軽度のうちに、下記の対策を行っておくことを強くおすすめします。

  • 家族信託の活用
  • 遺言書の作成
  • 生前贈与
  • 任意後見制度の活用
  • 生命保険の加入

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 家族信託の活用

家族信託の基本的な仕組み

家族信託とは、信頼する家族に自分の財産の管理や運用、処分を依頼する制度です。
家族信託は柔軟な財産管理を行えるのが特徴であり、契約内容によっては下記の行為も受託者が代わりに行えます。

  • 自宅のリフォーム、売却
  • 株式や投資信託の売却
  • 賃貸不動産の管理や運用、処分

また、家族信託は自分が亡くなったときに加え、さらにその次の相続の承継先まで指定可能です。
先祖代々受け継いできた財産がある場合や二次相続対策まで行いたい場合にも、家族信託は適しています。

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3-2 遺言書の作成

遺言書を用意しておけば、自分が亡くなった後、遺産を受け継ぐ人物を指定できます。
遺言は相続人以外にも遺産を相続させられるため、孫や子供の配偶者、内縁の妻・夫に遺産を譲りたい人にもおすすめです。

ただし、遺言書を作成するときには、下記のことに注意しましょう。

  • 配偶者や子供、両親の遺留分を侵害しない遺言内容とする
  • 認知症になり判断能力を失うと、遺言書を作成できなくなる

認知症ではないかと疑われる人が遺言書を作成していた場合、相続発生後に作成当時の判断能力が問題になるケースもあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、遺言書を作成する際には医師の診察を受けて判断能力を有している証拠を用意した上で、司法書士や弁護士に遺言書作成を依頼するのがおすすめです。

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3-3 生前贈与

生前贈与をすれば、自分の資産を子供や孫など次の世代に譲れます。
生前贈与は贈与者と受贈者の合意があれば行えるため、相続と違って自分でタイミングを決められる点がメリットといえるでしょう。

生前贈与した財産は所有権が受贈者に移るため、受贈者が自由に管理や運用、処分することが可能です。

このようなメリットがある一方で、年間110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかる場合があります。
贈与を行う際には、事前に贈与税のシミュレーションをしておきましょう。

他にも、重度の認知症となり判断能力を失うと、贈与の契約を結べなくなってしまいます。

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3-4 任意後見制度の活用

任意後見人とは

任意後見制度とは、自分が元気なうちに後見人を選び、後見内容について契約を結んでおく制度です。
自分が認知症になり判断能力を失ったときに、任意後見人が家庭裁判所に申し立てれば、後見業務が開始される仕組みです。

任意後見制度は成年後見制度と異なり、自分で後見人や後見内容を選べるため、柔軟な財産管理を行いやすい点が特徴となっています。
ただし、任意後見制度には下記のデメリットもあるので、他の認知症対策や財産管理方法と組み合わせて利用することをご検討ください。

  • 成年後見人と違って、任意後見人には取消権がない
  • 任意後見制度の利用が開始されると、原則として被後見人が亡くなるまで利用が続く
  • 任意後見制度の利用開始時には任意後見監督人が選任され、定期的な報告が求められる
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【重度の認知症になると成年後見制度しか利用できなくなる】

認知症の症状が進行し、判断能力を失ってしまうと、成年後見制度しか利用することはできなくなります。
成年後見制度とは、認知症や知的障害などで判断能力を失った人の代わりに財産管理や契約手続きをサポートする制度です。

ただし、成年後見制度は柔軟な財産管理を行えなかったり、成年後見人への報酬がかかり続けたりするなどのデメリットがあります。

そのため、本人が元気なうち、認知症の症状が軽度のうちに家族信託や任意後見制度などの準備を進めることを強くおすすめします。

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3-5 生命保険の加入

生命保険に加入しておけば、生命保険金を葬儀費用や入院費用、遺族の当面の生活費などに充てられます。
生命保険金は受取人固有の財産として扱われるため、遺産分割協議が完了しなくても受取可能です。
そのため、相続発生後にまとまった現金が必要になることが予想されるのであれば、加入を検討しても良いでしょう。

また、法定相続人が生命保険金を受け取ると「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を適用可能です。
したがって、預貯金のまま所有しているよりも、生命保険金として受け取った方が相続税の節税につながる可能性もあります。

生命保険の加入についても、本人の意思能力が必要となりますので、元気なうちに加入しておきましょう。

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まとめ

親が認知症かもしれないと思ったときには、地域包括支援センターや自治体の福祉課などに相談してみましょう。
特に、地域包括支援センターは介護に関する専門家が在籍しているので、今後必要になってくる情報をもらうことや、準備しておくと良いことなどについても教えてもらえます。

また、認知症の症状が軽度のうちに、できるだけ早く認知症対策や相続対策も進めておきましょう。
認知症の症状が進行してしまうと、親が自分で財産管理や契約手続きを行えなくなってしまう恐れがあるからです。

認知症対策や相続対策には、複数の方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
認知症対策に精通した司法書士などに相談すれば、資産や家族などといった状況に合った提案をしてもらえるはずです。

グリーン司法書士法人では、認知症対策や相続対策についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでも可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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