自分の最期や亡くなった後の準備をしておく「終活」。
興味はあるものの「何から始めて良いかわからない」「自分にはまだ早いのではないか」とお考えではないでしょうか?
終活を自分が死ぬ準備と考え、ネガティブなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
しかし終活とは本来、自分の残りの人生をより良く生きるために行うものでもあります。
終活の準備は自分がまだ元気に動けるうちから、計画的に進めるのがおすすめです。
本記事では終活の準備でやっておくと良いことを8つ紹介していきます。
1章 終活で準備すること8つのこと
まずは終活で準備しておくことを確認していきましょう。
全てを一度にやるのではなく、自分ができそうなものや関心の高いものから始めていくのでも、問題ありません。
終活準備ですることは主に以下の8つです。
- エンディングノートを書く
- 老後資金の計画を立てる
- 自分の持ち物を整理しておく
- 相続対策や遺言書の準備をしておく
- 葬儀屋お墓の準備をしておく
- 介護や入院の準備をしておく
- 延命治療について決めておく
- 残りの人生を楽しむためやりたいことリストをつくる
それぞれ詳しく解説していきますね。
1-1 エンディングノートを書く
エンディングノートとは、もしものときに備えて自分の人生の最期について希望や思いを記しておくノートです。
エンディングノートがあれば、遺された家族にこれまでの感謝を伝えることができますし、必要情報をまとめていれば家族への負担を減らせます。
エンディングノートは遺言書と違い、法的拘束力はなく決まった形式もありません。
お手持ちのノートなどをエンディングノートにしても良いですが、自治体で配布しているものや書店や文房具店で販売されているものを使用しても良いでしょう。
グリーン司法書士法人でも、無料でダウンロードできるエンディングノートをご用意していますのでお気軽にご利用くださいませ。
1-2 老後資金の計画を立てる
平均寿命が延びつつある中で、老後資金に不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
自分が元気なうちに老後資金の計画を立てておくと安心できますよ。
「自分にどれだけ老後資金が必要かわからない」「老後資金が足りているのかわからない」とお悩みの方は、
- 今の生活費
- 現在の貯蓄額
- もらえる年金額
これら3つを調べてみましょう。
生活費のうち年金で補いきれない部分は貯金を切り崩していくことになります。
- 貯金を切り崩した場合には何年分用意できそうか
- 将来の入院や介護に備えた準備はできているか
- 自分の葬儀費用は用意できているか
これらの計画が立てやすくなるかと思います。
老後資金が用意できていれば、予算内で希望に合わせ残りの人生を過ごしていけます。
反対に老後資金が足りない可能性があるならば、自宅を担保にした借入や自宅のリースバックなどを検討する必要があるかもしれません。
1-3 自分の持ち物を整理しておく
自分の持ち物を整理して、すっきりした状態にしておくのも終活準備のひとつです。
身の回りの整理は、具合が悪くなり思うように身体が動かなくなってからでは難しいので元気なうちから取り組んでおくことをおすすめします。自分の持ち物を整理しておけば、遺された家族が遺品整理を行うときの手間を減らせます。
また最近では様々な情報をデジタルで管理する機会も多いです。
目に見える持ち物だけでなく、デジタルデータの整理も進めておきましょう。
- 不要なデータは処分する
- 残しておきたいデータは家族もわかる形で保存しておく
- 個人情報の管理を適切にしておく
デジタルデータは何がどれだけ遺されているか遺族も把握しにくく、整理が非常に大変なので必ず行っておくことをおすすめします。
1-4 相続対策や遺言書の準備をしておく
遺された家族に財産を引き継ぐために相続対策や遺言書の準備をしておきましょう。
相続対策や遺言書の準備をしておくと、以下のメリットがあります。
- 遺された家族の相続税の負担を減らせる
- 遺された家族の相続手続きの手間を減らせる
- 遺された家族間で相続トラブルを防止・低減できる
- 自分の希望通りの相続を行える
「自分の家族は仲が良いから相続で揉めない」なんて考えずに、どんな財産をどれだけ持っているか、それらを誰に相続させたいのかを明確にし、遺言書を準備しておきましょう。
法的拘束力を持つ遺言書を作るには、決まったフォーマットを守る必要があります。
遺言書の作成や相続対策は個人で行うのではなく、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談することもご検討ください。
認知症になると預金を降ろせなくなり、生活費や介護費用の工面に困ってしまうケースがあります。また、自宅を売却して、資金を介護費用に充てることもできません。
そこで有効な方法として注目されているのが家族信託です。
家族信託を活用すれば、認知症になった後も資産が凍結されず、財産管理をしやすくなります。
詳しくは「家族信託が認知症対策に一番おすすめな7つの理由と具体的な解決事例」で解説しています。
1-5 葬儀やお墓の準備をしておく
近しい人や親族だけを呼ぶ家族葬などが増えつつあり、様々な種類のお葬式が行われるようになりました。
お葬式の種類が増えたことによって、遺された家族は「どんな規模のお葬式を行えば良いのだろう」と迷ってしまうケースもあります。
遺された家族が「良いお葬式ができた」「故人の希望通りに見送ってあげられた」と思えるように、お葬式やお墓の準備もしておきましょう。
- どんなお葬式をしたいかエンディングノートに書いておく
- お葬式に呼びたい人や親族を記録・伝えておく
- 依頼したい葬儀社をピックアップしておく
- お墓を購入しておく
特にお墓の購入に関しては相続税の観点から見ても、生前に行うのがおすすめです。
生前に購入したお墓は相続税の非課税財産として扱われますが、お墓の購入費用として現金や預貯金を遺していた場合には相続税の課税対象財産になってしまいます。
遺された家族の税負担を減らすためにも、お墓が必要であれば生前のうちに購入しておきましょう。
1-6 介護や入院の準備をしておく
高齢化に伴い、以前よりも長期にわたる介護や入院生活を送る高齢者が増えてきています。
自分が倒れたときや認知症になってしまい判断能力を失ったとしても、家族が困らないように必要な準備をしておきましょう。
- かかりつけの病院に関する情報をまとめておく
- いつも飲んでいる薬の情報をまとめておく
- 自分が入居したい介護施設があれば調べておく
- 介護施設の見学を行う
特に介護施設の見学に関しては、身体が動くうちにやっておけば良かったと感じる方も多いので、早めに行っておくと良いでしょう。
1-7 延命治療について決めておく
自分の人生の最期について、希望をまとめておくと家族の心理的な負担を減らせます。
特に生死に大きな影響を与えるであろう延命治療や終末期医療に関しては、家族が決断しようとしても、家族間の中でも意見が割れ揉めてしまうケースもあります。
延命治療や終末期医療に関しては、想像しにくい、はっきりと希望を決められない方もいるかもしれません。
その場合は今の時点の希望でも良いので、エンディングノートに書いておくと安心です。
1-8 残りの人生を楽しむためやりたいことリストをつくる
終活と言われると、自分の人生の最期に向けて準備を進める寂しいイメージやネガティブなイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし終活とは本来、残りの人生を自分らしく過ごすための準備です。
これまで紹介した準備の他に、残りの人生を楽しむためのやりたいことリストも作成してみてください。
内容は人に見せる必要もありませんし、他人と比べる必要もないので、自分に正直な気持ちでリストを作ってみてはいかがでしょうか。
リストが完成すれば毎日の生活に張り合いが生まれ、より行動的になれるかもしれませんよ。
2章 終活の準備はいつからやるべき?
終活の準備は何歳からすべきかと明確な決まりはありません。
しかし自分が元気なうちから始めておくと、余裕を持って準備を進められるはずです。
あえて年齢を指定するのであれば、60代後半から70代にかけて終活を少しずつ始めていくのが良いかと思います。
- 介護施設の見学
- 相続対策
- 遺言書の作成
- 自分の持ち物の整理
特にこれらの終活準備は時間がかかります。
「もっと早くやっておけば良かった」とならないように、身体を自由に動かせるうちから行っておきましょう。
少しでも終活準備をスムーズに進めるには、専門家に相談するのもおすすめです。
相続対策や遺言書の作成などは専門知識が必要になりますので、相続に詳しい司法書士や弁護士への相談もご検討ください。
3章 終活準備するときに注意すべき3つのポイント
最後に終活の準備をする上で押さえておきたいポイントを3つ紹介していきます。
- 家族と終活の情報を共有しておく
- 優先順位を付けて行動する
- 必要に応じて専門家に相談する
それぞれ詳しく解説していきますね。
3-1 家族と終活の情報を共有しておく
終活準備をしたら、家族と情報を共有しておきましょう。
特に遺言書やエンディングノートの場所などを家族に伝えておかないと、せっかく用意しておいても見つけてもらえないかもしれません。
終活は自分の人生の最期に向けての準備ですが、終活ですべき決断に関しては家族に対する影響度が大きいものもあります。
終活の内容や自分の気持ちや希望などを家族に伝えておくと、理解を得やすくなりますよ。
3-2 優先順位を付けて行動する
本記事で解説したように、終活といっても幅広く全てを一度に進めようとするのは大変です。
また延命治療や終末期医療の決断などのように、元気なうちにはなかなか想像しにくい部分もあるでしょう。
終活の準備は一度に全てこなすのではなく、できるものから優先順位をつけて取り組むのが重要です。
- 介護施設の見学
- 身の回りの整理整頓
- お墓の準備
例えば上記のように体力が必要であり、身体が自由に動く段階で取り組んでおくべき終活からスタートするのも良いですね。
3-3 必要に応じて専門家に相談する
終活は1人で全て行うのではなく、必要に応じて専門家に相談しましょう。自分1人では解決が難しい問題も専門家に相談すれば、解決の糸口が見つかるかもしれません。
例えば老後資金の計画を立てておかないと、生活に困ってしまい、子供や孫たちに迷惑をかけてしまう恐れもあります。
将来自分が入居する介護施設の検討や準備をしておかないと、自分が倒れたときに配偶者や子供、親族に負担をかけてしまうでしょう。相続対策が不十分だと、自分が亡くなった後に遺族が相続トラブルを起こしてしまう可能性もあります。
そうならないようにするためにも、
・相続トラブル対策や認知症対策は、相続に詳しい司法書士や弁護士
・相続税対策は、相続に詳しい税理士
・老後資金の計画は、ファイナンシャルプランナー
・介護施設の相談は、介護施設の紹介サービス業者
などの専門家に相談をするのがおすすめです。
まとめ
終活はネガティブなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、自分の残りの人生を自分らしく生きるための準備です。
また終活準備を行っておけば、遺された家族への負担も減らせます。
終活の準備には様々な種類があるので、優先順位をつけてできそうな部分から取り組むのもおすすめです。
特に介護施設の見学やお墓の準備、身の回りの持ち物の整理は体力が必要なので、身体が元気なうちから始めておくと安心です。
相続税対策や遺言書の作成など、終活の準備をしている中で自分では解決できない問題が出てくるかもしれません。
そんなときは相続に詳しい司法書士や税理士などの専門家に相談することも、ご検討ください。
グリーン司法書士法人では、相続専門の司法書士が相続に関するご相談を無料で承っています。
また、オンラインでのご相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
終活は何から始めればいい?
終活は以下のうち、始めやすいものから始めていきましょう。
・エンディングノートを書く
・老後資金の計画を立てる
・自分の持ち物を整理しておく
・相続対策や遺言書の準備をしておく
・葬儀やお墓の準備をしておく
・介護や入院の準備をしておく
・延命治療について決めておく
・残りの人生を楽しむためやりたいことリストをつくる
▶終活について詳しくはコチラエンディングノートは何を書けば良い?
エンディングノートには、以下の内容を記載しましょう。
・自分自身のこと
・SNSなどのデジタル情報
・家族へのメッセージやこれまでの感謝
・家族に関する情報や家系図
・友人や親戚の連絡先
・ペットのこと
・介護や延命治療などの希望
・葬儀の希望
・遺言書や相続に関すること
・保有している財産
▶エンディングノートについて詳しくはコチラ終活は何歳から始めれば良い?
終活の準備は何歳からすべきかと明確な決まりはありません。
しかし自分が元気なうちから始めておくと、余裕を持って準備を進められるはずです。
あえて年齢を指定するのであれば、60代後半から70代にかけて終活を少しずつ始めていくのが良いかと思います。
▶終活を始める時期について詳しくはコチラ