
- 高齢者の見守りサービスとは、どんなサービスなのか
- 高齢者向け見守りサービスの主な種類
- 高齢者向け見守りサービスを利用するメリット・デメリット
日本では急速に高齢化が進んでおり、それと共に一人暮らしの高齢者や夫婦のみで暮らしている高齢者も増えつつあります。
親や祖父母と離れて住んでいる場合、「もし、親が体調を崩したら気付けるだろうか」と不安を感じている方も珍しくありません。
このような不安を解消する方法のひとつが高齢者向けの見守りサービスを利用することです。
見守りサービスを利用すれば、急な病気やケガにも気付きやすくなりますし、高齢者が自ら家族や警備会社に通報できるようになります。
本記事では、高齢者向けの見守りサービスの種類や導入するメリット・デメリットを解説します。
1章 高齢者の見守りサービスとは
高齢化が進む日本において、親や祖父母の安全をどう守るかは多くの家庭の課題となっています。
特に、一人暮らしをしている高齢者や高齢夫婦の世帯が増えることにより、見守りサービスの需要は年々高まっています。
高齢者向けの見守りサービスとは、日常生活の安全や健康状態を家族や第三者が遠隔で確認できる仕組みの総称です。
従来は「何かあった時に駆け付ける」スタイルが中心でしたが、最近では「日常の小さな異変を早期に察知する」ことを目的としたサービスも増えつつあります。
次の章では、高齢者向けの見守りサービスの種類を解説していきます。
2章 高齢者の見守りサービスの種類
高齢者向け見守りサービスの需要が増えるに伴い、サービスの種類や内容も多様化してきました。
近年では、主に以下のような種類のサービスが提供されています。
- 警備会社による見守りサービス
- スマホ・携帯を利用した見守りサービス
- 訪問型の見守りサービス
- 宅配型のサービス
- ツールを利用した見守りサービス
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 警備会社による見守りサービス
大手警備会社などが提供する見守りサービスは、専用機器を自宅に設置し、緊急時には警備員が駆けつける仕組みがほとんどです。
警備会社による24時間365日の監視体制が整っているため安心感が高く、異常を感知した場合は家族にも即時連絡が入ります。
他の形態のサービスと比較して、料金はやや高額ですが、信頼性と緊急対応力に優れている点が特徴といえるでしょう。
2-2 スマホ・携帯を利用した見守りサービス
スマホや高齢者向け携帯電話を活用する見守りサービスも手軽に利用できるため、近年は人気となっています。
位置情報を家族が確認できたり、ワンタッチで緊急連絡が可能だったりと、日常生活で気軽に利用しやすい点がメリットといえるでしょう。
2-3 訪問型の見守りサービス
自治体や民間事業者による定期訪問型の見守りサービスでは、専門スタッフが自宅を訪問し、生活状況や健康状態を確認する仕組みとなっています。
定期的にスタッフが自宅に訪問し、高齢者とやり取りすることにより、孤独感の軽減や認知症予防などのメリットがあります。
高齢者と家族・親族が離れて住んでいるなどの理由で、スタッフによる対面でのコミュニケーションを重視したい家庭に適しています。
2-4 宅配型のサービス
食事宅配や荷物の宅配を兼ねた見守りサービスも、近年では増えつつあります。
例えば、食事宅配のサービスであれば、配達員が定期的に訪問するため、高齢者の安否確認を同時に行えるのです。
宅食サービスの中には、高齢者向けにやわらかいメニューや低カロリー・塩分控えめのメニューを提供している場合もあります。
このようなサービスを利用すれば、高齢者の暮らしを見守るだけでなく、日々の栄養管理や食事管理も行いやすくなります。
2-5 ツールを利用した見守りサービス
近年、急速に広がりつつあるのが、IoTやセンサーを用いた見守りツールです。
人感センサーやドアの開閉センサー、電気ポットの使用状況、さらには睡眠や歩数を記録するウェアラブル機器まで多様化しており、自宅の家電や設備に併せて設置できる点が特徴です。
多くの見守りツールでは、データをアプリなどで家族が確認できるため、異変を早期に察知しやすくなります。
導入コストは機器によって異なりますが、警備会社や訪問型の見守りサービスと比較してランニングコストが抑えられる点がメリットです。
3章 高齢者の見守りサービスを利用するメリット
高齢者向けの見守りサービスを利用すれば、離れて住む親や祖父母の異変にいち早く気付きやすくなります。
本章では、見守りサービスを利用するメリットについて詳しく解説していきます。
3-1 高齢者の事故を防止できる
見守りサービスを利用することで、高齢者に多い事故を防止できたり、万が一事故が起きたときに気付きやすくなります。
高齢者に多い事故として、自宅での転倒や浴室での事故などが挙げられます。
このような事故が発生し、発見が遅れてしまうと、命に関わる事態に発展することも少なくありません。
見守りサービスを導入することで、異常な動きや生活パターンの変化をセンサーなどのツールが検知し、家族やサービス提供者へ通知してくれます。
例えば「夜間にトイレへ行った後に戻ってこない」「電気ポットがいつもより使われていない」といった小さな変化が早期発見につながるのです。
また、訪問型の見守りサービスを利用すれば、何か異常事態が発生した際に、気付いてもらいやすくなるメリットもあるでしょう。
3-2 体調不良など不測の事態に備えられる
急な心疾患や脳梗塞といった不測の事態に備えられるのも、見守りサービスの大きな利点です。
例えば、警備会社が提供する見守り機器は、ボタンひとつで警備員や救急へ連絡できるものも多くあります。
他には、センサー型の見守りツールでも、一定時間動きがなければ、家族に連絡するものも増えつつあります。
高齢者が一人暮らしをしている場合、転倒や病気などで動けなくなったとしても、誰にも気付いてもらえない恐れもあるでしょう。
しかし、指先が動けば通報できる機器や自動的に通報するセンサーなどを用意していれば、異常事態が起きても早期に発見されやすくなるはずです。
4章 高齢者の見守りサービスを利用するデメリット
高齢者向けの見守りサービスを利用すると、以下のようなデメリットがあります。
- 利用時に費用がかかる
- サービスの利用を嫌がる高齢者もいる
- 身体機能や認知機能によっては見守りサービスだけでは限界がある
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 利用時に費用がかかる
見守りサービスを利用するにあたり、機器の設置費用などの初期費用がかかります。
サービスの種類や提供会社によって異なりますが、数万円から数十万円ほどの初期費用がかかることも珍しくありません。
加えて、サービスの内容によっては月額の利用料金や通信費などのランニングコストがかかることがほとんどです。
導入にあたっては、費用と安心のバランスを考える必要がありますし、誰が費用を負担するのかも決めておく必要があります。
4-2 サービスの利用を嫌がる高齢者もいる
高齢者の中には、プライバシーが侵害されると考え、サービスの導入を嫌がる方もいます。
子供や孫の立場からしたら「自分たちが安心するためにサービスを導入したい」と考えていても、高齢者本人が反発する場合、サービスの利用は難しくなるでしょう。
また、高齢者の中には「サービスの利用にお金をかけたくない」「そんなことにお金をかけるなら子供たちに残したい」と感じる方も少なくありません。
高齢者が見守りサービスの導入に消極的な場合には、なぜ導入したいと考えているのか、導入するとどんなメリットがあるのかを根気よく伝えるようにしましょう。
4-3 身体機能や認知機能によっては見守りサービスだけでは限界がある
見守りサービスは、あくまでも日常的な安否確認や異常の早期発見が中心であり、介護そのものを代替できるわけではありません。
例えば、1人でトイレに行くのも難しいほど身体機能が低下している場合や、認知症が進行して徘徊を繰り返す場合には、サービスだけでは対応できないでしょう。
GPS機器を持たせても、徘徊自体を防ぐことはできないからです。
このようなケースでは、見守りサービスではなく、介護サービスや成年後見制度の利用などを検討する必要があります。
また、現時点では見守りサービスの利用で上手く暮らせているとしても、将来的には他のサービスの利用が必要になる可能性があることを理解しておきましょう。
まとめ
高齢者向けの見守りサービスを利用すれば、離れて住む高齢者の些細な変化や事故、病気などに気付きやすくなります。
一方で、見守りサービスを利用すると初期費用やランニングコストがかかりますし、高齢者の健康状態によっては見守りサービスの利用のみでは対応が難しい場合もあります。
また、高齢者の生活を支える制度には、見守りサービスだけでなく、その他の介護サービスや任意後見制度や家族信託などの法的な制度もあります。
様々な制度を組み合わせて、高齢者もその家族も安心して暮らせる仕組みを作ることが大切です。
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